台風19号。雨がジャンジャカ降っている。 裏の山はいつか崩れるから、用心のため、今夜は寝ずの番を決め込んだ。
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どんな自然災害でも、第一報は淡々と伝えられる。 少し前の御嶽山噴火のニュースも、ラジオからそうして流れた。
御嶽山が噴火した。この上なく気持ちの良い秋晴れの休日に。
それだけのことです、と言う感じでアナウンサーが言った。
被災の全容が明らかになるにつれ、そして救助活動が活発になるにつれ、 災害の大きさは拡大される。 物語が紡がれる。
もうそれは、御嶽山自身の活動ではない。
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8名の発見されない遺体を見つけるために、 何千人もの人々が噴煙のあがる火口に向かう。 自衛隊の活動が映される。
それは、そうした様を眺めることも含めて、 もう人間社会の活動なのである。
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新聞ででかでかと報道されている写真を見て、
お母さんがもし山や海で死んでも、探さなくていいからね、とYに言う。
自分はそれでいい。
でももしYが火口で死んだら、死に顔を一目見たいという気持ちを抑えきれないかもしれない、と思う。
でもしかし、と、再び思い直す。
手も足もバラバラになって、焼けただれたような最期を確認するよりは、 可愛い姿のYがあの山に眠っていると思う方が良いかもしれない。
わからない。
今のところは、心を強くしてそう思うべきなのだろう、ということにした。
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