女房様とお呼びっ!
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2001年06月05日(火) まぐわいの詩

セックスする度に、
私達は所詮人のフリをした獣なんだって事を思い知らされる。
それは何かとても重要なことを思い出したような感じ。
かつて自然の中の一種の獣であった記憶が呼び覚まされる行為。

そう確か、私達は服なんて着てなかった。
四つん這いで這う度に、股の間からぬめぬめと内臓を晒して、
互いを誘い合っていた。
オスは赤黒いペニスと子種のつまった金玉をぶら下げ、
メスは無防備に裂けた穴から粘液や血を垂れ流していた。
そして雄も雌も、そこはいつも匂いを放っていた。
獣じみた、生臭い匂い。

そう確か、私達は手足の区別をしてなかった。
手が汚れるなんて感覚は、何時から身に着けたものだろう。
何時から足を蔑むようになったろう。
手も足も関係ない、触り合い、つかみ合い、絡め合い、
しゃぶりあって確かめあうのが、獣のやり方。

そう確か、私達は体液にまみれるのが当たり前だった。
汗をかき、唾を吐き、よだれを垂らし、涙を流し、
股間に溢れる粘液や、迸る精液を拭わなかった。
おしっこやうんこを紙で拭くのは、人のフリをするようになったせいだ。
獣に戻ってしまえば、もうそんなことどうだって良い。
互いの体液ごと絡み合うこの開放感はどうだ。

そう確か、私達は言葉を持ってなかった。
匂いを嗅ぎ、耳を澄まし、舌を這わせ、触覚で感じることで、
初めて声を出していたはずだ。
身体の感覚に正直に呻いたり、啼いたり、吠えたりした。
言葉ではなくて声という音の響きで通じ合う。
無理に言葉に翻訳しなくても良い、
どうせ私達は獣なんだから。

そして疲れたら、身体を寄せ合って眠ろう。
自然に目が醒めるまで。
それも昔そうしていたこと。


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