サッカー観戦日記

2003年08月13日(水) クラブユース選手権 決勝トーナメント1回戦 いわき−清水 ヴェルディ−ひがし

この日は東京駅から徒歩5分の某氏宅に泊めていただいた。しかし某氏が来阪しても3世代同居のウチに泊めることは出来ないので少し心苦しい。一緒に泊まったもう一人の方もいびきなどはなくきっちり休息をとれたのは有難い。2時間の仮眠をとり朝一の鈍行でJ村へ移動。これほど過酷な旅は何年ぶりだろうか?もちろん18切符使用。静岡で一泊、新幹線+スーパーひたちよりはるかに安価ではあるが。木戸駅より徒歩でJ村に向かう。駅前ではこの時期恒例の盆踊り用の櫓を組んでいる。帰りにはまたタダ酒をもらおうなどと考えつつ歩き、20分ほどかけてJ村到着。第1試合まで1時間近くある。テレビでは高校野球の中継をやっていたりするが、基本的にサッカーが好きだ、という気持ちが自然体のままにじみ出ているこの場はいつ来てもいいものだ。代表マッチや高校サッカー全国大会のバックスタンド、花園ラグビー場の高校ラグビーなどはリキ入れてノる場であって、開始30分前でも緊張感を感じないわけにはいかない。が、J村には独特の妙な開放感があり、特にひいきチームを持たない人間にも優しい。

第一試合はエスペランサいわき−清水エスパルスのESPダービーを観る。いわきは新人戦の時点で高い評価があり、また近年急速に台頭しているいわき地区を代表するクラブでもあり、前々から観たいクラブだった。関係者・清水ファン以外に仙台ファンの方も観戦。
試合前にいわきの会長さんにお話を伺った。ジュニアユースは総勢41名と少なく、セレクションも行なっていないという。NTCには大金君・大平君・鈴木弾君・鈴木政俊君と4人も送り込んでいるが今年の強さはたまたまいい選手が集まったから、だそうだ。FCみやぎのような大クラブではなかった。コーチがC級ライセンス保有。いわき地区はここ数年登録選手が減少傾向にあるが、現段階では選手の奪い合いも、中学部活の消滅もない。以前勿来FCの会長さんにお話を伺ったときも驚いたのだが、公式戦は全て天然芝で行っており、そんな夢のような話を可能にする環境がいわき地区にはある。周辺には芝のグラウンドがゴロゴロ転がっている。さすがに週2回の練習は土の市民グラウンドを使っているそうだが。大阪の中学生は芝のグラウンドでプレーする機会はほとんどない。大阪と福島の中・高のレベルは全体としてはほぼ同等だろうが、今後確実に開くであろうレベル差を思わずにはいられなかった。選手の主な進路先はいわき・平工・勿来工などでユースチームを作る予定はない、とのこと。応援の数ではいわきが圧倒している。ただし控え選手によるFCみやぎ譲りの「頑張ろーぜ♪」はやや音痴(笑)で半音低い音となり、なんかもの悲しげだ(涙)。



クラブユース選手権(U−15)決勝トーナメント1回戦 エスペランサいわき−清水エスパルス
8月13日(木)Jヴィレッジ 11時 ピッチ良 晴 微風


いわき               清水
−−−−−鈴木勇−−−− −−−町田−−山崎竜−−
−−−−−鈴木政−−−− −−−−−−−−−−−−
向山−茂木−高田−鈴木弾 小出−長沢−−池田−田村
後藤秀−阿部−大平−小峯 桑原卓−佐野岩本−桑原彬
−−−−−大金−−−−− −−−−−山崎晃−−−−

いわきの2トップはスピードのある鈴木政俊君がシャドーストライカー、より当たりに強い鈴木勇希君がポストプレーヤー。両SHは上がり目できっちり守備もこなす。清水インサイドは長沢君が上がり目、池田君が下がり目。山崎竜男君がポストに入ることが多い。両SBの桑原彬君と桑原卓哉君は双子の兄弟。例年通り清水FC出身選手が揃い、小学生から一緒にプレーしてきた選手が多い。

開始2分、いわき・鈴木政俊君がスピードに乗ったドリブル、CBを引きつけてスルーパス、鈴木勇希君がマーカー佐野君をいいターンで振ってシュート、GK山崎晃太君が辛うじて触りCKへ。向山君の左CKは高田君がマーカーを振り切って頭に当ててファーに流し込みいわき先制。清水もすぐ攻勢に出る。池田君・長沢君の強力なインサイドが当たりの強さ・空中戦で優位に立ち確実な技術で中盤を支配にかかる。いわきのインサイドも当たりには強いが長沢君のパワー、動きが上をいった。16分、ハーフラインを少し超えた地点からの清水FK、長沢君を狙った池田君のキック、後藤秀之君が完璧なマークで長沢君をブロックし落下点に入るが、長沢君のパワフルな当たりに体勢を崩し、頭に当たってOGとなってしまい、1−1の同点に。ここからが面白い展開となった。インサイドで優位に立つ清水だが、サイドで奪われカウンターという流れとなった。いわきのSH鈴木弾君、向山君は守備のセンスもあり、後ろからスッと寄って奪う動きが上手く、先の展開の読みもいいので、さあ清水のサイド攻撃だ、というタイミングで再三カットしてカウンターに入るのだ。いわきの選手は積極的に勝負を仕掛け、岩本君は鈴木政俊君、桑原卓哉君・佐野君は鈴木弾君に大苦戦。特に鈴木弾君は圧倒的なスピードでサイドを支配していた。また清水のサイド攻撃に対しCBがギリギリのところでクロスをカットし、ボランチが二次攻撃をきっちり防ぐ。清水・小出君の左クロスに大平君はよく対処していた。結局ボール支配では清水が上回るものの決定機ではいわきが上回り、若干いわきペースで前半終了。

ハーフタイムのいわきの会長さんの話では鈴木弾君は100mを11秒3・4の足があるらしい。新聞では11秒5と書いていたがとにかく速かった。先の展開を読める選手でもあり、ユースレベルでもすぐにベンチ入りできるかもしれない。

後半も流れは変わらず、中盤を支配する清水とカウンターのいわき。清水CBは前半よりも良くなり、より慎重なプレーをみせた。余計な意識を捨て、いわきを互角の力量を持つ強敵としてただ全力を尽くすことだけを考えてプレーしているのだろうか?12分、鈴木政俊君が右に流れ巧みにマーカーをかわしクロス、鈴木弾君の決定的なヘッドはファーに外れてしまう。16分、清水RB桑原彬君のクロス、いわきは近い選手4人にはきっちりマーカーがいたのだが、一番遠い小出君だけフリーでその小出君にピッタリクロスが届き、持ち込んでドリブルシュート、しかしGK大金君も好セーブ。17分、清水・田村君→小泉君。チーム1の突破力を誇るという右サイドアタッカー。最初のプレーでいわきのサイドをごぼう抜き、CKを奪う。小出君の右CKからゴール前は混戦となり、クリアを拾った小出君から長沢君に渡り、これを落ち着いて決め、清水2−1と逆転。いわきは特に大柄でもないCB大平君を前線に上げて攻める賭けに出る。しかし残り十分間むしろいわきのチャンスは減り、清水の攻勢が増した。強力な控え選手を誇る清水に比べるといわきは選手層では厳しいのかもしれない。27分小出君のコントロールシュート、29分には町田君がいずれも山崎君からのパスを決め、清水が4−1でいわきを振り切り準々決勝に駒を進めた。(こちらの勝手な)期待にたがわぬ好ゲームだった。最後には点差がついたものの、いわきはタレントを揃えていた。例年地元仙台の有力選手が関東Jクラブに進む度に悔しい思いをしているベガルタサポとしてはぜひ来てほしい選手も何人もいることだろう。

翌日の日刊スポーツ東北版では「いわき、圧倒的攻勢ながらゴール奪えず敗北」という内容の記事があった(笑)。決定機はいわきが上回ったとはいえ、ボール支配では清水が上だったし“圧倒的攻勢”はないと思うが・・・・・・(笑)。大阪版でも「G大阪、終始猛攻を浴びせながら広島に決定機を確実に決められて敗北」 くらい書いてもいい・・・・・・はずはないか。


昼食をはさんだ第2試合はヴェルディ−FCひがし戦を観戦することにする。背後のピッチではでは東京−G大阪戦。ひがしの関係者の方の話も聞きたいところだが、ピッチの反対側に固まっており、そちらへ行くと東京−G大阪戦が分からなくなるので断念。


クラブユース選手権(U−15)決勝トーナメント1回戦 ヴェルディ−FCひがし
8月13日(木)Jヴィレッジ 13時30分 ピッチ良 晴 微風



ヴェルディ             ひがし
−−−森本−−征矢−−− −−−−−窪田−−−−−
−新福−−−−−高橋賢− 高橋−成瀬−−佐伯−今川
−−−村杉−−高橋大−− −−−−−森−−−−−−
落合−笠松−−金沢−古川 金山−高嶋−−会沢−堀−
−−−−−前嶋−−−−− −−−−−高浦−−−−−

開始1分、ひがし・高橋君が放り込んだボールを笠松君うまく処理できず。これを見逃さず窪田君がコントロールして決め、いきなりひがし先制。2分、高橋君が左を突破しフリーでクロス、しかしGK前嶋君が抑える。5分過ぎからヴェルディも落ち着いてパスを回せるようになり、身体能力の高い2トップにどんどん入れ、セカンドボールも拾い完全に押し込む。しかしひがしも強い会沢君などが森本君・征矢君に吹っ飛ばされずに抵抗し、森君はボールのこぼれる位置をよく読んでヴェルディの2次攻撃を防ぎつつ攻撃にも絡み、クレバーな高橋君を軸にいいカウンターを仕掛け、最後は身体能力の高い窪田君に託すスタイルで対抗。8分には窪田君を倒した金沢君に早くも警告。10分、ヴェルディRB古川君のアーリークロスがファーの征矢君へ、しかしフリーのボレーはヒットせずGK高浦君キャッチ。15分、身体能力と技術は高いレベルで兼ね備える森本君のロング。ヴェルディはドリブルを織り交ぜたパスで中盤を支配するのに対し、ひがしはドリブルがなく、ボールを受ける動きの質だけではパスを回しきれない。ヴェルディ・ベンチからはFWをポストに使い押し上げる指示が出る。17分、ヴェルディ高橋賢人君の右クロスをファーの新福君が決め同点。ひがしはファーへのクロスに対しマーカーがつききれないシーンがすでに4回目で、案の定ともいえる得点シーンだった。19分右クロスに今度は森本君がファーで受けて決めヴェルディ逆転。ここでひがしは一旦しっかり守備に入り、ゲームを膠着させることに成功、ヴェルディに決定機を与えない。25分過ぎから再び前に出る。27分、攻めあがったボランチ森君のミドルはポスト直撃。結局2−1とヴェルディがリードして前半を折り返した。

隣のゲームは2−0で東京リード。いつ振り返ってもG大阪陣内でゲームが進んでいるし、何度も歓声&悲鳴が上がっているのでもっと大差がついているかと思っていたが意外だ。

後半はヴェルディの出だしがよく上手くペースを掴む。3分左クロスを征矢君ボレーに行くが届かず。ひがしも4分窪田君が力強いドリブル、ペナ手前で倒されたように見えたがノーファウル。6分、ひがしオフサイドトラップをミス、村杉君がフリーで抜け出しループを決めて3−1とした。9分、征矢君→宮川君、13分新福君→奥田君。ひがしも後半はパスを回せるようになった。しかし決定機は奪えないまま時間が過ぎていく。18分には窪田君を倒したLB落合君に警告。しかし19分、ヴェルディの右クロス、久しぶりのチャンスを交代出場の奥田君が決め決定的な4点目。勝負ありとみて東京−G大阪戦を見る。グループリーグ3試合不出場のG大阪星原君が後半ついに交代出場しキレにキレて反撃に出たものの、東京もなんとか1失点で凌ぎ、前評判どおり東京がG大阪を下し準々決勝進出を決めた。



この日いわき市内ではCSか、せめてBSの入るホテルをとるつもりだったが、安ホテルが取れたので急遽そちらに泊まることにした。どのみちネットカフェに寄るつもりだったのだが、信じられないことにナビスコで名古屋が富永CBでスタメンということなので、スカパー目当てでネットカフェに向かう。片道徒歩20分。壁にもデカデカとスカパー視聴可能と書いてある。うっかり会員証を忘れたので300円払って入会。がなかなか入れない。同行者が会員証を取得した店が潰れたとやらで、19分間待たされ、新たに会員証を作らされるハメになった。それだけならまだいい。しかし店員の次の言葉で液チをかけられたバナナの如く私は瞬間冷凍された。「今スカパーはやっておりません。契約切れちゃいましたので・・・・・・」じゃあ壁の宣伝文句は何なの?すばらしいぞ自遊空間!!なんとか自力で半生解凍し、1時間だけ利用することにした。アイスを食べ、5分間だけネットに向かい、ホテルで普通に見られる高校生のクイズを(金を出して)見る。店を出てビールを飲もうと入ったコンビニには酒類がないし、どうも運に見放された日らしい。大阪よりは綺麗なはずのいわきの夜空もこの日は曇っていてせっかくのペルセウス座流星群もまったく見えない。立ち寄ったラーメンの味も微妙だった。さらにホテルの前の道路を歩いているといきなりくもの巣が顔に張り付いている!!街中のメインストリートでだ。駅前のコンビニによるが、やはり酒類は置いていない。たしかいわきは酒の自販機は自粛しているので、コンビニを探すしかないのだが・・・・・・。別の店を探してこの日のダメっぷりをさらに完璧なものにしたくないのでホテルに戻る。しかし翌日某さんの話ではもう一つ先のコンビニには酒を置いていたらしい。黒星がさらに一つついてしまった。思えば安ホテルを取れたのも幸運ではなく不運の始まりだったのかもしれない。人生万事塞翁が馬か。人生は厳しい。


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