女房様とお呼びっ!
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2001年10月21日(日) 最高のセックスフレンド #2

男が行こうと言ったのは、三日に一度しか船の通わない過疎の島だ。ナンデソンナトコニ?と問えば、「今の僕がある、縁の深い島なんだよ」と意味ありげに言う。真意を掴み切れぬまま、私は男の旅程に応じた。ワケアリだろうが、南の島は好きだ。単純な理由。それに、リゾートではまず行かない所だし。5日間の旅になる。

・・・・・。

この旅の間に、何度セックスをしただろう。それは、SFとしての互いの存在意義に誇れる回数とバリエーションを数えた。タフな男だと笑えた。タフな女だと笑われた。旅の途中、異郷にあることが、タフに拍車をかけたのは確かだ。今でも、ドンナトコデヤッタコトガアルカ?ネタに事欠かないのは、この旅のお陰だと思う(笑)

中継地のホテルに始まり、往路の船の中。ワケアリのせいか、ベッドのある医務室をあてがわれた。船室らしく、機能的に処置用ベッドが二段に設えてある。当然、身を詰め込む程の狭さだ。けど、そこでシタ。私も男も、柄の大きな方なのにさ。やれば出来るものだ。目の端に、ホーローの洗面器や膿盆が映る。興奮した。

島での宿は、釣り人が利用する民宿だ。民宿といっても、ただの大きな民家の座敷に泊めるだけで、私達は仏間に通された。襖を隔てて、中年男ばかりの釣り客が眠る。二組の布団を延べてもらい、横たわる。寝入りばな、男が正座して私に合掌してるのに気が付いた。ヤルノ?ウン。キコエルワヨ?ヘイキダヨ。で、ヤった。

・・・・・。

過疎地区らしく、立派な道路やヘリポートまである島だったが、暮らしの施設は貧相だった。日に4時間ほど開く商店がひとつ、公衆電話がひとつ。2,3時間歩けば、もう一巡りしてしまう程、小さな島。三日後でないと船は来ない。誰も携帯電話など持たない当時、何もすることがない。日がな散歩をし、海辺に座り、体を交えた。

小さな集落の慣習で、人に出会えば挨拶を交わす。それは、ヨソ者の私達であってもだ。日に何度会ってもだ。きっと、怪しい都会モンだと思われてるワヨ?じきに離島する暢気さで、村人達の視線を受けた。それは、妙に愉快な感覚で、私達の間に共犯者めいた感情を呼ぶ。白い陽光や水色の海が嘘っぽくて、雰囲気だわ。

・・・・・。

街灯のある筈もなく、日が落ちると、右も左も判らない闇となった。夕暮れに、民宿の奥さんが懐中電灯を持たせてくれた意味を知る。道先を案内されて、ワケアリの用向きに臨む。「○○の家内でございます」男の名を名乗りながら、挨拶して回った。田舎ですから・・・と、役場の若い衆に進言されたのだ。それを面白がった。

男のにわか妻となって、村人と杯を交わし、未知の話に耳を傾けた。現実に私が生きる場では決して出会えない話に、深く心を揺さぶられた。過疎の村を憂う年寄りの言葉は、都会モンがどう足掻いても辿り着けないのだ。日常を隔絶した偽りの私が、本物に圧倒される。その事実に興奮して、宿への道々、男に感動を語った。

・・・・・。

また日が昇り、蒼い魚を釣ろうと海辺に遊ぶ。昨夜の余韻からか、ヤリ飽きたからか、私達はぼんやりと釣り糸を垂れながら、ただ話をした。「僕はね、色んなものの始まりと終わりを見ちゃったのよ」男は、男の哲学を語ったろうか?「人はね、強くて弱いモノなのよ」そうも言った。水面がキラキラと眩くて、私は目をしばたいた。


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