凪の日々
■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■
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朝、ダンボールを見に行くと空っぽだった。
猫も快適な場所に居たいだろうし、当然だよな、と胸をなでおろしつつ、これをこっそり処分するのもどうしたものか、と管理人さんに相談する。
ダンボールがあるが、あれはうちのです、苦情が出たら処分しますので連絡下さい。 これが今の所の重要報告事項。 で、迂闊にダンボールを与えてしまって反省している、集合住宅なので苦情が出るのは必至だとわかっているが、子供達が夢中になっているので私が撤去すると、うちの子供が子供達から非難されるかもしれないし、どうしたものか…と相談。 子供好きの管理人さんはあっさり「今の所苦情は出ていないから、場所をちょっと移動させて成り行きを見てみましょうか」と言ってくださる。 「いざとなれば私が捨てなさいって言いますよ。私が言えば一発だから」 あぁそれは確かに効き目絶大。 すみませんすみません甘えさせていただきますと頭を下げまくる。 「でも猫いないですよね?」と管理人さん。 そうそう、見かけないんで、もういなくなったのかなーと。 それなら子供達も諦めがつくだろうしこっちも助かるけど。
学校から帰ると子供達は宿題もそこそこに猫の家へ走る。 いなくなった猫を探すのだそうだ。 聞き込み調査の結果、○丁目の×ちゃんが連れて行ったらしい、×ちゃんは△君と遊びに行ってて今、家にはいないらしい、まずは×ちゃんを探しに行って、猫をどこに連れて行ったか聞こう。 六年生の指示の元、子供達は自転車にまたがり去っていく。 泣きじゃくる二年生に「でもね、×ちゃんちで飼うから連れて行ったのなら、×ちゃんちの猫になる事がみーちゃんは幸せなんだから、諦めるんだよ?」と言ってきかせるが「いや、ここで皆で飼うの」と号泣。 はぁ。まぁ、見つからないかもしれないしね。と見送る。 自転車で遠出できない一年生のアイは自転車がパンク中の二年生と二人で留守番。
凄い執念というか、情熱だなぁ。でもこれでおしまいだろうしねぇ。 奥様方にも管理人さんに相談した旨を報告。 苦情が出たら…ダンボール撤去位ですめばいいけど、猫の糞尿とかも出るだろうし、餌はあげちゃダメと言い聞かせてあるから生ゴミは大丈夫だろうけど、いつかれても困るしなぁ… 猫アレルギーの人とかがいたらどうしよう。 客観的に見ても、集合住宅の敷地内で子供達が野良猫を飼ってるって、どう考えても嫌だしなぁ…
そうは思うが、猫の事で頭が一杯で、泣いて探し回る姿を見るとなんというか、心を鬼に出来ないのが私の優柔不断というか、無責任な所。 わが子なら心をいくらでも鬼にするけれど、よそのお子様にまで鬼にはなれない。 鬼になるのは大変なのだ。心が痛くて仕方ないのだ。 こっちだって猫の寝床は葉っぱより布の方がいいんじゃないーとボロタオルでも渡してあげたいし、ちくわの一切れでも子供達に渡して食べさせる喜びを味あわせてあげたい。 子供達も喜ぶだろうし、こちらも嬉しいし。 でもそれは大人として無責任なのだ。 大人は、ダンボールも与えてはいけなかったんだ。 私は、無責任すぎたんだ。
大人がそんなに悩んでいるなんて、子供達は想像もしないだろう。 自分もそうだったわけだしな。はぁ。どうしよう。
暁
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