女房様とお呼びっ!
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2002年06月11日(火) M魚図鑑 〜ヅラ露出 2〜

露出好きの大方は、見られる機会を作るのに腐心する。ま、普段は隠されたモノを見せるのが肝だから、何らかの仕込みは必要だよね。それに、彼らにとっては、誰に見られるかも重要なポイントだ。勿論、誰かに見られてるかもって状況や気分だけでOKな組もある。が、大抵は、性対象となりうる人限定で見られたがるみたい。

ヅラの下の禿頭を笑われたい彼も然り。笑って欲しいのは、彼好みの女に限る。しかも彼の場合、偶発的な事故を装い、失笑や嘲笑を誘わねばならない。「なかなか難しいんデス。やろうと思ったら、野郎が通りかかったり…」あはは、ひとりどっきりカメラみたいだね。「ええ、色々工夫シテマス」自慢げに彼は胸を張るのだが。

「ビル風が最高デス」彼が天啓を受けた最初の事故は、まさにビル風の仕業だったらしい。身だしなみを整える彼の手許を、突風が吹き抜けた。万事休すの想い。路上に転がるヅラを必死に追った。その背後に突き刺さるOLらしき女の失笑。これが、彼の原点だ。「飛ばし方にもコツがありまして…」へぇ、そこまで極めたか(笑

・・・・・。

しかし、そう都合良く風は吹かないし、OL風の女だけが通りかかる好機もない。「で、コレですよ」またも自慢げにそう言うと、彼は胸元から一本のペンを抜く。その軸をスルスルと伸ばす。指示棒だ。次に、軸先でこめかみの辺りを所在なくなぞる。展開が予想されて可笑しい。そして予想通り、一瞬ヅラが浮くのが見えた(笑

「やってみて下さい」と、指示棒を渡される。もぅ、手にした瞬間から笑いがこみ上げる。「遠慮なくどうぞ」と、彼はあらぬ方向を見遣る。コントの仕込みみたいだとまた笑える。と同時に、酷く胸が高鳴ってしまう。だって、こんなこと普段なら絶対出来ない。まさに禁断。笑いのせいか興奮のせいか、手が震えちゃったワヨ。

勿論、こんなことで、私が性的に興奮するワケじゃない。けど、子どもが悪戯に興じるような心持ちになって、妙にテンションが上がってく。悪ふざけって、人をハイにさせるよね。だから、普段はしないような馬鹿な真似もしたなぁ。禿頭に油性ペンで落書きしたり、ヅラでキャッチボールしたり。いいオトナが大騒ぎしたさ。

・・・・・。

一番楽しかったのは、野外露出をした時だ。バーの常連客同士で、食事会だか催した折。河岸をかえて飲み直そうってんで、通りに出て次の店を目指す。と、道すがら、彼が私に指示棒を寄越したのだ。瞳をきらきらさせて(笑。「じゃ、好みのコがいたら言ってね」その途端、二人とも、すっかり挙動不審な人物になり果てた。

「あのコどうかな?」うわずった声で、彼が囁く。OK。手許の指示棒をさりげなく伸長する。いや、内心はドキドキなんだけど。ターゲットとの距離が縮まっていく。緊張で口元が緩みそうになる。ダメダメ、不審がられるワ。密かに葛藤しつつ、タイミングを測る。ヨシ、今だ。えぃとばかりに、彼のヅラを僅かに持ち上げる。

何喰わぬ顔をして歩を進めながら、彼女の反応を待つ。笑うか?無視するか?気がつかないか?ギャンブルめいた興奮。そして、何事もなかったかのように、同じ速度で彼女とすれ違っていく。この数分間が、やたらに長く感じられる。「笑ったよね?」ようやく緊張が解けた地点、共犯者同士は、微笑みながら達成感を味わった。

・・・・・。

きっと、今でも日本のどこかで、彼はヅラを持ち上げてるんだろうな。街中で、偶に、ヅラ丸バレの男に遭遇する度、思い出すヨ。そして、コイツも露出マゾかな?なんて、不埒な想像をしてもみる(笑。誰でもコンプレックスを抱えるものだけど、それが興奮のネタに転化出来るなんて、人間って、つくづく不思議で面白いね。


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