サッカー観戦日記

2003年06月28日(土) 近畿大会 一回戦 山城−清風 水口−近大和歌山

プリンスリーグの創設により昨年で全日本ユース(U−18)の予選としての役割を終えた第56回近畿大会。強豪校の中にはメンバーを落として大会に望むチームもあると聞く。過密な各種大会の取捨選択が始まったと言うべきか。普段から県外のチームとの対戦が多い強豪Aチームにとっては魅力の薄い大会かもしれない。Bチームの出場ももっともな話しだ。しかしそうでない高校にとっては、県外のチームと真剣勝負のできるいい機会である。関西のグラウンド事情の悪さから、今年も試合の半分はクレーコートで行う。私は守山北高校に足を運んだ。県立校ながら立派なセミナーハウスや時計台がある。しかし肝心の時計が止まっているあたり、やはり県立校である(笑)。


近畿大会 一回戦 山城−清風
6月28日(土)守山北高校 12時 クレー ピッチ悪 雨 並風


山城                清風
−−−木爪−−本田−−− −−−戸来−−北野−−−
−−−−−中田顕−−−− −−−−−−−−−−−−
樋口−宮本−中田悠−若林 −辻−伊藤−−若原−島本
−−田代−岡本−田中−− 川村−植田−−池端−河野
−−−−−須藤−−−−− −−−−−高橋−−−−−

山城は府大会時の4バックから3バックに変更。その中央には1年生岡本が入る。ボールを奪われたら一旦下がって確実に守る。トップ下に入った府大会のスーパーサブ・中田顕斗(ケンジ)も1年生だ。細かいタッチのドリブルがあるテクニシャン。本田がCFでその周りをタイミングよく動いて後方からのパスを引き出す木爪が動く。基本的にロングボールの多いチームだが中田顕が絡めば中からの崩しもある。宮本は左足からの正確なミドルパスあり。

清風はラインコントロールの意識の強い4バック。CBは長身で空中戦には滅法強い。フラット気味の中盤もバランスをとる意識が強い。伊藤はFK担当。北野は長身ポストプレーヤー。戸来が周囲を動く。パスを良くつなぐ。

水が浮く悪条件下で序盤から清風がショートパスをよく繋いで押し込む。山城はゲームプランかもしれないが、全体に下がりしかも相手パスコースの限定が甘いため、受け手に素早くチェックに行けず、楽々パスを回させてしまう。一方清風もショートパスばかりで、ドリブルや、MFのゴール前への飛び出しがなく北野の高さも使わないため、徐々に山城に守りのリズムが出てくる。清風はCBがおとなしく、中盤との連携がやや甘い。流れのなかで川村・植田が同時に上がっても中盤に声をかけず、池端・河野の2バック状態になったり、押し込んだ状態で最終ラインの3人がハーフを5m超えたところでラインを作っていたり・・・・・・。誰か一人ハーフライン上で止まるだろう、普通。20分あたりから山城のロングボールも有効となる。27分、山城・木爪がロングボールを左に流れて受けクロス、空中戦のこぼれを中田悠が20m左足ミドル、GK高橋が美しい空中姿勢でダイビングキャッチ。終了間際の35分、清風は左サイドを崩し川村(多分)のクロスを右から走りこんだ島本の頭にピタリとあい、清風が先制した。

後半も清風がショートパスを繋いで押し込むが、前半より思い切りがよくプレーに積極性が出てきた。7分、清風・辻が左を突破しマイナスのクロスが若原へ、ダイレクトシュートは当たり損ねるが、アウトにかかったボールがゴール前の島本への絶妙パスとなる。しかしシュートならず。8分山城も中田顕の突破を島本が倒しFK、宮本のボールが田中の頭に合うが、ニアポストに詰めていた清風の選手がクリア。13分、清風、他の選手を囮に戸来がオフサイドラインを突破して決め清風2点目。直後清風・北野→米田。16分河野→中橋。山城も岡本をボランチに上げ、樋口を下げて25番(プログラムに記載なし)、中田悠→奥村、本田→松野と代えて、奥村がRB・宮本をLB・中田顕をLHとする4−4−2に組み換え反撃に出るが、清風ペースは変わらず。山城の決定機は30分に訪れた。ハーフを少し過ぎたところからのFK、宮本のボールがフリーになった田中の頭へ、しかし高さが足りず、かすっただけだった。終了間際には清風のシュートが続くが、山城GK須藤もスーパーセーブを何度も見せ、失点は免れた。終始ゲームをコントロールした清風が0−2と勝ち、2回戦に進む。

清風は攻守にバランスを意識しすぎる印象を受けた。もう少し思い切った飛び出しや、守備でも激しいチェックにいったほうがいいと思う。清風はいいところまで行くが、勝ち切れないという伝統(?)がある。大阪では珍しく「美しく勝つ」チームなので応援しているのだが・・・・・・。

山城は下がりすぎてなかなかチェックに行けなかった。また奪っても攻撃にはなかなか出れず。選手権に向けてのチーム作りの過程での生みの苦しみだろうが、チームとしてあまり機能せず。トップ下中田顕は頭上をボールが通過してばかりで、つらい展開となったが局面では光るプレーも見せた。



近畿大会 一回戦 水口−近大和歌山
6月28日(土)守山北高校 14時 クレー ピッチ悪 雨 並風


水口                近大和歌山
−−−吉田−−外池−−− −−−中出−−吉田−−−
−−−−−浅居−−−−− −−−−−−−−−−−−
奥村弘−平井−山敷−芥川 坂田−谷口−−東−−荒武
−−山田−下村−馬野−− 稲葉−川端−−中野−秋田
−−−−−奥村恭−−−− −−−−−栗林−−−−−

双方ほぼベスト。水口は下村(2年・185cm)をSWに、170cm前後の小柄な山田・馬野をストッパーに置く3バック。トップ下浅居は自由にポジションを取り、ドリブルを軸に切り崩す。WBは攻撃意識が高い。裏はストッパーが主にカバーするが、逆サイドは空くことが多い。例年通りショートパスを良く繋ぐ。ポジションチェンジは例年より少ない。2トップが交互に起点に入る。

近大和歌山は組織の完成度が高い。昨年のメンバーがほぼ残った最終ラインを高く押し上げる。統率の取れたラインは堅い。中野(2年・181cm)以外は小柄で空中戦に弱いがカバーに秀でている。負傷上がりの加納はベンチ。GKは絶対的な高さのある栗林で、飛び出しに優れた上田も控える。攻撃はシンプルにサイドのスペースを狙う。坂田は俊足。谷口は競り合い・空中戦に強い。東もこまめに相手を潰し、ボールを捌く。FK担当。技術の高い2トップはドリブルが多い。

第1試合時より一段と悪化したグラウンド状態にパスを繋ごうとする水口が苦戦するのとは対照的に、シンプルにWBの裏を狙う近大和歌山がペースを掴む。開始すぐ右クロスをファーの中出がヘッド、GK奥村恭下がりながらフィスティング。5分、水口もFKから吉田がヘッド、枠は外れる。8分、近大・中出がロングパスに抜け出し、GKと1対1、しかしシュートはポストへ。9分、またも近大・中出が抜け出すが、飛び出した奥村恭がブロック。水口は守備の連携が合わず、WBの裏・3Bの裏を取られるケースが多い。またボランチのところでボールが落ち着かず持ち前の細かいパス回しは近大の整然としたプレスにことごとくかかってしまう。15分、近大、中での繋ぎからフリーのRB主将秋田へ、丁寧なクロス、スルスルと上がったRH荒武がまったくのフリーでヘッドを決め、近大和歌山が先制。パスの起点となり、ボールが動く間にDFの間に入り込んだ荒武のポジショニングが光った。21分、近大CK東からニアの中野ヘッドでそらすシュート、これはバー。23分、水口・山敷左クロスを吉田ワントラップシュートは惜しくも左に外れる。水口・浅居はDFの近くまで下がりボールを受けて組み立てようとするが、近大も激しくマークし、なかなか前を向かせない。27分、近大左クロスに谷口飛び込むが頭に届かずDFクリア。続くCK川端ヘッドはDFブロック。結局前半のシュートは3対8、CKも2対5と、近大和歌山ペースそのままの数字となった。

後半水口はベンチの指示か、浅居が下がらず、むしろ前線に飛び出す動きを見せ、スペースを意識したパスを狙うようになる。しかし近大の統率は堅く、裏は相変わらず取れない。3分、荒武が受けて鋭く反転、中出がポストに入りダイレクトで荒武へ、中出も右に流れて荒武のボールを受けクロス、LH坂田が猛スピードでゴール前に突っ込むがDFなんとかクリア。息の合ったコンビネーションを見せた。その後も時間帯によってボールを持てて、ドリブルからのパス・シュートの形が身についている吉田とポストからの反転が得意な中出にボールを集めたり、シンプルなパス回しからのサイド攻撃に切り替えるなど、チームの完成度の高さを見せつけた。17分、CKのこぼれに後方から走りこんだ坂田が決め0−2とする。20分過ぎ、空中戦で水口・山敷の側頭部と近大・谷口の頭がぶつかる。やや跳ぶタイミングが遅れたものの谷口の跳び方はまったく悪意や危険性のないものだったが、山敷は動けず負傷交代。その後救急車で運ばれた。フォエのこともあり、その後は落ち着いて観戦など出来なかった。結局0−2で終了。

水口は最後までグラウンドコンディションを克服できず、攻守に渡り組織面で相手に一歩譲った。浅居も輝けず。今は山敷の無事を祈るばかり。

一方近大和歌山は圧倒的な組織力を見せた。昨年も守備は堅いものの得点力不足に苦しんだが、今年はまずまずの攻撃力も備え、全国でも楽しみ。相手の激しいプレスを受けてもシンプルに回せるかどうかが鍵か。加納が復帰すれば中野のポジションに入るか?その場合平均身長170cm以下の4バックとなる。


帰路、守山駅に着くとなんとJRが止まっているという。石山駅で人身事故発生のため警察が現場検証中とのこと。いつもならイライラしているところだが、この日ばかりは人命の尊さを意識せざるを得ない。ただしっかりと検証してくれ、と思うのみ。守山北サッカー部員やアズー滋賀の選手達も足止めされていた。1時間ほどして動き出した新快速に乗り込む。元町駅で人身事故発生(!)のため本来12両編成のところを8両編成で運転のため想像以上に混雑している。なんとか高槻につくとドア開閉部の反対側にはネルソン吉村がいたのだった。小学生の頃サインをもらったこともある。この人もいろんなところで見かけるが、多分希望が丘に行ったのだろう。見るからに眠そうだ。(お互いに)お疲れ様でした。


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T.K. [MAIL]