女房様とお呼びっ!
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2003年04月24日(木) 直近のウツ 1

なんだかここのところメゲている。理由はもちろんイリコのことだ。
それ以外の生活はすこぶる順調なのだが、気づくと鬱々とした状態にある。
それでも、発端となった出来事から既に10日程経ち、流石に凹んでいるのにも飽きてきた。
もっとも、飽きたとは言え、未だ気が晴れないのは確かだ。

落ち込んでヤケになったワケじゃないが、掲示板を非公開にしてみた。
いや、一旦は閉鎖まで考えた。が、生来のモッタイナガリが顔を出して、思いとどまる。
もちろん、それだけが理由じゃないけど、ひとまずそういうことにしておこう(笑



その日、私とイリコは『はとバス』に乗った。日帰りのバスツアーだ。
親しい友人に誘われて、彼女の彼氏と私たち4人の道行き。

まずまずの天候に恵まれた早朝、ターミナルで落ち合う。
早めに着いてしまったイリコ以外の3人でコーヒーショップに入った。
彼氏とは一年以上前に一度お目にかかったきりだが、親しげな挨拶をくれるイイヒトだ。
人懐こい気さくな人柄。恋人に甘える友人の風情も新鮮で、微笑ましかった。

予定時刻に程近く、奴が到着した。
奴もおふたかたには面識があるので、それなりの挨拶を交わして、私の隣に腰掛けた。
彼氏はやっぱりイイヒトで、奴にも明るく声をかけて下さる。
日頃再々奴とご一緒下さる友人もまた、いつもながらに優しい言葉をくれる。
あぁなのに、奴はどうにも暗いのだ。
流石に応答はするものの、自分から気を払う状態にない。

そんな奴の傍らで、私は、子を初めてのお友達との遠足に連れ出したママ気分だ。
ママの後ろに隠れてないで、お友達とも遊んでよぉと焦るような、苛つくような感じ(笑。
けれど、ママの気持ちにはお構いなしに、箱入り息子はコーヒーカップを見つめている。
私が話し掛けても、やはり言葉少なだ。

もっとも私が苛々する程に、友人たちは奴の様子を気にとめてはなかったと思う。
いや、もしかすると、見過ごしにする気使いを頂いたのかもしれない。
奴の頭越し、楽しげに朝ご飯をつつきあう彼女らの様子に慰められる心持だった。
『そうよ、私たち、これからはとバス乗って、遊びに行くのよ?』
声に出して、奴に言いたかった。



バスに乗り込み、通路を挟んで横並びに2席ずつに別れて座る。
次々と客が乗車し、ほぼ満席だ。
皆行楽気分に浮き立って、車中にはワイワイと賑やかな空気が満ちる。
当然、友人たちもはしゃいでいる。女二人が通路側、顔を合わせては笑ってしまう。
お陰で少しは楽しい気分にはなる。けど、私の右隣、奴の様子が鬱陶しい。

さっき苛ついたのが伝わっちゃったのかなぁと思いつつ、
「具合でも悪いの?」と訊くと、「いえ」と答えたきりまた黙る。
思わず、溜息を吐いてしまう。こうなるとママはお手上げだ。
ふたりきりならまだしも、今日はお友達と一緒なのに、はとバス乗ってんのにぃと思うと、
無性に腹立たしい気持ちになって、私も一緒に黙ってみた。

私が黙れば、当然沈黙の時間は続く。
回りが賑やかなだけに、自分たちだけが取り残された感じで辛い。
で、とうとう私のほうが辛抱堪らず、口を開いた。
しかも、そんな気分だったものだから、この期に及んでつまらない質問をした。

「例えば、キミが自分の恋人とかを、キミのお友達との旅行に伴って、
 その恋人がキミみたく暗ーく、だんまりだったらどんな気分よ?」
すると「すみません」と奴は答えて、また口をつぐむ。あああ、もう。
バスガイドの可愛らしい口上に笑い声が起こって、一層私をどんよりさせた。



奴が黙り込むいつもなら、私のほうから話題を振ってどうにか場をしのぐのだが、
その時は私も妙に意固地になって、奴がいつまでそうしているつもりだろうと無口なままにいた。
仕方がないので、視線をただ車窓に貼り付けてはみたが、そんな感じじゃ景色さえつまらない。
はっきり言って苦痛だ。で、遂に私のほうがギブアップ(笑。

「車運転してたほうが楽でしょう?」軽く嫌味を言ってみる。
が、それは曖昧にスルーされ、「でも、バスは乗ってればいいから楽です」と返る。
その物言いに私の気持ちは一層ねじれ、またもバカな質問をしてしまった。

「私たちみたいな関係だと、別に話したいことがないかもしれないし、
 あっても話せないかもしれないね?」
そして、奴のお約束の答えだ。「そうですね」

あぁ地雷を踏んでしまった。一気に脱力。
前にもこんなやり取りしたじゃん?落ち込んで消耗したじゃん?
学習してないなぁ、私も奴も。今更に情けなくて、笑うしかなかった。


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