女房様とお呼びっ!
DiaryINDEXpastwill


2001年11月26日(月) サンクチュアリ

私は別にフィストファックマニアじゃない。けど、経験してみたいとは思ってた。
まぁ、内臓好きって癖のせいもあるけど、多分に興味本位でね。面白そうじゃん。
だから、とあるM魚がアナルフィストやらせてくれるヨ、って話には飛びついた。
特定の相手を持たず、主にクラブでプレイする方針の彼。絶好の機会だったワケ。

実際、私が男の尻穴に拳を納めたのは、後にも先にも、その彼との一回だけだ。
そして、その彼と後に付き合いが続いた訳でもなく、まさに一期一会だったのね。
更には、愛だの信頼関係だのの背景もなく、ただただ行為があったのみ。けれど。
その経験は、本当に本当に忘れがたい想い出となった。今でも、熱く思い出せる。

・・・・・。

クラブ通いのお陰か、初見の女にも彼は臆せず何でも話す。人なつこい男だった。
やる事が決まってる安心感から、暫く他愛のない雑談をした後、プレイを始めた。
勿論、いきなりは無理なので、ざっと縄掛け。やはり彼の心身の準備は必要なの。
有り難いことに、プレイ慣れしてる彼は、それだけでスイッチが入る。助かった。

頃合いを見て縄を解き、ベッドに寝かせる。ここからは、彼との共同作業となる。
膝を抱えて仰臥した彼の腰の下に枕を入れ、尻穴を露出させる。意外にキレイだ。
やっぱ恥ずかしいデスネとか、大丈夫カナとか照れる彼を横目に、手袋をはめる。
ローションを塗り込めながら、私、手が大きいからサァなどと私も言い訳をする。

・・・・・。

しかし、彼の尻穴は次々と指を飲み込んで、やがて、親指以外を収めてしまった。
「どう?大丈夫」と訊けば「うん、割と平気。気持ちイイ」と溜息混じりに答える。
「じゃ、親指イクわよ?」そう宣言して、いよいよ5本目に取りかかる。深呼吸。
果たして柔らかな肉襞は、漸くソレも受け入れる気配だ。慎重に力を込めていく。

ア、と彼が呻く。「痛い?」「イエ、苦しい」「ウン、苦しいね、もうちょっとヨ」
親指の付け根をくぐらせれば、一段落するのだ。あと少し。「息吐いて。イクよ」
彼が大きく息を吐き、腹圧が下がるのと同時に、私の掌が彼の尻穴を貫通した。
「入ったワ…」「あ、ハイ…」紡錘状に丸めた私の手に、彼の肉がまとわりつく。

私は暫く無言のままに、初めての触感を味わった。海の底を漂うように心が凪ぐ。
直腸の壁は、痛い程の圧力とたぎるような熱さを伝えながら、規則的に脈動する。
接点に目を落とせば、彼の尻の狭間に私の手首が埋まり、確かな結合を感じる。
腸壁の締め付けから逃れるように、そっと動かしてみる。瞬間、彼が微かに呻く。

・・・・・。

「痛かった?」「ううん、入ってるなって」「うん、入ってる」静かに対話が始まる。
「お腹の中、目一杯な感じナンダ」「そうなの?」「うん、それが何か安心なの…」
気付けば、言葉遣いは幼児のようにたどたどしい。「あったかいね」「うん、ボクも」
「どっちもあったかいのね?」「変だね」笑いながら、あどけない気持ちが満ちる。

遂に、中指がS字結腸を触覚する。圧力がないソコは、どこまでも拡がりそうだ。
人差指と薬指を伴って刺激すると、どうやら腹膜に響くらしい。彼が声を上げる。
「腸の中って面白いね」「そうなの?」「うん、フワフワ」「ボクはピクピクする…」
互いにソコに感覚を集中させながら、上気した顔を見合わせ、また微笑み交わす。

私達の間には、既に繋がった感動しかなく、エロの気配は微塵もなくなっていた。
なぜだろう。その光景は明るく清潔で、授乳している母子にも似たイメージなの。
彼は、赤ん坊みたいに無垢な表情を湛え、私もきっと優しい顔つきだったと思う。
こんなエログロな行為を通して得た感想としては、あまりに不適切な表現だけど。

・・・・・。

或いは、日溜まりの中であやとりしているみたいな心持ちだったのね。本当に。


女房 |HomePage

My追加
エンピツ