2004年04月18日(日) |
プリンスリーグ関西 第1節 奈良育英−洛北 フジタ−草津東 |
プリンスリーグは雲一つない快晴の中で開幕を迎える。この日の3会場の中から好カードの橿原へ向かう。湿度の低いこの時期は紫外線が強いので日焼け対策にスプレーもかけておく。橿原運動公園は一昨年の全中の会場だった。バックスタンドの代わりに地面が盛り上がっていて観やすい。 プリンスリーグ関西 第1節 奈良育英−洛北 4月18日(日)橿原運動公園 11時 ピッチ良 快晴 微風
奈良育英 洛北 −−−小池−−佐藤−−− −−−大江−−沖−−−− −−−−−−−−−−−− −−−−−中村−−−−− 小川−山口−−細川−山本 −沢田−−芦田−−永田− 鬼岩−宮本−−奥野−西本 −東−富村−−飯田−坪内 −−−−−安達−−−−− −−−−−灰谷−−−−−
地元の奈良育英はDF陣に昨年のレギュラー3人が残った。その一人CB奥野が声を張り上げて統率。GK安達は代表候補経験あり。中盤インサイドは守備的な細川と強烈な左足を持つ山口が横並び。サイドはクレバー。リーグの間に色々試してきそう。FWは決定力の高い小池と身体能力が高いU−16候補佐藤。伝統的に夏までは完成度が低い「冬将軍」タイプのチームである。
昨年のレギュラーの大半が残った洛北は個性が上手く噛み合った好チームで完成度はおそらくプリンスリーグ中1,2を争う。京都選抜も坪内、飯田、中村、大江と4人。守備は相手が攻めている間はマークを受け渡さずCBがサイドまで追いかける。展開力あるボランチ芦田、タテ突破得意のSH、小技の効いた中村も息の合った動き。FW大江は動き出しのセンスとスピード、得点センスを兼ね備えた好選手。沖はタフガイ。
洛北は立ち上がり守備陣が混乱気味。CBが出たスペースを他の選手が埋めきれずピンチの連続である。4分、奈良育英、左サイドを起点に中へ戻しペナ内の小川へスルーパス。飯田がサイドに出たスペースを埋めきれず富村が小川を倒しPK。これを山口が左足で決めて奈良育英先制。洛北は気合を入れなおし永田がサイド深くまで侵入するが鬼岩が冷静に対処、ゴールキックをとる。直後の6分、今度は右を起点に小池がクロス、洛北はまたしても中央スペースのカバーを怠りDF一人、奈良育英は二人飛び込み小川が難なく決めて2−0。奥野からは「2点で満足するな、次取るぞ」と声が出る。おそらくこの時点で奈良育英は洛北を格下と見ていたのではないか?8分、奈良育英の右クロスを洛北2度クリアミス。ボールが足につかない。15分、洛北右クロスにGK安達飛び出すが触れない、大江が追いつき中の中村ミドル。18分、奈良育英・鬼岩の突破からクロス、佐藤のトラップが大きくシュートならず。さらに右FKが左へこぼれ小川のシュートは上に外れる。決定機。しかしこの辺りから洛北守備陣は中央に大穴を空けることもなくなり落ち着き始める。しばらくは双方チャンスを掴めない展開となる。24分、洛北・富村→審。新人戦レギュラーCBの選手。24分、洛北・沖のドリブルを奈良育英が冷静に対処、永田に戻しペナ右の大江へ、ゴールライン際に持ち出しほとんど角度のないところからシュート、外れる。30分過ぎから洛北はFWがサイドに開き起点になることで攻撃の形を作り始める。33分、奈良育英・佐藤が鼻血でピッチ外へ。34分、洛北・永田のパスを大江スルーにGK安達飛び出すがこぼしてしまう。ファーでフリーの沖はループで無人のゴールを狙えたがクロス、ミスキック。38分、奈良育英・小池がいい動き出しでラインの裏に走りパスを受け慌てて戻るDFを良く見て切り返し左足シュート、右ポストを叩く。決定機。39分、奈良育英・佐藤→岸本。その後は双方決定機もなく終了。
ハーフタイムで洛北・沢田→影山。沢田は技巧的な突破を見せられないでいた。
後半1分、左に開いて受けた洛北・大江が西本をスピードでタテにちぎりクロス、中村の左足ボレーが決まり2−1と追撃開始。4分、奈良育英・岸本の左足ミドルはGK灰谷の正面。6分、奈良育英・西本のパスをペナ内の岸本がトラップした際に洛北DFの手に当たるが「手を利用した」わけではないのでハンドではなくPKにはならず。7分、洛北・沖から坪内へ、右クロスはネットの上に落ちる。10分、スルーパスに洛北・沖が突っ込み前に出た安達がこぼす。大江のシュート(パス?)はサイドネット。決定機。洛北ペース。とにかくタフな沖、動き出しのセンス抜群の大江が確実に前線で起点となり、中盤の押し上げで分厚い攻撃が可能となった。影山もややムラはあるがいいドリブルでアクセントとなる。16分、洛北・大江→中村→大江と右を突破に掛かるが鬼岩好カバー。奈良育英SBはクレバーな動きが目立つ。17分、洛北・影山ドリブルから中に戻し芦田ミドルはブロック。このこぼれを拾った奥野がミスパス、影山がドリブル中央突破からシュートも左に外れる。決定機。18分、奈良育英バックパスをGK安達ミスキックで洛北に渡り永田右クロスも安達キャッチ。19分、ファウルで奈良育英・宮本に警告。この右FKで中村のボールに大江が抜群の動きでニアをとりヘッドを叩き込んで2−2。22分、奈良育英・細川→中道がCB、奥野ボランチ。26分、洛北右FK、大江に意識が集中する中、裏に走りこんだ飯田がフリーでヘッドも外す。決定機。28分、奈良育英・山口が右から中へ入り左足強烈ロングでニアを狙うがGK灰谷セーブ。決定機。CKからのカウンターで再び影山単独突破、何とか潰す。「集中せえ〜、バカヤロー」と奥野が激を飛ばす。29分、奈良育英・右クロスのクリアを山口35mノーステップロングも右に外れる。恐るべき左足。30分、・山本奈良育英→山田。31分、洛北・大江の浮き球パスを影山シュート、安達キャッチ。決定機。35分、CKから奈良育英カウンター岸本を審がファウルで止めて警告。38分、奈良育英・山田のいい右クロスはGK灰谷CKへ逃げる。CKのクリアから洛北一気に前線へ、奈良育英GK安達がペナから飛び出すも触れず、なんとか山田クリア。安達は結局後半だけで決定的なミス4回。太陽が正面から照り付けている影響だろうが、なぜ帽子を被っていないのだろう?終了間際にも洛北がチャンスを掴むが得点ならず。2−2で終了。
後半の決定機では7対1(前半2対4)と洛北ペースも奈良育英もよく粘り引き分けに持ち込んだ。個々の能力では若干奈良育英に分がありそうだが、組織力や個々の連携に優る洛北が現時点でのチーム力では優っていた。今後は大江対策などライバルも研究してくるだろうが。奈良育英は中盤から前の連携に問題があったがこの時期は仕方のないこと。ポテンシャルでは昨年以上だと思う。それにしても実に面白いゲームだった。
公式記録
第2試合はクラブ対高校サッカー部の対決となった。Jクラブ以外の町クラブは侮られがちだが、2月時点では大阪新人戦上位のどのチームよりもフジタのほうが上だと思う。
プリンスリーグ関西 第1節 フジタ−草津東 4月18日(日)橿原運動公園 13時15分 ピッチ良 快晴 微風
フジタ 草津東 −−−米原−−平岡−−− −−−梅川−−望月−−− −−−−−−−−−−−− −−−−−桑原−−−−− −南−関口−−浦東−宮脇 藤井−竹中−−馬場−井上 八木−寺田−−岩合−野村 −−原田−畑−−横田−− −−−−−西井−−−−− −−−−−勝井−−−−−
フジタはDF・MFとフラットなラインで厳しいプレスを掛ける。奪ってからの個々の突破力を活かした素早いカウンターが特徴。CBは岩合172cm、寺田165cmと小柄でスタメン全体でも175cmを超える選手はいない。浦東は細かいドリブル突破で中から崩せる選手。宮脇は快速。米原がエース格か。
春先から好調が伝えられる草津東。例年4バックだが、なんと3バックで登場。大型ボランチだった畑を中心に長身DFが並ぶ。竹中はロングスローと展開力あり。伝統的にサイド攻撃が得意。長身CF梅川の周囲を技術のある望月が動く。
始まってすぐに草津東のゲームプランは鮮明になった。中盤で細かく繋がずシンプルに梅川の頭を狙う。前を向いてフリーの選手はハイボールを梅川へ。スローインは竹中のロングスローで梅川へ。フジタは得意のプレスが空回りし、しかも小柄なDF陣が梅川に歯が立たず、やがてラインが下がり、草津東が中盤でもボールを回せるようになるという展開。フジタの攻撃は低い位置から始まり、自然と遅攻ばかりになり厳しい。草津東のフジタを十分研究したように見えるゲーム運びに対し、フジタは何も対策を練っていないようにも見える。8分、フジタ・宮脇のスローインを平岡スルー、米原のボレーは当たり損ね、GK横っ飛びキャッチ。決定機。11分、草津東・竹中の左スローインを桑原シュート、右にこぼれフリーで井上シュートが決まり0−1。13分、草津東のクロスを馬場シュート。決定機。19分、草津東・藤井の左クロスをファーの梅川が左足シュート、外す。決定機。 23分、フジタ・関口が大きく左へ展開しゴールライン際に切れ込んだ浦東のマイナスグラウンダークロスは米原に合わず。決定機。給水タイムを挟んだ30分過ぎからフジタが下がりすぎて梅川の高さが直接決定機に繋がってしまう。41分にはCKからのニアのヘッドがファーポストを叩くシーンも。前半は0−1。決定機数では2対6と完全に草津東ペースである。
後半立ち上がりは再びフジタがラインを押し上げてリズムを掴む。しかし7分、DFのミスから望月が右クロス、ニアの梅川がスルーしファーの藤井が全くのフリーでシュートも外してしまう。超決定機。8分、フジタ・関口の左クロスがゴールマウスを襲うがGK勝井セーブ。決定機。9分、フジタ・八木→上谷。そのままLB。11分、草津東の右クロスを桑原ボレー。決定機。さらにFKを梅川が頭で落とし桑原シュート、左に外れる。決定機。フジタがパスを回す時間帯が多い。決して俊敏ではない草津東DF陣もMFが忠実にボールを追いかけることで弱点をカバー。ストロングポイントを前面に出しウィークポイントを徹底的に隠す完璧なゲーム運びだ。13分、草津東・望月→川島。17分、カウンター川島から望月シュート。決定機。18分、フジタ・浦東が中央で持ち細かいパスワーク開始、最後は南からのパスに抜け出した浦東がGKとの1対1を右隅に決めて1−1の同点に追いつく。草津東DF陣を翻弄し無理やり中央突破したという感じ。20分、草津東・井上貫→井上高志。トップ下に入り桑原が右WB。しかし22分、フジタのカウンターをファウルで止めた井上高志がさらに異議を唱え警告。24分、草津東・原田がWBを追い越してサイドを上がりクロス、正面ペナぎりぎりの梅川へクロス。ここでフジタGK西井が飛び出してパンチングにいくが触れず梅川のヘッドがゴール内に転がり1−2。フジタ痛恨の判断ミス。29分、フジタ・平岡→快速の国府。32分関口→山下。35分、寺田→坂根と入れ替えるが決定機を作れない。38分、草津東・桑原→花谷。39分、フジタの左クロスがファーにこぼれ宮脇シュートもGK勝井好セーブ。決定機。フジタは攻めきれないままロスタイムの49分、総攻撃を守った草津東のカウンターで馬場がパスを狙いオフサイドポジションの二人を囮に右の梅川にパス、これを梅川がきっちり決めて1−3として開幕戦を勝利で飾った。
おそらく決定機の数ほどの差は両チームの間にはなかったが、ゲーム運びの差は大きかった。いくら守備技術があっても身長差のある相手に引いてしまっては守りきれるわけがない。高校サッカー部独特の気迫にも押されてしまったのか、力を発揮できなかったフジタはいい経験を積んだのではないか。草津東は確かに完成度が高くポテンシャルも秘めた好チームだ。
公式記録
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