2003年10月13日(月) |
関西学生リーグ第7節 関学大−大院大 同大−近畿大 |
朝から強い雨で洪水注意報も流れ、開催が心配された関西学生リーグ。ここのところ観戦に飢えているので土砂降りであろうと観るつもりだったが、幸い10時頃には雨も小降りとなり、レインコートの必要もなく、のんびり出かける。
関西学生リーグはいよいよ第7節、優勝やインカレ出場権、残留争いの正念場を迎えている。関西のグラウンド難のため、1部は全試合が大学グラウンドの開催。こういう場合関西以外での開催も考えられるか、大学サッカーファンを育てる見地からは賛同できない。 つくづく関西の酷い状況を何とかしなければ。でも高槻市民の私が他の自治体のグラウンド建設の署名をするのもなんだし。高槻だけはグラウンドがそこそこ整っているのだ。
革新地盤で建設業に金が渡らず、全国でも稀な健全財政の高槻市は意外と使えるハードは整っているのだった。まあ社民や共産が住民の福祉を充実できないようでは困りもの。「小泉を支える」公約を当選とともに覆し亀井派入りした族議員松浪健太が当選すれば高槻の住民の金も吸い取られるのだろうか?自民党・派閥の力で当選できる土地柄ではないのだが。
阪急千里線・千里山を降りて15分ほど歩いたところに大院大千里山グラウンドがある。芝のサッカー場にコンクリ階段状のスタンドつき。しかしガラガラでキックオフ15分前に着いた私の当日プログラムのナンバーには004、つまり4人目の入場者とある。同行者を含めてキックオフ15分前で一般客が5人しかいないのだ!さすがに直前には関学OBがつめかけた。一般客は100人前後だろうか。大学グラウンドながら意外と水はけは良いが、それでもところどころ水が浮いており、ドリブルは難しい。
関西学生リーグ 第7節 関学大−大院大 10月13日(祝)大院大千里山G 12時 ピッチ悪 曇時々雨 並風
関学大 大院大 −−−岡野−−亀ケ渕−− −−−−楠−−笹垣−−− −−−−−古家−−−−− −−−−−利川−−−−− −鈴木貴−鈴木崇−橋本− 秋丸−橋垣戸−岡島−北原 上貝−山本−−山口−佐伯 −−林田−星野−丸谷−− −−−−−水田−−−−− −−−−−吉武−−−−−
関学大はCB春川(3年・国見)が出場停止。山口(3年・松商)が山本(1年・G大阪Y)を統率する。SBはともに攻撃力に秀でた選手だが、オーバーラップは少なめ。ボランチに入る主将・鈴木崇徳(4年・横浜FMY)は正確な技術で左右に振り、FKも蹴る。鈴木貴八(2年・藤枝東)がレフティー。右の橋本(3年・清風)がドリブラー。FWは岡野(3年・愛媛FCY)がポスト役、亀ケ渕(2年・国見)がリアルストライカー・タイプ。
大院大はゾーンで守る3バックで丸谷(1年・滝二)は176cmながら身体能力の高いストッパー、左の林田(2年・京都SY)はキックの精度が高い。橋垣戸(2年・G大阪)は身体能力が高い。トップ下・利川(2年・安養LG)は判断が早く、正確なダイレクトパスがある。FW楠(4年・京都SY)は上背こそないがガッチリした体つきで当たりに強い。1トップ気味の笹垣(1年・磐田Y)は身体能力が高い。
開始すぐに関学が攻め込み、RB佐伯のクロスをニアに入った亀ケ渕がファーに流し込み、関学あっという間に先制。大院大もすぐ反撃を開始、ボランチの激しい守備から利川が高い位置で受けてダイレクトパスを何度も狙うがFWと息が合わない。利川はピッチコンディションを計算してか徹底して裏を狙うのだがFWは足元でもらおうとする。序盤だしFWの判断はよくない。7分、大院大・利川のFKを跳ね返した関学がLB上貝からタテに岡野を走らせ、そのまま角度のないところからシュート、GK吉武(4年・横浜FMY)セーブ。10分、大院大のフォアチェックに関学バックパス、これをGK水田(3年・V神戸Y)が思わずキャッチ。正面13mFKは跳ね返すが、右からの突破を倒し再度FK。利川の強いボールに大院大触るがヒットせず、逆サイドの関学カウンターもドリブルがピッチにとられ、大院大・林田がカットし、ゴール前に放り込み、これがループシュートとなるが、GK水田キャッチ。関学はピッチコンディションを掴み、スペースへのパスを中心とする攻撃、対してホームグラウンドの大院大は足元パスがピッチにとられて遅くなりDFに詰められて有効な攻撃とならず、徐々に利川も高い位置でボールを受けられなくなる。また、利川の指示も、楠・笹垣の要求の声もなくハーフタイムまで改善されそうにない。17分、大院大・右の利川から中央の笹垣がノーステップで強シュート、GK水田セーブ。21分、関学大・橋本がDFの裏にスルーパス、長すぎてGKが難なく抑えると思いきや、水溜りでピタリ止まり、走りこんだ古家が落ち着いて決め2点目。ラッキーではあるが、計算の内でもあるだろう。大院大は明らかに動揺。22分、関学大の右CK鈴木貴から岡野がフリーヘッドが決まる。大院大のマークミスだった。一番警戒すべき岡野をフリーにしてはいけない。この後完全に関学ペースとなる。29分、右から左から次々とクロスが入る波状攻撃、大院大もしっかりしたマークで対応。3点リードの関学はSBも攻撃を抑え橋本・鈴木貴がスペースを狙った攻撃を中心とする。41分、大院大は左FK利川がG前に上げ橋垣戸が高いヘッドで競り勝って後方に落とし、正面10mフリーの星野が左足ボレー、当たり損ねて左にこぼれたところに楠がおり、落ち着いて決めて1点返す。3−1で前半終了。
関学大は大院大の精神的な甘さをついた2得点に加え、スペースをつく攻撃を繰り返したことが「人事を尽くして天命が降りた」古家のゴールにつながった。ピッチ状態からパスをつなぐサッカーを捨てた好判断でゲームをリードした。岡野もポストに拘らず、積極的に裏を狙い、いい攻めの起点となった。
大院大は右の北原は攻守に粘り強く、また左の秋丸は俊足で相手に振り切られることなく、サイドを死守。またルーキー丸谷が岡野の高さになんとか抵抗し、橋垣戸も古家を身体能力で封じ守備は機能している。ただトップの笹垣は必ずボールサイドに寄ってしまい、味方のスペースを潰す一方で裏を取れず、関学大・岡野と好対照。楠も引き気味の位置から笹垣を囮に飛び出すことがなく、あまりに攻撃が遅い。サイドを崩せなかったがアーリークロスをどんどん入れれば関学は弱いはず。まあ私の分析に過ぎないのだが。
後半は大院大が攻勢に出る。北原の突破で得たFKで利川から星野がヘッド、GK水田好セーブ。続くCKのこぼれを林田が狙うが左に外れる。3分、関学大・古家が裏に飛び出し突破を図るが、DF必死にカバー。8分関学大・佐伯の右クロスに岡野ヘッド、丸谷も体を寄せて防ぐ。9分亀ケ渕が右をスルスルと突破し、中の古家へ、トラップしている間にDFが入りシュート打てず。大院大は前半にはなかったロングボールを使い、笹垣の頭に合わせてこぼれを楠が狙う。笹垣は山口・山本との空中戦で優位に立つが、楠にはあまりつながらない。20分、関学大・上貝競り負けたあと吠える(笑)。すごい迫力。21分、関学大・橋本の右クロスが亀ケ渕に通るがトラップミスでシュートならず。直後の大院大のカウンター秋丸のクロスがフリーの笹垣へ、しかし高さが届かず。27分大院大・利川→佐々木(3年・塩釜FC)、楠→石櫃(2年・大阪学院)。ロングボール狙いとなって利川は消えていた。細かい局面打開を得意とする利川より柔らかく正確なミドルパスを持つ佐々木ということか。楠の交代も予想通り。28分、大院大右CK、入ったばかりの佐々木から丸谷の高いヘッドが決まり3−2となる。関学大は自陣を固めるが、空中戦に競り負けるシーンが目立つ。30分、関学大・橋本がFKを放り込み、GK吉武へ。ボールが濡れているため前半から安全第一でパンチングを多用した吉武だが、キャッチにいって溢す。なんとかクリア。関学大・亀ケ渕→岸田。大院大・秋丸→樋口。33分、大院大・北原の右クロスに笹垣がニアに飛び込むが、シュートは枠に飛ばず。35分、大院大のクリアボールがペナ内で北原の手に当たるが、判定はノーファウル。手を利用していないのだから当然だが、関学応援席からはいっせいに抗議の声が上がる一方でOBは何の反応も見せない(笑)。39分関学・古家→小松、鈴木貴→奥野。前線を入れ替えてフォアチェックを徹底する狙いか?大院大も橋垣戸を前線に上げてパワープレーを狙うべきなのだが・・・・・・。40分、大院大・佐々木がペナ外左30度から右スミ狙うが外れる。42分にはペナ少し外から佐々木が狙うが上に外れる。関学も43分カウンターから奥野の思い切ったシュートがバー直撃。ロスタイムには関学・水田がパントキックをミスし、ペナ少し外からFKを佐々木が狙うがカベに当たりタイムアップ。関学大がなんとか3−2のまま逃げ切った。
関学は苦しいゲームだったが貴重な勝ち点3を積み上げ、残留争いから抜け出し、インカレ出場へ一歩前進した。守勢に回ったときの弱さ、クロスへの対応はあいかわらずだったが、アウェイのピッチを味方につけた適応力はさすがだ。個々の能力はやはり高い。
大院大は失点以外にも集中が切れるシーンがあった。利川や笹垣が3m前の相手へのスローインをただ見ているシーンもあった。ピッチ内でのコミュニケーションも足りない。笹垣・楠・佐々木・利川の意思疎通がない限り得点力は期待できそうもない。大院大は残留争いでもう後がない。残る2試合は不調の8位立命大と最下位同大でライバルを直接叩いて残留を決めたい。連勝すればインカレの可能性も十分ある。
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続く第2試合は開幕5連敗を喫し前節ようやく初勝利を挙げた同大と、下位に低迷する近大の対決である。近大は残留を確実にするためにも同大をしっかり叩いておきたい。同大はもう後がない。
関西学生リーグ 第7節 同大−近畿大 10月13日(祝)大院大千里山G 14時15分 ピッチ悪 曇 並風
同大 近畿大 −−−中村−−田原−−− −−−片山−−浅野−−− −−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−− 深澤−増田−−黒河−橋爪 石橋−尾内−−木藤−近江 田村−田中−−大庭−富田 柿田−江本−佐々木−阿部 −−−−−橋田−−−−− −−−−−土田−−−−−
同大は中盤、最終ラインともフラット。LB田村は守備的でRB富田は良く上がる。が生かされない。中盤両サイドはドリブラー。増田がやや守備的で黒河が長短のパスで組み立てる。FK担当。身体能力の高い中村がポスト役。
近畿大も中盤、最終ラインともフラット。レフティー木藤がミドルパス主体で組み立てる。FK担当。両SHはドリブラーでスピード十分だがSBの攻撃力は生きない。片山がポスト役で浅野は下がり目。
キックオフから同大が恐ろしいまでの気迫で近畿大ゴールに迫る。フィジカルの激しさを前面に押し出した同大らしいサッカー。8分CKから田中の高いヘッドがわずかに左に外れる。11分、石橋に警告。直後の近畿大のパス回しで尾内がダイレクトパスを主審に当ててしまい「あ〜ゴメン」と謝る。いい奴だ。13分には同大カウンター、中村に納まり田原DFの裏へダッシュ!しかし中村からのパスがワンテンポ遅れOS。23分には尾内に激しいフォアチェックを見せる中村に早くも警告。しかしこれでチェックが甘くならないところが中村らしい。同大はDFの守備も激しく大庭は荒っぽいプレーも見せる。状況を良く分かっている。一方の近畿大は綺麗なサッカーを志向する。中盤でのパスは同大の守備に寸断され、DFも激しさが足りず、中村の身体能力の高さにただ手をこまねいているようにも見える。片山におさまらず、浅野もいいところがない。28分、深澤の左クロスを中村高いヘッド、29分にはミドルをGK土田セーブ。33分には深澤のミドルがわずかに上。同大はいつゴールしてもおかしくない。38分、橋爪に警告。尾内にアフタータックル。40分、近畿大にも25mFKのチャンス。石橋(右足)と木藤(左足)が立ち、木藤げ狙うが上に外れる。前半は0−0のまま終了。
完全に同大ペースだったが、得点できず。近畿大はもともと勝負弱い選手が多く、気迫を前面に打ち出した相手に弱い。もっと闘志を露にしないと無抵抗のまま終わってしまう。同大もカウンター時にFWの動きが単調でいい形にならない。田原は動きに緩急がなくまるでギアが2速しかない印象でDFには読みやすい。
2分、ペナ内で浅野が露骨なダイビング、主審が注意する。このプレーで主審は浅野をマークしたはずだが浅野は主審の裏をつくような行為を繰り返し、ほとんどばれていた。ばれる「マリーシア」は狡賢さではなく、愚かさなのだが・・・・・・。そして狼少年の逸話にある様に、真実ファウルであっても採ってもらえない。5分、右に開いた浅野からニアに入った近江へクロス、田中カットしCKへ。近大も後半の入りは上々で再三いい形を作る。12分、石橋のクロスを浅野ワントラップシュート、DFブロック。13分、田原→森下。 田原は交代の際うっかりキャプテンマークを落とす。代わった森下も動きは単調な選手だが後半に入れば怖いタイプ。17分、右に開いた黒河が正確なクロスをペナ中央へ、中村の打点の高いヘッドが決まり同大ついに先制。勢いに乗った同大は19分にも黒河の絶妙スルーパスに深澤が抜け出しGK土田をかわして流し込むが、ポストに当たってしまう。23分近畿大・近江→寿をLH、石橋がRHに回る。24分、近畿大・阿部が力強い突破からクロス、跳ね返されカウンター。27分、近畿大・片山→杉本。同大・富田→宮本。ともに機能していない選手で、もっと交代が早くても良かった。33分、黒河→松長。黒河は攻守に大車輪の活躍を見せた。守備固め交代ではなく、攻撃センス、特に細かいプレーが得意な松長を入れたのはカウンター狙いか?実際この後は近畿大が攻め込みながらもチャンスを作れず、同大にいいカウンターを浴び続ける展開となった。39分同大右からの弾丸クロスに橋爪が右アウトにかけてシュート、わずかにポストの右。42分松長から深澤へ、シュートは上。結局1−0で同大が勝ち今期2勝目を飾った。
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