女房様とお呼びっ!
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2003年10月02日(木) |
無言調教 〜密室にて 4〜 |
言葉を奪い、最大の恥辱を与えてやる。
この日、私の行動を駆っていたのは、ただこの一点だ。 そして、それは順調に進み、予想通りの反応を得たし、恐らくは予想に足るダメージをもたらしたことだろう。 実際、奴は精も根も尽き果てた様子で、そこにいた。 表情は消え失せ、動きも緩慢だ。痩躯が一層痛々しい。
しかし、私の気は一向に晴れなかった。 確かに、やるべきことをやり終えたことで、いくらか気が緩んだ感はある。 が、それは達成感というには程遠く、気が抜けたようなだるさが残るばかりだ。 単に気を晴らすためだけの仕打ちなら、ここまで酷い目にあわせたのなら、せいせいとなるはずなのに。 依然、心の内にわだかまるものがあった。
それを顕著に自覚したのは、いつものように奴に後手から胸縄をかけたときだ。 前へ回って、縄の具合を見る。 適当な加減か、肉を挟んでないか。
そして、気づく。 あぁまだコイツに正対できない。 その位置にあれば、必ずや見る奴の顔を正視できないのだ。
酷い話だと思う。本当にひどい話だ。 責める側が自分を持て余したままに、顔を背けるなんて。
◇
仕方なく、今一度後へ回り、頭を床につけさせ、折り曲げた足先までを縛る。 立ち上がって見下ろせば、痩せた体が更に小さく、哀れだ。
その背に鞭を当てていく。 次第に強まる刺激に、時折ウッと声が漏れる。 まだ、奴の言葉は奪われたままだ。 しかし、その声すらも封じようと思いつく。 鈴のついたタオルを握らせながら、そう命じた。
打たれる度に息を詰め、鞭の間合いに息を吐く。 鞭好きを自認する奴には、慣れた所作だ。声を出せば、衝撃も抜けるという。 しかし、このとき、口元に張り付いたガムテープが呼吸を阻み、 せめての鼻呼吸さえも、声を漏らすまいとする意識から浅いものになってしまう。 結果、呼吸は極端に制限され、ほどなく奴は気を失った。
この後、失神は数度繰り返された。 奴は気づいてないようだが、最初のそれは、バラ鞭を規則的に下ろし始めた頃起きている。 いつもなら、問題なく受け果せている打撃だ。 肌も赤みを帯びる程度、奴には物足りないくらいかもしれない。 そこで、自然に気を戻るのを待ちながら、いつも通りに鞭を変えていった。 一本鞭で〆た。
◇
そこまで易々と奴が失神したのは、呼吸が制限されたせいもあったろうが、 やはり事前の責めで、心身ともに弱っていたからだと思う。 無意識の防衛が働いたと解釈すれば、人の体は実にうまく出来ている。 と同時に、それは私にも益をもたらした。 奴が木偶のように動かなくなると、妙に嬉しいのだ。 私はそんな奴をこそ愛しい。
そんな成り行きから、鞭を終えた頃には、奴の正面が疎ましくなくなっていた。 現金なものだが、真実そうだ。
それで、正対しないための縛めを解き、仰向けに寝かせる。 蝋燭に火を灯す。熱さに悶える顔が見たいと思った。 胸から落としていく。口を覆われたままの喉元が仰け反る。 煽られて、服を脱ぎ、奴の腿に裸の尻を下ろした。
熱さに耐えかねて、胸縄をかけた奴の半身が起き上がりこぼしのようにせり上がり、 救いを求めて、私の足先に擦り寄ろうとする。 鼻息がふくらはぎにかかる。 わずかに足を動かし、奴の肩を受けてやる。
既に、肌を触れあう忌避感は失せていた。 先刻の、まともに顔を見られないような心境ならば、きっと怖じたことだろう。 けれど、肌をなぜる息遣いを心地よく受け入れた。 のたうつ奴の体を、尻で味わった。
◇
頃合を見て蝋燭を消し、縄を解く。 ガムテープの口枷もはがし、奴は言葉を取り戻した。 その後、痛苦ばかりの責めを続けた折から、陰茎をかいてやる。
しかし、疲弊しきった奴の反応は鈍い。 勃ちが悪いとやる気もなくなる。 いや…それ以前に、ひと段落ついたせいか、疲労感が募り、続けられない。 「触り甲斐がないねぇ」 と言い捨てて、刺激を中断し、片づけを命じた。
勃起を果たせず項垂れる奴の表情が、一層沈鬱なものになる。 しかし、投げられた賽の前に、奴がなす術はない。 のろのろと正座して、調教の礼を述べた。
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