サッカー観戦日記

2003年05月18日(日) Lリーグ 第2節 宝塚−湯郷

さてこの日やや強引な観戦スケジュールを組んだのは湯郷に興味があったからだ。何度も行ったことのある岡山県美作町にある湯郷温泉が地元活性化を狙い誕生させたクラブ。仕事との両立が厳しい現在のLリーグにあって確実に仕事とサッカーの両立が可能なこのクラブはむしろ恵まれた環境にあり、代表クラスを含め有力選手が軒並み加入している。とはいえ1年目には全女岡山県大会で吉備国際大の前にまさかの敗北を喫しており、チーム力自体はさほど期待していなかった。スタンドには美作から駆けつけた大応援団も陣取り、ホーム宝塚の応援を圧倒している。


Lリーグ 第2節 宝塚バニーズ−湯郷ベル
5月18日(日)萩谷 14時 晴 微風


宝塚                湯郷
−−−今枝−−若林−−− −−−−−岡本−−−−−
−−−−−三浦−−−−− −−−中川−−宮間−−−
−−稲葉−伊丹−小林−− 中田−北岡−−城地−松原
加治屋−西手−田中−阪上 −−山崎−藤井−福原−−
−−−−−安田−−−−− −−−−−福元−−−−−

この日の宝塚の中盤の守備はルーズで組織的でもなかった。シャドーストライカー・タイプの三浦はポジションが高すぎ、サイドアタッカーの稲葉・小林はサイドに開きすぎ、4人のMFの距離が長い。必然的にDFは下がるしかない。レアルのような圧倒的個人能力がなく、一方的に相手を守勢に追いやる力のないチームにとってこのようなゲーム運びは致命傷となる。

それに対し湯郷は基本技術がしっかりしていてプレスが甘ければ強いボールでパスをしっかり回せる力がある。ベテランも多いチームだけに宝塚のスキを確実に衝くゲームを展開する。ボランチのベテラン北岡(元田崎)が城地(元高槻)を上手くリードしつつ攻撃を組み立て、中川(作陽高在学)宮間(元ベレーザ・U−18代表)が自由にポジションを移動しながら攻撃に絡む。守備でも特に変わったことはしないが、バランスをしっかりとり、宝塚MFを孤立させて奪う。一度はサッカーを断念し帰郷したというFW岡本はスピードがあり、ポストも確実で1トップの仕事をしっかり務め、加入1年目の湯郷が一方的優位に立つ。藤井の統率する守備も堅実でGK福元(元U−19)は身体能力が高い。

先取点は意外な形で入った。33分右に開いた岡本がクロス、アウトにかかったミスキックが直接ゴールイン。さらに38分右CKを福原がアウトに掛かった強烈な右足クロス、城地がヘッドで決め0−2とする。41分には左に流れた三浦のクロスを若林が決め、前半を1−2で折り返す。

ハーフタイムで宝塚が中盤をどう修正するかが勝負の鍵だったが、特に修正はないようだ。こうなると湯郷の勝利は必然的なものとなる。

後半も宮間・中川がスペースを自在に使いチャンスを量産する。開始早々宮間のクロスを中川ヘッド。10分福原のハーフラインを少し越えた右サイドからのFKのこぼれを再び福原が入れ、ニアの岡本が落とし中川が決める。宝塚の選手は個性的なのだが、個性をチームの中で有効に活かせる選手が少ない。15分過ぎから湯郷はややペースダウン。スタミナ不足かと思ったが、純粋にペースを落としただけのようだ。18分、中川→江口。22分、若林→宇良。33分、ダイレクトパスから右に流れた岡本のクロスを大外から走りこんだ中田が決め、とどめの4点目。その直後松原→光藤。10番を任させる選手で操山高在学、もちろんU−18の資格もある。タテの突破力を持つ選手。宝塚は身体能力の高い伊丹の展開力からサイドハーフの突破力が頼り、という状況で蹴って走るのみ。37分、稲葉・小林→久志・河野に交代。河野が右、久志が左の中盤に入る。42分には加治屋が岡本に直接奪われ、前に出るしかないGK安田の頭上越しにループを決め1−5とし、まさに内容通りのスコアで湯郷が圧勝した。

今期は西日本からは上位3チームまでが決勝リーグに進む。熊本と湯郷はノーチャンスだろうと予想していたがとんでもない誤りだった。別格の田崎を除くと高槻・伊賀・宝塚・湯郷の争いとなりそうだ。また湯郷の大応援団はLリーグでは破格の存在だ。こういうチームの登場はサッカーファンとして実にうれしく思う。


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T.K. [MAIL]