近畿大会二日目はメイン会場の希望が丘へ足を運んだ。野洲からバスで約15分。広大な芝生広場が開放されていて、朝っぱらから元気に遊んでいる子供もいる。食堂もあるが不味いのであらかじめ弁当を買っておく。二試合同時開催なので、陸上競技場と球技場の間で面白そうなゲームを観る。
近畿大会 二回戦 野洲−県西宮 6月29日(日)希望が丘陸 10時 ピッチ並 晴 微風
野洲 県西宮 −−−−−軽墓−−−−− −−−石本−−新井−−− −−−−−藤本−−−−− −−−−−−−−−−−− 宇野−森田−−田中−前田 23−宮田−−前島−菅原 片山−平野−−馬場−松尾 谷口−−全−−宮本−須郷 −−−−−織田−−−−− −−−−−西山−−−−−
野洲はイメージとしては古き良きブラジル。SBは攻撃意識が高い。ボランチは森田が下がることが多い。CBが相手攻撃陣と同数になるケースが多い弱点を昨夏は土居・安達の能力の高さでカバーしていたが、今年はそこまで個人能力に依存するのは厳しいかもしれない。前田・宇野はあまり中に絞らず、SHという意識が高い。長身軽墓が1トップでポスト役・フィニッシャー。
県西宮は体格のしっかりした選手が多い。技術はイマイチで、タテに早い攻めを狙う。RH菅原のクロスから新井(178cm)に合わせるのがひとつの形。中盤は引いて粘り強く守る。
兵庫県大会準々決勝の市尼戦を見る限り、県西宮は近畿大会での苦戦は必至かと思われたが、一回戦を見事突破。この試合ではいきなりキックオフシュート、野洲GK織田は平然と見送るがバーに直撃し(笑)、DFクリア。野洲は藤本・田中・森田を軸に中でパスをつなぎ、中盤を支配する。県西宮は石本がサイドに流れて受け、SHがフォローに走るが、スタートポジションが低いためフォローが追いつかない。9分、野洲・宇野がいいクロスを軽墓へ、全も体をしっかり寄せ頭に触っただけのシュート。10分県西宮も谷口がダイレクトでいい左足クロスは新井に届かず。11分、野洲カウンター、ハーフ10m過ぎで軽墓が落とし森田が前へグラウンダーのパス、軽墓が反転してDFを振り切りGKと1対1で落ち着いてアウトサイドで右スミに決め先制。15分には馬場のロングフィードに動き出しの良さで軽墓がDFの裏を取る。バウンドしたボールを、落ち着いてGKの上を抜くヘッドで決め2点目。さらに前田・宇野から好クロスが入り、野洲の勝ちと見てもう一方の清風−草津東戦を見に行く。
近畿大会 二回戦 清風−草津東 6月29日(日)希望が丘球 10時 ピッチ並 晴 微風
清風 草津東 −−−戸来−−北野−−− −−−前田−−上野−−− −−−−−−−−−−−− −−−−−森村−−−−− −辻−伊藤−−若原−島本 −−村田−畑−−牧村−− 川村−植田−−池端−河野 猪飼−西澤−−酒本−川西 −−−−−高橋−−−−− −−−−−南井−−−−−
清風は一回戦とスタメンは同じ。ファイトあふれる長身CF北野の周りを戸来が良く動く。ライン4に中盤もフラット気味。ショートパスを良く繋ぐ。CBは空中戦に強い。
草津東も中盤・最終ラインともフラット。つまり清風とはマッチアップの関係がはっきりしている。インサイドは左の森村が上がり目、右の畑が下がり目で守備時にはフラットになる。全体にパワフルで当たりには滅法強く、組織的なプレスをかける。奪ったボールをサイドに展開し、クロスというパターン。シンプルな技術の精度が高く、パススピードも速い。牧村の右クロスは精度が高い。森村は右利きだが左足でFKも蹴る。
こちらのゲームは組織的な激しいプレスで草津東が優位に立つ。例年通りシンプルなパス回しからサイド攻撃を狙う。パススピードで草津東が優り、特にミドルパスが正確でピッチを幅広く使う攻撃が冴える。前田(177cm)上野(180cm)もスペースに流れて受けることが多いが、これは清風の守備を研究した攻めだろう。確実に基点となりサイドで数的優位を作り崩す。エース格の10番・森村は周囲が良く見え、インサイドキックでのノールックパスも再三見せる。タテのドリブルからのクリーンシュートも得意で、清風のマーカーを何度もかわす。守備でも強い。33分、草津東の右からの攻撃、川西のクロスから最後は森村が決め草津東が先制。清風はFWが孤立している上に疲れが残っているのかやや動きが重く、局面を打開できない。結局前半は草津東1点リードで終了。
後半は少しずつ草津東のプレスも落ち、清風も中盤でパスが回せるようになる。10分にはスルーパスを受けた北野が地を這うような決定的シュート、しかし草津東GK南井好キャッチ。13分、草津東・村田が左から右足クロス、牧村ボレーGKに当たったボールを上野が決め0−2とする。草津東の攻撃陣は得点意識が高く、ここぞと言う場面での分厚い攻めは迫力十分。これに対し清風の攻めは綺麗だが、ゴール前に詰める人数は足りずクロスにも草津東はしっかり対処している。13分、清風・伊藤の23mFKはGK南井フィスティング。14分、清風は両SH辻・島本→米田・合田と交代。戸来がLHに下がり米田が北野と2トップを組む。戸来はゴール前に入る意識も高く、右クロスにボレーを放つシーンもあり、清風の右からの攻めに迫力が出る。19分、草津東、左サイドに流れた前田が突破、ペナで倒されPKを得る。しかし前田のキックは緩く清風GK高橋がなんなくキャッチ。23分、清風、左から戸来→米田へ、クロスに北野が競り勝つが、GK南井の正面へ。草津東も前田→山本、森村→三反田と交代。三反田は森村のような力強さはないが、よりも技巧的でスピードもある。兄は昨年の芥川のエースだった。ファンタジスタの家系かもしれない。33分、草津東、右サイド深くから三反田へ、切れ込んで左足シュートでニアサイドの上に突き刺しとどめの3点目。草津東が安定感ある戦いで準決勝進出を決めた。
なお試合中清風の保護者の方には冷たいコーヒーを頂きました。ありがとうございました。
近畿大会 準決勝 近大和歌山−草津東 6月29日(日)希望が丘球 14時 ピッチ並 晴 微風
近大和歌山 草津東 −−−吉田−−中出−−− −−−山本−−上野−−− −−−−−−−−−−−− −−−−−森村−−−−− 坂田−谷口−−東−−荒武 −−村田−畑−−牧村−− 稲葉−川端−−中野−秋田 猪飼−西澤−−酒井−川西 −−−−−栗林−−−−− −−−−−南井−−−−−
二回戦の約2時間半後に行われたが、双方ほぼベストメンバー。近大和歌山は2回戦と同じスタメン。4バックを高く押し上げてのプレスが武器だが、この日2試合目で運動量を維持できるか。ただし組織力・集中力は高い。攻守にわたり高さがないチームなので、いかに高いラインを保ち、すばやくサイドに展開し、低いクロスがどれだけ入るかがポイント。
草津東はFW前田のところに山本が入る。前田は足を痛めているようだ。森村もケガしているが出場。山本はスペースに流れるタイプ。プレスの位置は近大よりは低い。ゾーンで守るDF陣が小柄な2トップの動きに惑わされずバランスを保てるか、また天性の視野の広さを持つ森村以外の中盤が近大のプレスの中しっかり周囲を見れるか。
キックオフになぜか手間取る。始まる前に隣の陸上競技場ではいきなり滝二先制。ゲームの入りは完全に近大和歌山ペース。いきなりLH坂田が切り返しからタテに抜け左足でふわりとしたクロス、FWがCBのマークをひきつけ、谷口が飛び込むがGK南井キャッチ。押し上げた4バックからどんどんいいパスが出る。中野はいいキックあり。吉田は速いドリブルでCBとSBの間を狙う。隣では滝二早くも2点目。15分、近大和歌山、吉田がいい動きでスペースに流れ秋田からのロングボールを受け、相手を引きつけ、RH荒武に戻す。クロスにニアに飛び込んだ中出が合わせる。草津東DFもライン上でクリアに行くが、惜しくもラインを割り、ゴール。全員の意図が連動した見事な先制点。18分、今度は中出が好ドリブルで右を崩しクロス、吉田・谷口が中でつぶれ、大外からフリーの坂田が決め近大和歌山2点目。近大和歌山の2トップは中出は技術があり、タメを作り味方を生かす。吉田はスペースを見つけてボールを受けるのが上手く、ともに中盤との連携もよく草津東は後手後手に回るばかり。クロスでのゴール前の入り方もよく練習を積んでおり、しかも草津東はやや低いクロスに弱く厳しいゲームとなった。28分、草津東のロングボール、稲葉と川端の連携ミスを牧村がかっさらいシュート、上に外れる。30分頃隣で滝二3点目。直後34分、近大和歌山も秋田が決め3点目。結局準決勝2試合はともに3−0で前半終了となった。ゲーム内容、近大和歌山の組織力から、球技場のゲームは勝負ありとみて、後半は陸上競技場の滝二−野洲戦を観戦することにした。
近畿大会 準決勝 滝二−野洲 6月29日(日)希望が丘陸 14時 ピッチ並 晴 微風
滝二 野洲 −−−瀧原−−橋本−−− −−−−−軽墓−−−−− −−新井−−−−岡田−− −−−−−藤本−−−−− −−−中杉−−中根−−− 宇野−森田−−田中−前田 柏木−三村−−小林長谷川 片山−平野−−馬場−松尾 −−−−−上杉−−−−− −−−−−織田−−−−−
今大会の滝二の登録メンバーは全員3年生。近畿大会は今年から全国に繋がる大会ではなくなり、普段なかなか公式戦に出場できない、あるいは夏で引退する3年生を優先した出場させる意図があるのだろう。とはいえ、スタメンを落としているわけではない。中盤は流動的。瀧原がポスト役。野洲CF軽墓は主に三村(179cm)が見る。
野洲は夏までは個人能力主体のサッカーとなる。SBは上がり目。SHもサイドに張り付くことが多く、中は薄くなりがち。藤本はシャドーストライカーというより、トップ下のMF。長身軽墓(184cm)がエース。
後半は野洲が得意のボールをつなぐサッカーを見せ優位に進める。動き出しがいい軽墓のポストは確実で野洲の中盤はいい形でボールを持てる。空中戦では滝二CB陣は歯が立たず、GK上杉(189cm)に頼るしかない。クロスからはゴールの匂いが濃厚に漂う。しかし滝二もRB長谷川が中に切れ込んで右アウトでシュートを放つなど、いいカウンターを繰り出す。10分頃、滝二・橋本→芝崎、岡田→藤尾、野洲も藤本→赤松、前田→馬渕。赤松は点取り屋でスーパーサブ的存在。19分、野洲・赤松の突破からシュート、滝二GK上杉も鋭い飛び出しではじくが、こぼれを軽墓が決めて3−1。直後隣では草津東も得点しやはり3−1。前半から陸上競技場で点が入ればそれに応えるように球技場でも点が入っている。給水タイムを挟んでも野洲の流れは変わらず。23分、馬渕の右クロス、滝二の意識が軽墓に集中するがファーで宇野がボレー、DFに当たりCK。森田のボールをニアの片山が狙うがGK上杉好セーブ。野洲はSBが高いポジションを取り、ボランチ・SHの視野に入ることで、中盤でボールを失わずに済みパス回しの潤滑油となっている。昨年からの全国経験豊富な田中・森田はまさにチームの操縦桿となる。滝二は中盤の守備がバラバラで個々の守備意識が集団の守備能力に反映されていない。そんな中、滝二・長谷川はボールのないところで先手を取る動きで常に相手と駆け引きし楽にプレーさせないセンスある守備を続ける。30分、野洲・森田のミドルパスで左サイド深くまで侵入した宇野がマイナスのグラウンダークロス、フリーの赤松、痛恨のトラップミスでシュートならず。33分、裏を取った滝二・藤尾に野洲LB片山は激しいが正当なタックルで奪う。そのボールを繋ぎ、再び片山へ、ここで赤松がラインの裏を取り片山が正確なロングパス、今度は赤松が左から冷静に決め3−2とする。直後隣ではまたしてもお約束のように近大和歌山が決めて4−1。ロスタイム野洲も攻めるが追いつけず、滝二が逃げ切った。
それにしても前半の3−0は何だったのだろう?野洲の守備は数的不利になりがちなので、序盤は危なっかしいチームだが。冬までに組織力が高まれば、計算できるボランチと関西随一のCF軽墓がいるだけに全国でも面白い。これは滝二にもいえ、新井という切り札があり、CF瀧原や今大会はエントリーしていないが選手権2ゴールの2年生岡崎がいるだけに冬は楽しみである。
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