【読書記録】豊島ミホ「夜の朝顔」

ストーリー:主人公・センリの小学校低学年〜高学年のそれぞれの短編が収録されている。

『檸檬のころ』が気に入って、借りてきた豊島さんの本だったのですが、今回の主人公は児童にあたる年齢で、ちょっとずれを感じずにはいられませんでした。主人公はとても冷静に、しっかりと気持ちのずれをつかんでいて、この年頃の子供がこんなに冷静で静かにコントロールできるものかなぁと私はこの本に年相応な様子を感じられませんでした…。普通の作家さんも主人公の年齢が幼ければ幼いほど、「何か違う…」と思うことはままあったのですが、これは顕著ではないかと。けれど、あとがきを読むと著者の小学生時代が思い浮かばれて、なるほどこういう方ならば、こういう子供を描くのも納得かもしれないなと思いました。要は、ご自身がどういう経験をして育ってきたかによるところも大いに影響しているようです。NO.31■p195/集英社/06/04
2008年07月30日(水)

【読書記録】豊島ミホ「檸檬のころ」

なんとなく手にとったのですが、檸檬…甘くてすっぱくてそんな青春時代のお話が7つ。みんながみんな10代の少年・少女というわけではないのもとてもよかったです。そしてなによりも、物語にリアリティがあって、現実だなぁと思えるような展開が好き。やっぱりというか私は「ルパンとレモン」が一押しです。そんなに”いい子”じゃなくてもいいのに…!NO.30■p261/幻冬社/05/03

(ちゃんと確認して打っていたはずなのですが、冊数カウントミスしていました。現在29冊既読です)
2008年07月28日(月)

【読書記録】恩田陸「朝日のようにさわやかに」

理瀬シリーズ・ヨハンが主人公の「水晶の夜・翡翠の朝」を含む短編・掌編織り交ざった作品集。ヨハン君の物語は気になって短編収録時に読んでいたので、感想はそちらで。それにしても、アンソロジーも好きで結構読んでいるので、収録作品はちらほら見知ったものが交じっていました。
今回好きだったのは、『冷凍みかん』なんていいかな。ほぉっと思うものでした。まさか冷凍みかんを…に見立てるなんてなぁ。『深夜の食欲』は、恩田さんもあとがきで書いておりますが、今までのホラー要素にプラスアルファが加わった作品。とにかくぞっとしました。『淋しいお城』はミステリーランドを意識して描いた作品だけあって、子供の視点がとてもわかりやすくて、そのわりに味があっていいなぁと思ったし、『卒業』はとにかくスリルでスピード感がとてもいい!
どの作品にも言えるのは、趣向が凝っていること、そして長編では見られなかったであろうタイプもちらほらありました。何かしらの工夫がどの作品にも見られて面白かったです。NO.27■p281/新潮社/07/03
2008年07月26日(土)

【読書記録】乙一「小生物語」

乙一氏もとい、小生が記した日記である小生物語。初めて読んだときは、乙一氏としてみていたのでどこまでが本当なのかわからない遊び心のある日記がとても楽しかった、という印象だったのですが、落ち着いて読んでみると境界もわかるようになりなるほど、と思ったりしました。後半になると氏のシュールさがさらにらしくなっていたりしたようにも感じ、こういう日常的な文章もやはり面白いなと思ったのであります。NO.26■p253/幻冬社/04/07
2008年07月24日(木)

【読書記録】歌野晶午「ハッピーエンドにさよならを」

歌野さんといえば、”クセのある落ち”というのが私の認識で、まさにハッピーエンドにさよならなのが歌野さんの文章だと思っていたので、これは面白い!と思って借りてきました。短編だったり数ページのみの掌編だったりと、内容は大分ばらつきがあります。中には『本当のうそ』で読んだ作品もあったりして、みんながみんな見事なまでの内容でニヤリでした。ただ、この本の傾向としては愛情のあるさよならだったり、納得の出来る皮肉だったりと面白かったです。
個人的には、おねえちゃん、サクラチル、玉川上死、In the lap of the motherあたりのお話が良かったように思います。
NO.25■p319/角川書店/07/08
2008年07月22日(火)

【読書記録】奥田英朗「空中ブランコ」

伊良部先生シリーズ第二段。確実に前作よりも力がついてらっしゃるなぁというのを感じました。前作でもはっとさせられるようなシーンが、さらに迫ってくる。そうか、そういうことだったんだ――とわかったときの爽快感!今回は表題作の『空中ブランコ』、『義父のヅラ』『女流作家』あたりが記憶に残っている。空中ブランコでは、伊良部先生まさかのチャレンジで、義父のヅラでは学生時代も入り混じり、本当にどきどきしながら見守っている感じを覚え、女流作家は違った角度からぐさりと。…二ヶ月しても内容を覚えているというのは、やはりインパクトがあったからだと思います。
NO.24■p265/文芸春秋/04/04
2008年07月20日(日)

【読書記録】奥田英朗「イン・ザ・プール」

ストーリー:とある大病院の地下には、大分変わった神経科があった。そこにいたのは、医者なのか疑いたくなるような男・伊良部。伊良部の元に訪れる5人の患者たちの経過を面白おかしく描いた一冊。

ずっと読みたかった伊良部先生シリーズ。おもしろいのかなぁと思っているうちに賞を受賞しそうになったりメディア化したりで、あれよあれよと月日は流れたものの、なんとか手に取る事が出来ました。これは感想をどう書いたらいいのかしら?と悩みつつですが;
私は、このあとに出版された「空中ブランコ」でこれはおもしろい!と思ったクチでしたが、伊良部先生の患者への対応の仕方にはとにかく思うところがあり、いいなぁと思いました。私が印象的だったのは、プール侵入シーンとかかな。笑
NO.23■p269/文芸春秋/02/05
2008年07月15日(火)

ワタシイロ / 清崎
エンピツユニオン