夕暮塔...夕暮

 

 

夏も終わり。 - 2001年08月31日(金)

雨に濡れ ノウゼンカズラの 花落つる この新世紀の 夏も翳ろふ


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凌霄花(ノウゼンカズラ)は、夏に橙色の花をつける植物で、他の木や何かに幹を巻き付けて生息します。咲くときにはその茎から垂れてぶら下がり、最後は地面にまるごとぽとりと落花するのですが、私はなぜかこの花が好きで、道ばたで見つけると嬉しくなる植物のひとつです。
けれど今日で8月も終わり。冷たい雨も降って、樹下は橙に染まっている事でしょう。



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吐息ひとつで - 2001年08月30日(木)

月こもる 薄雲散らして しまえたら 吐息ひとつで 時は流れる


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夏みどり 金のさざなみ 銀の冬  - 2001年08月26日(日)

夏みどり 金のさざなみ 銀の冬 春遅かりき 瑞穂凪ぐ国


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私の生まれ育ったところには、およそ全くといって良いくらい坂道というものがありませんでした。
決して有名ではありませんが一応の名の付いた平野の真ん中で、地平線まで水田の広がるような、雪国の田舎です。その一面の稲の穂が、春の田植え時期を過ぎると浅緑に染まって風にそよぎ、秋にはまぶしい程の黄金色に輝く。もしかしたら誰かにとっては、おとぎ話にしか聞こえないようなところだったろうと思うことがあります。



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裸足で月の - 2001年08月25日(土)

声もなく 裸足で月の 影を踏む ひたりと染まれ 忘れ得ぬ夏


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いつの日の夢 - 2001年08月24日(金)

君は今 いつの日の夢を みているの 真夜中白い 星が揺れてる

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聞かせてほしい。ほんの、その欠片だけでもいいから。同じ夜は、もう、来ない。






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傷も残さず - 2001年08月23日(木)

さびしいと あなたに言える わけもなくて 誇りを捨てず 傷も残さず

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そんなひとの事自体が、さびしく思える時もあるけれど。
その潔さと弱さは嫌いじゃない、本当は。




 


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落ちておいで。 - 2001年08月22日(水)

落ちておいで、とわたしは繰り返し誘惑する。寛容なふりをして腕を広げて見せるのも十分に作戦のうちだ。絡め取りたい奪ってしまいたい釘付けにしたい、激情のすべてを包み隠したままでわたしは笑う。あの人の好きな、中天を見上げて咲く真夏の花のように笑う。

手放せるものなんか、みんな捨ててしまえばいい。

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夕ご飯は秋刀魚とお刺身。
最近重たいものばかりだったので、今日こそあっさりめに。
お刺身が霞んでしまうくらい秋刀魚がおいしくて、秋の近さを舌で実感した日でした。



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嵐待つ - 2001年08月21日(火)

嵐待つ 夏草なびく 夕闇に 君の名を呼ぶ 届かなけれど

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喧嘩を、してしまった。

とても些少なことが元なのに、あとで後悔するくらいひどく感情的になって。
ごめんねとは言わないけど、仲直りはあっという間。

夕刻、生後三ヶ月の赤ちゃんを抱っこする。
小さな爪、柔らかい指、遅れてやってきたお姫様に家中が沸いているらしい。
指をきゅうっと握り返してくれたとたん、何とも甘い気持ちになる。
子供の寝顔からは、何か人を暖かくする成分でも出ているのだろうか。



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あなたの唇にのると - 2001年08月20日(月)

あなたの唇にのると どんな些細な言葉も この耳には甘い 恋の歌として響く

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燃えるような夕焼け、という表現をすることがありますが、嵐の近づいた今日の夕暮れはさざなみのごとき雲を透かして、本当に一帯の家並みを燃やさんばかりの橙で。
この光景を見ながらシーサイドラインを走っている誰かに、軽く嫉妬。


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何の為にでもなく - 2001年08月19日(日)

望まれることを疑わぬ人のふてぶてしさよ 神々しいばかりの輝きよ 何の為にでもなく君を愛する


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太陽が眠ってしまった話。 - 2001年08月18日(土)

今日は夕暮れが美しかった。
蛇とか蛙の類が怖いから夏の犬の散歩はちょっと苦手だけど、夕暮れどきは別。犬と歩いているうちに、見る見る田舎の広い空が夜に近づくのは楽しい。
東から刻々と夜に染まっていて、西の空がとろけた紫の硝子みたいにきれいだったから、弟に散歩に行こうねと言ったのに。
聞かないふりでソファでぐうぐう眠ってしまった。
ソファの下に座って、日焼けした顔をじっと覗き込む。
日焼けは日増しにひどくなるばかりで、今日あたりからは鼻の頭の皮がむけてる。生まれつき肌が弱いから、本当は日焼け止めを塗るべきなのに、野球少年としてはかっこわるくてそんな事はできないらしい。

額をそっと撫ぜる。伸ばした爪で、傷つけてしまわないように。

既に空は闇をいっぱいに満たして、わたしは散歩をすっかり諦めてしまった。
伏せた睫毛の黒々とした艶。小さい頃は本当に色素が薄かったのに、いつからこんな風になったんだろう。焼けた伸びやかな手足は夏を表象するようだけど、そこここに荒れた様子の見える肌が、少し痛々しくて。
切なくて愛しい。

私の太陽が眠る。その名に灼熱の星とひかりを冠して、今も昔も私を照らす。









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夏の夜の底 - 2001年08月17日(金)

空は紫紺。細い細い三日月が、何かを受けるような形できらりと研ぎ澄まされている。電気を消してそっと窓を開けると、一気に虫の音が響く。
けれど私はまたその厚い硝子を閉め、外と内とを区切る。
涼やかな声も夏夜に美しいけれど、もっとすこやかな、しあわせなものが室内には満ちているから。



かの安らかな寝息を聞いて 私も眠ろう 月の船も遠くにたゆとう夏の夜の底



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