凪の日々



■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■

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2004年01月18日(日)

実家から徒歩で行ける距離に叔母の家がある。
従兄は一人っ子。
私よりかなり年上だったからもう結構な年齢だと思うが独身。
結婚する必要性を感じないんだろう。
その人の人生観だから別にそれでいいんじゃないかな。などと思うのだけれど。

「二人目が生まれたこと、叔母さんに言ってないのよ」と母は言う。
へ?まぁ別にいいけど。
でも顔を付き合わせる機会も多い距離なのになんて不自然な。
「だって」
母達の年代の女性の話題は99%(?)孫の話なんだそうだ。
一人っ子の従兄が独身の叔母夫婦はその話題に加われない。
「もう人と会うのが嫌になるの」と叔母がこぼすとか。
「だから言えなくて」
そうかもしれないけど。
だからといって唯一近所に住む親戚なのにこのまま一生黙っているのもおかしかろう。
母の気配りはいつもどこかずれている。

そういういきさつを聞きつつ、お正月の挨拶に叔母宅へ行った。
叔母は目を見開いて驚いた。
「まさか赤ん坊連れてくるなんて」と笑いながらおろおろそわそわお茶を出してくれた。
アイを見て成長振りに驚き、赤ん坊を見て「この前この位だったようなのにねぇ」と笑う。
「まぁ、この肌の綺麗な事」と手を伸ばし恐る恐る赤ん坊の頬に触れる。
その触れ方のぎこちなさが、ここ何年も他人に触れる機会がない事を物語っている。
歳取った夫婦だけで暮らす家。
整然と片付いた綺麗な室内は、叔母の几帳面さと散らかす人がいない寂しさが感じられる。
背を丸めコタツに座る叔父はこんなに小さかったか。

「水臭い」と教えてくれなかった母達をなじる。
「男の子だったらすぐ知らせたんですけど、また女だったので言い出せなくて…」と誤魔化す。
「男なんか生んでもつまらないよ。女の子の方が相談相手にもなるし絶対良い。」
そして結婚する気配のない従兄への不満をちらりともらす。


赤ん坊がぐずりだす前に早々においとまする。
「何もやるものがないねぇ。昨日だったら飴があったのに」と叔母はおろおろしながらアイへのお土産を何か探す。

実家へ行くと「おかえり」と義姉が迎えてくれた。
こたつに入って甥っ子たちはゲームに興じていた。

しゃべりつづけるTV画面を無言で見つめる叔母夫婦の静かな室内を思い返した。





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