- different corner -
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Sくんの話には、もう一つの話がある。
実は、Sくんがふたまたかけられていた彼女の もう一人の相手・Hさんも、実は私の友達であり。。。 バイト先の同僚だった。 Hさんはあまり話さないまじめなタイプのSくんとは対照的で、 おしゃべりな女の子大好き人間だった。 私は、何かと私を女の子扱いする彼がちょっと苦手だったけど 話しているととても楽しかった。
ある時期からなぜか二人のシフトがあまり一緒にならないことに なんとなく気づいてはいたけれど、 まさか同じ人と付き合っていて、お互いが それに気づいていることまでは知らなかった。
S君の帰り際にHさんがはいってきた日、 普段へらへらしている彼がすごい顔をしているのを見てしまい、 私はてっきり自分が何か変なことをしたのかと思って どうしたのかと聞いてしまった。 そのときに黙っていれば巻き込まれずにすんだのになあと 時々思うのだけど、もう今となっては仕方がない。
「俺がMって子と付き合ってるっていうのは 知ってるよね?」
「はあ」
「Mのやつ、俺ともめてから Sとつきあってるみたいなんだ」
「へ。。。(頭の中真っ白)」
「だから、きみに対して怒ってるわけじゃないんだ。。。」
ぼーぜん。 S君がこの二ヶ月の間、会うたびに 愛しさを隠し切れないような表情で話していた彼女は、 Hさんの彼女だったんだ。。。
私はその日から微妙な立場になってしまった。 私は、純粋なS君はそんなこときっと知らないだろうと 思っていたので、私が知ってしまったことは 知らないふりをしないといけないと思った。
その一方で、HさんにはS君からも話を聞いていることを 悟られてはいけないと思っていたので それぞれの話を聞いていると 心がちくちく痛んで仕方がなかった。
でも、それ以上に不安だったのは もしこのことがこじれたら、どちらかが いなくなってしまうような気がしていたのだ。 きっと避けられないことだと思ってはいたけれど、 私はどちらも好きだったから、 どちらかがいなくなるなんて思いたくなかった。
その緊張状態はある日突然とけた。 Hさんから、新しいバイトの面接をするけど 人数が増えるわけではないので 忙しいのは今までどおりだと聞いて、愕然とした。 SくんがやめるというのをHさんが 即日で認めたことをあとで知った。
そして、彼女はHさんのもとへ戻ったものの、 その後やはりうまくいかず別れてしまったらしい。
そもそもHさんと彼女がもめたのは、 Hさんが彼女にプロポーズしたことが原因だったらしい。 でも、S君に話を聞くと、S君は彼女と 一緒に暮らしたいと思っていた。 まだ彼女は誰にも束縛されたくなかったのかもしれないけど、 なぜ私と仲のよかったあの二人が同じ人のせいで 傷つかないといけないのか納得いかなかった。
その頃からいらついていることが多くなったHさんとは その後あまり話す機会をもつことも減り、 私はそこを去ることになった。 いずれ私も二人とは別れることになったかもしれないけど、 こんな形でお別れなんてしたくなかった。 だけど、別の選択肢なんてもうどこにもなかった。
どうすれば一番よかったのか、 今ではもうわからない。
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