サッカー観戦日記

2003年05月25日(日) 関西女子リーグ1部 第4節 ラガッツァFC高槻−神戸FCレディース Lリーグ 第3節 スペランツァ高槻−宝塚バニーズ

関西女子リーグ1部 第4節 ラガッツァFC高槻−神戸FCレディース
5月25日(日)萩谷 10時30分 曇 強風


高槻             神戸
−−−中島−−島村−−− −−−18−−8−−−−
−−−−−乃一−−−−− −−−−−52−−−−−
尾山−奥田−−坂井−井上 −−12−6−−5−−−
−−山下−上辻−椰木−− 16−−7−−4−−62
−−−−−大野−−−−− −−−−−1−−−−−−


ラガッツァ(以下高槻)は関西女子リーグの常勝チーム。このリーグの参加しない有力チームとして高槻と同等の実力を持つ大体大・啓明女学院・日ノ本学園が挙げられるが体力重視のサッカーをしており、技術・戦術・将来性では高槻が上回るといっていいだろう。高槻のスタメンの過半数は中学生。一方神戸FCは2種以外の全てのカテゴリーのチームを持つ大クラブで神戸FCレディースは神戸FCの女子チームのトップチーム。ちなみに2種チームはヴィッセル神戸ユースに移管された。

ゲームは技術に優る高槻が完全に支配し、ハーフコートマッチと化した。正確なキックを持ちFKも蹴る上辻が後方から組み立て、冷静な坂井とチーム1の技術を持つ奥田のインサイドはボールをほとんどカットされない。12分にはCKのこぼれを井上が狙うがポスト直撃。乃一は時々ハットさせる輝きを放つプレーを見せる。17分には左スミへ絶妙なミドル、しかしGKナイスキャッチ。島村がポスト役でキレのある反転を見せる。神戸FCは驚異のスピードから強引にシュートを狙うエメルソンみたいな18番(ミキ)以外は特に目立つ選手はいないが粘り強さは見事だった。技術が低く、カウンターにいけず、攻撃はブツ切れとなって厳しい展開。35分ハーフの前半ロスタイムに上辻のCKをファーの奥田が決め、高槻先制。前半のシュート数は15対1だった。

後半5分には島村がゴール前で受けて15m反転シュート、2−0とする。奥田は抜群の技術を随所に見せる。トップチームのインサイドはテクニシャン揃いなのでポジションを奪えてはいないが、他のチームならレギュラーも十分狙えるだろう。U−18代表も射程圏内。高槻のプレスが落ち、神戸FCは徐々にロングボールが18番につながるようになる。7分、上辻から直接奪いシュート、10分には交代出場の盛をぶっちぎりシュート、12分にもタテ突破からゴール前の8番に出さず角度の無いところから突き上げるシュート。19分、神戸のスルーパスにGK上野、前に出かかるが止まり18番が追いつき冷静にシュート、これが決まる。おそらく上野は前に出ていても追いつけず18番にかわされた可能性が高かったが、判断を躊躇し不十分な姿勢でノーチャンスなシュートを打たせてしまった。26分、高槻CKのこぼれをシュート、またポスト直撃。29分、バックパスのクリアミスがフリーの18番への最高のパスとなり、快速ドリブルで持ち込み冷静に決める。神戸ついに追いつく。この後も攻める高槻・カウンター神戸の状況が続きタイムアップ。2−2の引き分けとなった。

殊勲賞は神戸の18番しかいない。スピード豊かなドリブルからシュート!ポストに入りヒールパス!パスはほとんどなし。プレーの幅は限られていたが迫力十分でチームの中では実効性も兼ね備えていた。高槻の奥田のようなパッサーがいればゴール数も倍増しそうだ。


Lリーグ 第3節 スペランツァ高槻−宝塚バニーズ
5月25日(日)萩谷 13時 曇 強風

高槻           宝塚
−−−阪口−−久山−−− −−−若林−−今枝−−−
−−−−−庭田−−−−− −−−−−三浦−−−−−
相澤−高倉−下小鶴−松田 −−稲葉−伊丹−小林−−
−−中鍋−桜井−鳥越−− 平田−西手−−田中−阪上
−−−−−轟−−−−−− −−−−−安田−−−−− 

今シーズンは西日本リーグから上位3チームが決勝リーグに進む。田崎は当確として残り2枠を高槻・宝塚・伊賀・湯郷で争う展開が予想される。ホーム高槻としては4チーム中最も力が落ちると思われる宝塚戦は落とせない。宝塚としても決勝リーグ進出のために伊賀戦に続き勝ち点を奪いたいところ。

かつての天才MF佐々木博和氏率いる高槻は技術のある選手を揃え、個々の実力やポテンシャルは宝塚よりも一枚上回る。鳥越・高倉・相澤・庭田の4人が代表経験者で、轟・下小鶴も代表候補入りの経験があり、ラガッツァから昇格した阪口もU−18代表候補の期待の新鋭である。代表キャップ79を数える高倉と下小鶴の技術系ボランチに象徴されるような技術重視のサッカーが持ち味。中鍋・鳥越はストッパーながらどんどん攻めあがる。ベテラン鳥越は以前は攻撃的なポジションだった。マークをこまめに受け渡しバランスを保つ。両サイドは俊足で特に相澤は日本トップクラスのスピードを誇る。FWは技術系ドリブラー阪口と点取り屋久山のコンビ。

宝塚は4バックで両サイドは守備的。小柄ながら力強い伊丹がDFラインの前で相手を潰す。左利きで技術を活かした突破力があり左足クロスもいい稲葉とスピードが売りの小林がサイドに張り出し、シャドーストライカー・タイプの三浦が素早い判断でFWに出す。中盤は守備面での連携が甘く、選手間の距離も離れすぎていてあまり機能していない。長身RB阪上は代表候補入り、平田はU−16選抜入りの経験がある。

序盤は宝塚がリズムをつかむ。5分、宝塚・稲葉のクロスを轟キャッチミス、ファーには大胆にもRB阪上が待ち構えておりヘッドも辛うじて轟がセーブ。10分、高槻右クロスから久山シュートはイマイチ。12分、宝塚左サイドのFK稲葉から正面で田中がフリーからヘッド、決定的な場面だったがGKの正面に飛び、轟キャッチ。14分、高槻・庭田が右サイドからゴールライン近くまで切れ込みマイナスのグラウンダークロスも久山にきっちりついていた田中がカット。14分、宝塚・三浦早い判断で若林へ、左に流れて受け切り返し正面の三浦に戻し、20mミドルは外れる。17分、稲葉が抜け出しかけるが、高槻CKに逃げる。ショートから今枝につながるがシュートブロック。19分、高槻DFのクリアを拾った庭田のスルーパスを受けた阪口のシュートは安田セーブ。このあたりから高槻のペースになり、支配率が高くなる。22分、空中戦のこぼれを拾った宝塚・伊丹が力強いタテの突進からミドル、外れる。直後、高槻・庭田の吸うルーパスを阪口ダイレクトではたき久山のシュート。23分、高槻カウンター阪口がポストに入り右に開いた庭田へ、右クロスにファーで待ち構える久山が切り返しで一人かわし冷静にシュートを決め高槻先制!30分、バックパスに今枝が詰めるが轟は無理に前に出そうとして今枝に当ててしまうがボールはマウスを外れる。33分、高槻・相澤スピード抜群のドリブルから左足クロス、庭田にわずかにあわず。34分、宝塚・小林スピードを活かした突破からクロスを稲葉が頭で絶妙の落とし、若林のシュートは鳥越ブロック。35分、宝塚・小林タテ突破からクロス、今枝のヘッドは上に外れる。37分、宝塚・田中が久山にプレゼントパス、阪口にはたき左足シュートは当たり損ね。40分、高槻スローインから庭田中央に切れ込み左足シュートはDFブロック。結局前半は1−0で終了。

前半はともに中盤の守備が甘く、攻め合いになってしまった。高槻のボランチは球際の力強さが足りずチャージで奪うシーンは皆無だったし、宝塚は伊丹に頼りすぎていた。後半どう変化するかが鍵か。相澤と小林のスピード対決も興味深い。

1分、宝塚・小林の突破からクロスにファーに突っ込む稲葉のヘッドは外れる。4分、高槻は下小鶴に代え中野。守備の強化が狙いか?後半高槻はファーストディフェンスが良くなり宝塚は小林や稲葉への狙い澄ましたパスが出せなくなる。10分、宝塚がオフサイドトラップを狙うが西手が残っていて失敗、阪口フリーでクロスが高倉へ、トラップでもたつきシュートはブロックされる。13分、宝塚・三浦を高倉きっちりマークするもうまいトラップで前を向きスルーパス、長すぎGKキャッチ。15分、高槻・阪口から久山が抜け出しかけるが、平田が物凄いスピードで戻りカット。20分、宝塚・三浦とのワンツーで小林が右を突破しクロス、今枝フリーでヘッドも外れる。21分、高槻は相澤に代えて奥田を入れ、久山を中央に右・奥田、左・阪口の3トップに変更する。中盤は右・中野、左・松田、トップ下・庭田、底・高倉で、攻撃的な選手交代である。狙いは当たり、以後の高槻のシュート数は9本を数えた。決まらなかったが、技術の問題というよりシュートタイミングが悪く、DFにブロックされるため。ロスタイムには久山のバー直撃弾もあった。結局1−0で高槻の勝利。

高槻は守備の甘さが気になった。中鍋は足先だけの弱いタックルを跳ね返されるシーンが目立つ。桜井はイージーなパスが多かった。鳥越はさすがというか、ここぞと言う場面での好守を見せた。下小鶴はせっかくキックが上手いのに判断ミスや相手にバレバレのパスをカットされるシーンが何度かあり、守備も読みに頼りすぎというか、チャージ・タックルとも弱く、上を目指す選手としては物足りなかった。大ベテラン高倉のラモス的なずうずうしさはさすがというか。相澤は不調なのか、攻撃面では目立たなかった。松田は抜群のスピードを見せた。守備は苦手のようだ。庭田は圧倒的な存在感でパッサー、クロッサー、フィニッシャー役をこなし、完全にチームの柱となった。阪口は技術の高いドリブラーで、スピードある久山と噛み合えば今後が楽しみ。ただ決定力はあまり感じない。

宝塚は阪上・平田の両SBがスピード豊かで簡単に振り切られることはないが、1対2の苦しい守備が多かった。伊丹は粘っこく、力強い守備と大胆な突進、ミドルやFKと奮闘し、敢闘賞ものの大活躍。小柄ながら低い姿勢からのチャージは破壊力十分。小林のタテ突破や稲葉のドリブルは魅力的だがインサイドやSBとの連携がなく、サイドに開きすぎて、守備時には他の選手に負担をかけてしまった。判断の早い三浦と上手い若林のコンビは見ていて楽しい。宝塚は曲者揃いだかイマイチ噛み合っていない。


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T.K. [MAIL]