女房様とお呼びっ!
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2001年11月22日(木) 淋しい同士


ヒトには淋しい穴がある。

からっぽでがらんどう、いつも辛くて泣いている。
いつも泣いているものだから、
皮膚は爛れて、赤い肉を晒してて、
僅かなすきま風にもひりひり痛んで、なお辛い。

だから、大抵はその扉をしっかり閉ざしているのだけれど、
実は、ひっそり、お客を待っている。
暖かくて、豊かな、潤ったもの。

穴の中にみっしりと充実する、
あるべき物が帰ってきたような、懐かしいその感じ。


『 お帰りなさい 』


盆と正月が、いっぺんにやってきたような歓びが満ちて、
その一時、淋しかった事なんて忘れてしまう。

ずっと待ってたのよ、やっぱり来てくれたのね、
嬉しいわ、幸せよ。
身体総出で、お客様の到来を歓迎する。
アドレナリンが次から次へと湧いてきて、
心臓ばくばく、血はたぎり、呼吸が犬のように速くなる。



そうして迎えられたお客もまた、
ヒトに宿る淋しい瘤(こぶ)でありました。

隠しようのない、むき出しの赤い肉。
時折、それはとても邪魔なものだけど、千切って捨ててしまう訳にもいかず、
無防備に風に吹きさらされて、いつも縮こまりながら、
収まるべき場所を探していた。
暖かくて、豊かな、潤った場所。

柔らかく包まれる、懐かしい感じ。


『 ただいま、会いたかった 』


両手を拡げて、全身を投げ出すような、
狂おしいほどの愛しさ。

淋しい穴と淋しい瘤は、強烈な引力に導かれるように再会し、
抱き合って、歓びを貪りあって、
ずっとこのまま繋がっていたいねと思うのだけれど。

残酷な神さまは、また、
穴は穴のままに、瘤は瘤のままにと、
互いを引き離しておしまいになる。

そうして、
穴は再び、辛く淋しい待つ日を重ね、瘤は探しあぐねて淋しく暮らす。
いつまで経っても終わらない、その繰り返しがヒトの運命。

それからね、誰にも幾つかずつ、淋しい穴と瘤があるらしい。
あなたには、どれ程の穴と瘤がありますか?


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