試合前の状況を整理しよう。今年はグループ1位のみが決勝トーナメント進出。第1試合に勝った湘南が勝ち点6。そして町田が1試合残して勝ち点6、SWHが勝ち点3、SWHが勝てば勝ち点6で3チームが並ぶ。当該チーム間の成績は湘南が1勝1敗の得失点差+1、町田が+1、SWHが−2。したがって町田は引き分け以上なら突破だが、負けると得失点差で最低湘南に抜かれるので即敗退、SWHは3点差以上の勝利が必要となる。しかも湘南に直接対決で敗れているため総得点7の湘南を上回るには5点以上得点することが必要になる。町田はFリーグに所属し、藤井健太や甲斐修侍、金山友紀といったレジェンド級がベンチに控える。対するSWHはフットサル歴が浅いのか、前所属は大学サッカー部だったり、前所属なしが3人もいたりと全国レベルとしては異色の存在だ。
試合はランニングタイム20分ハーフ。
全日本フットサル選手権 グループリーグ
ペスカドーラ町田−SWHフットサルクラブ
舞洲アリーナ
町田 SWH
スタメン
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−−−−−中井−−−−− −−−−−佐藤−−−−−
−−−森谷−−篠崎−−− −−−−西−−清水−−−
−−−−−滝田−−−−− −−−−−武石−−−−−
−−−−−イゴール−−− −−−−−森田−−−−−
第2セット
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−−−−−本田−−−−− −−−−−秦−−−−−−
−−−大地−−後呂−−− −−−角谷−−佐川−−−
−−−−−藤井−−−−− −−−−−小田−−−−−
−−−−−イゴール−−− −−−−−森田−−−−−
町田 監督:岡山孝介
GK 1 イゴール 187・88 シュライカー大阪
FP 3 森谷優太 172・70
FP 8 滝田学 178・77 府中アスレティックFC
FP 13 中井健介 166・56 ASVペスカドーラ町田アスピランチ
FP 16 篠崎隆樹 175・68 湘南ベルマーレ
FP 4 後呂康人 173・70 ステラミーゴいわて花巻
FP 6 本田真琉虎洲 172・68 CASCAVEL TOKYO
FP 7 金山友紀 163・61 CASCAVEL TOKYO
FP 9 横江怜 173・68 CASCAVEL TOKYO
FP 10 狩野新 165・63 CASCAVEL TOKYO
FP 11 永島俊 180・72 府中アスレティックFC
FP 14 大地悟 (Cap.) 171・65 湘南ベルマーレ
FP 18 藤井健太 165・63 湘南ベルマーレ
FP 21 出浦知弘 172・67 malva fc
SWH 監督:上田政彦
GK 1 森田郁 173・63 関西大学サッカー部
FP 8 西裕輔 (Cap.) 171・63 シュライカー大阪
FP 11 武石高弘 171・69 パサジィ大分
FP 14 清水俊男 172・62 デウソン神戸
FP 19 佐藤直裕 165・63 大阪学院大学サッカー部
FP 3 西牧健太 168・60 前登録なし
FP 4 山本尚平 179・68 フラジール広島
FP 7 渡辺平太郎 173・63 前登録なし
FP 9 秦直己 170・66 PAZフットサルクラブ
FP 10 樋口和也 171・72 大阪学院大学サッカー部
FP 15 角谷哲也 170・58 パサジィ大分
FP 18 青山誠士 171・65 前登録なし
FP 22 小田智之 175・65 ロクFC
FP 23 佐川裕己 176・62 Waliki神戸
試合は立ち上がりから局面で激しいボールの奪い合いが続く。4分、町田・滝田が決めて先制。7分、SWH・渡辺に警告。反スポーツ。9分、SWH・清水がこぼれ球を押し込み1−1。10分の時点でファウル数が町田3、SWHが4。5ファウルで第2PKだから早くも両者ファウルトラブルで不用意なことはできない状況だ。そして13分、SWHの5ファウルで得た第2PKを町田・横江が決めて2−1。残り50秒にも第2PKを得るが、今度はバーを叩く。前半は2−1で終了。町田はバーやポストを3回叩いた。
町田とすれば楽な状況ではない。SWHに2点取られて逆転されれば敗退だし、無理攻めになると、SWHがカウンターから点を重ねて、こちらがグループ突破ということにもなりかねない。SWHはスターターが強力で特にレフティー清水のドリブルがアクセントをつけていた。シュートもよく撃ったがイゴールに封じられ、またイゴールは球出しも早く、足元も確実で、なかなか壁を破れず。第2セットの藤井や大地の落ち着きも光った。大地は今期限りでの引退を表明しているだけに期するものもあったのだろう。元代表。藤井は言うまでもない。
後半も激しい潰し合いが続くが、両者ファウルは少ない。そしてなかなかシュートを撃てない一進一退の攻防が続く中時間が過ぎていく。そして残り9分、町田・大地が右シュートを決めて3−1になり、町田は一気に楽になった。残り5分38秒、またも大地が敵陣カットから決めて4−1。残り3分、SWH・西がファウル。反スポーツで警告。残り2分、青山が強烈な左足ミドルを叩き込むが、それまで。4−1で試合終了し、町田がベスト8進出を決めた。
素晴らしかったのが滝田学。代表選手で、フットサルの戦術理解が凄い。シュートコースに確実に入り、身体を入れたブロックと読みの鋭さ。大ベテランの藤井健太が経験によって得た戦術理解を上回る状況判断の良さ。中井健介は上手いとは思わないが、常に力を出し切る奮闘でフォアチェックでSWHの形を作らせなかった。森谷優太はドリブルで変化をつけ、篠崎隆樹は足元が上手くタメを作った。第2セットも落ちないので運動量をキープして優位に進めた。
公式記録
続く試合で目を引くのが池田誠商店というチーム名である。佐賀の農業法人らしい。フットサル歴は浅いのか前所属はサッカー系のチームが多い。川副クラブって天皇杯にも出てくるところだが、川副FCとの違いは?選手の年齢がプログラムにないから、時代によってチーム名を変更したのだろうが、よくわからない。検索にもかからない。仙台サテライトはFリーグの下部組織だし、しっかりしたフットサルをするものと期待される。この組はパサジィ大分が大勝で2連勝、勝ち点6で3チームが並んでも得失点差のアドバンテージが莫大なので、ほぼ突破は決まっている。ヴォスクオーレ仙台サテライトは1勝1敗、池田誠商店2連敗なので既に敗退は決まっている。
全日本フットサル選手権
ヴォスクオーレ仙台サテライト−池田誠商店
舞洲アリーナ
仙台サテライト 池田誠商店
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−−−−−小松−−−−− −−−−−江口−−−−−
−−−南本−−千葉−−− −−−青田−−吉武−−−
−−−−−橋本−−−−− −−−−−前山−−−−−
−−−−−佐々木−−−− −−−−−三苫−−−−−
第2セットが両者明確でないので第1セットのみ記す。
ヴォスクオーレ仙台サテライト 監督:佐藤隆行
FP 2 橋本和昭 (Cap.) 172・66 ヴォスクオーレ仙台
FP 6 千葉涼平 170・58 湘南ベルマーレ
FP 8 南本晶 178・69 ヴォスクオーレ仙台
FP 19 小松遊斗 175・66 Human Academy Tokyo
GK 20 佐々木智昭 178・75 塩釜NTFCヴィーゼ
控え選手
FP 4 井上卓 167・64 Club Atletico Evolucion
FP 10 藤山翔太 174・64 ヴォスクオーレ仙台
FP 11 伊藤広樹 171・69 湘南ベルマーレ
FP 13 山野達也 174・68 アグレミーナ浜松
FP 14 永村八一 172・68 ヴォスクオーレ仙台
FP 15 山本恵太 174・77 ヴォスクオーレ仙台
FP 16 秋山直宏 172・68 ヴォスクオーレ仙台
FP 17 田口友也 170・56 P.S.T.C LONDRINA
GK 28 木皿駿 177・70 ヴォスクオーレ仙台
池田誠商店 監督:江頭洋明
FP 4 前山慎 175・65 川副クラブ
FP 5 江口健一 (Cap.) 178・70 Irie
FP 10 青田匠一 160・59 Fantsista
FP 14 吉武俊明 165・59 川副クラブ
GK 21 三苫真一郎 178・70 檜家
FP 6 片山大介 178・70 Fantsista
FP 7 森武秀樹 172・68 Irie
FP 9 樋渡健人 170・65 Fantasista
FP 11 松尾堅之朗 178・75 ジャカス
FP 12 右近貴司 173・70 佐賀大学サッカー部
FP 16 江頭洋明 180・78 佐賀市役所サッカー部
FP 17 橘木竜馬 166・62 Fantasista
FP 20 下村祐一 175・65 川副クラブ
GK 22 宮田康晴 175・65 川副FC
立ち上がりから仙台サテが自在にボールを回し、どんどん突破し、シュートを放つが、枠を逸れていく。池田誠商店は引いて守ってロングカウンターしかない。しかし徐々に仙台サテが攻め疲れと、無駄に運動量を消耗し、攻めが一本調子になる。残り11分25秒、池田誠商店、ゴレイロが自陣ペナ左外からロングパスを敵陣ペナ左の江口健一に出す。江口は相手の股を抜いて突破、流し込み0−1。9分04秒、仙台サテが強引な攻めを池田誠商店がカットし、江口健一と青田匠一が仙台サテの選手と2対1の状況を作り、青田にパス、難なく流し込み0−2。以降池田誠商店は明確なセットを定めず、少しずつ選手交代しながら、自陣にべた引きして守りに徹する。前半は0−2で終了。
後半も仙台サテが一方的に回し、池田誠商店は徹底的に引いて守る。しかし仙台サテはシュートを放てるようになり、前半よりも消耗している分、池田誠商店の守備に綻びが出来てきた。しかしシュートが枠には飛ばない。そして残り15分、仙台サテのCKから一気にカウンター、江口健一がGKと1対1になり、落ち着いて決めて0−3。仙台サテは相変わらず攻め続けるが決められない。そして残り9分、田口友也をゴレイロに入れてパワープレーに出る。そして残り7分、永村八一の左ミドルを橋本和昭がゴール前で少しコースを変えて1−3。更に残り5分、仙台サテ、左でゲームを作って、右の田口友也が左足ミドル、強烈に突き刺さり、2−3と追い上げた。ここで池田誠商店は冷静にタイムアウト。引いて守るスタイルで耐える。そして残り25秒、仙台サテはフィクソとゴレイロが並走するように自陣ドリブル、しかしただ一人敵陣にいた池田誠商店・青田匠一がカットし、無人のゴールに叩き込む。2−4。仙台サテは無意味なプレーだった。そして残り4分、焦って自陣でパスミス、青田匠一がカットし、再び無人のゴールへ流し込む。2−5。タイムアップ。
どちらが強いとか、どちらが魅力的なフットサルをしたかと言えば仙台サテだろう。公式記録ではシュート数36対15。怒涛の猛攻をしていた。しかし外しつづければ勝てない。池田誠商店がべた引きからロングカウンター3発と敵陣でミスを誘ったわけでもないのに、仙台サテが軽率なミスをして、一人残っていた青田匠一が決めた2得点と、攻め手はなかった。しかし自分と相手の戦力差を計算し、したたかに勝った。
公式記録