500文字のスポーツコラム(平日更新)
密かにスポーツライターを目指す「でんちゅ」の500字コラムです。

2002年01月30日(水) 応援したい、徳本の“Road to Athens”

 書きたくてなかなか書けずにいた事がある。主人公は法政大学・徳本一善。主将として出場した箱根駅伝で、突然ふくらはぎに肉離れを起こし、棄権を余儀なくされた悲運のランナーだ。
 学生生活の集大成となるはずのレースだった。日本長距離界期待のスター。華々しい実績。そんなものが何の意味も持たなくなるほど残酷な結末に、私の筆も滞った。
 だが先日、あるスポーツ番組で久々に彼の姿を見て安心した。あたかも憑き物が落ちたかのような晴れ晴れとした表情をしていたからだ。聞けば箱根の後、同郷で大学の1年先輩・400mハードルの為末大が、シドニー五輪での転倒をバネに世界選手権でメダルを取った自らの体験を語りつつ徳本を激励。それによって、この悔しさをアテネ五輪にぶつけようと気持ちを切り替える事ができたという。
 茶髪やサングラスに象徴されるギラギラした反骨心は、徳本の持ち味である反面、生き方に力みを生んでいた。だが箱根の挫折がその力みを消し去ったのか、見違えるほどいいカオになっていた。
 25歳で迎えるアテネ。心身ともに成長した新しい徳本が、この大舞台でリベンジを果たす事を期待したい。


躍動感(1/30)

 長嶋茂雄の現役時代の映像を使ったCMが最近よく流れている。私は今でこそ阪神ファンだが、子供の頃は父に連れて行ってもらった神宮球場の3塁側スタンドから、目の前の「サード長嶋」のプレーを見るのが大好きだった。多分それは、プレーが躍動感に満ちていたからだ。彼の前に打球が飛んだ瞬間、私の心は彼と一体化していた。あたかも自分が打球を捌いているかのような錯覚さえ起こさせる魅力があった。それはオーラと呼ぶのに相応しいものだった。CMの中の流れるような動きを見て、久々にその頃の感覚を思い起こした。
 今、これほどまでにエネルギーほとばしるプレーを見せる選手がいるだろうか。観客の視線を釘付けにするオーラを放つ選手がいるだろうか。プロ野球人気低迷の原因が様々に言われているが、小手先の対策ではなく、こうしたシンプルな魅力を取り戻すという原点に立ち返る事こそ、何より必要なのではないだろうか。



2002年01月29日(火) がんばれ一発屋

 ソルトレークシティ五輪が目前に迫ってきた。前回長野のようなメダル続出は望めないだろうが、楽しみな一発屋の存在もある。
 ジャンプでは19歳の新鋭・山田。今季W杯で4位入賞の実績を持つ。ノルディック複合では高橋大斗。W杯個人総合で今季これまで5位、最高位3位。苦手のクロスカントリーを克服し、頼れるエースに成長した。スピードスケートにも楽しみなニュース。27日のプレ五輪競技会・女子3000メートルで、田畑真紀が今季世界最高・歴代でも3位の好記録をマークした。
 そんな中、私が最も期待する一発屋は、フィギュアスケートの恩田美栄だ。これまで世界的実績は殆どない。だが、他の誰にもない武器がある。トリプルアクセル・・・伊藤みどりが世界を席巻したあのジャンプだ。
 恩田は、競技会でこのジャンプを成功させた事は一度もない。それどころか練習でも完全な形で着地した事がないのだ。確率は恐ろしく低い。それでも彼女はこのジャンプにこだわる。これなくしては決して世界のトップ3に入れない事を知っているから。表彰台か最下位か。まさに究極の一発屋。だが失うものは何もない。


本命は大丈夫か(1/29)

 今回の五輪では、期待の大きかった選手たちが軒並み苦しんでいる。前回金のジャンプ陣で調子がいいのは新鋭・山田と葛西ぐらい。船木・宮平は絶不調だし、大ベテラン・原田も波が大きい。まして雪印問題で必要以上の心労がのしかかる。
 スピードスケートの清水宏保は腰痛からようやく立ち直ったばかり。持ち前のロケットスタートに加え、氷をグイッグイッと弾き返すようなパワーも感じられるようになっているので大丈夫とは思うが、極限での競り合いに一抹の不安が残る。
 西谷岳文。前回の金メダリスト。だが12月30日に悪夢の左くるぶし骨折。骨を固定するボルトを入れたまま、驚異的な回復力で氷に戻ったが、本番までに戦闘モードに入れるかどうか。
 本音を言えば、本命があまり期待できない分、一発屋に期待している私である。

※遅くなりましたが、1300Hit=Seiさんでした。ありがとうございました。(注:キューブくんのサイトのカウントです)



2002年01月28日(月) 真っ白な灰

 1月23日、ボクシング元ライト級・スーパーフェザー級2階級王者・畑山隆則が引退を発表した。
 畑山といえば思い出すのはスーパーフェザー級2度目の防衛戦・坂本博之戦(00.10)。壮絶な打ち合いの末、畑山がKO勝ちしたが、互いの気迫・意地・プライドが真っ向からぶつかり合う、見応えのあるファイトだった。
 スポーツにおいて、良きライバルの存在は貴重だ。相対する度に血がたぎり、武者震いにも似た昂揚感を100%闘争心という名のエネルギーに変えて全力をぶつけ合える相手。さりながら、互いに畏敬の念を抱き、見る者にもそれが伝わってくる。真の好敵手とはそんな存在だ。
 だが、その存在は諸刃の剣。激しい光を放ち一瞬で燃え尽きるマグネシウムのように、死力を尽くした戦いは時に彼らを真っ白な灰へと変える。畑山も坂本戦の後、ギラギラした瞳の輝きが失われたように私には見えた。半ば燃えカス状態で臨んだ3度目の防衛戦での敗戦は当然の帰結だったともいえよう。
 1月5日。坂本再起。1回KO勝ち。その直後、彼はリベンジの相手を失った。魂の炎が消えなければよいのだが・・・。


熱き血潮に触れも見で・・・(1/28)

 ライバルに恵まれ、燃え尽きることのできた畑山は幸せだと私は思う。一瞬でも華々しい閃光を放ち、それが人々の脳裏に鮮烈な記憶となって焼きついているのだから。それは、死闘に敗れた坂本についても言える。
 だが、どんなに強くとも、心底燃える事ができないまま引退の時を迎えた男は幸せだったのだろうか。世界ミニマム級チャンピオン・新井田豊・・・14勝3分無敗のまま、ただ1度の防衛戦すら行なわずにリングを去った23歳。表向きの理由は腰痛だが、本当は寂しかったのではないだろうか。抜きん出たその才能ゆえに、彼とまともに対峙できる相手のいない事が。彼の血潮を熱くたぎらせる、良きライバルがいたらあるいは・・・。
 真剣勝負の醍醐味を知らず、灰になるまで完全燃焼することもなく行った彼は、後年それを悔いずにいられるだろうか。



2002年01月25日(金) 一般論

 24日の朝刊は、イタリア全国紙の中田英寿のインタビュー内容を「爆弾発言」として大きく扱っていた。
 その言葉はこうだ。「僕の選手としてのクオリティと特徴が必要なければ(W杯に)召集されないだろう。(トルシエ監督が)僕を呼ばなければならないわけじゃない」。これをスポーツ紙等はW杯断念をほのめかすものとし、去年6月のコンフェデ杯決勝戦を前に中田がイタリアに帰った事などを巡る「確執」の証拠としている。
 だが、これの一体どこが爆弾発言なのだろう。サッカーでは、どんなに上手くてもチーム戦術にフィットしない選手は代表に召集されないのは当たり前。想定される戦術、ゲーム展開にそぐわない選手を無理に招集する必然性がないというのも、一般論として聞けば何ということはない。
 ご丁寧に各紙はトルシエの反応を今朝の紙面で取り上げていて、「戦術・ルールを守ってくれれば不可欠だが、自分の事しか考えないなら出場はわからない」という言葉を、前日の中田のインタへの不快感の表れとした。だがこれも、主語が中田以外でも当てはまる。
 自分で火をつけておいて「火事だ」と騒ぐ日本のマスコミ。愚かと言う他ない。


卑しい商売(1/25)

 きょうのコラムでは、常々感じている日本のスポーツ報道の程度の低さについて書いたが、まだまだ言い足りない事は山ほどある。そもそもトルシエVS中田という構図は、思慮の足りないメディアがミッチーVSサッチー騒動と同次元の発想で半ば作り上げたものだと思っわれるが、これが本当に両者の対立構造を作り上げ、本大会に影響する事にでもなれば、「愚か」の一言で済ませられる問題ではなくなる。
 断っておくが、日本にとって不利益だから書くなというのではない。でっち上げでメシを喰おうというあさましさが許せないのだ。
 ありもしないケンカを面白がって煽り立てるようなまねをしてでも、新聞が売れればそれで満足と言うのなら、何と卑しい職業なのだろう。同じマスコミ業界に身を置く者として悲しい限りだ。
 スポーツマスコミでは「飛ばし」と呼ばれる憶測記事も横行している。「憶測」ならまだいい方で、ハナから火のない所に煙を立てるのが実態だ。
 そんな恥知らずなスポーツマスコミの諸君に告ぐ。
 「もっと理想を持って仕事しようよ」



2002年01月24日(木) 「見る」

 映画「ハスラー2」で、ポール・ニューマン演ずる老ハスラーが一線を退いた要因は、目にあった。視力の衰えのため、思うようなプレーができなくなっていたのだ。スポーツマンが最高のパフォーマンスを演じる上で、目は重要な役割を果たす。
 例えば野球選手が打席で投球を「怖い」と感じ、引退を決めたケース。これは、動く物体を正確に捉える「動体視力」の衰えが原因と思われる。逆に言えば、肉体が衰えていないなら、目を鍛えれば選手生命が延びる可能性がある。
 目で見た情報を元に正確に体を動かす=つまり、目と筋肉を連動させる能力も訓練次第で向上する。柔道の田村亮子もこのトレーニングに励んでいた。他にもパリダカで優勝した増岡もレース前にビジョントレーニング(目の訓練)を十分に積んだし、斜視矯正プログラムを毎日欠かさないメジャーリーガーもいる。
 一流選手に限らず、例えば悪送球の目立つ野手は、きちんと見ていない可能性を疑ってみるといい。私自身、「捕る-見る-投げる」という単純動作を1ヵ月続けただけで、送球の精度が上がったと実感できた。スポーツは決して、筋肉だけでするものではない。


レーシック(1/24)

 スポーツと視力という点で、最近注目を浴びているのが「レーシック(LACIK)」という外科手術よる視力矯正である。
 これは簡単に言えば、レーザー光線で目の表面にある角膜の屈折を変えて視力を矯正するもので、ゴルフのタイガー・ウッズがこの手術のあと史上5人目のグランドスラムを達成したり、メジャー・リーグのアトランタ・ブレーブスのグレッグ・マダックスが術後10試合で9勝したりといった目覚しい効果を上げているケースもある。
 かつては信頼性や手術費用の点で二の足を踏んでいた選手たちも、こうした成功例に触発されて積極的に手術を受けるようになっている。プロ野球の投手などは、ナイターの際にキャッチャーのサインが見やすくなるなどの効果もあるという。
 かつて珍プレー集などで、地面に落ちたコンタクトレンズをみんなで探すシーンなどがあったが、今後は次第に見られなくなるかも知れない。



2002年01月23日(水) パスとは何か

 先日聞いたラグビーの元ジャパン監督・平尾誠二の講演で、彼は「パスとは何か」という話をした。
 平尾によればそれは「自分が持っていた時より、さらに良い状況を作り出すためのもの」だという。これはパスを理解する上での本質的な問いかけである。しかし、日本ではとかく形から入りがちで、こうした本質を教えない。つまり、「速く、長く、正確に」という技術だけが重視され、状況判断という根本がおろそかになるというのだ。「速く、長く、正確に」パスするだけなら、反復練習で出来るようになる。しかし、「いつ」パスを出すかという状況判断力は身に付かない。だから、かえって状況を悪くするパスを平気で出したりもする。
 私が思うにこれは、日本で最もポピュラーなスポーツ・野球の弊害ではないか。つまりキャッチボールの「相手の胸目掛けて」という基本を、そのままラグビーやサッカーなどに当てはめてしまった結果ではないかと。だがフィールドスポーツでは「相手に」正確にパスを配給するのではなく、「空間」=スペースに出す意識が必要だ。パスとは、実は優れた空間識を要する奥深い技術なのである。


「雪印」が大変だ(1/23)

 雪印食品が大変な事をしでかした。以前、集団食中毒が問題になった雪印乳業はこれとは別法人とはいえ、れっきとした子会社。「雪印」というブランドネームが大きく損なわれたという意味において、本体も少なからず影響を受けることになるだろう。
 となると気になるのは、そうした悪影響が原田雅彦ら日本のトップ選手を数多く抱えるジャンプチームに波及しないかという事だ。食中毒事件の際には、アイスホッケーや陸上競技などの運動部がなくなってしまった。ジャンプチームのあるスキー部はかろうじて残ったが、こんな事が続くと再び危うい立場に置かれかねない。
 雪印よ、しっかりせよ。もう後がない。
 



2002年01月22日(火) 挫折の報酬

 日本人選手の海外移籍が増えているが、必ずしも成功が約束されてはいない。比較的成功例の多い野球でも、例えば「カッツ」こと前田は、150キロの速球を持ちながらメジャーに上がれなかったし、故障続きの伊良部や、マック鈴木はマイナー契約になった。メジャー復帰を目指す木田は未だ落ち着き先さえ決まらない。
 サッカーではより顕著だ。セレッソ復帰を決めた西沢をはじめ、稲本、高原、川口、そして中田やかつてのカズ、城、名波に至るまで、ゲームにさえ使ってもらえない状態もしばしば。成功例は、オランダに渡った小野と、パラグアイに渡った廣山ぐらいではないか。
 しかし、挫折は時に大きな報酬をもたらす。スポーツ選手はよく「うまく行った事より失敗した時の事をよく覚えている」と言うが、これは「なぜ失敗したのか、どうすれば上手くいくか」を真剣に考えたからに他ならない。それによって記憶が強化される=つまり引き出しが増える事になるからだ。
 失敗のケーススタディは次なる成長に繋がる貴重な財産だ。挫折した人はそれを恥とせずに自分の今後に活かし、かつ他の日本人にも「なぜ」の部分を語って欲しいと思う。


イチローの「ケーススタディ」(1/22)

 きょうのコラムでは「失敗」や「挫折」から得るものが大きいと書いたが、ことイチローに関してはちょっと違う。彼のインタビューにはしばしば「予測の範囲です」というセリフが飛び出す。日本の野球とメジャーの野球の違いやそこから生じる戸惑いなどについてのあらゆる質問に対して、彼は概ね上記のように答える。
 彼の場合は「失敗から学ぶ」のではなく、綿密な分析に基づいて周到に準備し、「失敗しないように」するタイプだ。仮に何か予測と違う事態が生じても、マイナーテェンジ程度で素早くアジャストできるようにしておける凄さがイチローにはある。彼にとってのケーススタディとは、確認作業に近いものがあるのかも知れない。
 凡人は成功を繰り返すと、例えそれがまぐれであっても反省や努力を怠りがちだが、イチローは常に向上心や探究心を持ち続けることができる。成功の中でも浮ついた気持ちにならない所もまた、彼の良さなのだ。



2002年01月21日(月) ※引き続きお休みです

週末からの職場の引越し(移転)により、本日もお休みです。
明日から再開します。



2002年01月18日(金) ※お休みします

本日は、職場の引越しのため、お休みです。



2002年01月17日(木) 平尾誠二の育成論

 ラグビーの元ジャパン監督・平尾誠二氏の講演を聞きに行った。「チームリーダーの条件」がテーマの話で、コーチング・人材育成などに対する示唆に富んだ非常に興味深いものだった。
 私が特に関心を持ったのは、「チーム」とは何かという話だ。日本ではみんな同質なことが美徳であるような風潮があるが、本来は異質こそがチームの本質であると言う。氏は「平均点の選手は使わない。何か1個でも100点を持った選手を集めてゲームに臨む」のだそうだ。他人との差異をチームの中でどう活かすか、それによって多彩な戦略構想も生まれるのだと。自分がその特徴を最大限に活かそうとする事で他人が生きる。逆もまた然り。そういう集団こそが良いチームだという概念だ。
 こうも言っていた。「平均点を取らせるための練習は強制しない。嫌な事を無理やりやらせても効果はない。むしろ、いい所を徹底的に褒めて伸ばし、それが頂点に達した時にもっと向上したいと本人が思えば、欠点を補う事に自分から目を向けるようになるはずだ」と。
 これらの話は、スポーツの分野に限らず、学校教育や家庭での子育てにも通じる育成論だと私は思う。


※お知らせ(1/17)

 私のいる職場が移転することになり、この週末はその作業に追われます。18日(金)はまさに佳境で、コラムの更新が出来ません。あしからず、ご了承下さい。
 来週火曜日=22日ぐらいから再開の予定です。



2002年01月16日(水) 準備

 去年の暮れ、イチローのインタビューを中心とした番組を見た。その中で彼はしきりに「準備」という言葉を口にした。その示す所は、打席で投球に備えるといったものから、試合前のウォーミングアップ、さらに長いシーズンに対する長期的なものまで包括する。もちろん、肉体=フィジカル面だけではなく、精神=メンタル面も含まれる。
 彼が1年目から驚異的な活躍をする事ができたのは、あらゆる点で周到な準備がされていたからだ。その度合いは、どのメジャーリーガーをも凌いでいたに違いない。ある意味彼の活躍は、準備段階から決まっていたと言っていい。
 イチローは「天才」と称される。だが、彼の野球技術は生まれつきのものではなくたゆまぬ努力によって培われたものであるから、むしろ「秀才」という方が適当だ。あえて天才と表現するなら、それは「準備することにかけて」である。
 的確な状況分析と自己目標の設定。そこへ向けた完璧な準備。その才能は、凡人とかけ離れている。教育学における「レディネス」という言葉は学ぶ前の心の準備を意味するが、イチローもまさに「準備のための準備」に長けていたということになるだろう。


ストライクゾーンが変わる?!(1/16)

 今季からプロ野球のストライクゾーンが高めに拡大されるという。表現上は「ルールに忠実に則って」ということらしい。あれあれ? ってことはこれまでルールに忠実でなかったってこと? ストライクゾーンって、そんなに恣意的に変わっちゃうもんだっけか?
 ストライクゾーンは86年と96年にも「広げられた」ことがある。そのいずれもが、今回同様「規則どおり適用」ということである。ルールの条文自体が変わったわけでは決してない。ということはつまり、時が経つにつれて、審判の判定が辛くなる傾向があるということか。もしかして、その方が「よく見ている」と思われて権威が増すなんて、審判の皆さん、勘違いしてたりして。
 ゾーン拡大で試合時間が短縮されたり、投手の完投が増えたりするのは喜ばしいけど、こうした意識の改革も必要なんじゃないですかねぇ。でないとまた、同じ事の繰り返しになっちゃいますよ。



2002年01月15日(火) 銀行さん、球団は私物じゃなか

 福岡ダイエーホークスが身売りすっかも知れんチ、報じられとる。親会社・ダイエーの主力銀行4行が、巨額の債権放棄の見返りに小売業以外の事業の整理を求めとって、ホークスもそん対象じゃっチ事らしか。
 銀行も損失を被るトやけん、ダイエーも「痛み」をっチ理屈は分かる。ンだけんね銀行さん、球団だけはあんたらの私物じゃなか。プロスポーツチームは私有財ではねェして当該地域の公共財として扱われるべきモンやト。そう、ファンである市民のモンでもあるっタイ。企業の経済的視点だけで軽々に身売りを論じるべきでは断じてなか。第一、そいで九州が再び球団を失ったりしてみてン。市民の怒りの矛先はきっと銀行に向かうけんね。そいでンよかネ。
 大体ねェ、プロ野球球団を持つ事は全国でたった12の企業だけに許された「特権」やトよ。ブランドネームは絶大よ。それを目先の小銭の為に手放すよっか、持ち続けた方が10年後はるかに好結果をもたらすっチ思わんね。そん方が債権銀行にとっても喜ばしいはずやろが。
 まぁもっとも、銀行さんにそうした先見性がねかったから、多額の不良債権を抱え込むことになったトかも知れんけんネ。


寺原よ、大きく育て(1/15)

 球団の身売り問題とは関わりなく、ダイエ-のドラフト1位・寺原隼人投手が自主トレを開始した。高校生史上最速右腕には、今度は日本人初の160キロの期待が寄せられている。
 寺原が1年目から勝てるかどうかは分からない。同じ超高校級でも、松坂は単に球速があっただけでなくスライダーの切れやコンビネーション、牽制からフィールディングに至るまで全てがプロのレベルに達していた。だから、1年目から最多勝を獲る事もできたのだ。それに比べると寺原はまだまだ学ぶべき事が多い。
 だが、こと球速に関しては大いに期待が持てる。彼は速い球を投げるのに必要な、強い筋力やしなやかな腕の使い方といった、ナチュラル=天賦の才を持っている。それだけで野球の神に祝福を受けたようなものだ。ただ、それを活かすも殺すもこれからのトレーニング次第。しっかり鍛え、早く一人前になって、松坂と投げ合う姿を私は見たい。(ただ、王ダイエー自体は、ローズ敬遠攻めの一件があるので応援する気はさらさらないが…)



2002年01月11日(金) ボクシング感覚でサッカーを見ると…

 サッカーとボクシングは似ている、と私は思う。
 ゴールを相手の体に見立てるなら、中央突破からの攻撃はストレート、サイド攻撃はフック、2列目からの飛び出しは死角から突然飛び込んでくるアッパーカットに相当する。大きなサイドチェンジは、左を見せておいての右といったフェイントになろうか。
 単発のパンチだけではなくコンビネーションブローも大事な要素だ。相手に細かいジャブを見舞いつつ徐々にバランスを崩し、ここがチャンスと見るや一気にラッシュを仕掛けるしたたかさも必要だ。もちろん相手の攻撃をしのぐ巧みなディフェンスや、素早い攻守の切り替えも欠かせない。
 気持ちの上では荒々しい闘争心を持ちつつ、冷静な判断力も失ってはならない。手数がどんなに多くても、相手の放ったラッキーパンチ一発で沈む事があるからだ。映画のタイトルではないが冷静と情熱の間をたゆたうような微妙なバランス感覚が求められるのである。
 ボクシングになぞらえて、「今日は右の手数が少ない」とか「ここらで森島のアッパーが欲しいな」と言った具合にサッカーを見るのも結構楽しい。ぜひ一度お試しあれ。


いったいどれを放送しようか(1/11)

 日本人のメジャー行きが続々と決まって、今一番頭を悩ませているのはNHKの編成担当者かもしれない。
 メジャー契約の選手だけ挙げても、投手では野茂、石井、佐々木、小宮山、吉井、大家、それに自由契約中だが長谷川もいる。ここにマック鈴木や伊良部といった当初マイナー契約の選手が加わることも十分ある。野手もイチロー、新庄に加えて田口の計3人。さて一体どこの試合を優先して中継しようかと頭の痛いところだろう。今季、イチロー・新庄に割いた放送枠を削って他のカードに振り分けることになるのだろうが…。
 もっとも、投手はドジャースとエクスポズに2人ずつ、長谷川も佐々木のいるマリナーズに決まりそうだというのが、せめてもの救いか。まぁ、日本人選手同士の対決だけは外せないでしょうけどね。




2002年01月10日(木) サムシング(something)

 オリックスからFA宣言していた田口壮選手が大リーグに行く事が決まった。外野手としてはイチロー、新庄に次いで3人目となる。
 田口は新聞報道などでは新庄よりは上と評されている。しかし、私は必ずしもそうは思わない。新庄には、日本人選手としては並外れた優れた身体能力がある。走力や肩の強さといった外野手に不可欠な要素を高いレベルで備えている上、打撃でも長打力がありチャンスに強いという特徴もある。一方田口も足が早く、捕殺数(送球で走者を殺した数)も毎年のように2ケタを記録するなど守備の上では文句なしにトップクラスであるが、こと打撃に関しては、これといった特徴がない。トータルパッケージとしては優れていても、メジャーでレギュラーを掴むにはsomething=人より抜きん出た「何か」が必要だ。谷繁に声が掛からなかった理由も実はここにある。
 投手では、同じトータルパッケージ型の長谷川が成功を収めている。彼は卓越した適応能力と頭脳的な投球術で活路を開いた。野手の田口はどんなsomethingを見つけるのか。それが彼の成否のカギを握っている。


もう少し田口について・・・(1/10)

 少々、田口についてネガティブな書き方をしたが、成功の可能性を示すデータもある。
 コラムで触れた守備面での特徴は、外野の広いメジャーの球場にマッチするだろうし、イチローのような「レーザービーム」を見せ付ければ、外野の一角を占める事は十分可能だ。何と言ってもカージナルスは、ほとんど守備だけでメジャー初の100万ドルプレーヤーになった名遊撃手、オジー・スミスを生んだ球団なのだ。
 また、田口の打撃を分析すると、ストレートやシュートに対する打率が高いが、カーブ・スライダー系、それに落ちる球への打率が低いのがわかる。つまり速球派の多いメジャー向きとも考えられるのだ。
 いずれにせよ、彼を含めた日本人選手の活躍を願う気持ちに変わりはない。



2002年01月09日(水) 谷繁よ、キミの夢はその程度か

 ヤクルト・石井一久投手の大リーグ入りが確定した。石井はテロ事件の影響もあって一度はヤクルト残留を決めたが、「夢」をどうしても諦め切れなかったという。
 大リーグに挑戦する選手の大半が、この「夢」という単語を口にする。単に生活の糧を得る「職業」ではないと言うのだ。事実、去年の新庄や今年メッツに入団した小宮山は、日本での好条件を蹴って大リーグ最低保証の金額で契約を交わしている。夢の実現の為なら条件は二の次という姿勢は、その是非はともかく清々しい印象を私に与える。
 これに対し、横浜からFAでメジャーを目指した谷繁にはがっかりした。例えば現地での実技テストの際のコメント。「今の自分のベストは出せた」「バッティングも2ヶ月ぶりにしてはまあまあだった」。つまり「最高のコンディション」で臨んでいないのだ。これで手を挙げる球団が出ると思うのが甘い。なめている。また、もし本気でアメリカでプレーしたいなら、メジャーがムリだからといってスゴスゴ逃げ帰るのではなく、3Aなどで実績を積んで声をかけなかった球団を見返す道もあったはずだ。まぁ所詮彼の夢はその程度だったということか。


田口が来なくてホッとした(1/9)

 オリックスからFA宣言していた田口が、セントルイス・カージナルスに入団することが決まった。阪神も最後まで選択肢に残っていたので阪神ファンの私としてはヤキモキしたが、いざ彼が来ないとなると、これでよかったという気もする。
 来季阪神には片岡とアリアスが加わる。この上田口では、せっかく育ってきた生え抜きの若手の居場所がなくなるし、ファンとしても別のチームを応援するような心持ちになる。また、何だか金で選手をかき集める某球団と同じ体質になっていくようで、それもよろしくない。もちろん戦力的には欲しいに決まっているが、阪神ファンってやつは「強いから」「勝つから」応援するというだけではないのだ。
 まぁここは少々の負け惜しみも込めてこう言おう。
「田口くん、キミが来なくてホッとしたよ」






2002年01月08日(火) 駅伝考

 正月、箱根駅伝を見ていて思った。日本人はなぜこんなに駅伝が好きなのだろう。
 形としては、日本の正月の風物詩・双六に似ている。中継点という名のマスを経由しながら上がりを目指す。だがその単純な趣向だけでは、人々をここまで魅了し得ない。
 日本人は「和をもって尊しとなす」民族といわれる。皆で力を合わせて事を成し遂げる駅伝の趣向は、そうした日本人の精神文化に合致する。野球でも送りバントのような自己犠牲の精神が尊ばれる。そうした精神文化の醸成された背景を考えると、農耕民族が長年培ってきた「ムラ社会」に行き着く。ムラ社会には、日本人が古来美徳としてきた濃密な心の交流があった。祭りともなれば集落毎に神輿を仕立て、その優劣を競うといった、いい意味でムラの威信をかけた競争もあった。高度成長からこっち、どこかに置き忘れてきてしまったように思えるそうした古き良き日本の姿が、いまだ一本のタスキという形に昇華され息づいている…それが駅伝なのではないか。だからこそ人々の琴線を揺さぶり、胸を熱くさせるのではないか。
 そう。駅伝はいわば、農耕民族・日本人の心を運ぶ壮大なバーチャル双六の祭典なのである。



2002年01月07日(月) 初夢

 暮れ以来、久々の更新です。また今日からせっせと書きますので、今年もよろしくお願いいたします。
 さて2002年の年頭に当たり、景気よく「正夢になって欲しい」初夢を挙げると…
●ソルトレークシティ五輪=長野で苦杯をなめた堀井学(スピードスケート)が涙の金メダル。武田豊樹、清水宏保とともに表彰台独占!!
●ワールドカップ=開催国・日本、奇跡の決勝進出。いきなり優勝?!
●プロ野球=村田兆治、53歳で現役復帰。最年長記録(阪急・浜崎真二の48歳10ヶ月)を更新!!
●メジャーリーグ=ア・リーグはイチロー・佐々木のマリナーズがヤンキースを破り悲願のワールドシリーズ。ナ・リーグからは野茂のドジャースが勝ち進み、日本人同士の「ウエストコースト(西海岸)シリーズ」実現!!
●F1=トヨタvsホンダのコンストラクターズ・チャンピオン争い&佐藤琢磨・日本人初優勝!!
●阪神、4年連続最下位から奇跡の優勝。片岡、アリアスら移籍組に生え抜きも奮起。投手陣も星野監督にケツを蹴り上げられながら軒並み自己最高の成績に!!

・・・さて、実現のほどは???


波瀾万丈の年明け(1/7)

 元旦、宮崎に住む妻の父方の祖父が10年以上に及ぶ長患いの末に亡くなりました。なんでも、集まった親戚たちと一緒におせちを食べ、薬もいつもどおり飲んだらしいのですが、その後急に具合が悪くなったとのこと。
 そんなわけで翌2日に妻は息子を連れて慌しく帰郷。私は飼っている犬猫の面倒を見るため、一人寂しく留守番の憂き目となりました。残されたおせち料理と正月用の大量の食材を前に、しばし茫然としておりました(まぁ、泣きながら食べましたがね…)。
 2002年、いきなり波瀾万丈の予感を抱かせる展開ですが、めげずに頑張りたいと思います。定期的にMPを覗いて下さっている皆さん、今年もどうぞごひいきに。よろしくお願いします。

★2002年、キリ番第1号は、1200Hitを踏まれた new-2さん でした。ご訪問、ありがとうございます。(でも更新してなくて、ごめんなさい。。。)


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