天上天下唯我独尊

2006年03月19日(日) 無情の宰相

飛行機の中の暇潰しに、本を買った。
「無情の宰相 小泉純一郎」である。
他の本を読もうと思って用意していたのに、鞄に入れるのを忘れて出かけてしまったのだ。
空港の売店で軽い推理小説を探したが、乗り物の中で殺人事件が起きるような話は、旅のお供としては相応しくない。
小さな地方空港なので、置いてあるのは出張のオッサン向けの本ばかり。
どうすべかと思っていたら、この文庫本が目に留まった訳である。

内容は悪くないが、文章が良くない。
小泉に何か個人的な恨みでもあるの?と思ってしまうほど、感情的な文章なのだ。
記者なんだし、もっと冷静な文体でお願いしたかった。
それと、雑誌に連載されていたものを纏めた本らしく、時間軸が章毎にずれるので読み難いかも。
私のような、週刊誌は読まずにTVばっかり見ている人間には、今まで知らなかった事柄も多く、なかなか興味深く読めた。
読み終わったので小泉嫌いの母に贈呈すると、面白そうねと喜んで、早速読んでいた。

空港に迎えに来てくれたダーリンに、帰りのお供兼お土産の「マンガ嫌韓流」を渡すと、大層喜んでくれた。
「これさあ、本屋で見かけないから、ネットで買おうかと思ってたんだよ。良かった、注文する前にシオンが買って来てくれて」
「本屋に置いてないの? 私それ、関西の駅ビルの本屋で買ったんだけど、平積みされていたよ」
「そうなの? こっちでは全然見かけないのになあ」
「何でだろ。時差があるのかしらね」
向こうに行く時に「無情の宰相」を買って読んだという話をすると、
「何でまた、そんな本を買ったの? ほらあ、こっちの方が面白そうじゃないか」
と、空港内で通りがかった同じ売店で彼が指差したのは、邪馬台国のナントカという本だった。
ごめん、私そういうの興味無いから。



2006年03月10日(金) 憑き物落とし

先日の死者の葬式があった。
あの日から具合の悪かったダーリンは、当日の朝になって益々具合が悪くなり、仕事にも行けずに寝ていたために、結局参列出来なかった。
しかし、葬儀があったと思われるお昼の時間帯からスッキリ、体調が回復したのだった。
まさに、憑き物が落ちたかのように。
本当にその人が来ていたのかも知れない……。
でもさ、ダーリンがその人に対して悪い事をしていた訳でもないのに、何故こんな憑き方をするのさ!
寧ろ恩返しして欲しいぐらいなんだけど。
知り合いで死人が出る度に、この人は寝込み続けるのかしら。
そう思うと、一寸可哀相になった。
いちいち寝込まれたらこっちも迷惑だし、何とかして欲しいわ。

さて、来週はダーリンを置いて、1人で小旅行に行く予定。
航空券も取ったし、空港行きのバスの時間も調べた。
しかしなあ、丁度春休みの時期にかかるために、往復割引が利かないのが痛い。
JRの方が安いが、あんまり移動に時間を掛けたくないのだよ。
特に急ぐ旅でもないのだが、永い事乗り物に乗っているのも時間が勿体無い気がして。
普段時間を無駄遣いしている私が言うなって感じだが。
小旅行と言っても、大叔母の見舞いである。
我々の結婚式にも遠くから来てくれたので、本当はダーリンも連れて行きたいのだが、彼は仕事で纏まった休みを取れないため、1人で行く事にしたのだ。
心配なのは、彼の体調だ。
何故か、私が家を空けると具合を悪くするんだよね……コドモか??



2006年03月09日(木) 「けものみち」

テレビ朝日系列が狙った、松本清張原作・米倉涼子主演ドラマでの2匹目のどぜうは、果たして獲れたのかどうか。
視聴者からすると、いまいちだったように思う。

むかーしNHKのドラマでやっていた「けものみち」。
当時は子供だったのでリアルタイムでは観られなかった。
数年前に再放送をしていたが、それもちゃんと観ていない……惜しい事をした。
原作もまだ読んでいないので、どれだけいじったか知らないが、主演の米倉涼子に遠慮してなのか、どうにもファッショナブル過ぎる。
米倉は番組宣伝で、今回のドラマでは主婦役にも挑戦したとか言っていたが、あんな主婦いねーよ(笑)。
全然生活感が無いし、夫が脳梗塞で半身不随になるには若過ぎるんじゃ……どんな不摂生したらあの歳で倒れるのさ。
無名塾出身の若村麻由美と共演して、米倉の演技力の低さが露呈されたようなドラマだった。
終わり方が半端なのは、「黒革の手帖」のように土曜ワイド劇場に繋げるつもりなのか?
尤も「黒革の手帖」は本編は良かったものの、土曜ワイドで視聴者をがっかりさせてくれた訳だが。
セットは矢鱈豪華だった割に、突っ込みどころの多いドラマになってしまって残念である。



2006年03月08日(水) 格差社会

「小泉政権になってから格差が広がった」と最近になって騒がれている。
本当にそうなのだろうか。
それから「格差は良くない!」みたいな論調が幅を利かせているが、果たしてそれは正しいのか。

格差はあって当然だと私は思う。
そもそも人間の能力や性質なんて、一人一人によって違うのだ。
格差の無い社会を!などと言っているのは、共産主義者ぐらいだろう。
そして共産主義なんて、今や世界の至る所で崩壊している。
一方では「ホリエモンは拝金主義が生み出した社会の歪み」などと言っておいて、もう一方では格差を無くせと叫ぶ人々は、自分こそが拝金主義者だと判っていないのだ。
本当にお金が全てではないと思っていたら、他人と自分の収入を比較して落ち込んだり怒ったりする事はないし、そもそも他人の収入に関心など持たないだろう。
矛盾している。

その点、うちの主人は全くあっけらかんとしている。
「今日、職場で、役職が1番偉くなってから退職した場合、退職金が普通のと300万違うらしいって皆が話してた」
と言うので、
「それで、幾ら位貰えるの?」
と訊くと、
「さあ? 元々幾らなのかも知らないや」
と首を傾げるので拍子抜けしてしまった。
この人はホントに……。
ここまで来ると、もう一寸関心持って下さいよと言いたくなるが。



2006年03月07日(火) ホストという職業

「カスペ!ホストの花道歌舞伎町大戦争SP!!」を見た。
よくわからんが、2つの店で期間を決めて売り上げを競うというイベントだったらしい。

何かねえ……こういうのを見ると、とても不快になる。
お酒が勿体無いよ!
高いお酒が、味わわれる事無く、湯水のごとく消費されるのは、酒飲みとして見ていて腹が立つ。
商売のためと言うけれど、こんな商売は間違っとる。
ホステスとホストの違い、それは客に飲ませるか、自分で飲むか。
浴びるように酒を飲み、体を壊すホストもいるらしい。
馬鹿じゃねえの?
そこまでして続けるほどの仕事か?
命を削ってまで金が欲しいのか?

全編通して見た訳ではないのだが、中でも1番印象に残ったホストがいた。
彼の弟か妹(番組ではどっちか判らなかった)は知的障害者である。
その弟妹のためにお金を作らなければならず、彼は酒を飲み続ける。
ところが彼の内臓はボロボロで、遂にドクター・ストップがかかる。
彼はある日、知的障害者の作業所に向かう。
そこで障害者達と触れ合い、決意を新たにし、母親に手紙を書いた。
「自分のやるべき事が判りました。もう迷いません」
そして彼は今日も酒を飲む。
弟妹のために、親のために……。

違うだろ!
感動仕立てにしちゃ駄目だろうが、フジテレビよ。
店としては、使い物にならないホストならとっとと馘にするだろうが、なまじ成績のいいホストなだけに、手放したくないのは解る。
でもこいつのために、他の仕事に就かせてやれよ。
この子の親もおかしい。
母親なら止めろよ、障害のある子供のために障害の無い子供まで犠牲にしてどうするんだ。
結局、本気でこのホストの事を思ってくれる人がいないのだろう。
それが彼の不幸だと思った。

最近、ホストを扱ったドキュメンタリーやドラマのせいで、ホストという職業に対する偏見が薄れて来たように思う。
しかし、警戒心まで薄れるのはいかがなものか。
若い子が、「あ、こういう職業もアリなんだー」などと、安易に思わない事を祈る。
もう無理だろうけれど……阪大生ホストとか逮捕されていたしな。
まともな親なら、子供をこんな職業に就かせちゃいけない。



2006年03月06日(月) 真冬の怪談2006

昨日から首が痛いと訴え、今朝も辛そうに仕事に出たダーリンは、家に帰って来ても変わらずに具合が悪そうだった。
寧ろ、今朝より辛そう……どうしたんだ。
「大丈夫? 晩御飯食べたらすぐお休みになりますか?」
と心配して声をかけたが、首を横に振るだけ。
「顔色も悪いし、さっさと横になったらいいのに〜。明日、病院に行ってみる?」
「ううん、仕事忙しいから無理。それに、多分行っても駄目だと思う」
え。
それってまさか。
ダーリンは続けた。
「今日仕事に行って初めて知ったんだけれど、また死んだんだよね、若いのが」
「ええと、貴方、首が痛いって仰っていたけれど、もしや」
「うん、首吊り。昨日の未明だって」
またかよ!
どうしてこの人はいつもいつも……。
毎度の事で、もう怖いとすら思わなくなってしまった自分がいる。
「で、自殺の理由は?」
「『もう頑張れません』って書き置きがあったんだって。こんな事で自殺するなんてさ」
と、掻い摘んで事情を説明してくれた。
ああ、ダーリン怒っているな。
「うん。悪いけれど、『こんな事』としか思えないね。馬鹿だよねえ、若いのに自分の手で人生の幕を下ろしちゃうなんてさ。それが人生の全てじゃないのに。どうしてそれしか見えなくなっていたかなあ」
全く知らない人の事だが、可哀相にというより、馬鹿だなあとしか思えなかった。
ダーリンも溜め息を吐く。
「ほんとに馬鹿だよ。どうしてこの年代の奴は、弱いんだろう。前にもあったでしょ、死んだ若い奴。同い年なんだよね」
ああ、そうか、あの子も首吊りだった。
彼は遺書も残さず、突然の死に、遺族は酷く苦しんだのだった。
「でも今回は、遺書があっただけまだましだったのかしら……理由が解らないと親御さんも辛いでしょうからねえ」
「そうだね……でもなあ。死ぬほどの事じゃないのに何でだろう」
と、彼は悔しさを滲ませた。

全部森のせいって事でいいですかね。



2006年03月05日(日) ダーリンの歌

鼻歌交じりに掃除をしていたら、歌が出来たので、帰宅したダーリンに聞かせてみた。

 ダーリン ダーリン シオンが好き
 ダーリン ダーリン シオンが好き
 口にゃ出さぬ 照れ屋さんだから
 けれどやっぱり シオンが好き


早速感想を訊いてみた。
「どう?」
「どうって……何でこんな民謡調なわけ?」
「民謡調かなあ。私は童謡調だと思ったんだけれど」
「いっその事、演歌調にしたら?」
とリクエストがあったので、その場で演歌調で歌ってみた。
「マテ。それじゃ最後マイナーにしただけだろ」
クレームをつけられて、私はふくれた。
「何よう。短調の方が演歌らしいと思ったのに。小林幸子っぽいじゃん」
「いっそ、ロック調とかどうよ」
と彼は新たなリクエストをした。
「ロック調……難しいな。貴方、やってみてよ」
ホイ来たとばかりに、お得意のボイス・パーカッションが始まる。

 ズダダダダダダダウォ━━━━━━━━!!
 ズダダダダダダダウォ━━━━━━━━!!

 ダーリン ダーリン シオンが好き(・∀・)

 ズダダダダダダダウォ━━━━━━━━!!
 ズダダダダダダダウォ━━━━━━━━!!


「何それ! 何でオリジナル部分だけ元の速さなの? しかも何故デスメタ」
と私が笑い転げると、彼は
「シオンはつまらない事で笑ってくれるよね。皺が増えるよ!」
と言うのだった。
皺が増えたら貴方のせいですよ!

さあ、あなたも一緒に歌ってみよう。
ダーリン→伴侶の名、シオン→自分の名に置き換えて。



2006年03月04日(土) 野球馬鹿親子

駒澤大学附属苫小牧高等学校野球部が、3年生による飲酒・喫煙事件により、春のセンバツの出場を辞退した。

まあ、当然だろう。
こういう事件がある度に、
「いまどき連帯責任なんて古い」だの
「センバツに出るのは3年生ではないのだから、下級生が可哀相」
だの言う奴がいるが、バッカじゃねえの?
それがいい年こいた大人の言う台詞か。
当たり前の話だが、人間は1人で生きている訳ではない。
家族、学校、会社、地域、国等、誰もが必ず何かしらの集団に属している筈だ。
最近は間違った個人主義の流行により、集団というものを軽んじる風潮があるが、集団への帰属なくしての個はあり得ない。
枠外の自由など無い、それはただの勝手である。
今回の事件では、未成年のくせに飲酒・喫煙をした連中は、卒業式後だとしてもこの時点ではまだ「駒澤大学附属苫小牧高等学校」の生徒なのだ。
退部しているなら兎も角、夏で引退したとしても、彼等はまだ野球部の部員なのだ。
そして、部活というものは学級とは違って、普通は自分が希望する所に入るため、同じベクトルを持った人間が集まる所である。
野球部なら甲子園という目標を掲げ、皆がそれに向かって努力する。
そこには先輩から後輩へと受け継がれる伝統があり、横の繋がりだけの学級とは違い、集団への縦の帰属意識が生まれる。(それを教えるために、学校教育には部活動がある訳だ)
自分のしでかした事がどれだけ他人に迷惑をかけるか、この子供達にはそれを考える良い機会になっただろう。

しかし一方で、彼等を擁護する声もある。
驚いた事に、野球部の父兄が
「折角ここまで野球部が頑張って来たのに、これぐらいの事で騒ぎ立てたせいで、1、2年生がセンバツに出られなくなってしまった。それに3年生の子供達の将来を潰すなんて」
と、店や通報者に抗議したという話も出ている。
ハァ?「これぐらいの事」?
言うまでもないが、未成年者の飲酒と喫煙は違法行為だ。
この子供達は、居酒屋に予約の電話を入れて来店し、酒を飲み煙草を喫ったという。
察するに、彼等は普段から飲酒も喫煙もやっていたのだろう。
それを周囲が知らない筈が無い。
周囲は、親は何をしていたのだ?

高野連は、高体連には属さない、全く別の組織である。
春にはセンバツ、夏には甲子園があり、それは全国にTVやラジオで中継され、大きなお金が動く。
今や高校野球は1つの巨大ビジネスであり、影ではやくざとの関係も囁かれている程である。
子供の頃から野球一筋、勉強が出来なくとも野球さえ出来れば推薦で高校にも大学にも入れ、周囲からはちやほやされる。
多少の事でも大目に見て貰える。
そんな環境で育った子供は、碌な大人にならない。
実際アメリカのスポーツ界もそれは同じで、まともな教育(この場合の教育とは、学校の勉強だけではなく、道徳的教育も含まれる)を受けない子供がスポーツに秀でているというだけでスーパープレイヤーとして大金を手にする事は問題であると言われている。
(しかし言われているだけで、実際何も改善されていないのだが)

私の知り合いの高校教師は、野球を毛嫌いしている。
曰く、野球関係者には碌なのがいないとか。
「監督やコーチは態度が尊大だし、親は親でわざわざ練習試合にまで応援に来る。ステージママの一種だね。子供の夢を応援するのは悪い事ではないが、それで殆ど1日が潰れるんだよ。あれは行き過ぎだ」
と呆れる。
親が子供に夢を託し、子供がそれに応えるのは素晴らしいが、両者の間に正しいバランスが取れていないとおかしな事になるのだ。



2006年03月03日(金) 教育ルネッサンス

「幸せって何だっけ」を見た。
ゲストは、元不良教師で現横浜市教育委員の義家弘介氏。
私はこの人について名前ぐらいしか知らなかったが、主人は名前すら知らなかったという。
しかし番組を見ていると、
「あ、この人、僕と同じ事を言っている」
と言っていた。
という事は、教師としては、ちゃんとした人なのだろう。多分。
細木も同調して盛り上がっていた。
話題に上ったのは、「教育ルネッサンス」。
ジェンダーフリーなど今の教育はおかしい、新しいものが良くて古いものが悪いとは限らない、昔に帰れ、という事である。
それを聞いた主人は、箸を止め、
「うわあ、この話、僕が今日職場で若いのに話して来た内容と同じだよ! しかも『教育ルネッサンス』って、まさにこの言葉を遣って来たんだけど。僕の話を聞いてた奴がこの番組見ていたら、今頃きっと驚いているだろうなあ〜」
と1人で大盛り上がり。
勿論、毎週2人でこの番組を見るとはいえ、事前に内容をチェックなどしていないし、私が知る限り、今回このキーワードが出て来る事は、公式サイトにもどこにも載っていない。
それなのに、何なのこの人……やはり超能力者なのか?
それとも、細木数子の中身?……うう、それは流石に嫌だわ、妻として。



2006年03月02日(木) ないない探検隊

伸びて来た前髪が鬱陶しいので、家の中ではターバン(と言ってもインドの男性ではない。女性が洗顔時に使うニット製の輪っか)をしている。
それが最近またどこかに見えなくしてしまったので、仕方なく腹巻で代用している。
前回失くした時は洗濯機の後ろから発見されたが、今回はどこに行ったのだろう。

先日、ダーリンと一緒に出掛けた。
流石に腹巻では恥ずかしいので、小さい櫛で前髪を止めていた。
「信号が変わっちゃう。走ろう!」
と、嫌がるダーリンを引っ張って、無理矢理信号を渡った。
しかし、渡り切ったところで、頭に違和感を感じた。
「無い! 櫛がどっか行っちゃった」
と頭に手をやる私に、
「車の中に落として来たんじゃないの?」
どうでも良さそうに言うダーリン。
「違うもん! さっきまでちゃんとあったよ〜」
立ち止まってきょろきょろ足許を探すが、見付からない。
やはり走った時に落としたらしい。
くるりと後ろを振り返って、今来た交差点の向こう側を見ると、道端に何か光る物が。
「ねえねえ、あれかな?」
指差してダーリンに示すものの、
「見えない」
「……」
そうか、この人、目が悪いからな。
櫛が落ちたのは、幸い歩道近くの車道なので、車には轢かれないだろう。
信号が変わったら、早く戻って救出しないと!と、うずうずして信号待ちをする私。
信号が変わり、
「すぐ来るから待ってて!」
とダッシュの体勢になったその時。
交差点の向こうで自転車から降りて信号待ちをしていた老人が、何を思ったかいきなりその進行方向を変えたのだ。
「あああ」
老人の自転車のタイヤは無情にも私の櫛の上をゆっくりと越えて、ガリガリと金属がアスファルトに擦り付けられる音が、道のこちらまで聞こえた気がした。
呆然と立ち尽くす私。
「早く拾っておいで」
とのダーリンの言葉で我に返り、慌てて走って拾って戻って来た。
金属製の櫛は、歯が曲がり、飾りの薔薇の花は潰され、見るも無残な有様に……。
「うう……泣いていい?」
「駄目。煩いから。新しいの買っていいよ」
冷たいんだか優しいんだか判らんなこの人は。
「でもさ! あのジジイも酷くない? 何で、あそこでいきなり方向転換するのよ。あのまま直進していれば何事も無かったのに、わざわざ進行方向を変えて、櫛をクリティカル・ヒットだよ? 私に意地悪をしたとしか思えない!」
「それは無いだろ……。気にするなシオン、こんなのよくある事さ。♪ジジイにかんざし潰される、ハイ・ハイ・ハイハイハイ♪」
いや! それこそ滅多にある事じゃないから!



2006年03月01日(水) アメリカの良心

PCで遊んでいる間、私はいつもTVをつけている。
地上波が詰まらなかったのでBSに変えたら、アメリカのニュース番組をやっていた。(勿論日本語翻訳で)
そしたら、性転換した教師を現場に復帰させるか否かで揉めているという衝撃のニュースが。

代理教員のリリー・マクベスは、男性ウィリアム・マクベスだった頃から教員で休職中だったが、この度職場復帰する事になった。
ところが一部の父兄は大反対。
「子供達にわざわざ特異な例を教える必要は無い」
マクベスは既に学校側に呼ばれ、話し合いを行い、特に何も問題は無かったという。
しかし復職に反対する父兄は、学校はマクベスが教壇に立つ事を禁じるべきだと主張している。
学校側は特にコメントは出していない。

アメリカは何でもありの国だと思っていたが、性転換した教師まで登場するとは……恐ろしや。
それでも異議を唱える人はいたのだ。
ただ、この父兄がマクベスさんの復帰に反対するのは、自分が信じるメソジスト派の教えに反するからと言う理由なのが一寸ひっかかるが。
自分の「信教の自由」を盾にしてしまったら、相手のそれをも同じぐらい尊重する必要があるから、この場合やはり「道徳的」「倫理的」に認められないという展開にすべきだと私は思う。
マクベスさんが復職しようとしているのは、小学校なのだ。
確かに、世の中には色々な人がいる。
しかし反対する父兄が言うように、幼い子供に、敢えて性転換者と言う「普通ではない人」を見せる必要があるだろうか。

私は、性転換者は死ねとは思わないが、性転換には反対だ。(両性具有者のような特異な例は除く)
特にアメリカはキリスト教国家なのに、同性愛者や性転換者に寛容なのには理解に苦しむ。
アメリカには同性愛者の牧師が存在するらしいが、本当に聖書を読んで聖書を信じるなら、同性愛が悪い事だと解る筈だ。
それを「赦し」の部分だけ都合のいいように解釈するのは如何なものかと。
一遍ソドムとゴモラのように焼かれてしまえばいい。
(余談だが「天空の城ラピュタ」のムスカが「ソドムとモゴラ」と言っているのが毎回気になる……何故モゴラ?)
人は性を選んで生まれて来る事が出来ない以上、与えられた性を自分の性として生きるべきだ。

日本はアメリカに10年遅れているという。
現在アメリカで起きている事は、10年後の日本で起こるであろう出来事である。
性転換教師があなたの子供の学校にやって来るとしたら、あなたはどうしますか。
子供にどう説明して、納得させますか。

そういや、日本にもオカマ公務員がいたな。大阪だっけか?
あのおじさんは、まだいるんだろうか。
女装して職場に来るのは百歩譲って許せるとしても、男性便所を使いたくないからと言って職場に自分専用のトイレを作って貰う(女性としてはこの人に女性トイレを使って欲しくない。絶対に)のは、我が儘としか言い様が無い。
自分の主義主張をするのは構わないが、我を通そうとして周囲に多大なる迷惑をかけるのは勘弁して欲しい。
自分の行動の結果、周囲への影響を考えるべきである。


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