夕暮塔...夕暮

 

 

夏越 - 2004年06月30日(水)

六月晦日、明日からはもう今年の後半になってしまう。茅輪をくぐったわけではないけれど、息災でありますようにと願いながら、ならわし通りに水無月というお菓子を頂く。小学生の頃は「禊ぞ夏の…」の意味なんてよくわかっていなかったと思う、本を読んで理解したつもりでいただけで。


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一服 - 2004年06月28日(月)

「ちょっと、一服してきます」
煙草を吸う仕草を真似て声をかけると、愛煙家の同僚が「ライター貸そうか?」とにやりと笑うので、私も吐息だけで笑い返す。私は煙草を吸わないけれど、最上階の非常階段で煙をくゆらせる時の彼女の気持ちになら、なんとなく共感できるように思う。夕風にあたりながら、煙を吸い込む代わりに小さなカメラを構える。西は掠れるように夕暮れて、東には飛行機雲と白い月。


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期待して - 2004年06月27日(日)

期待しているばかりでは痛いけど優しげなものをそばに置きたい



だからお願いもう少しそこにそのままでいてねと黙って期待している




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密室は - 2004年06月26日(土)

密室はやわらかな鎖 ことばさえ吸い込んでゆれて消える熱病



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懐かしいことなら - 2004年06月23日(水)

懐かしいことならいつでも鮮やかに思い出す夏はもうそこにいる



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烈日 - 2004年06月22日(火)

新月黄昏五更の雨、のびやかで遊び心のある書体、起こった事をそのまま書くだけで美しい旋律のように人の心を動かす、こういうものを上質なことば遊びと言うのかもしれない。帰り道に夜を見上げれば研がれたような青白い月、今日で言うなら烈日黄昏三日月の静、とかかな。…だめだ、うまくない。


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夕星の下 - 2004年06月20日(日)

夏嵐予感する街で君が笑む 青白く揺れる夕星の下



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送り出す - 2004年06月18日(金)

ありがとう 伝えることばより先に送り出すシャツの色も愛しく



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金曜は早く上がれるので、新宿に寄って父への贈り物を選ぶ。しっかりした生地のポロシャツはラインと小さな刺繍が入っただけのベーシックなデザインでゴルフに良さそう。紫外線カットや発汗対策の機能がないから、もしかしてゴルフの時には着ないかもしれないけど、普段着にしてくれてもいいと思う。濃い目のグレーを送って頂くことにした。日曜に電話しようと思いながら晴れた午後の電車に乗る、電話線よりずっとずっと時間をかけて、贈り物が父のもとへと向かうことを考えれば、そこにはどこか穏やかな楽しみがある。


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どうにか - 2004年06月17日(木)

どうにか山を越えた上に褒め言葉を頂いて、ほっとする。知人にメールしなければと思っていると、先に彼の方から届く。…しまった、またしても先をこされた。いつもこんな風だ、どうして見捨てられないのだろうと不思議になる。
最近舞い込んだ仕事の話で珍しく真剣に悩む、引き受けるのも悪くないし面白そうではある、ペイも悪くないのだけれど、それを受けたら、一つを残してそれ以外を殆ど手放すことになる。


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夢の淵で - 2004年06月16日(水)

嘘みたいに美しい空を見た。広々とした野原の向こうだった。透きとおった青に何とも言えない色合いの淡いみどり、地平線近くは茜色の波、夢みたいにきれいだと思ったら、それは本当に夢だった。そこで最後に会った知らない人に名前を訊いたのに、目覚めたら忘れてしまった。初めて聞く苗字だと思った憶えがある、堀とか淵とか、そんな字が入っていた気がするけれど、それはまさしく夢の淵で出会った人なわけで、不思議にうまくできているなあと思ってみたりしている。


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呼ぶ - 2004年06月14日(月)

夏を呼ぶもののごとくに風に揺れきみは咲く白き笛のかたちで



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きみが揺れる姿は真夏を呼びよせるやわらかな笛のように優しい





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風の鳴る - 2004年06月12日(土)

風の鳴る川沿いにゆるくまどろんでこれでよかったと泣いて許して




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大きな夜河。岸辺にはあやめの花、光に照らされた噴水、本当は車を降りて歩きたいけれど、言い出さないままで橋を渡りきる。










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ロシアンブルー - 2004年06月10日(木)

掛時計とサンダルとポータブルプレーヤーを修理に預けて、すっかり手元が軽くなる。時計の方は多分買った値段より高くつくけれど、気に入っているしどこを探しても同じのを見つけられないので、直して貰う他に選択肢がない。時計と靴の修理のお店はどちらも昭和で時が止まったような雰囲気、おそらく70はゆうに超えた、いかにも職人さんという雰囲気のおじいさん達が経営している。こういう人達が品物を見定める時の、鋭利でどこか慈しむような視線が好きだ、ずっとこうやって営業していて欲しいなと思う。プレーヤーを預けた家電屋さんの机の上には、びっくりするくらい大きくて毛並みのいいロシアンブルーがぎらりとこちらを睨みつけながら(見つめながら?)横たわっていて、人間よりそちらの印象が強烈。


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なみだより - 2004年06月09日(水)

なみだより遠い所へ君を連れ共にゆく覚悟なら今もある



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どこかには - 2004年06月08日(火)

まだ記憶のどこかにはあるただずっと思い出さないままでいるだけ



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