女房様とお呼びっ!
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※掲題に絡み、恥ずかしながらワタクシ、 割と最近まで「閑話休題」の意味をまったく逆にとらえていた。 遡れば、ここの過去ログの中にも、その痛い勘違いを晒している…(再痛) ちなみに、上記掲題は造語。念のため(笑
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先に話題した、イリコの感じていた「寂寥感」について。 当時を回想して書き記すうち、今にして思い至ったことがある。
あの一件によらず、その以前から、 奴には自身がダメージを負ったときに、そのこと自体に拘泥する傾向があった。 簡単に言えば、いつまでも 「ボクは傷ついたんです…まだ痛いんです辛いんです…」と言い募るような印象。
もちろん、傷ついたこともまだ痛むことも辛いことも事実であれば、 それを他者に表明するのに憚ることもないと思う。 しかし、その他者もまた、同じ禍を被った当事者である場合 ―すなわち、奴とのこれまでの次第においては必ずや私であるのだが、 少なくとも私の場合、そう言い募られるごと、責められているようで落ち着かないのだ。 何度も言われると、腹立たしくさえある。
むろん、私が一方的に傷つけたのなら、幾度責められても甘んじよう。 しかし、同じ禍にあっては私も何らかのダメージを負っているわけで、 かといって「ワタシも傷ついたのよ」と返すに忍びなく、どうにもやるせない気持ちになる。 ましてや、その禍が専ら奴が招いたもので、 つまりは自業自得の結果を「傷ついたんです」とやられた日には、どうしていいかわからなくなる。 この一連の感情のゆくえには、自分の狭量さをつくづく思い知らされるのだが。
もっとも他方、私は奴に起こる変化をなるべく正確に知りたいとも思っている。 だから、事実を正直そのままに言い募られても、疎んじるゆえんはない。 もちろん、理性はその判断に留まり、だからこそ感情を抑えてようよう聞くのだが、 その実不快に揺らぐ感情を持て余しているわけだ。
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こうした事情から、奴が「寂寥感」を訴えた折も、私は不快な心持になった。 加えて、奴には恨みがましい気持ちを抱いていたので、尚更苛々と考えを巡らした。 そして、それが奴のプライドに関わるものと思い至っては、マタカヨとうんざりした気分にもなった。
以前から、奴のプライドにはさんざん悩まされてきた。 もちろん、奴隷のくせにプライドなんて…などと極論を言うつもりはない。 ただ、私との関係においてさえ、奴が頑なにプライドにしがみつくのが気に入らない、 というか解せないのだ。 大切な人との関わりにおいて、なにゆえプライドが優先されるのか? もっともそれは私固有の価値観で、奴のそれとは違うというだけなんだろう。
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と、ここに気付いて、今一度当時の奴の心象を思う。
確かに奴はプライドが高い。 すなわち、奴の価値観においてプライドは何より大切であるということか。 恐らく、私が思うよりずっと気高いものなんだろう。 とすれば、僅かに傷ついてさえ、奴は相当のダメージを受けるに違いない。 それも、私の想像をはるかに越えて。
あの一連の出来事の中で、奴は「耐えられない自分」に出会い、 あろうことか「人前で醜悪な自分を曝け出す」に至った。 そのいずれもが、奴には大きな失望を招き、そのプライドは深く傷ついたことだろう。 殊に奴の場合、「あるべき自分」への執着が強いので、 その失望たるや絶望に近く、その傷もまた致命的なものだったかもしれない。
そう思えば、奴の「寂寥感」は私の理解に近くなる。 むろん、奴が真正絶望したとは思わない。 が、その淵に立つだけでもどれ程心細かったことだろう。
けれど、いつか不幸にも本当の絶望に堕ちたなら、 その「寂寥感」を訴える相手さえいないのだよ、イリコ(笑。
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