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| 2007年02月13日(火) |
健康診断の結果通知がきた。なぜか肝臓の数値が上がっていた。
晩酌をするわけでもなく、食事へいってもグラスビール程度。
常用している薬があるわけでもなく・・・と。
私がなぜ家でお酒を呑まなくなったのかと、この数年自分でも不思議だった。美味しくないわけでもない。呑む時間がないわけでもない。寝付けなくても寝酒をしようとも思わない。
あれこれと遠い日々を思い起こす作業を、海岸線を運ばれながらしていると、日々目をそらしている心模様に視線がとまる。私はただ、家を守り、温かい昼間の日差しを浴びて、心穏やかに貧しくても心豊かに暮らしたい、ただただそうしたいだけなのに、なぜか私の選ぶ道は違う方向へ開いてゆく。
明日もこんな夕焼けを見ることができたらなぁとか、ここへきて絵を描けたらいいなぁとか、そんなことをあれこれとして過ごしたい欲求を捨て、蓋をして、悲しみに押しつぶされないように自分を消して過ごすこの毎日毎日を全て虚しく感じることを、私自身が気づかぬ間に防御を施していることに、気づいた。
だから、家でお酒を呑まないのだ。酔って自分のなかにある悲しみが湧き出してくることを避けるために。
いまは、そんなことで潰れているときではないと自制しているのだ。
海岸線を車で走り抜けて彼は通勤をしていた。
窓を開けて煙草をふかしながら走る姿を思い出す。
そんな彼を車椅子に乗せて歩いていた日々のある日、いつもは喫煙所で座ったまま煙草を吸っていたのだけれど、彼は外で散歩をしている最中に煙草を吸い始めた。煙草の火を消せというのは簡単だけれど、ならば急いで喫煙所へ連れていこうと急ぎ足で私は車椅子を押した。いや、駆け足で風を切り煙草の煙が細く流れていった。そのとき、彼がつぶやいた。
「ひさしぶりだなぁー、こうして車で煙草をすうのは・・・」
一瞬の夢だった。つらい闘病生活のなかの一瞬の。
六年前の今日、彼は再入院をした。私は夜中に涙がとまらず、鼻をすする音が彼に聞こえないように必死だったんだ。
