凪の日々
■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■
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三連休で燃え尽きてPCに向かう気力も無いままでした。 例によって遠出する事も無く近場をウロウロしただけでしたが もうこれでいいでしょ勘弁してって感じ。
初日は電車に乗ってお祭りに行った。 立ち並ぶ出店の数が売りのお祭りなので特に興奮や感動というものはないお祭り。 でもお祭りにつきもののヒヨコ釣りやカメ釣りや板ガム(?)切り抜くのやらお化け屋敷まである本格的(?)出店満載なので、子供の心にはやっぱこれは刻んでおかないとね。
お化け屋敷の隣には見世物小屋があった。 こちらにきてすぐの頃、こちらで出来た友人数名とこのお祭りに来た事がある。 「親の因果が子に報い〜!」みたいな講釈(?)を述べる呼び込みのおじさんが入り口付近でしゃがれているがよく通る声で延々しゃべっている。 その奥の薄暗い格子の向こうに良く見ると蛇女役と思われる女性が座っている。 「話の流れからするとあそこで座ってタバコふかしているソバージュの女性が蛇女らしい」 「あのタンクトップから伸びている腕にウロコが張り付いているわけでもないし、どこがどう蛇女なんだろう?」 昼間っからビールをかっくらい、良い気分だった我々は、確かめてみよう!と盛り上がり、数人がひやかしで見世物小屋に入っていった。
苦手な私と別の友人は二人でビールを飲みながら外で待っていたが、ぎゃーぎゃー騒ぎながら入っていった友人達は、すっかり素面になって出てきた。 いわく、あのソバージュの蛇女は、蛇に変身するんじゃなくて、蛇を飲み込むんだそうだ。 確かに、生きた蛇を。 「いや、なんというか、職人というか、ああいう仕事も大変だよなぁ」 「後で吐き出すんだろうな。金魚を飲み込む芸みたいに」 「絶対喉が荒れるだろうなぁ。あれを一日何回もやるとさ」 「胃も荒れるんじゃないか。どちらにせよ、体力勝負だよな」
各自社会人として己の仕事に従事する日々を送っていた友人達は、「見世物小屋で働く人々」にリアルに感情移入してしまって、違う意味で見世物小屋を体感してきた。 どちらにしても、見世物としての意味はあったというわけだろう。
でもやっぱりこういうのは子供に見せるべきよね。 お祭りの会場の非日常感と高揚感と共に、わけのわからない恐怖感も入り混じってなんともいえない感情を心に刻み込ませないと。夜泣きする位。トラウマになるんじゃないかって位。ふっふっふっ。 歳を取ってもお祭り会場を見るたびになんともいえない感情が甦ってくるように。ふっふっふっふっ。
そう思ってたのに、久しぶりに行ったら見世物小屋は無くなっていた。 蛇女役の女性が退職されたのだろうか。 後継者が育たなかったのだろうか。どこも後継者不足?
仕方が無いのでお化け屋敷の前でアイに「入る?」と聞くと「ぜぇーったいいや!!!」と断言した。 ま、いいか。 一緒に入ってこちらも「お化け屋敷の従業員」に感情移入するのもしんどそうだしね。 表のおどろおどろしい看板だけで怯えて怒っている(何故怒る?)アイを無理やり看板の前に引っ張っていって暴れさせただけで、ある程度目的は達成できてるのかもしれないし。
あの友人達とはすっかり音信不通になった。 風の噂で結婚したらしいとか、転勤でどこどこに行ったらしいとかは聞くけど。 あの時見世物小屋の前で一緒にビールを飲みながら出待ちした友人はどこで何をしているんだろう。 苦しい恋はもうやめて、新しい幸せを見つけているだろうか。 夜中に一人で酒とクスリでラリって泣いていないだろうか。
このお祭りが終わるとこの土地は本格的秋に突入するらしい。
暁
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