ちゃんちゃん☆のショート創作

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銀英伝パロ オーディンの空の下(2)
2001年12月19日(水)

 ・・・またもや1ヶ月近く間を置いてしまった、情けないちゃんちゃん☆です。
 一度でいいから「銀英伝」のSSを書きたいなあと思った時、何故か心の中に現われたのはワーレン提督でした。アニメ版でファンになった彼の話を、是非書きたいと思ったのです。でも、とりあえずは話のきっかけにはなったものの、主役になるどころか姿もほとんど出てないのはどういうわけなんでしょうか?(汗)まだ精進が足りないようです。
 しかし・・・ポプランが何やらビッテンフェルトに引っ掻き回されていると感じるのは、気のせいなのか。ははは、さしもの野生児も野獣には適いませんかね(汗)。



銀英伝パロ オーディンの空の下(2)


「フェザーン商人だと?」
 連絡を取り終わったらしく、電話を切ったビッテンフェルトの顔に、あからさまな不信感が浮かぶ。
「何でそんな奴等がワーレンと・・・」
 尚も疑問を続けようとした彼だったが、すぐ思い当たることがあったのだろう。一人で納得するような口調になる。
「・・・ああ、確かあいつが行った地球で、フェザーンの商人に協力してもらったと言う話だったか。お前らがそれか」
「ええ、そう・・・です」

 応えるポプランは、彼らしくない言葉づかいになっている。
 が、それは無理もない。ヤン艦隊でならともかくも、ここはれっきとした敵地なのだ。変になれなれしい態度をとって不興を買い、身元がバレてはたまったものではない。
「運悪く地球教の連中に捕まってしまいましてね。運良くワーレン提督の部下の方に助けてもら・・・いただく格好になって。地球教本部の殲滅に協力した礼にと、仲間たちと一緒にここ・帝都オーディンへ同行させていただいたんですよ。みんな、帝都を一度も見たことがなかったもんですから」
「ふーん、そんなものか」
 とりあえずは納得したらしいビッテンフェルトだったが、そうなると当然次の疑問が湧きあがってくるわけで。
「・・・で、何でお前がワーレンの息子と親しくなったりしてるんだ?」

 確かにただそれだけなら、ワーレンの息子とフェザーンの一商人が仲良くなる機会はないに違いない。ポプランとて、まさか自分がワーレンの家庭関係に関わることになろうとは考えていなかったし、関わる気もなかったのだが・・・。
「───改めてお礼を言おうと思って、ワーレン提督のお見舞いに行ったんですよ。仲間たちと一緒に。そしたら病室からあの子が飛び出して来て。転びそうになったところを俺が抱き止めたんですけど、どういうわけか大泣きされてしまったんです・・・」
 とりあえず見舞いの方をユリアンたちに任せ。
 気分を落ち着かせることが出来ればとポプランは、待合室でワーレンの息子に色々と話しかけていたところ、思いもよらないことを言われたのだ。
「・・・俺の腕の感覚が、ちょっとだけ、ワーレン提督に似ていたそうなんです。あの子が大好きだった、父親の腕に・・・」

 少年は、父が好きだった。
 遠い戦地から戻って来た彼を出迎えた時、満面の笑顔と共にそのたくましい両腕で抱きしめられるのが、たまらなく大好きだった。
 だが父親の片腕は永遠に失われてしまったのだ。もう2度と、あの温かな両腕で抱きしめられることはない・・・。

「あの子、しょげてたんですよ。出かける時とはあきらかに違う父親の腕の感覚に。そして、そんな父親が恐くて一瞬とは言え、突き飛ばしてしまった自分に対して。・・・それで何とか慰めようとしたんですけど、どうもまずかったらしくて、もういい! って感じで病院を飛び出しちまったところで・・・」
「さっきの誘拐犯にとっつかまっちまった、ってことか」
 その言葉に頷きながら、ポプランはその瞬間のことを思い出していた。

 明らかに相手は、計画的に機会を狙っていたのだ。ギブスと包帯で隠していた凶器で子供を脅し、泣き叫ぶ少年をまんまと掻っ攫って行ってしまった。
「お父さん、助けて!」と助けを求めた声が、まだ耳に焼き付いている・・・。

「目の前でマヌケにも子供を掻っ攫われて、あまつさえあいつの身に何かあったら目覚めが悪い───お前がそう思うのは分かるがな・・・」
 後部座席でふんぞり返ったビッテンフェルトは、かなり呆れたような口調で続ける。
「手段を選べ、手段を。仮にも上級大将の車を盗んでいては、かえってややこしいことになりかねんところだぞ。───とりあえず今ケスラーに頼んで、緊急配備を引いてもらうと共に俺の拉致疑惑も晴らしてもらったがな・・・憲兵隊にしょっぴかれてでもしたら、どうするつもりだったんだお前は。下手をすれば事件発覚が遅れまくって、取り返しの付かない事態に陥っていたかもしれないのだぞ」
「そこまで俺はマヌケじゃないよ・・・ないですよ。俺の操縦テクニックは芸術的だって言われたことがあったくらいで」
「操縦テクニック? じゃあお前、輸送船のパイロットか?」
「あ、いえ、ゲームの話で・・・」
 危うく自分の身分を暴露しそうになったかと、肝を冷やしたポプランだったが、
「だろうな。輸送船のパイロットなんてタイプには見えんぞ」
 ビッテンフェルトは大して気にも留めていないらしく、やれやれと胸をなで下ろした。

 とは言え、やはり帝国軍上級大将を乗せていたのではどうにも気詰まりがする。
「ビッテンフェルト提督、その辺で車を止めますから、スミマセンが降りて下さいよ」
 ポプランの申し出を、ところがビッテンフェルトは一蹴した。
「何で俺が降りねばならんのだ?」
「何でって・・・危ないでしょうが。軍の重鎮であられる閣下に怪我でもさせたら、俺たちの商売あがったりですし」
「フン、お前ら民間人に任せる方がよほど危ないぞ。それに軍人に危ないとは何事だ。軍人が危地を避けていては本末転倒だろうが」
「し、しかしですね・・・」
「本当ならお前の方をどこかで降ろすべきなんだろうが、あいにく犯人の目撃者だからな。ワーレンの息子を探す手伝いをしてもらうぞ。・・・えーと・・・」
「マリネスクです、イワン・マリネスク」
「そうマリネスクだ。どうせ乗りかかった船だ、最後まで付き合え。いやー、ここのところ実は退屈していてな。不謹慎だとは思うが、この際久しぶりに暴れさせてもらうとするか」
「・・・・・・・☆」

 オリビエ・ポプランは、ヤン艦隊のトラブルメーカーと呼ばれた自分のことを棚に上げ、頼むからおとなしくしていてくれ、俺を巻き込まないでくれ、そう願わずにはいられないのだった。

《続》




ペンネームについて
2001年12月01日(土)

たいしたことではありませんが・・・。
私のペンネームは「ちゃんちゃん☆」と言います。「☆」は記号であって、発音しません。
何だってこんな余計なものをくっつけるんだ、と思われるかもしれませんが、これ、人と区別するためのものなんですよねー。
「ちゃんちゃん」とは、いわゆる「THE END」の意味ですが、結構使ってる人が多いと思ったもので、念のためにとつけておいたのですが、どうやら正解のようです。「魔人」ではさすがに見かけないのですが、他のHPなどで見かけるんですよ、同じペンネームの方が(汗)。
覚え易く、他人と区別をつけやすいペンネームって、難しいものだなあ・・・。



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