女房様とお呼びっ!
DiaryINDEXpastwill


2003年10月02日(木) 無言調教 〜密室にて 4〜

言葉を奪い、最大の恥辱を与えてやる。

この日、私の行動を駆っていたのは、ただこの一点だ。
そして、それは順調に進み、予想通りの反応を得たし、恐らくは予想に足るダメージをもたらしたことだろう。
実際、奴は精も根も尽き果てた様子で、そこにいた。
表情は消え失せ、動きも緩慢だ。痩躯が一層痛々しい。

しかし、私の気は一向に晴れなかった。
確かに、やるべきことをやり終えたことで、いくらか気が緩んだ感はある。
が、それは達成感というには程遠く、気が抜けたようなだるさが残るばかりだ。
単に気を晴らすためだけの仕打ちなら、ここまで酷い目にあわせたのなら、せいせいとなるはずなのに。
依然、心の内にわだかまるものがあった。

それを顕著に自覚したのは、いつものように奴に後手から胸縄をかけたときだ。
前へ回って、縄の具合を見る。
適当な加減か、肉を挟んでないか。

そして、気づく。
あぁまだコイツに正対できない。
その位置にあれば、必ずや見る奴の顔を正視できないのだ。

酷い話だと思う。本当にひどい話だ。
責める側が自分を持て余したままに、顔を背けるなんて。



仕方なく、今一度後へ回り、頭を床につけさせ、折り曲げた足先までを縛る。
立ち上がって見下ろせば、痩せた体が更に小さく、哀れだ。

その背に鞭を当てていく。
次第に強まる刺激に、時折ウッと声が漏れる。
まだ、奴の言葉は奪われたままだ。
しかし、その声すらも封じようと思いつく。
鈴のついたタオルを握らせながら、そう命じた。

打たれる度に息を詰め、鞭の間合いに息を吐く。
鞭好きを自認する奴には、慣れた所作だ。声を出せば、衝撃も抜けるという。
しかし、このとき、口元に張り付いたガムテープが呼吸を阻み、
せめての鼻呼吸さえも、声を漏らすまいとする意識から浅いものになってしまう。
結果、呼吸は極端に制限され、ほどなく奴は気を失った。

この後、失神は数度繰り返された。
奴は気づいてないようだが、最初のそれは、バラ鞭を規則的に下ろし始めた頃起きている。
いつもなら、問題なく受け果せている打撃だ。
肌も赤みを帯びる程度、奴には物足りないくらいかもしれない。
そこで、自然に気を戻るのを待ちながら、いつも通りに鞭を変えていった。
一本鞭で〆た。



そこまで易々と奴が失神したのは、呼吸が制限されたせいもあったろうが、
やはり事前の責めで、心身ともに弱っていたからだと思う。
無意識の防衛が働いたと解釈すれば、人の体は実にうまく出来ている。
と同時に、それは私にも益をもたらした。
奴が木偶のように動かなくなると、妙に嬉しいのだ。
私はそんな奴をこそ愛しい。

そんな成り行きから、鞭を終えた頃には、奴の正面が疎ましくなくなっていた。
現金なものだが、真実そうだ。

それで、正対しないための縛めを解き、仰向けに寝かせる。
蝋燭に火を灯す。熱さに悶える顔が見たいと思った。
胸から落としていく。口を覆われたままの喉元が仰け反る。
煽られて、服を脱ぎ、奴の腿に裸の尻を下ろした。

熱さに耐えかねて、胸縄をかけた奴の半身が起き上がりこぼしのようにせり上がり、
救いを求めて、私の足先に擦り寄ろうとする。
鼻息がふくらはぎにかかる。
わずかに足を動かし、奴の肩を受けてやる。

既に、肌を触れあう忌避感は失せていた。
先刻の、まともに顔を見られないような心境ならば、きっと怖じたことだろう。
けれど、肌をなぜる息遣いを心地よく受け入れた。
のたうつ奴の体を、尻で味わった。



頃合を見て蝋燭を消し、縄を解く。
ガムテープの口枷もはがし、奴は言葉を取り戻した。
その後、痛苦ばかりの責めを続けた折から、陰茎をかいてやる。

しかし、疲弊しきった奴の反応は鈍い。
勃ちが悪いとやる気もなくなる。
いや…それ以前に、ひと段落ついたせいか、疲労感が募り、続けられない。
「触り甲斐がないねぇ」
と言い捨てて、刺激を中断し、片づけを命じた。

勃起を果たせず項垂れる奴の表情が、一層沈鬱なものになる。
しかし、投げられた賽の前に、奴がなす術はない。
のろのろと正座して、調教の礼を述べた。


女房 |HomePage

My追加
エンピツ