凪の日々
■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■
もくじ|前の日|次の日
母が居る間に髪を切りに行かせてもらう。 前回美容院に行ったのは夫のお盆休みの時。 ゆうに四ヶ月は経ってるわけだ。
「前回担当させてもらったEが退職しましたので担当は私が」 あ、そうなんだ。 Eさんは同じ歳だった。たまたま郷里が私と同じだった。 二歳の子が居る。保育園に預けて働いていると言っていた。 夫婦とも実家が遠いので子供が病気の時とか困ると言っていた。 今日も娘が熱を出してて 「え?子供さんは誰が見てるんですか?」 「夫の母を田舎から呼んで見てもらってるんです」 それもそうそう頻繁に頼めるわけもなく。
「Eは実家に帰ったんです」と新しい担当の人が言う。 「旦那さんの?」「いえ、Eの実家ですよ」 そうなのか。なんか色々事情はあるんだろう。
Eさんの郷里は確かうちとそう変わらないくらいひなびた所だ。 この地方都市の中心部で働いていた彼女はさぞかし洗練された都会の女性として周囲の目にうつるだろう。 その田舎町の片隅で都会で培ってきたセンスと腕を生かして美容室を始めたりするのかもしれない。 「やっぱり都会で働いていた人は違うね〜」と感心されながら、地元のおばさん達に垢抜けたパーマ屋さんとしてもてはやされて若い人には羨望のまなざしで見られながら。 子供が熱を出せば母親に預け。いや、隣の面倒見のいい年寄りなんかが見てくれたりするかもな。 「私のひ孫は遠くにいて全然遊びに来ないから」と喜びながら。 勝手に想像してほのぼのする。
夫婦二人だけで子供を育てながら共働きするのは互いにかなり協力し合わないと無理だ。 どちらか都合がつく方が仕事を休んで子供を見るのは当然。
アイの時、「三歳までは働かずにアイの面倒を見てくれ」と夫は言った。 今度は?と聞くと「働きたいなら働いて良いよ」と言う。 「私が働くって事は、そっちにもそれなりに協力してもらわなきゃいけないって事だけど?せめて保育園なり幼稚園なりへ送るとか。夜も私達が寝てから帰って来るんじゃなくて、せめて子供をどちらか風呂に入れる位やってもらわないと」と言うと不機嫌そうに「それじゃ俺は転職しなきゃな。今の会社じゃ早く帰るのは無理だから」と言う。 はぁ。つまり、私が働くのは私の勝手で自分には関係ないって事か。 働きたいなら働け、と。でも家事育児は今までどおり自分はノータッチだ、と。 「協力しあう」って考えはまったくないのねこの人には。
おそらく次に美容院に行けるのは夫が休みのG.W.あたりだろう。 自由に動けたのはアイが入園して赤ん坊が生まれるまでの一年間だけだったなぁ。 まぁ育児中だから仕方ない。
遠く、窓から吹き込む風が潮の匂いを運ぶ店内で、おばさん達の髪にロットを巻きながら笑顔で世間話をするEさんの姿を想像する。 店内の片隅で遊ぶ子供。「パーマをあてて頂戴」とやってくるおばさん達。
田舎に帰りたいな。
暁
|