2002年05月17日(金) |
今岡が見せる、守備の集中力 |
16日の横浜‐阪神戦は、8-0で阪神が圧勝して3連勝。貯金を再び10とした。昨日の試合では今岡が2塁打3本を含む4安打と大爆発して大量点を呼び込んだが、私は彼がさばいた平凡なセカンドゴロに目を奪われた。 阪神が1点をリードして迎えた2回ウラ・横浜の攻撃。この回先頭の4番・グランの打球が、セカンド・今岡の正面に飛んだ。何という事はない、ごくごく平凡な内野ゴロ。グランも走る途中で半分諦めている。しかし今岡はこの打球をつかむとファーストのホワイトへ、正確なフォームで力のこもった送球をしたのである。そしてアウトを確認するや口をグッと結び、実に気合いの入った表情を見せる。こうした姿勢は、大量8点をリードした8回ウラ1アウトの場面でも変わる事はなかった。 ともすれば打撃面の好調だけがクローズアップされがちな今岡だが、このところ守備でも、大事な場面でダイビングキャッチをしたり、1・2塁間の難しいゴロを身を翻してダブルプレーに仕留めるなど大活躍だ。その要因は、何でもない場面でも決して集中を解かない彼のメンタル面の充実にあると私は思う。
貯金10の意味(5/17)
阪神の貯金が、5月5日以来久しぶりに2ケタになった。私はこの数字には非常に大きな意味があると思う。 今季の阪神は7連勝と申し分のないスタートを切った。しかし10勝1敗で迎えた4月13日の横浜戦で、矢野が左肩脱臼の重傷を追い、ゲームにも敗れて貯金10はならなかった。その後、赤星も自打球で足を骨折。いまだ2人の主力を欠いたままである。 普通であれば、負けが込んで序盤の貯金を食い潰していても不思議はないところだ。しかし、逆に3つ貯金を増やしていまだ首位に君臨している。今岡、藪といった「復活組」を筆頭に、各選手が「今年こそは優勝するんだ」「こんなところでズルズルいってたまるか」と歯を食いしばって頑張っている結果だろう。4年連続最下位からの優勝は、もはや荒唐無稽な夢物語ではない。
2002年05月15日(水) |
「ふらふらっと」スリー |
10日のこの欄で、「ふらっと」してこの所頼りないフラット3について、あえて弁護するコラムを書いた。だが昨夜行なわれたノルウェー戦では、明らかなDF陣のミスがいくつも見られた。 コーナーキックでは、キッカーのフェイントにつられてラインを上げたところで、2列目から飛び出した選手に得点された。ゴール前でのオフサイドトラップは、失敗した時のリスクが大きすぎると私は思う。むしろ、きちんとマンマークをする方が堅実ではないか。もちろんその場合には高さを含めたフィジカル面の強さも必要だが、うかつにラインを上げて裏を取られるよりはいい。 流れの中での失点も、やはり中盤で素早くボールを奪い、DFの裏に出そうという相手の徹底した意図が実を結んだといっていいだろう。いずれにせよ、フラット3が研究され、その研究成果を相手が発揮し切ったようなゲームが2つ続いたことは、W杯本大会で当たる相手にとって日本攻略の大きなヒントになっただろう。それは取りも直さず、改善なくして上位進出はありえないことを意味する。永遠の課題である決定力不足を含め、残された日数の中でどこまで調整する事ができるだろうか。
こんな時、彼なら(5/15)
昨夜のサッカー日本代表の試合を見ていて、システムのほころびや、敗戦の事実以上に気になった点。それは各選手からのエネルギーを感じないという事だ。 パスで凡ミスを犯し、最終ラインが抜かれて得点を許しても悔しさが今一つ表に出てこない。もちろん頭では色々考えているのだろうが、こうした国際試合では、何よりファイトを前面に出して「戦う」姿勢が大事だ。そう思った時、ある選手の顔が脳裏に浮かんだ。そうだ、こんな時やっぱり彼が必要だと。 中山雅史。代表入りの当落線上にいる彼のパッションは沈滞ムードの時には欠かせない。戦術を整える事が出来る選手はあまたいるが、チーム全体にエネルギーを与えるダイナモは彼をおいて他にいない。それに何といっても、日本で唯一W杯で得点を決めた事のある選手なのだ。17日発表のメンバーの中に彼の名があることを、昨日の試合を見たからこそ切に願う。
2日のホンジュラス戦は3-3、そして7日のレアル・マドリード戦は0-1で敗戦。このところ、サッカー日本代表の戦績は芳しくない。特に失点の多さから、フラットスリーの脆さや未熟さを指摘する論調も目立つ。 相手の形は、FWが日本のDFを引きつけている間に2列目から縦に飛び出す、あるいはサイドを深くえぐるというもの。頼みのオフサイドトラップも、研究されて思うように機能しない。こうした事実を見れば、DF陣の連携に問題があるように見える。 しかし、守備の破綻はDFだけの責任ではない。7日のレアル戦を見ると、相手の中盤の寄せは実に迅速で、日本選手のボールタッチが少しでも多くなるとたちまち取り囲んでボールを奪い取った。そして素早く前線の選手へ送り込んだ。お気づきだろうが、これは本来日本がとるべき戦法だ。しかし、先制点を奪われて前がかりになり、結果として中盤とDFの間が空くバランスの悪い形に陥った。 フラットスリーとは単に3人のDFが一列に並ぶだけでない。中盤の地道なプレスがあって初めて成立する戦術なのだという原点に、もう一度立ち返る必要がある。
きょうから首位攻防戦(5/10)
まず、先日コラムで触れた貴乃花について。休場を決めたようですが、先日コラムで触れたように、この判断は正しかったと思います。いくら貴乃花といえども、相撲が取れるようになってからの日数が短すぎます。もう1場所待てば、必ずいい状態で土俵に上がれるはずです。横綱にふさわしい相撲も期待できるでしょう。中途半端に復帰して、無様な姿をさらした挙句、引退などということにでもなったら目も当てられません。ここは辛抱のしどころです。 さて、プロ野球は今日から「首位攻防戦」。我が阪神タイガースが東京ドームで読売相手の3連戦に臨みます。私は今夜、この初戦を観に行って来ます。先発予想はエース・井川。楽しみです。
5場所連続休場中の横綱貴乃花が、夏場所(12日初日)への出場に意欲を見せている。しかし、断じて出場すべきでない、いや、しないで欲しいと私は思う。 6日の横綱審議委員会けいこ総見の映像を見たが、体に締まりがないばかりか、貴乃花独特の美しい四股を見ることができなかった。大関・横綱との申し合いもせず、ぶつかり稽古で胸を貸すだけというのも、調整不足を物語っている。 日本相撲協会の北の湖理事長は「出る以上、言い訳の出来ない責任が伴う」と指摘したそうだが、全く同感。横綱という幕の内最高位を張る以上、単に出場しただけでは済まないのだ。 相撲では「心技体」の充実が大事である。しかし、肝心の体が不十分ではキレのいい技も出まい。ファンが求める強い貴乃花とは、違った姿をさらすことになる可能性が極めて高い。ましてや、不十分な状態で土俵に上がったがために、また怪我をして休場という事態にでもなれば、今度こそ引退以外に道はないのだ。 私は、まだ貴乃花の相撲が見たい。だが、余りにも時間がなさ過ぎる。どうか責任感の意味をはき違えることなく、勇気をもって休場の決断をして欲しい。
遅くなりましたが・・・(5/8)
大変遅くなりましたが、1500番目のキリ番ゲッターをご紹介します。その方は・・・ 「ペンペンけいすけ」さんです。
いつも来て頂いてありがとうございます。 これからもこのページをよろしくお願いします。
と言いつつなんですが、本日やや体調不良につき、ひとマスだけのコラム更新にさせて下さい。私の場合、休場は長期にはならないと思いますので・・・ (※この項目は、「キューブくん」のサイトでのキリ番についての記述です)
2002年05月07日(火) |
プロの体になった正田樹に期待 |
今月3日、日ハムの正田樹投手が完投勝利を挙げた。桐生第一高校からプロ入りして3年目。初めての完投勝利である。 正田は、99年夏の甲子園で全国優勝を果たしている。当時私は群馬に住んでいて、県大会から彼を目にする機会があった。その際同僚に、「この投手は必ず甲子園で活躍する」と断言したのを覚えている。理に叶ったフォームから投じられるキレのいい球は光彩を放っていた。もっとも全国優勝までは念頭になかったが…。 その後彼はプロへ進むのだが、ロッテの黒木知弘をその高校時代に見た時同様、即戦力ではなく数年鍛えたのちに面白い存在になるだろうと見ていた。 果たして3年目、正田はプロの投手として一つの壁を越えた。久しぶりに見る彼を見て、私は「プロの体になったなぁ」と感じた。高校時代はピンストライプのユニフォームがだぶついて見えるぐらい、線の細い選手だった。それがいまや下半身を中心に充実ぶりが伝わってくる。2年余りのたゆまぬ鍛錬の結果であろう。もともとバランスは抜群の選手。大学に進んでいれば3年生という年齢にして既に立派なプロの体を手に入れた彼に、今年の活躍をはっきりと予感する。
「87球」の値打ち(5/7)
日ハム・正田の完投勝利は、わずか87球で完成された。被安打4、うち1本はこの日唯一の失点となる松中の一発だから、早いカウントで打たせて取るピッチングがほぼ完璧に出来た事になる。 打者優位のプロ野球において、90球どころか100球を切る球数で9回を投げきるのも容易ではない。速球や変化球のキレだけでなく、何より巧みな投球術、すなわちインテリジェンスが欠かせない。私が今年正田は活躍すると思うのには、そこに非凡なものを感じるからだ。甲子園で全国制覇した時分から、その片鱗は確かにあった。 松坂や寺原のような「凄さ」は正田にはない。だが、こと「巧さ」や「センス」は決してひけを取らないことを、この「87」という数字は証明している。
2002年05月01日(水) |
投手は9人目の・・・ |
投手は9人目の野手だという言葉がある。主に投球後の守備について使う表現だが、DH制でない限り、打撃についても同じ事が言える。通常プロ野球では、バッターとしての投手はいわば「おみそ」扱い。イニングの先頭打者の時など、フォアボールででも出塁できればもうけものといった風情である。 しかし、好調阪神の投手陣は違う。気のない態度で打席に立つ者は一人もいないと言っていい。たとえ終盤でリードしている時でさえ積極的に振りにいく姿が見られる。ある時は藪の2塁打が得点のきっかけになり、またある時は井川のタイムリーヒットが大量点の呼び水になった。新外国人ムーアに至っては、1試合3安打したこともある。とにかく見ていても迫力があるのだ。 マウンド上の投手は、打席に相手投手を迎えた時に一息つきたい。だが、どんなに確率が低くとも振り回してこられると、それなりに警戒せざるを得ない。これが余分な球数を放らせる事になったり、精神的な蓄積疲労が終盤ボディブローのように効いてきたりする。長距離砲の陰で目立たないが、こんなところにも阪神が強い理由があるのではないだろうか。
「エースで4番」だったのに(5/1)
プロ野球の投手の中には、高校時代はエースで4番を打っていたという選手がかなりいる。それなのにプロ入りした途端「オレの仕事は投げる事」とばかりに、素振りさえしなくなってしまう。投手が打席に立たないパの場合はそれでもよかろう(いや、正確に言えば立っても構わないのだが…)。しかしセの場合、先発して完投しようと思えば、最低2〜3回は打席が回ってくるのだ。時には自分が打って決めなければならない場面も出てくる。 かつて江夏は投げてはノーヒットノーラン、打っては決勝ホームランを放ち「野球は一人でもできる」と豪語した。金田正一は、登板しない日はしばしば代打でも起用された。堀内は1試合3ホームラン、稲尾も日本シリーズで劇的な一撃を放った。元々打撃センスがいいはずの今の投手たちにも、こうしたドラマの担い手になって欲しいものだ。
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