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2002年02月11日(月) 性癖と性愛と結婚について #6

いつだか、夫が言った。「ボクの親は、ボクが結婚しないと思ってたんじゃないかな?」そう言えば、義母が私に「結婚してくれて…」めいた言葉をくれたことがあったっけ。「たぶん、息子には何か欠陥があると思ってたかも・・・ってあるけど」夫は苦笑したが、まぁ欠陥とは言わなくても、カワッテルのは間違いないわねぇ。

もしそうだとしたら、義母は「何を」想像したろう?世間の相場で見れば、特に不足のない息子。妻である私が言うのも口幅ったいが、外面はどこから見ても、モテそうなのだ。それなのに、30過ぎても女の影が全くないとしたら?単に、女関係について口を閉ざしているだけなら、気配くらいは、女親にはわかるものだろうし。

それに、自分がMである事が世間に露見するのをとても怖れていた夫は、万が一の事が起きたらドウシヨウと怯えて、密かに義母に頼んでたことがあると言う。「ボクが死んだら、父にも内緒で真っ先に、アパートの天袋にある雑誌を処分してくれ」・・・これじゃあ、義母が憂うのは無理ないね。有り体な所で、ゲイあたりを疑ったかな?

・・・・・。

事実、夫には女と交際した経験がなかったのだ。夫のファーストキスも童貞も、私が頂いた。少なくともそれまでに夫が求めた性愛は、M性癖に基づく性欲と愛情そのもので、フツーの男女交際をする必然がなかったワケだ。人並みに、筆おろしに焦るような段階もなかったのだと思う。セックスよりもSMを切望してたんだもの。

セックスが苦手だというM魚は意外といる。はっきりと無理だと自覚する者さえいる。いや、彼らが勃起不全ってことじゃない。M側に立てば、或いはそう想像すれば、ちゃんと勃つ。勃ったちんこをまんこにハメれば、勿論セックスは物理的に成立する。この方法で、彼らは、夫婦間の「責務」を果たすらしい。ご苦労なことだ。

私が知る限り、この手のM魚は、結婚前から自分の性癖を自覚していたと言う。だから、生殖のために或いは夫婦間の義務として、フツーにまぐわう苦労を承知で、配偶者を得たことになる。しかし、言うまでもなく結婚は、性愛の結びつき「だけ」でなされるものじゃない。結果、彼らは一様に、伴侶たる配偶者と幸せを築いている。

もっとも、こうした顕著な性癖を有するのは、かなりコアな連中で、大抵のM魚は、性癖をさておいて、フツーの恋愛をし、フツーのセックスをこなしているものだ。更に結婚となれば、性愛以外の結びつきも重要な要件となる貴重な縁だ。たかが性癖を枷として、躊躇することもなかろう。ひとまず、人並みの結婚生活は送れる。

・・・・・。

さて、コアなM魚たる夫と結婚した私だが、私自身がコアなS女だとは、実は思っていない。確かにS的な性行為を好み、Mっぽい男に惹かれる傾向にあるけど、SM抜きの性愛だって、ご縁さえあればハマることが出来ると思うもの。夫と出会わなければ、優しくて大人しい男と結婚して、夫婦でセックスしてたかもしれないね。

と、一応想像してみたけど、夫との結婚に掛け値なく満足している私としては、正直なところ、夫婦間セックスを親身に想像する事が出来ない。夫婦を形作る性愛の部分が欠落してるのに、何が満足ダ?と誹られるかもしれないが、ホントにそうなんだ。夫以外に性愛の対象を得ているから、そう思えるのかしら?どうなんだろ。

言い訳がましいが、私は、性愛の対象を一人に絞りたいとか、絞らなきゃとか思えないのだ。これは結婚以前からの性向。この延長で、夫以外を求めることに疑問を抱いてない。更には、過去の葛藤を越えたせいで、夫婦だからヤらなきゃとも思ってない。とまぁ、極めて身勝手な論でもって、今の状況をヨシとしているワケだ。

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→ 「性癖と性愛と結婚について #5」


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