女房様とお呼びっ!
DiaryINDEXpastwill


2001年11月14日(水) ホームシック/ノスタルジー


あたしたちは。



**

 あぁ、今日だけは「あたしたち」と云おう。
 M魚達が、何かというと「私達」と言うのが嫌いな私だけれど。

  『 言い訳するのも、主張するのも構わないから、
    Mという同胞を十把一絡げにするのはやめろ。
    言い訳も、主張も、お前自身のことだ。「私は」と言え 』

 そう、再々に説教をたれてるのだけど。

**


あたしたちは。


どうしてこんなことをしてしまうのだろう?

首を絞め、肉を裂き、流れる血に唇を寄せ。
皮膚を焼き、骨が軋むほどに打ち据えて、抱く。
傷口をくじり、内臓の奥深くまで、指先は温みを求む。

それなのに、お前たちは、殉教者のように苦渋に随喜する。


なぜだ?
ヒトにあるまじき我と彼を疑い、解を探す。

快楽のため?
自己実現のため?
カタルシスを得るため?

あぁ、どれも当たってるようで、当たってない。
なぜなら、その程度を根拠にして、
これほど心が揺さぶられはしないから。泪しはしないから。



あたしたちは。


天上高く、あるいは地の底深く、共に暮らしていたろうか?
それとも、アンドロギュノスが如く、魂までもひとつにしていたか?

遠い記憶に結ばれて、肯きあう。
叶わぬ憧れを胸に抱き、肌をなする。



あたしたちは。


せめて、この地に隣り合う稀少な同胞(はらから)。
今宵、懐かしがって泣こう。月をみつめるかぐやのように。

神話にすら記されなかった故郷は、
けれど、確かなノスタルジーを呼び続けるから。


女房 |HomePage

My追加
エンピツ