夕暮塔...夕暮

 

 

夢の話。 - 2001年09月30日(日)

弟を失う夢を見た。
長く眠り過ぎた最後には、いつもそんな風に、後味が悪くて辛い夢を見て目が覚める。あるいは、発熱中だったせいかもしれないが。
夢の中で船から投げ出された弟は、今より大分幼い頃のようだった。





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影が怖くて - 2001年09月29日(土)

目を固く 閉じて震える 子供だった 自分の中の 影が怖くて


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その頃のことは、よく覚えている。
一過性の熱病のようだった。熱いのか寒いのかもよくわからないみたいに、ただ夢中で憎悪して、この嵐が早く過ぎ去ればいいと頭を抱えて震えていた。
今なら、確かに愛しいと言えるのに。
心から。



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舵を取る - 2001年09月28日(金)

舵を取る 闇の深さを 測りかね ひとりたゆとう 白河夜船


愛してる ひとしか傷付けたくないと 君は泣くんだね なんて傲慢


………


今日の短歌は、大学生の時作ったのを少し直してみたもの。
風邪をひいてしまったので、お茶の誘いを断って帰宅。もう一度寝よう。






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糖蜜の - 2001年09月27日(木)

今は会えぬ 君の髪へと 光降れ 金のつきかげ 糖蜜の夢


………


糖蜜のように胸を甘くする、そんな幻想ほど重たいものはない。
抱えたままでは現実と離反し、けれど手放したら指針を失う。このままどこまで落ちて行くんだろう。
閉じた瞼の裏で声もなく笑うあの人に、叶うことなら触れたいと、そう望みながら懺悔する。


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花と輝け - 2001年09月26日(水)

濃密な 雲の渚を 迷い出て 花と輝け ひとときの嘘


………


母方の墓石に連なる埋葬者の名前のひとつに、「ガダルカナル島にて死す」という意図の言葉が刻まれている事に気付いたのは、数年前のことでした。
おそらく遺骨は帰ってきておらず、あの中には無いのでしょう。その為の記述であろうと思います。
ガダルカナル。
「野火」という小説の舞台にもなった、太平洋戦争の激戦地の名です。
私は戦争を知りませんが、自分に血の繋がった人がそこで死んでいるという事実は、少なからず衝撃をもたらしたようです。その名を聞けば、妙な親密感を伴って、感傷的になってしまうような。

本当は昨日添えるべき文章だったのですが、少しためらいもあったので、1日遅れで。


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心のみとて - 2001年09月25日(火)

背に受ける この土は故郷(くに)に つながらず 心のみとて いつか還らん


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池袋駅の構内にあったフォションのパン屋さんとカフェが、アンデルセンに変わっていたのにショックを受けた日でした。好きなパン(他のフォションでは売ってないみたい)があったのに…。悲しい。
甘いものが食べたい気分だったので、おはぎを買って帰りました。お彼岸ですし。お抹茶を切らしている事を後悔しつつ、二つも食べてしまった。

お抹茶はこの間お茶屋さんを通りかかった時、買おうかどうしようかと一瞬迷ったのですが、何となくそのまま通り過ぎてしまったのです。今度通りかかったら、ちゃんと買っておこう。








  


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月は高く - 2001年09月24日(月)

月は高く つややかに夜の 道照らし 指先で揺れる リンドウの青


容赦なく その傷跡を 踏みにじり 君を二度殺す 私を許すな 


………





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呼ぶ声の - 2001年09月23日(日)

呼ぶ声の 明るさにさえ 歓喜して 今までしてきた 恋を忘れる


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宮古島から帰宅。
白い砂浜とエメラルドの海の美しさに感動しつつ、泳ぎに泳いだ日々でした。
夏の国から帰ってきたら東京はもう秋で。



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楽園脱走 - 2001年09月18日(火)

楽園は 遙か遠くに 捨てて来た 甘くいとしく けれど稚(おさな)く


………


全力で走った。何を振り切る為かも知らずに。せいいっぱい。


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床下に - 2001年09月17日(月)

嵐にも ぴくりともせず 床下に 宝石埋まった 家に生まれて


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ああ、ようやく…ようやく学会終了………。かなり疲労困憊。
1日くらい間に休みを挟んで欲しいものだ。




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熱く円かな - 2001年09月16日(日)

君の住む 世界をゆがめて しまいたい 熱く円(まど)かな 毒で満たして


………






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神も眠る - 2001年09月15日(土)

神さえも 眠ってしまえと 切望す 人苦します 恋をしてから


神も眠る 暗闇の底を ひた走り わたしは目指す 彼の人のもと


…………


------皆、皆眠りについてしまえばいい。その深い闇に紛れて、私はあの人へと続く道を急ぐ。
誰も許さぬ、誰にも許されぬ、恋をしている。




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やまぬ嵐を - 2001年09月14日(金)

好きで好きで好きと 百うたっても 足りなくて やまぬ嵐を 追い風に立つ

…………


すべての風があなたに向かって吹き、感情はみなあなたへと流れる。
心臓に甘く熱い毒塊を埋め込まれたように、いっそもうどうしようもなく、わたしは病んでいる。


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世は暮れて - 2001年09月12日(水)

世は暮れて 血に濡れたまま 君が問う 生き抜くことに 価値はあるかと   


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何故人を殺して悪いのかわからない、そんな風に答える若者が増えて、豊かに見えるこの国が内側から少しずつ綻び始めていることを、誰もが何となく感じている。警鐘は確かに鳴らされている。流れを止めようと努力する人もいる。しかしそれでも止まらない、この不可留の流れに、誰が乗っているのが、誰が知らずに流されているのか、区分することに意味があるというわけでもなさそうだ。

昨日、はるか海の向こうで、多くの命が奪われた。
人間にあんな事ができるのだと、私達は映画や小説といった仮想の世界で思い描く事は出来ても、目の当たりにすれば声を失う。
いたましいという言葉が、一瞬にして酷く陳腐になる。あまりに拙い。一体どんな言葉を尽くしたら、理不尽に命を失った人々やその家族の、悲哀と憤りに見合うのというのだろう。

世界は美しいばかりではない。生は喜びだけに満ちてはいない。切ない事件が起こる度に確認する。ただ、それでも生きることに価値はあると、私は揺るぎ無く信じているし、共に生きる人にもそう伝えたい。




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台風を初めて憎く思う日。 - 2001年09月11日(火)

や、やられた………。
台風15・16号……。

わたくし、本当なら今頃は、気の合うかどうかは微妙(むしろ好対称な性格)だけれどもとても好きな友人と、宮古島の海辺のホテルで、リゾートな夜を過ごしている予定でございました。
それがなぜ日記など記入しているかと申しますと、暴風雨による羽田発沖縄行き欠航のためでございます。due to tyhoon。…なんてことだ…………。

台風には、庭の松の木(結構な大木)を傾けられてしまったり、犬がびびらされてしまったりした事はあったものの、わりと楽しい思い出が多かったもので、そんなに憎く思うことはなかったのですが、これはかなり許せない、と少々憤慨気味でございます。
楽しい思い出というのは、子供の頃来た大きな台風の時、停電の為に蝋燭で食卓(よく覚えております、ポトフでした)を囲んだりだとか、1日2日電気の使えない状況になって不便なりにも工夫して暮らしたりだとか、そういう無責任さから来るもの珍しさあってのことなので、実際には大人は大変だったのだろうと思うのですけれど。










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蛮勇 - 2001年09月09日(日)

蛮勇を 以てわたしの 足枷を 外してしまえ 共にゆくため


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最近、超自我がどうにも働かなくて困る。
危険信号。



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傷を数え - 2001年09月08日(土)


傷を数え 失った夢も 抱いたまま その胸に再(ま)た 宿れ情熱 


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久しぶりに会った友達から、思いがけない「これから」の話を聞く。
未来の話がしあわせと希望にだけ満ちていた時代を、私達はもう随分遠くに置いてきたように思う。陶然と語られるビジョンは、私にだってそう多くない。
けれどまあ、彼女の内に消えていなかった火を見つけて、結局のところ私はひどく安心したのだ。長い不遇と葛藤が、あの生まれつきに陽性の人を完全に叩きのめす事などできなかったと確認して、素直に嬉しかったのだ。
ひとかけらの不安もないと言えば嘘になるけれど、語られる未来の片隅に自分の姿を見つけて、それは私の「これから」の話の1ピースになった。








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天にも地にも - 2001年09月06日(木)

目を閉ざし 帰り来ぬ日の 淡きかな 天にも地にも 雪の降り積む


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今日は何もしないでぼんやり過ごした。
エネルギーを極力使わず、ひとりでうとうとしたり本を読んだりして。
本当はこなさなければならない事は山積みで、少し溜息の種なのだけれど、それも今日は忘れたふりをする。そんな1日。
ああ、上野でやってた天神さま展、まだやってるかなあ。終わっていたら悲しいな。




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湖上満月 - 2001年09月05日(水)

そばにいれば好きと言わずにいられない、想うだけで胸の中が静かに甘く満たされてゆく、そんな気持ちに、どうしてなれるんだろう。なぜそんな人を見つけてしまったんだろう。それもこんな風に簡単に。
傷つくまで探しても見つからなくて、苦しい人だっているのに。
誰に、感謝すればいいのかすら、わたしは知らない。



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振り向いて そう言えなくても しあわせと 何に告げよう 湖上満月




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今は涙す - 2001年09月04日(火)

笑む君の 瞼のカーブを 思い出し 今は涙す 今は涙す


………




 


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涙が予期する - 2001年09月02日(日)

さびしいと 言ってしまえば 簡単で あなたをひどく 困らせるけど


別れ際 そっとつないだ 手を解いて 笑ってみせる また会えるねと


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そう遠くない未来、二度と会えなくなることを涙が予期する。 
距離だけを憎むそぶりで。


 





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