2003年07月12日(土) |
中国プリンスリーグ 最終節 東岡山工−松江商 作陽−益田 |
日本女子代表がW杯出場をかけてメキシコとのプレーオフを戦うこの日、私は国立に足を運ぶわけでも、またせめてテレビ観戦をするわけでもなく、その時間帯はサッカーを忘れてのんびり温泉につかる計画を立てた。プレーオフ決定前に立てた予定とはいえ、普段から女子も見る人間にあるまじき行動ではある。J2中断期間を利用して広島が美作でキャンプを張っている。また中国プリンスリーグも同じ会場で行われる。そういうことで朝早くから美作に足を運んだ。名神茨木から中国美作インターまで3700円、行きなれたルートである。中国道の美作町境には「サッカーと温泉の町・美作」という看板がある。この町は関西・関東・静岡を除いてもっとも足を運んだところのひとつ。他には丸岡・岐阜(大垣)など。Lリーグ・湯郷ベルの選手の多くが働く湯郷温泉もすぐ近くにあり、サッカー観戦でふきだした汗をすぐ洗い流せるのもうれしい。関西は芝のグラウンドが少ないため、関西学生リーグが中国地方のはずのこちらで行われることもある。福井や伊賀上野でも関西の大会は行われるが。美作はサッカー場のほか芝のグラウンドが2面あり、広島のキャンプがサッカー場、中国プリンスは第2サブ競技場で行われる。
広島キャンプはなかなか盛況で、地元や広島市内から来たというファン、岡山市内のチームなど300人は居ただろうか?午後はもっと大勢のファンが見守るはずだ。
サッカー場の上のほうに進み階段を上ったところに第2サブ競技場がある。本部と反対側の土手には簡易スタンドもあり、ここから観戦した。直射日光こそないものの気温・湿度が高い厳しいコンディション。津山盆地の夏は暑い。
中国プリンスリーグ Aブロック最終節 東岡山工−松江商 7月12日(土)美作運動公園第2サブ 11時 ピッチ並 曇 無風
東岡山工 松江商 −−−小谷−−土山−−− −−−神庭−−村尾−−− −−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−− 浜田−滑川−−山田−森− 尾崎−石橋−−富廻−小林 末松−篠原−−末松−中村 長谷−松崎−−浅井−坂本 −−−−−赤坂−−−−− −−−−−福島−−−−−
プログラムが当てにならないのとメモが滲んでいたため、選手名は不確実です。特に神庭は多分間違い。
双方とも4−4−2で綺麗に3ラインがフラットに並ぶ。6チーム中4位につける東岡山工は勝てば4位確定。このチームを観るのは初めて。近年頭角を現し、夏冬ともに全国経験あり。LH浜田が左のFK、RH森が右のFK担当。滑川も左利き。山田は頭脳派で攻守のバランスをとる。サイド攻撃が特徴。
松江商は自陣からショートパスをつなぐチーム。すでにプリンスリーグではグループ3位が確定。浅井が守備を統率。ラインを強く意識。FWもこまめに下がりパス回しに加わる。LB長谷がFK担当でロングボールもある。
開始直後はどちらもリズムを掴めず。ピッチが観やすいスタンドに移動する間の6分に山田が決め東岡山工先制。そのあとは松江商ペース。プレスを仕掛け東岡山工をサイドに追い込み奪い、細かい崩しを仕掛ける。自陣から丁寧にパスをつなぐ攻めも見事。両SBのキックは正確。しかしシュート意識が低く、なかなか撃たない。給水タイムで一息ついた頃から東岡山工もサイド攻撃を繰り出し始める。積極的にスペースを突くRH森と足元の技術があるLH浜田にSBや、FW土山が絡んで崩す。21分、東岡山工、森が前のスペースに出し、上手く流れた土山のクロス、松江商DFの意識が小谷に集中した裏に山田が飛び込み決める。山田は攻撃の第一歩にもなっており、一連の動きは見事。松江商もすぐペースを掴み。押し気味にゲームを進めるが、思い切ったプレーが少なく、決定機はなかなか掴めない。34分には土山から小谷にスルーパスが通るが惜しくもオフサイド。終了間際には東岡山工LB末松が足を攣る。
後半両チームともどんどん選手を交代する。東岡山工はエース格の小谷も交代。3分、東岡山工のRH15番のクロス、明らかにオフサイドだが判定ミスでLH浜田へ、しかし合わせられず。松江商も6分、小林の思い切ったシュートがバー直撃。東岡山工は右からの攻めでいい形を作る。15番はファーやDFとGKの間にセンスあるクロスを何本も入れ、なかなか面白い選手。タフな森と正反対のタイプ。末松は前に強く、松江商のパス回しに慣れた後半はFWをどんどん潰す。GK赤坂のロングキックも攻撃の起点となる。20分過ぎ松江商左CK坂本のボールが神庭にピッタリ合うが外れる。坂本の短い助走でのキックは鮮やか。松江商は20分過ぎから、オーバーペースがたたり動きが落ちる。31分には東岡山工RH15番のクロスがファーのFW23番へ、惜しくも合わないが二人の意図が一致したプレー。終盤は東岡山工ペースで終了した。
東岡山工は狙いの明確なサッカーで再三いい形を作った。走力もあり、全体にバランスのとれたチームだと思う。選手権出場のチャンスも十分でしょう。
松江商は典型的な島根のチームというか、技術は高く中盤を支配できるが崩せないという印象を受けた。能力というよりメンタリティーの問題と言うか。以前選手権で大分県勢が10年ほど連続で初戦敗退を続けていたことがあった。力がありながら勝てない。多分に不運もあるだろうが、全国での決定力不足、積極性の不足という声もあった。一度勝てばもともと実力があるだけにあっさり結果を出せるのだが。島根勢も総体でイマイチ、選手権では初戦敗退が続いているが、相手を30%上回るくらいの地力が無ければ全国一勝の壁を越せないかもしれない、とつくづく思った。
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さて第2試合は地元作陽の登場である。昨年はまさかのミスジャッジで選手権出場を逃した悲運のチームである。高校生には酷なことだが、その場ではっきり意見を言えば全国に行けたかもしれなかった。民主国家での優れた社会人とは、相手の立場がどうであれ、礼節を守った上ではっきり意見を言い、誤りがあれば正せる人間のことである。決定権は主審にあるが、意見を表明する権利は誰もが持っているのだ。もっとも審判の中には多少思い違いをされている方もいるのだが。このゲームで勝てばブロック2位。対するは島根の名門・益田。事実上4位が決まっている。岡野の母校・湘南が頭角を現すまでは大社と並ぶ2強だった。私にとって「上手いが勝負弱い島根」というイメージを植えつけられたチームでもある。新興のくにびきFC出身者は一人。
中国プリンスリーグ Bブロック最終節 作陽−益田 7月12日(土)美作運動公園第2サブ 13時 ピッチ並 曇 無風
作陽 益田 −−−伏見−−岡崎−−− −−−米田−−秀浦−−− −尾郷原−−−−龍門−− −−−−−−−−−−−− −−−池松−−川村−−− 西川−村田−−大黒−村中 田中−坂口−藤原−一ノ瀬 増野−松永−−四番−岩本 −−−−−早川−−−−− −−−−−山根−−−−−
益田のCBの4番はメモのミスで名前が分からない。
作陽の7番池松はマキ、8番川村はヒデ、5番坂口はハノクラと呼ばれており、プログラムは当てにならない。GK1番早川が主将、田中・池松が左利き、川村がFK担当。よく繋ぐ。20番伏見がポストに入ることが多い。エース青山は欠場。
益田は大黒が主将。4番がDFのリーダー。村田が左のFKを蹴る。FWは交互にサイドに流れて基点となる。
キックオフ直後はお互いにペースを握ろうとプレスを掛け合う。ともにパスを繋ぐチームで中盤での潰しあいとなった。10分、作陽がプレスに負け自陣でのバックパスをミス、これをカットした秀浦がペナに持ち込み左スミに決めて益田先制。これで益田が勢いに乗りワンタッチ・ツータッチでのパスがポンポン繋がる。秀浦は鋭い切り返しを見せ、中盤の押し上げからの分厚い攻撃も冴える。しかし作陽も粘り強く、両SBが中に絞りクロスに対しいい守りを見せる。RB13番一ノ瀬は益田の右クロスに見事な対応を見せ、危険な時間帯を耐える。14分、8番村田のFKが壁に当たり、こぼれを5番大黒シュート、さらに上がっていた4番も触るが決まらず。16分、作陽最初のチャンスはパス回しから18番尾郷原が深々とサイドを破りマイナスのクロスを池松が撃つが山根もよく弾きCKへ。8番川村のキックのこぼれを13番一ノ瀬がアウトにかかったシュート、これも山根キャッチ。給水タイムを挟んだ20分頃から巧みなショートパスに池松の綺麗なミドルパスを交えた展開で作陽が押し込む。30分には尾郷原のクロスを11番龍門が狙うが3番増野ブロック。益田も33分、7番村中のクロスを9番米田難しいダイレクトボレーで狙う。前半終盤はややペースが落ち、益田1点リードで終了。
暑さに加え9人まで交代可能なルールのため、後半は両チームともどんどん選手を交代させる。しかしこのルールは公式戦としては疑問を感じずにいられない。真剣勝負のトーンが下がってしまうのだ。益田はなかなかタフなチームで後半も運動量が落ちない。作陽はアタッキングエリアでの工夫も技術も低くミスを連発し、どうにも突破できない。GK山根の安定したセーブもあり、終始ゲームをコントロールした感のある益田が1点を守りきった。
さて各地の様子から中国プリンスリーグのプログラム入手は容易だろうとみていたが、このゲームでは本部?にもプログラムは置いていなかった。そもそも大会本部というものが存在せず、第4審判しかいなかった。全体的に公式戦色は薄い。第2試合前に作陽の父兄の方に写させてもらうようにお願いするつもりだったが、意外と少なく、しかもプログラムを持った方は見当たらず。やむを得ず東岡山工の人当たりのよい監督さんのご好意に甘えて写させていただいた。ありがとうございました。
試合終了後、美作運動公園のある岡を降りて湯郷温泉へ。美味しいものを食べてのんびり温泉に浸かった。すっかりいい気分になっているところに女子代表の勝利の朗報も入るのだった。まさにいい一日だった。
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