夕暮塔...夕暮

 

 

円かな風 - 2004年05月28日(金)

また1つ誰かに手渡す暖かで円かなる風を君は抱いてる




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マッサージに寄って帰宅。足の裏と、がちがちの首と肩をほぐして貰う。エステも含めてあちこち行ってみたけれど、ここが一番ゆったりできて好き。







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みどり揺れ - 2004年05月27日(木)

抱きしめたいものばかり増えて向かい風 みどり揺れ揺れて水無月を待つ




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はかなげなだけの - 2004年05月26日(水)

金色のはかなげなだけのものならば今は要らないあの月の笛



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手に取れば - 2004年05月25日(火)

手に取れば呆れるほどには軽くなるそれでも放してみる意志もなく



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はつなつ - 2004年05月21日(金)

あたたかい泪まで乾きゆくような風に押されて初夏の空



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飲みに行こうと思ったのにと電話の向こうで嘆かれて、ささやかに謝る。ごめんね、今日はもう家にいるの。窓の外では台風が去ったあとの塵を漉したように鮮やかな青空がゆるゆるとかげっていく、駅までの道に花開いた紅白のクジャクサボテンは尖った花弁の先まできりりと瑞々しい、こんな日にお酒を飲むのはいかにも気持ちいいだろうけど、来週までにこなさないといけない書類が沢山あって、それはそれで楽しいことなので。


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皐月闇 - 2004年05月18日(火)

花の香を影をうつした雲の下 埋もれるような皐月闇あり




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遅れて到着した新人歓迎会の場は既にかなりの盛り上がり、そこへ同期が私を紹介して「この人の特技はナンパされること!すっごいよ!」と明るく付け加えるので、皆「ほほう」と興味津々の顔になる。隙があると言われているようなものだから、どちらかというと恥ずべき事のカテゴリーに入るのではないだろうかと思いながら、その後披露される同期のとっておきのネタを聞く。いささか飲みすぎて帰宅すると、懐かしい人に再会する夢をみた。恥ずかしくて後ろめたいのにそれでもどこか嬉しくて、その人の髪が短くなって随分印象が変わっていたのが夢の中の私をわずかに緊張させた。夢なのにきちんと時間が経っているように形づくられているのが不思議だと思う。


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弓をひくより - 2004年05月16日(日)

そのために弓をひくより簡単な方法があると知っているけど



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先週は早起きして出かけたので、今日は引きこもりの日曜日。天気も良くないし、ちょうどいい。夕方ミントオイルをこぼしたせいで、台所じゅうミントの香りになってしまった。嫌いな匂いじゃないからいいかと思いつつ、虫よけに効くというのは本当かしらとちょっと期待している。


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なぜか - 2004年05月15日(土)

大事だと笑ったらどれも懐かしくなるようでなぜか今は泣いてる




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白く光る - 2004年05月12日(水)

ほの白く光る波立ち春霞みくるまれたひとの手を取りてゆく



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岐路 - 2004年05月11日(火)

そろそろ真剣に考えないといけない、お風呂のふちに座って爪先で湯船の底に光るライトをつつけば、緑にくるまれた橙色がゆらりと転がって移動する。考えないといけない、本気を出すか、逃亡するか。道は反れるためではなく分岐するために分かたれている、どうするかは常に私ひとりの選択。


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日がな - 2004年05月03日(月)

もう何曜日だかよくわからなくなってしまいつつある。母と一緒にパンやシフォンケーキをいくつも作り、夕食後は鯉が泳ぐのを眺めて、祖父が最近撮った写真のファイルを見せてもらう。ヒマラヤとトルコ、モンゴルの平原を駆ける少年の後ろ姿、雪山と花々、それから満面の笑みの赤ちゃん。可愛いなあと思ってよく見たら、口にくわえているぴかぴかしたものは、よくある100円ライター。慌てて「お祖父さん、これ、ライターくわえてますよ!」と注意すると「気が付かなかったー!」と驚いている。私の隣で、祖父が編纂に関わったとかいう地方文化辞典みたいものを熱心に読んでいた妹も、呆れたような困ったような顔で「おじいさま……」とアルバムを見つめる。この人と赤ちゃんを2人きりにしておくのは、明らかに危ない。
まだできるだろうかと弟を抱っこしようとしたら、逆に抱きかかえられた上にぶんぶん振り回されて悲鳴を上げた。容赦ない振り回しぶりに、目がまわる。


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春を仰ぎ - 2004年05月02日(日)

春を仰ぎ 空には淡く波立ちて 松が枝は常のままの緑に



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海沿いに - 2004年05月01日(土)

車が発進する直前、隣の運転席のブレーキの位置と、自分の携帯の在処をちらりと確認する。
母を外出先へと送った帰り道はきらきらと五月の空、シーサイドラインは過ぎる程に眩しい。助手席に座る私が外の写真を撮りたそうにするのに気付いて、退院したばかりの父が海を見下ろす駐車場に停車してくれる。いつ何時心不全を起こすかわからない、もはやひとりで車を運転することすら危ぶまれるこの父親の、心臓がもしもほんとうに突然止まってしまうのだとしたら、叶う事ならこんな風に私が隣に乗っているときであってほしい。もうどこへ運んでも助からないなら海に車ごと突っ込んでしまってもいい、愚かしいとは自分でも思う、残される苦痛を味わう覚悟がないだけの弱さだとわかっているけれど、遠くにいて電話で急逝を知らされるくらいなら、その方が私にはずっとありがたい。




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幾度でも海沿いに流れゆくたびに思い出すきっと晴れたこの日を


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