女房様とお呼びっ!
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2003年03月07日(金) イリコ、2002春の乱 #1

一周年のエールを送ってから一月余り、私たちの間には思わしくない気が満ちた。
主に奴のほうの気が低迷しており、一緒にいると私まで滅入る程で、正直困った。
後に判ることだが、結局奴は、エールで示唆した内容を把握してなかったらしい。
方やその示唆を前提に接する私に、奴は戸惑い、不安を覚え、落込んでしまった。

省みれば、私が急ぎ過ぎ、期待しすぎたんだと思う。奴の理解を確認しなかった。
私としては、もう二年目なんだから、これまでとは違ってくるよと伝えたつもり、
奴が読み取ったのは、一年目よりも更に前進して下さいといった型通りのエール。
ここに齟齬が生じては、指示を出す側受ける側の連携がうまくいこうはずがない。

が、不幸なことにすっかりその気になっていた私は、以前より厳しく躾にあたり、
以前通りにやってるのに、何故かダメを出される奴は混乱の果て、石になった(笑
奴が石になるのは、何もその時が初めてでなく、以前からあったことなんだけど、
二年目の期待に逸る私は対応も一新せんと、即ち、おもねらないことにしたのね。

・・・・・。

実のところ、奴と共にあって一番しんどい思いをするのは、奴が「石になる」時だ。
この時奴は押し黙るのが常だが、怒ってそうしてるのでも、拗ねてるのでもない。
恐らく、怒るとか拗ねるとか私に感情を向ける以前にそうなってしまうのだろう。
これを奴は「情動が冷える」と表現するが、まさしくフリーズした状態になるのだ。

こうなると、奴は視線さえも虚ろになり、何か話し掛けても返事すらしなくなる。
二人きりでいる片方がこの状態の時、もう片方は当然に困る。さて、どうするか。
過日記事した友人のように、徹底した”北風政策”(笑)を採るのも一案だろう。
が、ヘタレな私が採ったのは、専ら”太陽政策”寄りで、奴を甘やかしてしまった。

宥めたりすかしたり、笑わそうとしたり、半端に許して局面を変えようとしたり。
勿論、本心から甘やかしたかったワケじゃないけど、結果的に奴におもねったと。
まぁ慣れないうちは仕方ないと自分に言い聞かせては、そう対応してたのだけど、
その度にしんどいナと思ったし、何だかやりきれないような気持ちにもなったよ。

つまり、何故女王様が奴隷にへつらわねばならんのってなベタな感情でもって(笑
いや、普段はこんな馬鹿げたこと思わないんだけど、しんどさについ愚痴めいて。
そういえば、先の”北風政策”の友人にしても、時にそんな愚痴を垂れてたなぁ(笑
とすれば、いずこも同じってことだけど、少しでもどうにかしたいと思ったワケ。

・・・・・。

で、結局のところ、奴は物の見事に壊れてしまった。私の想像を上回る速さで(笑
いや、正確に言えば、奴が石の砦を築くより早く、私が追い込んでしまったのだ。
てのも、それまでは、奴が対応する時間を見計らいつつ、私は物を言うのが常で、
そのせいで、奴には「石になる」猶予を得ていたのだが、この隙を与えなかった。

なぜそうなったか・・・これも笑っちゃう程、瑣末なやりとりの末に起きたことで。
その日、奴が特別な失敗をしたワケでも、私が特別に不機嫌だったワケでもない。
私はお茶が飲みたくて、奴はその支度に手間取って。ただそれだけが事の発端(笑
が、諸々のタイミングや両者の思惑がすれ違う不幸の末に、奴は乱心してしまった。

お陰で、私は後の予定もキャンセルして、奴の手当てをする破目になったのだが、
この時もやっぱり、大きな気づきを得たものだ。そして、やっぱり愕然とした(笑
・・・思えば、昨年暮れの事件にしても、この手の不測の事態が勃発するごとに、
私は、いや奴もまた、思考を迫られる。とすれば、奴の乱心は尊ぶべきなのか?(笑


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