みかんのつぶつぶ
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1000の風
私の墓石の前に立って 涙を流さないでください。
私はそこにはいません。
眠ってなんかいません。
私は1000の風になって 吹きぬけています。
私はダイアモンドのように 雪の上で輝いています。
私は陽の光になって 熟した穀物にふりそそいでいます。
秋には やさしい雨になります。
朝の静けさのなかで あなたが目ざめるとき 私はすばやい流れとなって駆けあがり 鳥たちを空でくるくる舞わせています。
夜は星になり、 私は、そっと光っています。
どうか、その墓石の前で 泣かないでください。
私はそこにはいません。
私は死んでないのです。
<作者不明 訳:南風 椎>
それでなくてもすっかり明るい性格だというわけでもない私は、 毎日どういう顔をして他人と接してよいのかと敏感になりながら過ごしていたりする。 だから、何があっても笑顔笑顔で誤魔化す。
「あなたはいつも笑顔で如才なくて」って言われる。申し訳なく思う。 いつも笑顔は本心を隠すため。迷っているため。 如才無くしているつもりはなく、ただ本音を言わず気が利かないと言われるのが嫌なだけ。
それでなくても根暗な性格なのに、思い返すと悲しいことのほうが多いような気がする気分の日が多くて。思い出に後ろ髪ひかれひかれて涙なんか流していられるほど生易しいことなどではない感情に絶望してしまう春の一日があったり。
みんなが嘘吐きだと思う日も多くて。
いい歳した自分のこの不甲斐なさを、徒然なるまま文字残す行為にどこか救いを求めている虚しさ。
なにか 楽しいことがないだろうか
なにか 喜んでくれるものがみつからないだろうか
なにか 少しでも慰めになるようなことが 私にできないだろうか
病院へ行く道々考えていた
どうして私は もっと優しくなれないのだろうか
どうして彼は こんなに苦しまなくてはならないのだろうか
どうして世の中が こんなに遠く感じるのだろうか
どうして どうして どうしたら
病院から帰る道々ふりかえりふりかえり 一日をふりかえりふりかえりふりかえり 遠くなる病院の窓をふりかえりふりかえり 彼の人生をふりかえりふりかえりふりかえり 私は歩いた。
これからも ふりかえりふりかえり、 一歩一歩、キミの短い人生を噛み締めながら、 まだまだ歩いてゆくよ
桜が泣き笑いをしているようだった。 顔を紅くして泣いていた彼にみえた。 私はやっぱり、涙を喉の奥に流した。
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