moonshine  エミ




2003年02月28日(金)  渦の心

 会計伝票に埋もれた一日だった。しかし、伝票はけっこう好きだったりする。右と左がすっきり合っているのが、とっても気持ちよい。
 来月導入予定の新しいソフトに入れるデータを作っているのだが、検討部分が多いうえ、ソフトの実物をまだ触ったことがないのでわからないことだらけで、けっこう手間取っている。

 最近、昼ごはんがマンネリだ。最近に始まったことでもないのだが。必ずといっていいほど毎日お弁当を自分で作ってくる同期、つくづくエラいと思う。彼女は自分をエラいなんて全然思ってなくて、「慣れてるから。」と軽く言いそうだけどね。私も・・・とは思うが、朝これ以上早く起きるなんて! でも、朝の冷え込みもやわらいできたし、ねえ。

 昼休みは一日一度、気を使わないでいい同期と過ごせるリラックスタイム、お昼の時間が近づいてくると、ちょっと嬉しくなる。同期はみんなとてもいい子、他愛ない話をしても面白い。が、一石を投じたいと思うことがある私はイヤな奴だと思う。もっと刺激しあおうよ!と思うときがあるのだ。福留さん司会の番組内での、家計のやりくりにダメ出しされてる主婦、ひどい夫や姑のこれでもかという再現ドラマ、見たくない。繰り返される話題のいくつか、美容整形を否定する意見も電車や道端で見た挙動不審な人の報告にも、興味をもてない。こういうときは自分の友だちたちと比較してしまう。こんな話、しないよなあ。もっと、面白いものや楽しいこと、悩むべきことは、ほかにいろいろあるような気がするのになあ。そして、そんなことを考える自分に嫌悪感をもつ。何様のつもり?(BYナンシー関) でも、思うことは止められない。

 マーブルの昨日の日記を興味深く読む。私のリアクションや発言に、迂闊なものがあったかなーとか少し心配するけど、また来てね。という一言にちょっと安心。行くぞ、と心の中で確答。同じ時間を間違いなく楽しく過ごしても、いちいち口に出したりはしない部分、相手の心の中まで推し量れない部分というのは確かにある。それぞれの視点から書かれた日記を読むことで、わからなかった部分が見えてくることもある。もちろん日記だって、本心が100%書かれているわけではない。けれど、ネットってすごいな、楽しいな、と思う一つの瞬間。

 残業を終えて、帰る前に本屋に寄る。川島誠の短編集が出ているが、見送る。と、いうのも、森博嗣の新刊『ウェブ日記 レプリカの使途』を発見したのだ。私が愛用(これは大げさか・・・)している、福武国語辞典とほぼ同じサイズ。1,900円。高い・・・重くて読みにくそう・・・。買うかどうか、しばらく迷う。文庫になるまで、2年くらいかかるかな・・・。待ちたくない。でも、高い。しかし、1,900円じゃないか。グッチやヴィトンのバッグを買うのに比べたらかわいいもんじゃないか。仕事をして報酬も得ている。去年一年間読んだ中で最も感銘を受けたといってもいい作家の本を買うのを断念することはないじゃないか、ねえ。という結論を出して、買う。一緒に雑誌も一冊買った。お、重い・・・。しかし幸福な重み。

 今日も冗長な日記。つまらないね。でも、何か超マジになって書いてしまった。しかも時間もかかった。ああ、いま25時過ぎだ。もういいかげんにやめて本を読もう。そして寝よう。





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2003年02月27日(木)  宝箱

 仕事のあと、箱崎へ。
 今日は初めてマーブルのおうちに遊びに行く日だ。
 思ったよりも仕事が終わるのが遅く、少しの残業だけどヤキモキ。
 おうちは箱崎なので、ついでに(というと語弊があるが・・・)しんちゃんと会って、夕食を食べてから行くことにする。
 遠距離の予行演習のように、1月半ばからあんまり会ってない私たちだ。いや、予行演習っていうか、単にしん氏も何だかんだと忙しいから、というだけなのだが。

 箱崎の学生のスタミナ源、定食屋「ハロー」に久しぶりに行く。
 2年ぶりくらいか。まったく変わっていない、使い込まれて油でぎとぎとのようなメニュー。
 チキン2枚で税込500円というスペシャルメニューも変わらずあった。確か、新春特別!期間限定!みたいな触れ込みで始まったメニューだったと記憶しているが・・・。新春といっても、たぶん99年くらいだよ。よく食べたものだった。
 量で勝負のせっかくのハローなので、いっちょ、どかっと食べよう!とかつとじ定食を頼むも、二切れほど食べられずに残してしまう。腹ペコだったのに、これも年かしら。

 予定より遅くなってしまったが、しんちゃんと別れてマーブルのおうちへ。
 そこはまさに彼女の宝箱!
 彼女が好きで集めてきたものがたくさん。
 CD、レコード、MD、ミニチュア、本、絵本、画集、雑誌、数々のライブのフライヤーも。
 予想していたけど、すごかった。
 あのさ、雑誌で紹介されてる「おしゃれな部屋」って、妙にモノが少なくてすっきりしてるのが多くない? モノがあっても、見えないように工夫してあるとか、見せるものはごく一部、デザイン的な効果を狙ってるようなのとか。
 それって、確かにとてもおしゃれなんだけど、生活感がない感じって、
「へ〜おしゃれですね・・・・」と、私は何だか黙りがちな感想になってしまう。
 マーブルの部屋は、すごい。所狭しと、がんがん並んでる。汚いって意味じゃないよ、とにかくうわーっと、彼女の思いが感じられるように、たくさんの愛するものが前に出てる。こういう感じ、とても好き。

 90年くらいのくじらのビデオ(ジャンクもの)を見た。
 杉林さん、かわいい。若い、細い、クール。
「んも〜、きゃわいい!」なんて言いながらも、「このカメラワーク、ひどいよね! あたしが撮ったほうがよっぽどいいくらいだよ!」と突っ込むマーブル。
 やっぱり「ジャム」がかっこよかったな。
 
 部屋には楽器も豊富で、エレキギターにアコギ、ジャンベ、ボンゴ、オカリナまで出てきて、二人でぎゃはぎゃは笑いながら弾いたり叩いたりした。
 原マスミのライブ音源と、どんとのベストをダビングしてもらった。魚座のラジオ録音をもらうの、うっかり忘れてしまった。
 レコードやCDや本、いろいろ取り出して見て、帰るころには部屋にはいろんなものがそこらじゅうに散乱してた。うう、スマン。
 でも、かなり楽しかった。触発された。
 面白そうなものがたくさんあって、あの家なら一人で一日お留守番したって、あっという間に時間が過ぎるな。
 いや、留守番する必要なんてないんだけど・・・。
 じっくり漁りたいよマジで。





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2003年02月26日(水)  踊れ踊れ

 午後、おそらく塗料か何かのせいだろう、社内中にすさまじいシンナーの匂い。
 生半可じゃない。気が遠くなりそうだった。
「たまらんな、これは」
「なんか部長の指示も、聞いたそばから忘れそうやね」
「いま立って歩こうとしたら、多分よろけるな。脚にキてるよ」
「おまえ、平気そうやね。やっぱ免疫があるな」
「うん、なんか懐かしい感じ(←もちろん冗談ですよ)」
「ドア閉めてても匂うよね・・・えっ、いまこの席でも匂ってる? まさか幻覚?」
 なんて、どなたさまも、口をついて出るのはシンナーの話ばかり。
 こんなにフロアの人々の心が一つになったのは、いったいどれくらいぶりであろうか。
 圧巻は、隣の席の先輩(34歳男)だった。
「ダメだ、耐えられん! ちょっと、チョコレート買ってくる」
 ・・・かわいい。
 
 ハウステンボス、経営破たん。
 金融機関のはしくれである我が社、数日前に情報が入っていた。今朝のニュースでけっこう大きく取り上げられていて、「ああ、本当にきたんだな」と思う。3回行ったことがある。ハウステンボス。きれいなところだ。何が目玉というわけでもないが・・・。
 そういえば、夢の世界が大好きなマイケル・ジャクソンも来たことがあって、ハウステンボス内で撮った写真が、ところどころに飾ってあるのを見て興奮していた私だった。

 と、いうことで、三夜続けてマイケルのこと。(しつこいなーあたしも)
 今日、同僚の一人が
「ちょっと見たよ。整形が気持ち悪かった・・・」と言ってた。
 まあ、さもありなん、という感想だーねー。と、ちょっと寛容な心をもってみる。
 結局、あの日はスマスマも大きく引き離しての高視聴率だったらしい。
 これだよなあ。
 と、何だか納得したような気持ちになる。
 嫌悪、同情、反駁、憧憬。どういうものであれ、人に強烈な感想を持たせるマイケルの私生活、それであの番組は充分な役割を果たしたんだろう。
 なんにしたって、マイケルが私のスターであることに代わりはない。
 ・・・なんて、かく言う私も、マイケル熱が甦るのは、新しいアルバムが出たときとか、こういう強烈なゴシップの話題が出たときとか、そのほかでも一年にせいぜい、何度かだ。
 結局、あの番組に喚起させられたようなもんだ。
 マイケルは特別な存在だと、人々の心に刻みつける。
 ファンだって、思惑通りに踊らされてるんだな。
 でも、いい。
「同じアホなら踊らにゃソンソン」
(↑けっこう、このフレーズが好き。座右の銘とか書くとき、今度からこれにしようかな 笑)
 あの番組に、「やだ〜キモい〜」って負の感想を持つより、「それでも好きだもん!」て思えたほうが、楽しいような気がするよ。
 好きなものに入れ込めるほうが。

 マイケルに関するこんな特集を発見。読みふける。
 基本的に好意をもって書かれているけど、ミーハー色もそんなにないし、かといって専門的でもないし、音楽についてちゃんと書かれたいい記事だと思った。うんうん。
 リズム&ブルースやブラックミュージックを幼少からの根底に、
 スライ&ザファミリーストーンなどより多くのポップミュージックにも触れ、
 80年代には幾人ものギタリストとの共演でもわかるようにロックにも傾倒し、
 90年代に入ると「過剰なメロディよりもビート」と時流を見極める。
 まさに、マイケルはキング・オブ・ポップ。
 あー、今日のおやすみミュージックはマイケルに決定! 大決定!
 踊れ踊れ。人を躍らせることができる力の偉大さに、私はひれ伏す。

■更新情報
a day with camera。
重いなんて言わずにご覧くださいな。ね。ね。





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2003年02月25日(火)  のびのびさんたちと行こう

 昨日の日記に、マイケルのドキュメンタリーに対して過剰反応する人たちへの反論のようなことを書いているけど、今朝になって私の日記こそが過剰反応だったかも、と思った(笑)
 マイケルの奇行(いや、そりゃ奇行としか言いようがないよナ・・・)をあんな番組で見ても、好意的に受け止める人はちゃんといる。
 そういう人は、自分も何がしかの音楽を大好きな人だったりする。やっぱりアーティスティックな才能に溢れた変な人に慣れてるからかね。素晴らしい。
 いろんな感覚の人が周りにいることは仕方がないけど、自分の感覚はいつまでも伸び伸びともっていたいよ。そして、伸び伸びした感覚の人と、仲良くしていきたいもんだ、ほんとにね。
 自分と合わない人の発言や態度にいちいちイライラしたり物足りなく思うのは無駄かも。つい、反射的にイラっとしちゃうけどね。ほっとこ、ほっとこ。気持ちいいほうに流れていこう〜〜。

 と言うことで、最近の気持ちいいこと。
 ライブ音源!
 ボ・ガンボスにくじらと、15年くらい前のライブ音源をたて続けにいただく機会に恵まれて、もうもう、ボンボンバンといい気持ち。
 どちらも、演奏がさすがクール! 
 ピシャリと締まった演奏だけど、レコーディング音源とは違って、本人たちがすごくノってて楽しんでる感じが伝わってくる。シャウトとか、即興ぽいフレーズとか、短いMCや客の喚声も、何度も同じの聞いたって飽きなくて、耳がそこを待つ。そして「そう、これこれ!」というのが来た瞬間、こっちも昂揚する。
 聞くだけで楽しい気持ちにさせてくれるなんて、すごいよなあ。

 お給料をもらってから、安くてかわいい服や小物を買いました。
 安くてかわいいものって、何か、いたいけだよね。
 態度が大きくないから、ついつい
「うい奴じゃの〜こっちゃ来い、こっちゃ来い」
 とまるで悪代官のように引き寄せてしまうよ。
 高いものは質が高いんだけど、
「わたくし、それなりのものですからね。お高うございますよ、言っておきますけれど」
 と、澄ましてるような感じがあって、どうも親しみが湧かない。もちろん、それを征服して占有してやりたい、という願望が、物欲というものの奥底にはあるような気がしますが。

 幸田文の『雀の手帖』は、あと三分の一ほどか。少しずつ、大事に大事に読んでいる。
 何冊かを平行して読むことがよくあるのだけど、夕べは別のエッセイ集を読み終わった。いろーんな人が書いたものを一冊にまとめたもの、『司馬さんの大阪弁』 久しぶりに読み返したものだった。ちょっとした贅沢をしているような気持ちになる本だ。
 
 日もずいぶん長くなってきたよなーと感じる今日この頃、ぼちぼち本決算の準備が始まっている。
 2回目の本決算。何となく焦る。
 もっと勉強しなきゃ、と思う。自分から学ばなきゃ。
 実務をバックアップする勉強を。
 よし、久々に、寝る前の読書タイムに仕事関係の本を入れるか・・・!





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2003年02月24日(月)  彼は彼の人生で。

 米英でもえらく高い視聴率を取ったと言う、マイケル・ジャクソンのドキュメンタリーが今夜は日本で放送されたらしい。
 ちょうど10年前になりますか、グラミー賞で特別賞みたいなのを受賞して壇上でスピーチするマイケルと、その後に一挙5-6本流れた彼のPV(マイケルはこれをショート・フィルムと言ってるね。)を見て以来、私はマイケルのファンなのです。
 そういえば今日は、グラミー賞の発表があったね。いや話がずれそうなのでやめとこう。
 
 マイケルが奇人変人だからってさ、別にかまわない。
 一般人とかけ離れた声と才能を持ち、キャリアを積み、人生を送ってきた人がさ、
 一般人と感覚が違ったり、価値観、生活が違うって、そりゃそーだわね。
「いくらお金があっても、あんな人生って不幸よねえ」
「マイケルの子供に生まれてかわいそう」
 はいはいはい。言ってなさい。
 平凡だけど暖かい家庭、ささやかな暮らしの中の幸せ、それだってもちろん素晴らしいよ。私だって多分そんな人生を送るよ。
 でも、そんな人生だけが素晴らしい? ほかのものは認められない?
 あたしはマイケルの音楽を肯定してるから、音楽の背後に見え隠れする彼の人生の一部に、いちいちケチなんてつけないよ。
 それは、整形を肯定するとか、偏執的な子供愛を肯定するとかじゃないんだけど、なんていうのかな・・・マイケルはマイケルの人生を全うすればいいと思うのよ。愛すべき人生を、ね。
 もちろん、常人離れしたマイケルの生活に興味はあるけどさ。
 あんな趣味の悪そうな番組見て、チャチな優越感を感じたくはないな。

 今夜の「関口宏の東京フレンドパーク」、伊東四朗親子がゲストだったけど、どんどんクリアして金貨を取っていって、なんかすごかった。
 こういうときって、翌日の「伊東家」の視聴率は上がるんでしょうか。やっぱちょっとは上がるのかな。





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2003年02月23日(日)  なんか腑に落ちない・・・

 またたたたくまに、日付が変わってしまいそうです。
 今日は美容室へ行き、生まれて初めて(と大げさに言うほどでもないが)ストレートパーマをかけてみました。縮毛矯正ってやつです。
 疲れた。
 11時に予約して、終わったのが3時半。
 そりゃーお店の人はもっと疲れてるんだろうが、高いお金を払って、長い時間おんなじ姿勢を強いられて疲れて、なんかやっぱり美容室というものに一抹の空しさを感じてしまう私は、外見を磨くことにイマイチ情熱を注げない女。
 縮毛矯正の作業工程も初めて知った。
 液を塗りたくって、熱をあてて、水で流して、ほんの一筋ずつに念入りにアイロンをあてて、また何か違う液を塗りたくって、流して・・・。これだけやりゃー、そら髪も傷むわ。
 でも、毎晩毎朝のブローの手間がこれで省けるはず、と思うと嬉しい。
 そう、省力化のためにやったことなのだ。
 しかし、妙な疲れを感じて帰宅し、掃除とかしたらこれまた疲れて、横になってみたらうっかり3時間以上も寝てしまった。ああ、せっかくのお休みなのに、あれもこれもやりたかったのに、もうすっかりふてくされて、ドラマなんか見てしまった。
 初めて見た「GOOD LUCK!」、・・・・・・。
 なんかけっこう、グズグズな話やね。一時間が長く感じられた。かっこいい!かわいい!と思えるキャラもおらず。でも、柴咲コウの顔って、やっぱりすごいな。キレイっていうか、いやそりゃーモチロンきれいなんだけど、なんか、すごく強い顔をしてるよね。癒し系なんてクソくらえ!て感じのあの潔い顔つき、快感だわ。
 ゆうきちゃんと、やや長い電話。

■更新情報
トップページからお入りになり、
更新されたトップのコトバをご覧になり、
本屋さん「春秋の道連れ」の新刊をチェックなさって再びトップに戻り、
今度は写真日記をごらんください。
写真日記はサーバーが不安定なので、別ウインドウで開いていただけると、
イライラも抑えられるのではないかと存じます。

■WANTED!!
「オセロといえば、俺(わたし)!!」というアナタ。
トップページに住み着いている、私の小さなお友達ポンプクと、対決してみてください。
こいつがもー、強いんだ! 勝てない勝てない。
しかも、「エミ、考えたりない」とか言いやがって・・・・ヽ(`⌒´メ)ノ
どうかこの子をけちょんけちょんに負かしてみてください。
ボックスの下に「× ? ○」とありますが、
「?」を押すと近寄ってアナタに話しかけてきます。
「ゲームする」→「黒と白」を選んでスタートです。





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2003年02月22日(土)  おなかぱんぷくりん(ライブのお知らせ。)

 今日はお友だちのゆうきちゃんの誕生日。
 ゾロ目なので忘れません。おめでとう。

 天神にて、春物を物色。
 いいかな、と思うものもあるが、今日のところは何も買わず。
 姪浜へ移動し、シズラーッ子ありさ、よりちゃん、かなちゃんとマリノアシティ内のレストラン「イルフォルノ」へ。
 ここの支配人は、私たちが働いていたシズラーの元店長さん。
 “食べることの幸せ”を届けるサービスの達人だ。
 オーダーを決めるときも、みんなとても真摯。
 お店に対してこんなにも誠実であろうとするのって、さすがシズラーッ子。店員さんとのコミュニケーションの仕方も、さすがシズラーッ子。楽しい。
 マリノア風農園サラダ、明太子と博多茄子のピザ、チキンとキノコのオリーブオイルパスタ、日向若鶏の香草オーブン焼き、季節のリゾット、と食べる食べる。
 支配人が直々に特製カプチーノを入れてくれて、バナナケーキとプリンでデザート。
 いやー、ンまかった。
 おなか、ぱんぷくりん。

 ある話題のとき、友だちが私のこと、
「あんたは感情が豊かだからさ、そういうのは向いてないんじゃない?」
 と言ったのが、へー、と興味深かった。
 感情が豊か、かー。あんまり言われないかも。けっこう嬉しいかもしれない、仲のいい友だちがそう見てくれてると。

 最近ちょっと気に入ってるのが、小島麻由美の「人殺しのブルース」という曲。インストゥメンタルで、歌はないんだけど。
 映画とかで使われたらいいような、雰囲気のある曲。
 ナマオト感の少ないこういう曲って、あんまり、興味ひかれないほうなんだけどな。
 不思議。
 明日、福岡で彼女のライブがあります。行かないけど・・・。
 しかし、すごい題名よね。

 えー、それから、3月12日(水)に、相方のしん氏がやってるバンド「月詠」のライブがあります。しんちゃんは愛知に行くので、福岡ではこれが最後のライブになる模様。
 イベント名は「ミハラ出たサビ」
 しんちゃんの苗字と、「身から出たサビ」とを、かけているようです。
 このどう考えてもスマートじゃないネーミングが、「らしい」のだ。
 天神HEART BEATにて、チケットはしんちゃんが持ってる分なら500円。
 これはほんとね、身内のひいき目ってのも、そりゃーないこたぁないでしょうが、面白いバンドです。ファンキーな曲づくり、なかなかいいし、リズム隊がしっかりしてて、ボーカルもいいキャラで。
 対バンの目玉は、「Casting around」
 同じく九大のバンドで、昨年の秋に行われた「ハートビート主催 10万円争奪バトル」というイベントで見事に優勝してる実力派で、カッコイイ。小柄な女の子のドラムが、そりゃーうまいんですよ。
 福岡のみなさん、おいでください。興味をもったらワタクシまで。ハートビートのHPへも、リンクを貼っておきましょう。
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2003年02月21日(金)  ライブの木曜、にんにくの金曜、雨の土曜

■木曜日(20日)
 
プレアデスでライブを見る。

・岡林晃平 
キャラが立ってる。妙なテンション、独特の間合い。
MCの印象が演奏を凌駕するほどなので、ちょっとどうかと思ったが、
おもしろかった。
これは全然悪い意味じゃないけど、歌は普通なのだ。
毎日の中から生まれる、肯定的な感情を歌ってる。
客にメチャ高い音のコーラスを要求する「ミラーボール」という歌とか、口ずさめそうないい歌だった。
「あれは、芸です」と終了後言ってたので(笑)、あれはあれでいいんでしょうね。また見ても楽しめると思う。

・スタジオ☆スプートニク
どんな人たちかと思ったら、こちらも男の子ひとりの、弾き語りだった。
おとなしうまいギター、せつな甘い声も、けっこう好きな感じ。
やってた洋楽のカバー曲も、とてもいい感じ。
グズグズのMCも、かわいい感じ。
UFO BEAMを解雇されて一人になった、と開始早々のMCで言ってたけど、
私にとってはUFO BEAMよりいい曲やってた、と、思う。

・魚座
魚座! 念願の魚座!
ジャンバーをしっかり着込んで、マフラーまできつく首に巻いたままで歌い、弾く藤井くん。くぷぷ。
ちょっと今日は、バンドの音がでかすぎたのか、
藤井くんの声が聞こえずらく、歌詞が聞き取れない感じで残念。
魚座バンドは、重たい轟音と藤井くんの歌詞がそろわないと。
しかし、誰ひとり愛想のよくないこのバンド、素晴らしい。
ただ無心に音楽をやってる。狂いそうな音楽を。
会場中、圧倒されてた。
曲と曲の合間に、席の近い女の子たちが(初めて魚座を見たっぽい)
「すごいね」
「すごいね」
としきりに言ってたのが印象的。

<この日のセットリスト>
1.寺を燃やす(新曲)
2.カスタネット狂い
3.藍より青く
4.(俺の)春
5.どこにいるの?
6.夏の踊り子
7.夜の二人乗り

このタイトル見ただけで、「むむむっ」という感じがしませんか?
新曲、「寺を燃やす」って、アータ、もうもうもう・・・。
魚座についてはまたいずれ詳しく書く。
読みたくないと言われても、書く。
てゆーか、バンドで次に福岡に来るのが(彼ら、北九州のバンドなのね。)決まってないらしい。待ちきれん!

・MOVING FAST
ごめんなさい、キツかったです。
魚座のように、「音楽で何を表現したいか」ってことを、
すごく考えてやっているようなバンドのあとに見ると、
つくづく伝わるものと伝わらないものとの差について考えてしまった。
演奏も歌もMCも、どれも、がんばりましょう、という感じだったけど、
そういうのを6曲も7曲も聴くのは確かにつらいんだけど、
でも、最初ッからうまいバンドなんて、そうそうないわけだし・・・
「とにかくやろう! ヘタでも!」てパワーも大事なんだろうなーと思った。やらんと、うまくならんもんねー。

・ヤドカリ
今日のトリ。ギターとジャンベの、男の子二人組。
この日で5回目くらいだった、見るの。うん。好きなんです。
なんというか、
「からだ」を感じる音楽をする人たち。・・・ってわからないね。
以前に見たときの感想を読み返すと、「根源的」と書いてある。
芯がある音だから、こちらのからだにも直接響く感じがする。
若くて、無駄な肉がなくって、でも骨格がしっかりしていて、
よくしなる、よく伸びて力を出す筋肉がついていて、
そういう声と音。
シンプルな形態で、ゴテゴテ装飾なんてつけないストイックさ。
「生きてる人間、体があって歌えて、それって何てすばらしいことだ!」と、彼らを見るといつも思うのだ。

マーブルに、くじらのCD−RとMDをもらう。(ありがとう!)
マーブルには、私が焼いていった、デビッド・ボウイの「ジギースターダスト」を渡す。
(原題は、「The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars」
 と、言います。か、かっこいい。
 ジギーはボウイのこと、火星からきた蜘蛛ってのは、バンドの名前ね。
 ライズ アンド フォールは、「上がって落ちる」だけど、
 「現れて消える」とかってイメージかな?
 英語がわかんなくても、一枚を通していくと、
 まるで一つの映画を見たような気持ちになる
 ドラマティックなアルバムです)
まおちゃんというかわいい女の子と初めてしゃべる。
実は、以前からこっそり彼女のホームページを見てたので、会ってみたかったのだ。
・・・と、告白すると、さすがにびっくりしていた。
でも仲良くなれそう。よかった。
プレアデスを出て、マーブルとしゃべりながら歩く。
彼女は「失言」と言ってたけど、人間の心の中なんて、失言でいっぱいだ。
かわいくない気持ち、わがままな気持ち、嫉妬や冷たさ、
そういうのを全く出さない人って、人間的魅力、ないよね。
私のオーバーリアクションが、失言って思わせちゃったかいな、すまぬ(と、私信。)

家に帰り、前もって書いてあった「ラブリー」についての文章を日記にUPして寝る。

■金曜日(21日)
消費税申告のための、集計の、下準備。(←下働きの身分、エミ 笑)
仕事をしていると、ほんとに私って大雑把だな〜と思う。
もちろん、仕事と大雑把とは、相性よくない。
なおさなきゃな、と思いつつ、大雑把な人を見るととても嬉しくなる。

会社の先輩と飲みに行く。
やっぱ、金曜の夜って、予約しないとダメだね。
2軒満席で、しかたなく「天狗」に行く。
金曜の夜に女三人で、天狗で空席待ちする姿は・・・かっこわるい。
けど、自虐的な笑いに包まれ、けっこう楽しく待つ。
10分余り待って、座敷に通される。
注文一回目から、
「にんにんくとねぎのチャーハン」とか
「ねぎとろ巻き」とか
「ソース焼きそば」とか
「餃子(にんにく入り)」とかを頼むOL3人。
注文2回目では、
「ガーリックトースト」
「温奴」
「冷奴」(意見を統一できなかった。)
そして予約が入っているとかで、2時間で追い出される。まだ9時半だ。
駅の喫茶店に場所を移す。喫茶店だからって、飲むのは酒と決まってる。
ほろ酔って、帰宅。
日記は書かず、寝る。

■土曜日(22日)
いま。
外は真っ暗、雨が降り出しそう。これから外出です。





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2003年02月20日(木)  あなたはラブリーをいくつお持ち?

 ・・・・・・・・。
(昨日の日記を読み返して。
 なーんであんなに怒っとるんやろ? あほやなぁ。
 でも、ああいう怒りって、時々ふいに込み上げてくる・・・)

 今日は、仕事のあとプレアデスでライブを見た。
 楽しみに楽しみにしていた魚座を見られた! すごくすごくすごくうれしかった。
 しかし、その感想は明日かあさって書くとして、ここからラブリーの話をば。

 きのう(水曜日)、ダウンタウンセブンでこんなことを主張する素人さんが出てきた。
「頭が薄い人のこと、ハゲと呼ばずにブルースと呼ぼう」
 ハゲ、という言葉のマイナスイメージを払拭するための提案で、
 ブルース・ウイリスからきているらしい。
 ははは、と時々笑いながら見つつ、キュンと胸を突かれるように甘く思い出した。

 「今後はホクロをラブリーと呼ぶ」

 はっとした方、あなたは95年ごろ、小沢くん(小沢健二)がかなり好きだったに違いない。
 世間ではオザケンなんて「犬かよ!」と突っ込みたくなるような通り名がまかり通っていたけれど、
(いや、確かに彼、通称『犬』というアルバムを出してるが・・・)
 ああいう呼び方って、どうも「商品」て感じがするので、
 私はちゃーんと「小沢くん」または親しみをこめて「小沢」って呼んでました。

 彼はそのころ、友だちのスチャダラパーと一緒にオールナイトニッポン(しかも第二部だったと思う)をやってた。
 毎週二時間も、彼のおしゃべりやおすすめの歌が聴けたんだもんね! 夢のような数ヶ月だったよ。
 しかも、一人でマイクに向かってしゃべるんじゃないから、
「ほえー小沢くん、素のとき、友だちとこういうふうにしゃべるんだー」
 って乙女(私のことよ。)の胸はキュンキュンしてた。
 ええ、毎週、テープに全部ダビングしながら聞いてましたよ。大半、捨てちゃったけど・・・(バカバカー、とっときゃよかったよー)

 ああ、好きなことに対しては、前振りも長くなっちゃうね。

 で、小沢くんがオールナイトニッポンのオンエア中に読んだ詩が、「ホクロをラブリーと呼ぶ」というやつ。
(たぶん、このラジオ番組のコーナーのために作った詩だったみたいだけど、
 小沢くん自身たいそう気に入ったようで、のちに雑誌「オリーブ」の連載にも載せていた)

 一挙、全文引用!(ごめんなさい)
 こういうものが検索できちゃうから、ネットって便利だなあ。そして著作権を侵害・・・?

◆◆◆◆◆
  今後はホクロをラブリーと呼ぶ
  これからは
  ホクロのことは
  ラブリーって呼ぶことにするよ

  そしたらね
  例えばね

  刑事が犯人を追っていて
  無線にむかって叫ぶンだ
 「手配中の犯人は
  40歳前後
  中肉中背で
  緑色のジャケットを着ている
  特徴は
  左頬のラブリーだ!」

  そう叫んでいる
  ベテラン刑事の肩の上にラブリー
  無線を受けて
  汗をかいて走る若い刑事の
  二の腕にラブリー

  ラブリーをもって生まれた子は
  だいたい子供の頃はラブリーが嫌いで
  鏡をじっと見ては
 「無くなっちまわないカナ」
  って思うのさ

  或いは
  ラブリーの位置が気に入らなかったり
  他人のラブリーを羨んでみたり
  もちろん中には
  最初っから
  自分のラブリーが好きな人もいるのさ

  ねえ、仔猫ちゃん?
  もう僕の言ってること
  分かんなくちゃいけないよ
◆◆◆◆◆

 ここの仔猫ちゃん(私のことよ。)は、
 彼の言ってることが、100パーまで理解できてなかったりするのですが。
 うーん、やっぱり、“LIFE IS A SHOWTIME”(小沢くんの『ラブリー』って歌に出てくるフレーズです)ってことでいいのかな?
 ソロになってからいろんな音楽をやってきた小沢くんだけど、メッセージの根っこはいつもひとつ。
 生きる喜び、愛する喜びだ。
 あなたが持ってるのはホクロじゃない、ラブリーなのだ。
 ラブリーを身に、生きてるんだよ。君も。私も。あの子もね。

 私は、生まれてきたときはラブリーを持ってなかったんじゃないかな。
 でも、大人になるにしたがって、ひとつ、ふたつ、できてきた。
 たぶん私の彼しか知らない、まだ目立たない、小さなラブリー。

■更新情報
こないだ日記に書いた、渡せなかったチョコの写真
サーバーが重めですので、気長に表示までお待ちくださいませ・・・。





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2003年02月19日(水)  情報は自分の歯で

 咀嚼、という言葉、好きだ。

 朝はだいたい「めざましテレビ」をつけている。
 ニュースVTRのあとの大塚アナのコメントが、常に紋切り型でうすっぺら〜いのでそのたびにイラッとしてしまう。
 朝は視聴者も忙しいので、ひとつのニュースに割く時間をとても短く設定してあり、そのためにコメントもあんまり突っ込んだことは言えないって訳なんだろうと思うけれど、それにしてもセンスが感じられない・・・。
 でも、大塚アナ、ずっとやってるからね〜、あの番組。人気あるんかね。
 確かに、雰囲気はとてもいいのよ。
 やっぱり、毒にも薬にも・・・ていう無難な感じが朝にはちょうどいいのかな。

 市川新之助の隠し子騒動。
 全部じゃないけど、記者会見を見た。
 態度がふてぶてしい、反省の意が感じられない、という批判も多いらしい。
 そう言ってる人は、何に対する反省を求めてるんだろう?
 軽率に子供をつくったことに対する反省?
 子供をつくっておきながら、結婚しないことに対する反省? 
 どういう状況で子供ができたのかはわからない。彼は本当はすごく反省してるのかもしれない。母親や、生まれてきた子供に対して。それを記者会見で見せる必要は特にないと思う。
 伝統芸能の担い手という責任ある立場にありながら、不祥事を起こしたことに対する反省?
 歌舞伎は世の中にある、ありとあらゆる職業のひとつなんだし、「歌舞伎やってるくせに」なんて批判の仕方はおかしいと思うけど。じゃあ普通のサラリーマンだったら反省の量は少なくていいんだろうか? 予期せぬ一つの命が生まれてきたのは、まったく一緒だよ。彼をCMに起用しているスポンサーや、後援してる人々への謝罪は、しっかりするべきなんだろうけどさ。それは、視聴者に見える必要はないし。
 認知して、金さえ払えばいいと思ってるのか、って?
 結婚できない以上、それが彼にできる最大のことなんじゃないの?
 なんかさ、別に新之助ファンじゃないし、彼を庇いたいわけじゃないんだけど、こういう事件(事件じゃないけど)が起きたときのマスコミの反応ってほんと、いやなんだよね。
「あんたら、そんなに清廉潔白な人生送ってるんですか?」って言いたくなる。芸能人って、一般の人間とそんなに違うの? 失敗もあるさ、恋愛だってするさ、恋愛なんて、傷つきあうのは当たり前じゃないか。
 分別くさい一般論で、庶民の声を代弁してますって顔するのはやめてほしいよ。
 まあ、芸能人とマスコミとは持ちつ持たれつなんだろうけどね。「武蔵」だって、今週の視聴率、良かったみたいだし。

 先週末だったか、日経新聞の確か「経済教室」という欄で(私はこのコーナーがけっこう好き)、イラク情勢を長期の経済的・地政学的観点を交えて論じている文章があって、印象深かった。
 大学のときに、地政学の講義を一年間受けて、それもすごく面白かった記憶がある。
 ブッシュもフセインもシラクもプーチンも、それぞれに自分の政権を守り、自国の利益を追求したいという短期的目標があるだろう。でも、産業革命以来、長期的スパンで世界が動いている、という側面もある。長い目で見れば、好況と不況、インフレとデフレのサイクルを繰り返すのは当たり前のこと。覇権は100年ごとに動く。覇権時代の終焉にさしかかっているアメリカ。
 
 きのう夜、「ゴーガイ」だっけ? 小倉さんとオセロの一人でやってる番組、あれでもイラク情勢をとりあげていた。
『石油』というキーワードを中心にしたシンプルな構成、それはそれでおもしろかったんだけど、ゴールデンタイムだし小中学生とかが見る分にはいいんだけど、あれを大人が鵜呑みにしちゃー、やっぱりいけないなーと、思ってしまう。あの番組。(でも、日本はどうするべきか?て問題提起をちゃんとしてたので嬉しかった。)
 もちろん、番組で言ってることも一つの側面としてあるのだろう。
 でも、「その側面が一番大事!(あるいはその側面のみ!)」て感じの作り方をしてるもんなー。先週、「トヨタはなぜ勝ち組なのか?!」という特集を見たときも思った。一面的、断言しすぎ。
 夜ご飯でも食べながら、堅苦しくなく見せるために、ああやってんだろうけど。
 アレを見て「へーそーなんだー」と分かった気にはなりたくない。ま、ならないか、誰も・・・。いや、なる恐れあるよ。

 物事には、いろんなところから光をあてないと。
 どんなことだって、理由はひとつじゃない。
 見えない部分がいっぱいある、ってことを忘れないでいようよ。
 情報を、ただ何となく受容するだけってのはいやだ。
 訳知り顔のコメンテーターの結論で分かった気になっちゃだめだ。
 興味を持ったなら、もっと考えようよ。もっと知ろうとしようよ。すぐに行き止まりにしちゃわないで。闇雲に批判するってんじゃない。自分なりの感想をもって、それをいつでも必要なときに修正できるようにしておこうよ。自分の歯で噛み砕いて。

■更新情報
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2003年02月18日(火)  古代熱いっきに

 珍しくエンピツのシステムに不具合が起きているようだ。いまごろ、スタッフが復旧に往生しているのだろうか。
 登録してるみなさんの更新状況が一目でわかんない今の状態、すっごく寂しいんですけど。
 マイエンピツって、すごく便利な機能なんだなあ。依存。

 寝不足だ。
 昨日、一昨日と、黒岩重吾の『斑鳩宮始末記』(文春文庫)があまりに面白いので遅くまで読みふけってしまった。読了。
 厩戸王子(聖徳太子のことね。)に使える下級役人、調首子麻呂の、古代捕物帳。死体も生き生きしている、という妙に面白い表現が解説にあったがまさに! 
 久々に古代熱がどどーんと湧き上がってきたぞ!

 これまでに夢中になった古代を舞台にした本は、
・小学校『天上の虹』(大化の改新〜持統天皇)
・中学校〜高校『銀の海 金の大地』(邪馬台国と大和朝廷の間の時期)
・高校〜大学 宮城谷昌光の中国古代小説各種
・大学『日出処王子』(聖徳太子)
 などだ。あら、少女向けが多いね。
 天上の虹がまだ完結してないことに最近気づいてびっくりした。

 黒岩重吾はほかにもいろいろ古代を舞台にした小説を書いている様子。
 今日も本屋で発見したが、ぐっとガマンしてみた。
 インプットはネタが尽きることがなく、いつでも楽しい。でも、時間は限られている、出すこともしないと・・・。

 今日は忙しそうな周囲を尻目に、さっさと定時で上がってしまった。ちょっと後ろめたかった。
 明日はがんばろうさね。





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2003年02月17日(月)  あゝはるかなりふつかつのちよこ

 いろんなサイトを見てると、14日には何かしらバレンタインについて触れてあるものが多かった。
 私のところは・・・とび職と汚れた手と本とCDと友だちの話かぁ。
 行事に不熱心。
 実はこの日に、相方へのチョコレートを買っていたのだった。
 義理より本命をあとで買う奴。不熱心。
 こういう世間的なイベントって、“せっかくだから、ちょっと乗っかって楽しむか”くらいの気楽さで臨むのが好きで、ここぞとがんばるのは当人たちにとって本当に意味のあるイベントのときでいいんじゃないかと思ってる。
 ここぞの意味があるとき、私らで言うと、それはたとえば2年前の日田旅行。いやーこのときは、がんばった。かなりきらきらしい思い出だ。

 相棒しんちゃんへのチョコレートを買うに際し、ポイントは三つ。
「国産、簡易包装、余計なものナシ」
 彼はお菓子にうるさくは全然ないので、クセを感じない慣れた国産の味がよかろう。
 かわいいラッピングなんかでアピールする必要はゼロ。空き箱を捨てていいものかどうか迷うような立派な包装は、むしろ邪魔だろう。
 ボンボンとか入った凝ったものより、シンプルなものが好きだろう。
 こういうわけです。

 当日でもチョコ売り場は芋を洗うような(エ、この比喩なんか違います?)人だかり。
 ひととおり、ぐるっと見てまわって、マヌカンピスの石畳チョコレートに決定。600円なり。
 外国のタバコのような箱のデザインの感じが気に入りました。
 1000円のだと、箱が大きくなっちゃってタバコに見えないんです。
(タバコに見せる必要はないのだけど・・・
 タバコのソフトケースって、黄金比でしょ。あの美しい形を、私もしんちゃんも愛しているのだ)
 
 で、土曜日に遊ぶ約束をしてたので、一日遅れだけどまあいっか、ほいっ、と手渡した。

 ・・・と、なる予定だったが、家に忘れてきてしまった。
 主に中落ちカルビでいっぱいになったお腹を抱え、しん邸に帰る途中、
「あ゛〜っ 忘れた!」
 と気づく。
 熱心でなくても、人のために買ったものをタイムリーに渡せないとなると、それはそれでショックである。
「ま、いいんじゃない? 食べりィ」
 と、ニコニコ笑って(こちらもバレンタインに思い入れのなさそうな)しんちゃん。
 なので素直に自分で食べました。ウマッ。

 そういえば、去年もしんちゃんにチョコレートをあげてなかったことを思い出した。
 それも、
「なんか会社の人に、義理チョコば、やらないかんごたぁ。
 私一人で、8人分買わないかんけん、今月ピンチやん。
 悪いけどしんちゃんの分、買う余裕ないけん。」
 という、やる気なさすぎな理由で・・・。
 しんちゃんは特に不服そうでもなく。たぶん強がりじゃなくて、本当に不服そうでもなく。

 あっ、いま去年の日記を読み返したら、
『来年も付き合ってたら、またチョコは復活するから、ガマンしてね』
 などと書いている・・・。
 ら、来年こそは。

 しかし、そんな二人にもかわいい時期というのはあったもんで、付き合って一年目のときは、しんちゃんがキャンディーをお返しにくれたのをよーく覚えてる。
 ハンドメイドだった。
 といっても、もちろんキャンディーを手作りしたわけではないが、ラッピングがね。
 切れたギターの弦で封がしてあった。袋には雑誌の切抜きがかわいく貼ってあった(笑) うう、なんていい奴だ。
 ちなみにキャンディーは4つくらいしか入ってなかった。市販のものを一袋買って、残りは自分で食べたらしい。うう、好きだ、しんちゃんのそんなところがたまらない。





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2003年02月16日(日)  moonshine (a part of my life)

 日記のタイトル、「moonshine」には、英和辞典を引いてもらったらわかるように“くだらない戯言”という意味がある。
 ひそやかで、日によって明るくも暗くも、あたたかくも冷たくも感じる月の光のようなイメージもして、けっこう気に入っている。
 
 そんな感じでネット上で日記を書き始めて、おお! 2年以上になる。
 飽きることなく、頻度も落ちず、しつこく続いている。
 読んでくれている人は、この「エンピツ」サイトのリンクを辿って来てくれた人など、大部分がネット上でのみ私を知っている人だが、最近は恥ずかしさという美しい気持ちもなくなってきたのか、オフラインでの友だちにもこんなHPの存在を教えることがある。
 そこで時々言われる言葉。

『セキララだね〜、日常とか、考えてることをさらけだすの、恥ずかしくない?』
 はい、恥ずかしいです。
 毎晩、そのときの気持ちをバババと書いて、寝かせることもなくエイッとアップロードしているのだから、しばらく経って読み返すと、
「・・・あー、何書いてんだろーね、あたしゃ」
 と赤くなったり青くなったりすることは、ある。
 でも、私がハナウタ混じりにパッパと書いてる日の文も、パソコンの前で、あーうーと唸りながら熱く書いてる日の文も、
 読んでいる人のその日のテンションで、さらりと読まれているものだと思う。けっこう長文の日もあるし、偏った話題の日もあるから、興味をもってくれたところだけ、ちろっと読んでくれていることでしょう。
 あまり過剰に恥ずかしがる自意識のほうが恥ずかしいものだと、最近では開き直っております。
 もちろん、信頼できる友達にしか、教えてないけど。

 あるいは。
『ネットだと、誰が読むかわかんないから、普通の日記みたいに本音を書けないでしょ?』
 はい、その通りです。
 仕事のこと、友だちのこと、家族のこと・・・守秘義務やプライバシーには気を遣っているつもりです。
 そのため、ぼかして書いているところ、書けない部分は確かにある。
 でもそれが、自分にとっての日記の価値を下げているとは思っていない。
 日々の出来事を実名入りで、思うさま綴りたいならノートに書けばいい。
 でも、そういういわゆる『普通の日記』と、このネット上の日記と、「どっちが日記らしい」「どっちが日記として正しい」なんて、決める必要は全然ない。
 定義づけなんてする必要が、どうしてあるだろう?

 毎日、それなりに忙しく面白く、悩みながら、過ごしてる。
 その記録だ。
 誰かのためにやってることじゃない。書かなきゃいけない何の義務もない。
 書こうという意志は、まったく誰に縛られたものでもない。
 でも、書くことは楽しく、この日記は、いつの間にか私の生活の一部になっている。
「今日も、疲れたなあ。ムカつくこともあったし・・・。
 まあ、日記でも書くか。
 ポンポンポン(キーボードを打つ音)、はい、今日もおしまい。
 ちょこっと本でも読んで、さーお休み〜。明日も仕事だぁ」
 こんな具合、毎日。

 読んでくれる人がいる。素直にうれしい。
「エンピツ」以前に書いていた初期の日記と、今とを比べると、やっぱり今の日記のほうが多少、面白い気がする。
“ほかの誰かが読む”という前提があるから、日記なんて所詮、個人的な意見の垂れ流しではあるけど、ちょっとはわかりやすく、意味不明の書き方はしないようにと、やっぱり自室のノートに書くのとは違う書き方をしている。
 自分の文章を上手いとはまだ思えないけれど、もっといい文章が書けるようになりたいと思うなら、何より書き続けることだ。
 読んでくれる人というのは、書き続ける動機という点で、すごく支えになる。感想をくれる人なんて、もう神サマみたいだ(笑)。
 
 掲示板に書き込みとか、メールとか、いろいろもらってきたけど、中でもびっくりしたのは
「人生経験豊富な印象。特に男性に対する優しくて寛大な眼差しが」
 という感想だなあ。これは相棒・しん氏について書いてることを、指してるんだろうか?
 そっかー、あたしって寛大なんだ!と調子に乗りかけたけど(こういうメデタイ性格だ。)、
 よく考えたら、ナイナイ尽くしでも何も求めない、という、いつの間にかできあがってた二人の暗黙の方針が私たちの長続きのミソ。
 しんちゃんという人は、それこそ誰に対しても、寛大といえばものすごく寛大なのだった・・・・。
 
 私が感想を書いてた本とか映画とかを、読んでみたよ、見てみたよ、読みたくなったよ、という人が時々いるのもとてもうれしい。
 こんな日記が、読んでいる人にとって、時々でも何か小さな扉になるなんて、すごいことだよなぁと思う。
 
 今後も欲求の続く限り、てくてく書く道を歩きます。





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2003年02月15日(土)  中落ち道

 土曜日、焼肉の「牛角」が安いという情報をキャッチ。
 この日は、いつもの「御島」で、あったかおいしいちゃんこ鍋を食しようと話していたのだが、

エミ「でも、牛角、安いらしいよ。
   (ネットでHPを検索し)
   ほらっ、生ビール一杯目、98円! 
   カルビ中落198円!! どうする?!」
しん「よし、行こう! そうと決まったらすぐ行こう!
   もう遅いかもしれんけど、とにかく行こう!」

 しん邸目の前にある正門から大学の構内を突っ切り、昨日テレビでやってた「もののけ姫」の話、なぜか『宇宙戦艦ヤマト』の歌を口ずさんだりしながら、牛角へ出陣。
 5組ほど、先に待っていた。携帯の番号を告げて、電話がかかってくるまでドン・キホーテで時間をつぶす。

 20分ほど待って、肉にありついた。
 ぐいっとビールを飲み、値下がり中のカルビ中落ちと、タン塩を中心に食べた。
 いやはや、おいしいじゃないの。それに店員さんがみんな優しい。
 中落ちなんて、いい大人・グルメな人には、食べてらんないかもしれないけどさ。
 多少質が落ちても、安いものをガツガツおいしく食べられる相手って、貴重で楽しいと思うよ。
 もちろん、こじゃれたお店は好き。
 でも、おしゃれなお店、おしゃれな食事でないと楽しめない、心の貧しい人間にはなりたくないよなー。

 しん邸に帰って、ビールを飲みながら、11月にあった学園祭のライブビデオを見た。
 最初の、真冬の浸水ロケを含めたミニドラマの徹底したアホさもまた、素晴らし。
 めがねうら、casting aroundなど、やっぱり上手くて曲がいい。テリオット、完成されている。
 そして、ねじ式だ! バンドが控えめに演奏する中、ボーカルは椅子に座ってひたすらに彼が書いたのだろう奇妙な文章を延々と朗読。
「目の前には三角形がおりました・・・・」
「一点は正論! 一点は詭弁! そしてもう一点は隠された真実!!」
「一点は愛情! 一点は嫌悪! そしてもう一点は性行為!!」 
(↑朗読である)
 サビでは、ギターとベースが楽器を置き(アリかよ)、
「まるまる、さんかく、しっかっく〜」というボーカルの声に合わせて二人、手をつなぎ丸と三角と四角をつくる。
 あげくのはてに食パン(四角)を投げる投げる! シュールや。アホや。けっこう好きや。

 しん氏のバンドはもちろん贔屓目というものがあるので、見てていちばん面白い。でも、二つともいいバンドだったなあ、ほんと。
 しんちゃんのギター、かっこいーのでもっといろんな人に見て欲しかったという気もする。巻き戻して二回、見た。

 しんちゃん、私が最近ボ・ガンボスに夢中なのをしっているので、「夢の中」の耳コピなど、少しやってくれていた。
 印象的なピアノのイントロを、ギターにアレンジして弾いてくれる。コード進行、少し教えてもらった。わーい。 





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2003年02月14日(金)  汚す手、大きく、いさぎよく

 ここしばらく、会社のビルではとび職人さんたちが仕事をしている。
 当然だがこの人たちはすごい。高いところに足場を組んで、ひょいひょいと渡っていく。
 違うフロアに行くときに外の階段を上り下りすると、彼らの仕事ぶりが生で見られる。すごい。なんとなく、おごそかな気持ちになる。
 いつも危険と隣り合わせだ。彼らにとってはそれが日常だろうから、いちいち意識したりしないのかもしれないけど、やっぱり心の奥底の、仕事に向かう姿勢、そして生き方にまで関わっちゃうような心の持ちようが、私たちとはきっと違うんだろうなあ、なんて漠然と思う。
 どんな職業がエラいなんて言う気は勿論ないけれど。
 自分の体そのものを武器に働く人たちは、危険に晒されているから刹那的な生活、いわゆるその日暮らしとかになりがちだったりするのかもしれない。
 でも彼らは、私にはとても潔く見える。
 
 危険を冒すというほかにも、やっぱり仕事って、「どれだけ手を汚すか」って部分があるように思う。
 趣味と違ってそこが辛いし、でもそこに意志とか良識とか、省みて恥じて、なお卑屈にならない心とかがあれば、うんとかっこいくなれる可能性がある・・・と思う。
 
 半月と少しメインでやっていた業務、今日こちらからのアクションを投函した。今後は先方たちのリアクションを待って、調整していく。
 これまでのメモを、来年の自分のためにまとめた。来年、自分が担当するかどうか分からないけど。注意点とかこうすればよかったとか、綴り始めるとなんとなく筆が(キーボードを打つ指が・・・)乗って、ついつい細かく記してしまって、
「何年か経ったら、こんなことたいした業務だとも思わなくなるんだろうけど、なんだか2週間いろいろあったなー。いろいろ、やったなー。」
 なんて、少しだけ感慨深かった。
 かっこ悪いこともいくつかやった。手を汚す、には至らなくても。
 周りの人が、いろいろ手を汚してくれた。頭、上がらないな。

 それで何だかほっとして、久々な気がする、一人でのんびりの寄り道。
 交通センタービルに入っている紀伊国屋と新星堂に行く。
 
 古典みたいな海外の推理小説を読みたいなぁと少し前から思っていて、
 レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』とか、エラリー・クイーンの『Xの悲劇』とか、いろいろ見てはいるんだけど、どうにも手ごわそうでちょっと手が出せない。それに、翻訳モノって、ほんと高いよね!
 で、何となく直感で、ピーター・ラヴセイという人(多分有名。)のミステリを買った。『殿下と騎手』(ハヤカワ・ミステリ文庫)。面白そうだ。
 それから、江戸時代の生活や風俗について図解なんかも含めて面白く紹介している本も、前から気になっているんだけど、これまたけっこう高かったりして。(高いっていっても1000円以下だけど・・・私って・・・・)
 こちらは、先月文庫化されてからちょっと狙ってた、『斑鳩宮始末記』(黒岩重吾 文春文庫)を購入。って、全然江戸じゃないやん! 聖徳太子の時代だ!

 新星堂の並べ方はけっこう好きで、ちょくちょく、面白く見回っている。 エイジアン・ダブ・ファウンデーションの新譜とか、フー・ファイターズの企画盤とか、小島麻由美とか、触手の動くもの、気になってたものをイロイロ、じっくり試聴してたら、店員さんに肩を叩かれた。
「すみません、そろそろ閉店の時間になってますので・・・」
 8時を過ぎていた。
 
 ひとり恥ずかしくエスカレータを下って、バスセンターをとぼとぼ歩いて博多駅に向かっていると、大学のときの友人、りょうまくんがバスを待っている。お、と嬉しくなり少し話してたら、すぐバスが来てしまった。これから、仕事のために移動するとのこと。そっか、ラジオだ。
 10月に会って以来だった。彼はその間に結婚した。
 うーむ、と静かに心の中で唸りながら、ホームまで歩く。彼、確たる考えをもってる感じの人で、自分で決めたことに向かっていく力がすごい。と、前から思っていたけど、何だか今日は、りょうま氏がますますキリリと大きく、仕事人に見えた。
 なんか最近、学生時代からの友だちのこと、「しなやかだな〜」って思うことが多いな。みんな、それぞれ悩んでるけど。

 そして電車に乗り込んで、幸田文『雀の手帖』の続きを読んだ。





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2003年02月13日(木)  恋よ来い来い

 昨日のことになるが、男性社員と仕事の話をしていた。二人とも立って、ひとつの資料を見ながら。つまり、肩がさわるくらい近づいていた。
 すると、多分吸ったばかりだったのだろう、背広から、煙草の匂いがした。
 匂い。
 匂いというのは、視覚や聴覚よりももっと、ある意味リアルな感覚だと思う。体・本能というものに、ダイレクトに入ってくる、というか。テレビも本も、匂いは伝えない。
 さて、彼の煙草の匂いを嗅いだとき、二つの歌を思い出した。とても有名な歌です。これを読んでいるあなたも、いま、思い浮かんだんじゃないでしょうか。

♪煙草の匂いのシャツに そっと 寄り添うから 『赤いスイトピー』

♪最後のkissは 煙草のflavorがした 『First Love』

 そう、煙草の匂いというのは(註:オジサン臭の混ざらない場合に限る)、女の子が大人の男を感じるものの比喩として用いられてきた。ちょっと苦いところがまた、これまで知らない世界を背伸びして見るような気持ちにさせたりして。

 もちろん、私はタバコに「あっ、大人の香り・・・」なんてキュンとしちゃうようなかわいいお年頃では当然なく、件の男性社員も毎日毎日顔を付き合わせている人、しかも二人の子持ちのパパで、何のときめきようもありゃせんのだけれど、この、“匂いがわかる距離”まで近づくというのは、何だかポイントだなー、と思った。
 これがお互いに独身で、恋人募集中で、お互いのことを憎からず思っていて、煙草の匂いがわかるくらいに接近しても話が弾むようだったら、恋に発展する可能性は低くない。特に、非喫煙者の女の子が、煙草のほのかな匂いを感じてもそれが不快でなければ、相手に対して好意は抱いているといっていいかもしんない。

 そして、好意を恋に発展させるきっかけは、合意である場合が多いと思う。「この人、私を好きなのかも」「俺を好きなのかも」お互いがそう思ったら、ボンッ!と点火する。「運命の人」同士で付き合っているカップルなんてそう多くない。決してマイナスの意味ではなく、ずっと私はそう思ってきた。 
 大人には長い片思いをしている人はあまり多くない。相棒がいない人の多くは、「好きな人が特にいない」という状態。それは好意が合意に達する機会がなかなかないから、という気がする。「昔の人が忘れられない」という場合もけっこうあるが、それだって、一度合意に達したことがある人のことを想ってるんですからね。

 合意を確かめる方法は、大人にはいろいろある。何より体に聞く合意(これは何もセックスそのものだけ、を指しているのではなく、先ほどの“その人の匂いがイヤじゃない”とかそういう、本能的な感覚のことも含みます。)が一番手っ取り早く、まずは確実のように思われるものだろう。それが得意な人も苦手な人もいる。得意な人は、「お付き合い」に至るのはけっこう早い。どれくらいの合意でお付き合いまで至るかは、もちろん個人差がある。
 いったん確かめ合った「合意」について、大人はたいてい誠実であろうとする。でも、何もかもについて合意して付き合い始めるのはほぼ不可能なので、すれちがいは必ず起きる。
 どこまで合意を求めるか、も、その人しだい。合意できない部分を交渉しあうのが自然よね。それは妥協ではない。歩み寄りだと思う。

 これが完全にして絶対唯一の論なんて、もちろん思ってません。
 私自身は恋の始まりのとき、その合意に酔うタイプです。そりゃあ一生懸命になっちゃう。
「恋なんて、説明できないよ」
「楽しいと思えばそれでいいんだよ」
 ええ、その通り。
 こんなこと考えたって、なんの役にも立ちゃしない。
 でも、こんな愚にもつかないことを、つらつら考えちゃうのが私の性分で、ただちょっと考えたことを書きたかっただけ。人間には体がある。そして心がある。二つは作用しあっている。

 今日は「うたばん」でヒッキーを見ようと思っていたのに、その時間だって会社にいた。ちぇ。慌てて家に電話して録画を頼んだよ。
 でも、ひと段落ついた。この2週間ほど、ほんと疲れた。明日は軽めに流しましょう。





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2003年02月12日(水)  ときどき笑う

 今、会社では年に一度の業務を中心にやっていて、私は今年初めてそれを担当している。去年までの担当者の人は、夏に県外のグループ会社に転籍してしまった。
 まったく忙しい。朝からバタバタ。大量の書類の読みあわせをして、「ゼロ、ゼロ、ゼロ・・・」とひたすら数字を音読していると、けっこう割舌はいいほうだと自負しているのにさすがに噛み噛みになってしまって、時間に追われて焦りつつもおかしい。
 最近、部署の先輩(というより上司と言っていいかもしれない)が新しい携帯電話を買ったのを機に、メールアドレスを交換して、たまにメールのやりとりをしている。
 昼休みに携帯をチェックすると、外出先のその先輩から『最近、どうも仕事にやる気がなくて、放任しててごめんなさい』うんぬん、などというようなメールが入っていた。
 こちらは「最近、この業務関連で、彼にますます世話をかけてて悪いな〜」なんて思っていたというのに。ちょっと笑って、元気が出た。
 しかし午後も変わらずバタバタ。会社を出たのは9時、食卓についたのは10時前である。いやな感じのストレスだって無きにしもあらず、こんな生活じゃ、ニキビくんたちとは当面、共生だな。仲良くしましょ。くすん。

 帰りの電車で、きのう買った幸田文の『雀の手帖』を読み始める。
 ひとつの話が、それぞれ丁度2ページ(つまり、見開き一面きっかり)のエッセイ集。最近読み返した村上春樹の『村上朝日堂』もそうだったが、こういうコンパクトなエッセイって、巧さがすごくよくわかる。
 この『雀の手帖』、ひとつめの文章が「初日」というのだけれど、のっけから、ものすごくステキな羞恥心が匂いたつ、キリッと引き締まった文章でいっぺんに惚れた。
 ふたつめの「液温計」の謙虚なユーモアもすばらしい。予想以上に、いい本だって掴みがもうバッチリ。疲れた車中で、嬉しさにほくそ笑む。

「文章家の娘」の書く文章、というのは前から読みたいと思っていて、
 幸田露伴の娘、文さんの本も、やっと今回、その好奇心を充たすのだ。
 太宰の娘、津島佑子。鷗外の娘、森茉莉など、これから読んでいこう。
 それから、犬養毅の孫娘?道子さんの本も、すごくいいって聞いたことがあるんだけど、もう絶版が多いみたいなんよね。

 クリスマスイブの抽選会で、ライブハウスJAJAの一年間フリーパスを見事に射止めた連れのしんちゃん、3月にJAJAにやってくる「ジョージパイ」というバンドを見たい!と意気込んでいた。
 すごくかっこいいんだって。ジミ・ヘン+レイヴォーン・・・て感じとか?
 その日の対バンはウーララとボボデリック、こりゃギタリストのための夜ばい!とわくわくだ。こゆいな〜。ほんと、楽しみだな〜。
 しかし、その日は(ジョージパイがメジャーバンドのため)、フリーパスは使えないらしい(笑) 





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2003年02月11日(火)  雑誌雑感

 母・姉と近所のロイヤルホストでデザートを食べたあとその場で解散となり、私はまた本屋に行った。
 今日は雑誌を3冊ほど、丹念に立ち読み。
 雑誌って、好きだ。
 タウン誌、ファッション誌、文芸誌、音楽雑誌に週刊誌、いろいろ読みたい。
 以前はいろいろ買っていた。競馬雑誌まで毎月買っていた時期も。
 でも、毎回買うのって、馬鹿にならん。
 立ち読みよりも少し落ち着いてできて、読み終えた雑誌が部屋にたまっていくこともなく、お金もそれほどかからない方法・・・。
 あ、インターネットカフェ?!
 と、ふと、思いついた。
 そうだ、ああいうところは漫画喫茶も兼ねてる場合が多く、私がこれまで10回くらい行ったことのある「サイバック」にも確か雑誌がいろいろあった。
 ああ、でも、ああいうところって、男性誌中心だよなあ。

『ダ・ヴィンチ』に連載されている山岸凉子のバレエ漫画をちょくちょく立ち読みしているが、やっぱり面白い。明らかに大作の雰囲気を漂わせていて、連載が始まってもう一年は経つと思うんだけど、話はなかなか進んでいない。
 なのに、連載一回分を読むだけで面白いんだよ、これが・・・。
 絵もとてもステキに見えてくるんだから。

『日経エンタテイメント!』で、好きな作家のランキングを特集してた。
 一位は、宮部みゆき。さもありなん。
 赤川次郎とか西村京太郎とか、内田康夫とか、相変わらず人気だった。
 ふーん。
 ああやってみると、日経エンタメの購買層のせいでもあるだろうけど、やっぱりミステリーとか推理小説って、人気だなあ。
 ま、謎が解けるって快感だもんね。
 20代から40代までを対象にとったアンケートみたいだったけど、司馬も入ってなかったね。藤沢周平も。『たそがれ清兵衛』はあんなに高評価なのに! そんなもんか。宮本輝はかろうじて入っていた。

 それから、爆笑問題の本って、累計で300万部も売れてるんだって!
 いや、私も3冊持ってるんだけど、これには驚き。
 
 ちなみに森博嗣は、今年の秋くらいに500万部パーティーが開けそう、ということだ。
 井上雄彦の『バガボンド』は確か、1000万部を軽く越してるんだっけ。   
 
 吉本ばななは、もう赤ちゃんが生まれてるんじゃないかな。
 彼女のHPの日記、二月分はまだUPされてないけど、たぶん。

 買ったのは、文庫本。  
 幸田文さん、初めて読む。楽しみだ。
 杉山隆男の自衛隊を取材したノンフィクション、『兵士に聞け』を前から読みたいと思っているが、分厚いのでどうもためらってしまう。

 うちの本屋さんも更新してます。  
 買うのは文庫!と豪語している私が、先日、珍しく大枚(1700円だけど・・・)をはいたいて大判の本を買いました。ネットにて。
 現代日本史の本。おもしろいよ〜!
 出来事の羅列じゃなく、歴史には連綿とした流れがある、ってのがよくわかる。
 でも、随所に「あの頃は幸せでした」みたいな記述があるのがどうも気にくわん。
 どんな時代にも、それぞれその時代の問題点があるもので、
「モノはないけど心が豊かだった過去」
「モノにあふれてるけど荒んだ現代」
 という貧弱な切り口って、もういいよって感じ。 





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2003年02月10日(月)  夢の中

 とにかく、一日中忙しかった。
 動き回って(とはいっても社内でだけどサ。)解決しなければいけない問題と、席についてじっくり資料とにらめっこしないといけない問題と、書類づくりと、なんとまぁバラエティ豊かなこと。
 いくら気温が高かった今日とはいえ、比喩じゃなくて汗だくだった。

 7時半で仕事は切り上げ。
 この続きからやると思うと、水曜日に出社するのが本当にイヤになるほどだけど、今日は竹馬の友のしずりんと約束してて、絶対早く会いたかったのだ。
 カラオケに行って、発散。
 しずりんは新しい歌をいろいろ知ってる。しかも、上手い。私はもう、流行りの歌からはほぼ完全にリタイア・・・あ、なんかリタイアっていやな言葉だな、ファッショナブルな音楽には見向きもしていないので、自分が歌いたい歌をろうろうのびのびと歌った。
 ボ・ガンボスの「夢の中」がウタ本に載ってる!!と、番号をリモコンでセットすると、
「投票を受け付けました」というテロップが出る。
 既にオケが用意されている歌ではなくて、リクエスト対象曲で、投票が多かったら歌えるようになるらしい。
 くすん・・・。まあ、いっか、投票できたから。
 
 いつでもお客さんの多い、大名のベリー・ベリー・ティフィンに移動する。
 お酒もデザートも軽めだったが、トークは熱かった・・・!
 やりたいこと、心動かされたこと、迷いや焦り、今の環境の限界、モノづくりの難しさ。ちょっとした提案。
 話がどんどん進み、かつ、ピンポイントで響き合う感じ。
 これよ、これ! 
 話したって何か急激に道がひらけたり、ズバリの結論が出るわけではないけれど、会話の有意義さってコレだな〜と思うひとときで、あった。
 ここにも「グッとくる人」発見。
 
 今の私は消費するがわだけど、消費にとどまらない何かの視点をもとうという気持ちって、大事だと思う。
 安全確実なレールになんて乗っていない。道ゆきは不安だけど。

 満員の最終電車の中、ボ・ガンボスのMDを聞いてた。
『夢の中』という曲。
 
「働いて 働いて 汗に埋もれて
 間違えて 間違えて 手も足も出せなくて
 淋しいよって泣いてても 何も元へはもう戻らない
 願い事はいつでも ああ 夢の中」

 いろんなとらえ方があるような、この歌詞。
 つらい気持ち、一人じゃないんだよって、言ってくれてるような気もするし、
 泣いてても仕方がないよ、歩き出さなきゃ、って感じるときもあるだろう。
 受け止めてもらえているような、背中を押されているような。
 それでいて、この詩の本質的なさみしさ、やるせなさよ。
 それが人生だ、と。





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2003年02月09日(日)  『トラフィック』 断面数の多さに慄然と

「週末映画作品鑑賞奨励期間」が、正月からこっち続いている。
 今週選んだのは、『トラフィック』(2000)。
 スティーブン・ソダーバーグ監督。名前はよく聞くけど、作品をこれまで見たことがなかった。
 同じ年に、「エリン・ブロコビッチ」も作ってるね。それよりちょっと、おお!と思ったのは、「セックスと嘘とビデオテープ」が初監督作品だってこと。見たことはなくても、そのタイトル、一度はレンタルコーナーで目に留まったことがあるって人、多いんじゃない? ちなみに、これでカンヌ国際映画祭のグランプリを最年少でとったんだってね。写真で見たけど、なかなか知的なハンサムさんである。

 それで『トラフィック』はというと、すごく硬派な印象。
 見たこともないような仰天のアクションとか、知謀の限りを尽くした推理戦とか、艶めかしく大胆なラブシーンとか、そういういわゆる“ひと目で分かる”大胆なもので楽しもう、という期待をもって見たら、この作品は多分「なんか、おもしろくない・・・」という感想になりそう。
 それに、「麻薬」というのは、アメリカ人に比べると、日本人にはやっぱりそれほど身近な危機感を伴うテーマでもないし。
 三つの物語が並行して進んでいくので、最初はとっつきにくいとも思えるかもしれない。それに、一人の英雄やヒロインに感情移入しつつ世界に入り込んでいく、という楽しみ方をするものでもない。
 とにかく徹底的に、ある種の「分かりやすさ」を排除している。特にびっくりしたのが、爆弾をしかけられた車が炎上するシーンがあるんだけど、その爆発音を意図的にカットしてるのね。映像と音をミックスさせて観客の度肝を抜く、という定石を踏むのを拒んでるとしか思えない。
 そういう意味で、攻め気を感じた作品だった。・・・見方を変えれば、そういうところが「賞狙い」と見られるのかも。
 
 個々の問題を見つつ、俯瞰する、という感じかな。
 合衆国にはびこる麻薬との闘争の映画で、
 麻薬を売る人とその妻、密売組織と軍との癒着、麻薬にハマる少年少女、それを知って苦悩する両親、取り締まろうとする警察や行政・・・。
 いろんな人を登場させて、様々な状況を提示して、問題の根深さを浮き彫りにしていく。
 脚本、すばらしいと思った。ところどころの、ドキッとさせ方がうまい。見終わった後も心に残るセリフの言わせ方。
 発見しました、捕まえました、メデタシメデタシ。
 中毒になりました、でも更生しました、メデタシメデタシ。
 そういう単純な結末でスッキリさせてなんかくれない。
 ラストシーン、何もかも解決、なんて面倒見良くないけれど、静かな感動。少し泣けた。

 三つの物語の中で、多分誰の目にもダントツにかっこいいのが、メキシコの刑事?を演じたデル・トロという役者。
 多くを語らない。哀愁漂う表情。仕事のできる男。奥底に熱い意志。日本人ごのみだね〜。
 それに比べて、マイケル・ダグラスはどうも分の悪い役だったので、ちょっとかわいそうかも。彼にまつわるストーリーサイドが、いちばん凡庸につくられていたけど、本当はいちばん身近な問題だよね。

 140分くらいあったので、けっこう長いんだけど、退屈しません。
 なかなか新鮮でした。


 夕方前、走った。6.5キロ。
 今日は春のような陽ざしだったので、私のジョギングコースにも、ワンコのお散歩や、ウォーキングする人々、親子連れ、いろいろな人が。
 しかし、今日の福岡は14度くらいまで気温が上がったらしいけど、やっぱり走るには、ちとあたたかすぎるね。などと言っていたら、これから走ってなんていられないのであるが、やっぱり何十分も走るには、5度〜10度くらいが一番いいような気がします。

 夜ご飯を食べながら「鉄腕DASH」を見る。ツボ押しの企画、おもしろいねえ。国分くんがやってもらってた気功が相当うらやましかった。
 気をおくりこんでほしい、私にも・・・。

 自分が何に向かっていきたいのか、少し具体的に考えてみた。
 考えるのって難しい。
 とりあえずやってみようよ♪ っていうのはカッコいいけど、そういう部分も必要だと思うけど、
 20代の私は、思索と行動、どっちかが置いてけぼりになるのはイヤだと思う。





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2003年02月08日(土)  ラッキーマン

 本屋で、少し前から平積みになってるのが気になっていた
『ラッキーマン』を手に取る。
 マイケル・J・フォックスの書いた自伝的本。
 みんな知ってるだろうけど、彼はパーキンソン病と闘ってる。
 パラパラと、めくっていった。けっこう分厚くてびっしり字がつまってる。渾身の力で書いたんだろうなあ。
 最後の「謝辞」のところの文章が、やはり良かった。子供への呼びかけに始まり、妻に対して感謝を述べた後、

「この家族、この人生、この愛が、僕をラッキーな男にしてくれている」
 
 とあった。
 一気に涙がこみあげてきて、慌ててページを閉じた。
 小さく弱い存在である人間の、生きる強い力。

 そしてレンタルコーナーのほうへ。
 もしかして・・・と「ハ行」をあたると、な、なんと、あった!
 ボ・ガンボスのCD!!
 1988年、京都磔磔(いつも思うけど、これって何て読むんですか?)でのライブ盤!
 新しめ、メジャー志向のこのレンタル屋だけど、たまに、こういう掘り出しもんがあるんだよね。
 こ、これはまさか!とミュージックビデオコーナーも覗いたけど、さすがにそちらには、ボ・ガンボスのビデオはなかった・・・。DVD出ないかな〜。
 当時の様子、全然知らないんだよね。ボ・ガンボスって、どういう位置にあったんだろう? 
 ともかく今、彼らに恋している私なのです。





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2003年02月07日(金)  She's So Heavy

 忙しい一週間は早い。
 忙しかった一週間の金曜日の夜はとても眠い。それが今。

 いつも日記を読んでくれている人はウスウス気づいてしまっているかもしれないが(といって、何も隠しているわけではないが)、我が社は旧態依然。そして今は2月。
 といえば、そう、バレンタイン・デーと思い浮かんだ方、ご名答です。
 部署の男性にチョコレートを配るという、全社的な習わしがあるのです。
 ・・・これはもう習わしというしかないね。
 去年、新入社員の頃にこの習わしを知ったときは、「ゲッ!」と相当イヤケがさしたものだった。
 今年はそれほどイヤじゃない。会社自体には、去年の今頃よりもイヤケがさしているというのに、不思議である。
 なんでだろ?と考えてみると、

 ひとつ:今年は部署に、私以外の女の子がいて一緒に買いにいける
 ひとつ:ちょっとしたお菓子をあげたり貰ったりは楽しいと気づいた
 ひとつ:チョコ売り場にちょっと興味あり

 この三つが思い浮かんだ。
 
 今日は、後輩の女の子と一緒に仕事のあとにチョコレートを仕入れに行く予定にしていた。 
 が、二人とも仕事に追われて、閉店までに会社を出られるか危ぶまれる。
 給湯所にて16時半、
「○○さん(私のこと)、数字が合いません、三億・・・」
 と悲痛な声で後輩。
「さ、三億・・・。だいじょうぶ、あと2時間半あるよ!」
 と励ます私。
 何とか7時に会社を出て、三越でチョコを無事仕入れる。

 ホッと肩の荷がおり、さあ夕食だ!
 旬の場所は、今泉よね。と、天神から今泉へ歩いていったのだが、なぜか気づくと薬院にいた(重度の方向音痴者が二人そろうと、こうなる)。
 しかし手ごろな店を見つけ、洋風のごはんを食べ、ギネスビールと白ワインとオレンジペコを飲む。
 後輩の彼女、純文学系統の本が好きで、最近読んだというモーパッサン(だっけ?)の『女の一生』のあらすじをダイジェストで話してくれた。こ、こわいハナシ・・・。
 カバンの中には原田宗典の文庫本を持っていた。
 
 「最近、ベッカムの自伝を買ってしまったんです」なんて言う彼女、ベッカムはベッカムでも、デビッドではなくヴィクトリアの自伝のことであった。
 結婚前から、ヴィクトリアのファンだったらしい。
「この時期に買うなんて、あたし相当ミーハーに見えるだろうなあと思ったんですけど、
 だってかれこれ、7年くらい大ファンなんだから、私が買わないで誰が買うんだ!と思って恥をしのんで買ったんです・・・」と、言う。
 そして、ジョージ・ハリスンが好きでビートルズのCDは全部もっているけれど、ジョージを調べていたら何とパティ・ボンドの大ファンになってしまったと言うからつくづく感心した。
 パティ・ボンド。そう、ジョージ・ハリスンの元・妻にして、エリック・クラプトンと結婚した女性(今はクラプトンとも別れている。)
 クラプトンの名曲『いとしのレイラ』はパティのことを歌った歌だよね。
 なんと、パティの切抜きまで手帳に貼っていた。こんな子も珍しいだろう。でも、そういう、凝り性なところがある人、わたし大好きなんだよね〜。
 初めて見たパティはバービー人形のようにかわいかった・・・。
 こんな女性だったのね、あの三角関係の主人公は。と、かなり明るい気持ちになった。
 そういえば谷崎潤一郎と佐藤春夫だっけ? 日本の作家で、友人同士で、どちらかと結婚していた女性をめぐって三角関係になって、結局妻が友人のほうと再婚したのは・・・。
 どこの世界にも、そういうことはたまにはあるものなのね。





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2003年02月06日(木)  言葉に力。偉人は語る。

 仕事。時々、おいお〜いッてくらいに、なんもかんも同時に迫られることがある。
 今が、それ。
 まあ、私のチームは月初は基本的に忙しいのだが、今日は久々に8時半過ぎまで会社に居残った。
 昨日は飲み会だったし、肩こりはひどいし。きつい。
 
 9時過ぎの夕ご飯になってしまうときは、だいたいNHKをつけている。
 残業で疲れて帰ってきて、ドラマとか、バラエティとか、もういいよ・・・て感じになってしまうのだ。
 今日もそのようにしていたら、9時15分から、テレビ50周年の特番が始まった。
 いろいろな分野の有名人たちが、テレビで伝えた言葉を紹介していくもの。
 なんて私ごのみの番組!!
 
 政治家。吉田茂、池田勇人、田中角栄。
 画家。豪放磊落な横山大観。素朴でナイーブな山下清。
 作家。川端康成。吉川英治。
 スポーツ選手。円谷幸吉。長嶋茂雄。野茂英雄。
 ご婚約当時、ふっくらとした美智子妃。
 元日本兵、横井庄一。
 芸能人。笠置シヅ子。若き日の黒柳徹子!
 ノーベル化学賞受賞、湯川秀樹博士。
 田中幸一さんも出たけど、ワイドショー的な切り口じゃなくて、彼の研究者としての希望ある言葉を取り上げてたので、ほっとした。
 
■三島由紀夫
「いまや、美しい死、英雄的な死というものはない時代である。
 自分は何か、人の心に残る死に方をしたい。
 いつもそう思いつつ、結局は自分も平凡な死を迎えるだろう」
 割腹自殺の4年前、カメラの前で語った言葉。
 江戸時代の書物「葉隠」に言及していた。三島が書いた『葉隠入門』、大学のときに読んだ。衝撃で、泣いた。
 目が怖い。淀みなくしゃべる。刃物みたいな顔。

■井伏鱒二
(この時代、何をすべきか? というような話題)
「書けばいいんじゃない?」
 とにかく書く。作家だから。明確な答え。

■手塚治虫
「若い頃は、円をきれいに簡単に描けた。
 でも、今はもうダメだね。絵が描けない、というのが一番の悩み。
 アイデアは、バーゲンセールするくらいにあるのに」
 50代くらいの頃の映像か?
 誰もが認める大漫画家になってて、この自己批判。これが芸術家というものだろうか。

■本田宗一郎
「日本に革命を起こしてきたのは、若いエネルギーだ。
 老骨ばかりになっては、国は枯れる」
 ご自分も既に老年にさしかかっているのに、このセリフ。かっこいい。

■瀬戸内寂聴
「今を切に生きること」
 切に生きる。なんて作家らしい、ピシャリの言い回し。この人の言葉が本当に好き。

■司馬遼太郎
「これからの時代は、真心ですね。
 人の痛みを、身につまされるように感じることができなければ」
 彼のこういうところが大好きで、時に影響力が大きすぎて少し困る気がする。もちろん『竜馬がゆく』は私の座右の書のひとつ。

■坂本九
(“上を向いて歩こう”が世界でヒット)
「自分の歌が、こんなにたくさんの人に歌われるなんて夢みたい」
 あまりにも明るい笑顔、言葉が、せつない。

■小沢征爾
「これは本当に、テレビに向かって言いたい。
 音楽に国境なんて、本当に全然関係ない。
 日本人だって、絶対にいける。私はそう信じている」
 この人を見ると、いつも少年みたいに純粋な、まっすぐなエネルギーを感じる。

■宮崎駿
「たった一時間が、一生、心に残るような経験になる、それが子どもの頃というもの」
 この人も少年。不良少年。でも、とても照れ屋さん。
 ボサボサの髭で、いつも煙草を持っていて、ぶっきらぼうな言葉、へへっと照れくさそうな笑顔の、頑固モノ。

■美空ひばり
「最近、本当に思うんです。日本に生まれてよかった。
 それは、日本の歌を、歌えるからです」
 涙ぐんで、ゆっくりと語るひばり。なぜかここだけで、私まで泣きそうになるくらいに感動した。

 記憶はポロポロこぼれ落ちていくし、私の「感動の中心」をもとに書いていくので、少しニュアンスが違うかもしれないけれど。
 大事を為した人の言葉は、短くても抜粋されていても何と重く、心を揺さぶり、拭いがたい印象を残すことか。
 疲れていた心が、静かに、あつ〜くなった。

 なんかそれでもう大満足して、今日は『美女か野獣』はもういいな、と思って見なかった。

 『美女か野獣』で思い出したんだけど、
 今日、同僚が「憧れの女の人」として、このドラマの松嶋菜々子や、『きらきらひかる』のときの鈴木京香、松雪泰子などを挙げていた。
 なるほどな〜、とその子の私服などを思い描いて納得。
 好み、憧れって、誰にでもあるよねえ。

 それでふと、自分のことを考えてみたんだけど、私も上記の三つの役柄は大好きで、かっこいい女の人ってかっこいい(日本語が変。)と思うのだけど、
 服装や雰囲気は、松嶋菜々子だったらキリンのCMのかわいらしかったり優しげだったりのほうが、好きかもしんない。

 『外柔内剛』て四字熟語が、思い浮かんだ。
 そう、この言葉、ふと考えるとけっこう好き。
 見た目はキメすぎないほうが好き。
 むしろ、ちょっと油断させちゃくらいで、いきたい。
 もちろん、面白いこと、ばかばかしいユーモア、大好き。
 でも、私の好きな言葉は、
「問題意識」「自己批判」「羞恥心」「No Pain,No gain」等々・・・。
 中身の芯のところは、硬派とか、もしくは無頼派とか、
 そういうものを持っていたいと思ってる。
 そとみがカッコよくて中身がカラッポ、というのが、まあ当然だけど一番ダサいと思ってる。
 
 まあ、まあね。自分はカラッポ、見かけ倒しじゃないかと言われれば、もちろん胸を張って否定するとこまではいかないにしても。
 我、いまだ途半ば。
 大人の階段を上るシンデレラ、とも言う。

 しかし、疲れた。郵便物がたまってるけど、開封は週末だな・・・。





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2003年02月05日(水)  過ごした

 財布発見。
 雲の子を散らすように、この心配は解決! ふー。

 今日は、入社時にいた部署の人を中心に、6人で飲み会。
 お酒は控えめに飲んだ。
 が、このメンバーでの酒席はいつもどおりに盛り上がり、だいぶ、過ごした。
(この、『過ごした』って言い方が好きなのよ。
 長い時間を過ごした、ってんじゃなくて、ただ一言、「過ごした」。
 「竜馬がゆく」で竜馬が言うセリフ!)

 気が重い仕事がちらほら。
 まあ、気が軽い仕事というのも、そんなになかろう。
 これはこれ。
 キツい思いは、結局、自分の力になること。
 そして、私の家族でも恋人でも、友だちですらないのに、私がキツいときに助けてくれる人の存在を感じられるのは、とても得がたい、すごいことだ。
 私は、自分で選ぶ。
 誰から、何ごとから学ぶか。
 
 最近、ボ・ガンボスに、ハマりっぱなし。
 CD集めたいとまで思ってる。どんと〜〜〜!!
 
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2003年02月04日(火)  何がなくても楽しめる心

 いま、私はだいぶ落ち込んでいる。
 ショックを受けている。
 恐れおののいている。 
 自分の頭を小突いている。
 あたしのバカッバカバカッ・・・!
 
 いや、心配はいりません。
 身近な人に悲しいことが起こったわけではないし、
 誰かに迷惑をかけるわけでもないし、
 お酒を飲みすぎたわけでもありません。

 しかし、へこんでもへこんでも、今は何の手も打ちようがないので、日記を書いている次第です。
 明日になったら、雲散霧消!悪霊退散!て感じに(ちょっと違うな)、解決することを祈るばかり。
 そう、明日になれば。
 ・・・・「明日になれば」って、スカーレット・オハラが『風と共に去りぬ』で言うセリフだっけ?

 今日はこまこまと働いた。
 データを解析し、差異について他部署の人と打ち合わせ、外部に連絡を取り、連絡を待つ間に明日からの月次作業のための下調べを地道ィ〜にやって、あっという間に時間が過ぎた。
 外部との関係で、予定通りのところまで仕事を終えることが出来なかったけど、まあ仕方がない。
 明日、取り返さないと・・・。ああッ明日は飲み会なのに、間に合うのだろうか?!

 本。
 は、椎名誠『哀愁の町に霧が降るのだ』を再読中。
 今日から下巻に入ります。
 ビンボーでバカバカしい、シーナと仲間たちの若き日々。
 すっごく面白い。
“おもしろいビンボー時代”を持ってるって、ひとつの財産だと思う。
 
 山田詠美『ぼくは勉強ができない』(新潮社)で、主人公のおじいちゃんが
「貧乏という試練は甘んじて受けるが、貧乏くさいのはごめんだ」
 みたいなセリフを言うところがあるけど、これもけっこう好きだ。

 お金があるとか、時間があるっていうのは、当然とても大切なことだけれど、
 それがないときに、どうやって楽しむか。
 どうやって楽しめるか。
 っていうのも大切なこと、だろう。
 やっぱり「持たざる者の強さ」というのも、絶対にあるよなァ。

 私は、環境のせいだろう、小さい頃から
「これがなくなったら?」と考えて怖くなることがよくある、心配性の子どもだった。それは今も、基本的に変わってない。
 まだ落ちてこない天を恐れること(←これが、『杞憂』って故事成語の話だったよね、確か)は確かに愚かなことなのだろうけど、
 いま持っているものを当たり前のものと過信してしまうことのほうが、私にはよっぽど怖い。
 ま、心のバランスの取り方は、人それぞれですな。
 もちろん、楽天的な人に憧れることも、多々あります。

 ここでしんちゃんから電話がかかってきたため、30分ほど中断。
 プンスカ!
 ムカプン!!
 と、言い合いました。
(お互いに対して腹を立てているわけではない)
 しんちゃんと新しい言語をつくるのは、おもしろい。
 今夜は冷えるので、今から研究室に泊り込みに行く、と言うしん氏・・・。家の役目って・・・。





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2003年02月03日(月)  ひとりコーフン、初遅刻の一部始終

 月曜日の朝、目覚ましのセット時刻は8時。いつもより1時間以上遅い。
 そう、今日は会社を遅刻する日なのである。土曜日の夜にした決意だ。なんぴとたりとも妨げさせんぞ!
 何といっても、初の遅刻である。雨の日も風の日も風邪の日も、もくもくと通い続けていた会社を(たった2年目のクセに、という突っ込みは無視だ)、今日という今日はエイヤッと遅刻してやるのである。

「あの、病院に行きたいので、今日は遅刻します」
 部署に電話して敢然と告げると、
「あ、大丈夫? 遅刻って、来れるの?」
 少し驚いた様子で問い返される。
「はい、大丈夫です、行きます行きます。すいません」
 病人のはずにしては、なんだか妙に弾んだ声で答えてしまったような気もするが、まあいい。

 病院に行くのは遅刻の立派な理由である。意気揚々とスッピンで皮膚科に向かう。
 決して多くはないがボサボサの頭髪、くたびれた感じのシャツとズボンの上に申し訳程度に羽織った白衣の初老の先生は、はじめての遅刻に血気さかんになっている私の気持ちとは裏腹に、ちょっと専門器具っぽいルーペで私の患部を覗き込むと、あとはのんびりゆるゆると説明をしながら、英語だかドイツ語だかの筆記体でカルテを埋めていく。
 オムレツを作っていてフライパンで手ひどい火傷をして以来、かれこれ4年くらい、病院といえば目の前でカルテを書かれない歯医者にしか行ってなかったので、カルテというものが非常に興味深い。
 日本語で書かないのって、やっぱり患者に覗き込まれても、何を書いてるんだかわからないようにするためなのだろうか・・・。
『重大な病気の怖れアリ』なんて目の前で書かれたら、びっくりするもんな、なんて思っていたら、先生は何とハッキリしたカタカナの楷書で
「ニキビ」
 と書くと、机上のハンコ箱から慣れた様子で一つを選び出して、
「塗り薬 一日 回」というやつをペッタンと押し、“回”の前のブランク部分に「2」とこれまたハッキリ書いた。
 あ、そう・・・・。
 いや、分かってたけどね。ニキビだけどね。
 チャリンと小銭で診察料を払い処方箋を握りしめ、近くの調剤薬局へ歩いていく。初診料込みなのに小銭だけで払えるのだから、儲けもんではあるが病のためやむなく遅刻・・・という風情はまったくない。やや寂しいところである。
 いかにも流行ってなさそうな薬局で、私が入っていくと「アレ?」と驚いたような顔をした薬剤師さんに、塗り薬を出してもらう。
 しかし薬剤師さんは若いお姉さんだったのだが、胸がきゅんとする感じにちょっとステキな人だった。お化粧が薄くて、目がくりんとしてるがどこか中性的な顔だちで、話し方が何となく正義の味方のようである。
「お薬手帳、お持ちですか? あ、ないなら、お作りしておきますね。
 どこの調剤薬局に行っても、こういうふうに、いつどのようなお薬をお出ししたか記録しておくことができるんですよ。
 にきびの治療は初めてですか? よく睡眠をとって、ビタミンやカルシウムをたくさん摂るといいですよ。お大事になさってくださいね」
 ハキハキと言われ、はい、はい、と、出来の悪い生徒みたいにかわいく返事をした。まるでリボンの騎士のような凛とした薬剤師さんであった。ああ、これぞ、非日常! もっともっとしゃべってほしかった。

 いったん家に戻ってのんびり化粧など準備をして、もうついでに昼ごはんを食べて、出社すると、有休届を出した。
 そう、今日という日は、キッパリ遅刻したのだが、いや、言い換えれば遅刻しかしていないのだが、有休扱いなのである。
 まったく、半休という制度がない会社は困りものだ。
 しかし、
「ほんとは、有休なんだもんね。一日のんびり休んでもいいところを、
 病をおして(といっても、体はピンピンしているのであるが)
 わざわざ、出て来たんだもんね」
 という優越感が味わえるのは、この「有休遅刻」ならではの醍醐味であろう。いや、私は有休消化率も高くないのでここらでドーン!と一日休んでもよかったのだが、今日の午後にやらなければならない仕事が二、三あったのである。そして、来週一週間の監査に備えて、今週は明日からいろいろな準備に追われるはずなのである。
 ゴホン! 通院という大義名分、水戸黄門の印籠をかざして、何だか嬉々として遅刻したような書き方をしてきたが、今日でなければ今週も来週も、当分病院に行けそうにない、という切実にしてやるせない事情があったのだ。そして、たかがニキビ、されどニキビ、ニキビを笑うものはニキビに泣く、という先人の教えもある。せちがらい世の中、悩み多きお年頃、硝子細工のように敏感な私のお肌を、北風小僧にオメオメとさらしておくわけにはいかなかったのである。この辛い状況を読者諸氏にはわかってほしい。
 さっさと仕事を片付けて17時半、意気揚々と私はノートパソコンの蓋をしめ、「お疲れ様でした!」と席を去った。
 なんせ今日は有休なのである。





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2003年02月02日(日)  悪しき経験主義?

 環境の力って、あるよなぁと思う。

 うちの会社、女子社員は制服があるので、私服はかなり自由だ。
 会社の人にはあんまりOLらしい格好をしてるとは思われていないはずで(そのことに不満はない)、
 急に上司に食事に誘われた日なんかに、
「なんか、OLって感じやないねぇ」(常務)
「すごい色の靴下やね」(部長。鮮やかな紫の靴下を履いていた・・・)
 などと言われたことがあるし、
「耳あてが似合いそう」(同僚)
「おっ、なんか今日はお姉さんぽい格好しとうやん?」(先輩)
 とか言われることからも、それは明らか。
 でも、いわゆるOLさんではない職業の友だちと会社帰りに会うと、
「いやー、やっぱりOLさんて感じの服だよねー」と言われたりする。
 環境だよねえ。
 いつも自分が置かれている環境が、判断基準になってる。

 価値観や物事を見る視点って、環境につくられる部分が大きいよなあ。 
 それはある意味、とても自然なことだ。

 結局、いろんな価値観を認められる人、たくさんの視点で物事をとらえることができる人というのは、
 それだけイロイロな人と関わりをもち、いろんな環境に身を置いてきた人だとも、いえる。
 経験主義的かんがえかた。
 この理屈で行くと、年を重ねた人のほうが、より多種の価値観に対する理解、より多様な視点をもってることになるわけで、まあこれも、一理ある。

 でも、大学一年生のときに、社会学の授業で先生が言ってた
(なんて言うと、たいそうなお勉強をしたようだが、その第1回目の授業だけしか出ずに、その講義は捨てた。ちなみに捨てたその単位は、結果的に4年の前期でやっと取得・・・)
『悪しき経験主義』という言葉が、今でも鮮明に印象に残っている。

「『悪しき経験主義』に陥ってはいけない。
 経験しないとわからない、なんてことはない。
 経験しなくても推し量ることが出来る、それが人間の能力だ。」
 先生が言ったことのおぼろげな記憶と、『悪しき経験主義』という言葉に対する私の解釈をまぜて言うと、そうなる。 
 どれだけの仮定が思い描けるか。
 そこから、いかに正しいものに近い分析をできるか。
 もちろんこれは、経験の価値を否定する考え方じゃないよ。

 そのようなことと、かぶる部分もちょっとありつつ、
 ひごろ感じる違和感について、ちーちゃんと話した。 
 今日は彼女と天神でランチ、買い物、お茶。
 考えぶかい、ちーちゃん。話してて面白い。
 人の意を汲もうとする話し方をする子だ。意識の部分も、無意識の部分も。
 とてもかわいくて、ユニークで、自意識が強い。こっちが不快感を覚えないような自意識を、時折チラリと見せる。そこが魅力なんだろうなあ。
 自然食料理屋さんの定食を食べた。
 いろんな店を教えてくれて、いつもありがとう、いろんな友だち。
 そのあとのお買い物だけど、いやー、ちーちゃんは決して妥協しない!
 ちーちゃんてこういう子だったよなー、と思い出した。それも決していやな感じじゃない。

 家を出る前に、NHKでどんとの沖縄時代のドキュメンタリーをやってた。
 ああいう顔だったんだ・・・。
 ライブの様子が、もっと見たかったなあ。
 さすがにすごく面白そうなステージだったよ。
 早速、MDウォークマンにボ・ガンボスを入れたもんね。

 さて、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の歌の部分を見て、寝よう。





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2003年02月01日(土)  『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』 すべてのはぐれ者たちへ

 現在、午後11時45分、エミは非常にお腹をすかせております。
 今日の夕飯はすき焼きでした。
 えーんなのに、あんまり食べられなかったんです。
 
 理由は、ご飯のときすっごく眠かったから・・・゜゜・(>_<)
 夕方、ランニングしたら(今日はやや体調が悪く、5.2キロでおしまい。)、底なし沼に引きずりこまれるように眠くなってしまって、
「♪いっそこのまま夜明けまで〜」(by 小田和正“Oh! Yeah”)
 とも思ったのだけど、そうするとまた生活が不規則になっちゃうな〜と思ってガマンしつつ、ぼよよんとして食卓につくも、
 食欲は睡眠欲にまぎれて隅っ子のほうでちっちゃくなっててさ。

 そう、ちょっと体調が芳しくなくって。
 いや、元気なんですが、なんだろう。疲れでしょうか?
 下の瞼のキワに、ちっちゃいイボもできるしさー。ぐすん。


 年が明けてからというもの、私の中では空前の(←大げさ。)映画ブーム。
 といっても、『マイノリティ・リポート』以外はビデオですがね。
 
 ビデオって、
「さーて、今週は何を見よう?」
 と選ぶところから、もうすごく楽しい。
 レンタルビデオ屋さん。いっぱい、おいてある。
 映画の上映作品数の、何十倍も選択肢がある。
 
 ハリウッドのもの。アクション。サスペンス。人間ドラマ。コメディ。ミニシアター系。好きな俳優や、監督のもの。日本の映画。時代劇。
 たくさんのパッケージをゆっくり見ながら、
「いま見たいのは、どんなのかいな?」
 と、自分の心に問いかける。

 今日は、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』を見た。
 準新作扱いだったので、けっこう新しい映画みたい。
 ロックが好きな人は、ぜひ、見なされ!
 自分を「はみ出し者・・・」と感じたことがある人は、ぜひ、見なされ!
 いいですね。
 
 主人公のヘドウィグ。
 1961年東ベルリン生まれ。まだ壁があった時代。
 好きな男と結婚するために、性転換手術をする。失敗。
 アメリカへ行く。
 壁は壊れる。
 バンド。
 恋。裏切り。
 そして?

 (大丈夫、この次はまだ、ネタバレなしです。) 

 この映画、先般見た「トレインスポッティング」と同じで、90分ちょっとしかない。
 やっぱり、ミニシアター系って、予算の都合で時間もコンパクトになるんでしょうかね。
 内容がよければ、長いよりずっといいことだと思います。
(そう、この日記も長すぎる・・・)
 そして、この90分ちょっとの中の、たぶん半分くらいは、
 ヘドウィグやそのバンドの、歌! ライブも含めて! 
 これがまあ、かっこいくて面白くて胸を打つんだわ。
 
 映画の途中で突然歌が始まったりするのって、
 ディズニーとかでも、ちょっと、気恥ずかしくなったりしませんか?
 なんか、その世界に入り込めないうちに歌われちゃうと、
 何だよ浮いてないかこの歌? いや、浮いてるのは俺か?みたいな。
 
 でも、この映画ではねー、引き込まれるよ! がっちり掴んでくる。
 ド派手な化粧のオカマ、ヘドウィグが、すごく美しくかっこいく見える。
 歌と、ドラマと、って交互に進む、それが気持ちいい。
 
 しかも、英語で歌ってても、ちゃんと対訳が出て、歌詞もわかるしね!
 この歌詞がまた、いいんだわー。
 ね? 見たくなったでしょ? 音楽好きのアナタ。
 
 音は、グラムロック系です。イギー・ポップとか、ルー・リードとか、デビッド・ボウイとか、その辺が好きな人は特に。 
 あ、マドンナもこの映画にベタ惚れで、劇中の歌(すべてオリジナル。)を自分が歌う権利をすごく欲しがったらしい。
 でも、そんなジャンルを知らなくても、充分ガツンとくるはず。

 (ここからネタバレありだから、
  見よう!と思ってる人はすっ飛ばしたほうがいいかも。)

 男と女、その中間のヘドウィグは、長いこと自分の「魂の片割れ」とでもいうべき存在を捜し求めていた。
 ラストはとても抽象的。 
 ヘドウィグの歌を盗作してスターになったトミー少年が、
「空にあるのは空気だけさ、運命の人なんていないんだよ」というような歌を歌うのを聴いて(この聴くシーンも、やや現実から離れた感じ。)
 パッと画面が変わる。
 すると、ヘドウィグはかつらも化粧も派手な衣装も着ていない、
 性別もこれまでのしがらみも全て脱ぎ去ったような、超越した様子でライブをする。
 バックは真っ白。つまり、心の解放をあらわしてるんだと思うんだけど・・・。
 ヘドウィグは自分のかつらを、ギタリストの夫、イツハクに手渡す。
 イツハクはムサい男だけど(でも実は彼を演じているのは、女優さんだった!)、本当は、自分がドラッグクイーンになりたいという願望を胸に秘めていた。
 イツハクはヘドウィグのかつらを被り、観客に運ばれるように去っていく。
 そしてまた画面は変わって、静寂の世界。
 生まれたままの姿のヘドウィグが、ひとり、歩いていって、だんだん小さくなっていく。
 太ももには、あの「二人で一つ」マークが描かれている。
 マークの二人は、ぴったりくっついている。
 これで、終わり。エンディングロールへ。
 
 すごく意味深なんだよ。
 トミーもイツハクも、救われたんだと思う。
 ヘドウィグに背を押される形で。
 でも、トミーがヘドウィグを解放した、という側面もあり。
 じゃあ最後、ヘドウィグは救われたのか? 
 というと、100%そうじゃないような気がするんだ。
 裸のヘドウィグは、真っ暗闇の中を歩いて行ってしまったんだもの。
 もう決して若くはないヘドウィグ、これまでの道のりは昇華された。
 もう身に着けるものなんかいらない。
 でも、トミーもイツハクも結局、彼の片割れじゃなかった。
 体のしるしも、消えはしない。
 ヘドウィグはまた、片割れを探して生きていくんだろうか?
 体で愛し合う片割れなんてこれからも見つからないけど、 
 心の中に片割れはいるよ、(マークの二人がピッタリ接着だったから。)
 だから大丈夫だよもう、ってことなんだろうか?
 ヘドウィグは性別なんて超越した存在。でも、永遠に狭間の存在。
 いちばん最初の歌の詞に出てきたように、
 ヘドウィグは「壁であり、橋」なんだろうな。きっと。
 うん。素晴らしいラストだった。余韻が残る。

 最初、「二泊三日にしとったら安かったのに、失敗したかいな・・・」
 と思ったけど、一週間レンタルにして大正解! 
 また見るもんね。
 歌のとこだけでも、必ず。





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