女房様とお呼びっ!
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2003年03月10日(月) |
イリコ、2002春の乱 #2 |
その日、私たちはとあるクラブイベントに出向き、夜半に投宿先のホテルに戻った。 と、暖かい飲み物が欲しくなり、奴にお使いを頼む。 フロントに言って湯を運んでもらうよりも、 階下のコンビニで調達するのが手っ取り早いと思ったからだ。 何度も使っている宿なので、奴もそれを心得ており、すぐにでも取って返すはずだった。
ところが、奴はなかなか戻ってこない。 最初は遅いなぁと苛々もしたが、そのうち今度は心配になってくる。 何かあったのか?と思い始めた頃合に、ようやくコンビニ袋を下げて戻ってきた。 そして、特に何があったとも言わず、やおらフロントに電話し始める。 「何してるのッ」奴の不可解な行動に驚いた私は、慌ててそれを制した。
その時点で、既にフロントが応答していたのだろう。 どうにか非礼を詫びては電話を置き、奴はその定位置である床にのろのろと正座した。 が、その顔に、もはや表情はなく、奴の混乱が覗える。 けど、混乱してるのはこっちの方だとばかりに、私は追い討ちをかけたのだ。 「キミが勝手を出来る程、私はキミを信用してないわよッ」
・・・・・。
一年余って付き合っておいて、「信用してない」なんて酷い言い草だと思うけど、 じゃあ全面的に信用してるかと問われれば、二年経った今でも答えに窮してしまう。 いや、当時も今も、基本的には信用してるのよ。 実際この二年、奴は本当によく仕えてくれたし、特別に裏切られたこともないし、 その忠誠は疑うべくもない。
けれども、奴の大きな欠点のひとつである”独り善がりな言動”が改まらない限り、 私が奴を信用しきるのは無理だ。少なくとも、奴を「従」とみなすにおいて。 たとえ、その傾向が奴の気質に根ざすもので、所詮改まりようのないものだとしても、 せめて私といる時は無理やりにでも抑えて欲しいと願う。だから躾ているんだね。
もっとも、いくら厳しく躾たからといって、 相手は既にオトナだもの、完全に矯正できるなんて思っちゃない。 今でもそうだが、奴の勝手が出る度に仕方ないなぁという気にはなる。 とはいえ、見過ごしにする程、私は寛容ではない。現実、困ることも往々だし。 だから、飽きず物を言う。本音を言えば、それはしんどい作業だ。
・・・・・。
さて、冒頭の成り行きについて。 我が身の事実ながら、第三者的に見ればナンデソウナルノ?と首を捻るしかない。 こんな些細なことで混乱する私たちは、やはりイビツだ。 しかし、どれ程些細なことでも、それが私たちのルールに反すれば、私は驚き失望する。 DSというままごとに興じる私たちにとって、ゴザの上のルールは絶対だ。
では、この時、奴はどんなルール違反を犯したのか? 端的に言えば、報告の義務を怠ったのだ。
奴としては、 私に暖かい茶を用意する自体に重きをおいて、そうすべく全力を尽くしていたのだろう。 それを途中で、しかも否定的なニュアンスで挫かれて、訳もわからず混乱したと。 奴の立場にたてば、当然の結果と思う。
しかし私にしてみれば、 奴が何の断りもなく、指示した以外の行動をとったことに驚いたのだ。 正直に告白すれば、モノが勝手に動いた(!)くらいに動揺したし、恐怖さえ覚えた。 いや、裏を返せば、それ程まで「従」たる奴を信用していたとも言えるね(笑。 それもあって、あんな乱暴な言葉を投げてしまったのかもしれない。
・・・・・。
かくして、奴は壊れてしまい、私は更なる驚きと動揺と恐怖を味わうこととなる。
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