子宮を持たぬその人の腹腔は、けれど。柔らかく暖かく、命の鼓動を伝えておりました。私の邪悪に汚れた掌が、その時、しかし。嬰児のように丸まって、彼の胎内に包まれておりました。いまさらに、言葉を音に乗せる無意味さに、私達は。聾唖のように押し黙り、小さな手話で言葉を交わしました。その刹那。秘密の遊びに興じる幼子のごとく、永遠を疑いもしないあどけなさが、心に宿るのを感じました。