【読書記録】五條瑛「恋刃

ストーリー:エリートコースをひた走り、現在は経済産業省勤務の桑田惣一。そして同様に順調な人生を歩んできた桑田の妻・聖美。そんな桑田の同僚・畠の突然の失踪、そして省内での気になる噂はいつの間にか桑田の身近なことになっていく。そして聖美はフリーターだという男性と知り合うが…。一触即発の根岸会と宇都宮百貨公示、彫翔と彼の妹。uk-Xの動きとすごい勢いで蔓延してゆくファービー。

一冊に凝縮された内容が半端ではなくて、たった320pなのに500pくらい読んだような充実感を得られる革命シリーズ。ここで生き残っていくには無難に、踏み入れすぎない事が大切なんだと思いながらも、巻き込まれ、ついにはあるものを手に入れたくて動き出した桑田と聖美。意外な人物の登場もあり、桑田さんのその後が楽しみです。
NO.22■p320/双葉社/05/03
2007年11月24日(土)

【読書記録】五條瑛「心洞

ストーリー:”御上”からの命令で”鳩”を探すヤスフミ。尻尾をなかなかつかませない鳩にやきもきしながらも、エナの笑顔に励まされ、必死で鳩を追う。一方、彼に拾われてキャッチガールをして日々をすごすエナに、仲間の突然の失踪・そして死。追ってはいけないとどこかで感じ取っているのに、追いかけずにはいられないヤスフミ。そして知らぬ間に巻き込まれてゆくエナ。出回り始めたファービー、そして鳩の行方。ヤスフミとエナが最後にたどり着いた先には…。

革命シリーズ第三弾。今回はヤスフミとエナの視点から物語りは進んでいきます。ヤスフミが出会ってしまった人物と事件は、彼にどう影響するのだろう、そしてどうエナにつながってくるのだろうと思いつつ読んでいたのですが、両者ともにあまり歩み寄らないので、二つの物語を読んでいるような気持ちにもなってきます。けれど交錯する人物は、確かにひとつの物語だと感じさせる象徴。それにしても、あの人があんなにどす黒く表現されていることに驚きを感じました。あの時はそんなに黒々しくはなかったのに、こちらでは相当ですね。まるで蛇のよう…。
NO.21■p276/双葉社/03/06
2007年11月17日(土)

【読書記録】井上夢人「クリスマスの4人」

ストーリー:1970年12月25日。誕生日祝いで集まった男女4人は、"葉っぱ"を吸って遊んでいた中、偶然人をひき殺してしまう。しかしその男性、しわくちゃな200万円を所持し、身なりはいいのに無精ひげを生やしたどこかアンバランスな男性だった。なぜ田舎の車道で深夜この男性をひき殺してしまったのか、殺してしまったという罪の重さ、そして男性の正体…。深まるなぞと恐怖におののく四人だったが…。

いやはや…「オルファクトグラム」がとてもすばらしいと思ったので、また読んでみたいなと思って借りてきた井上さんの作品だったのですが、あまりに恐ろしくて一日で読み終わらせました。苦笑 章ごとの進み方が特異で、だからこそ悪寒がするような薄ら寒い気持ちを味わう事が出来る作品だと思います。あの男性がなぜそこに!と思うほど、ページをめくればめくった分だけ募る空恐ろしさ。けれど、だからこそ終わりのほうが少々…そういう落ちかあ…と残念でした。それまでの夏の涼しさを求めるにはよい作品だと思います。
NO.20■p294/光文社/01/12
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実はこのあたりの本は夏ごろに読了したものだったりします。なのでコメントもそんな感じなのですが、思ったよりも貯金があって、もしかしたら年末にどっさり更新になるかも?と思ったり…。それなら週2更新にすればというのは却下です。笑
2007年11月10日(土)

【読書記録】五條瑛「紫嵐

ストーリー:カンボジアの大地から難民として逃げてきた"鳩"(ハト)。多国籍として肩身の狭い思いをしながらも、なんとか相棒の"チューン"とともに生きていた。しかし、街中で出くわした些細な喧嘩が発端で、裏世界は動き始める。組織にいやおうなく使われる鳩。失踪したチューンの行方は、そして鳩の知らぬ間に動き始めた裏の世界での物事とはいったい…。

タイトルは、シラン。「断鎖」とともに、R/EVOLUTIONシリーズの第二作目。断鎖メンバーもちらほらと出てきます。特に亮司はかなり頻繁に出てきていて、それが断鎖のころからの成長と変わらぬところを覗けた事は展開としては面白かったと感じました。あまりストーリーの流れを書いてしまうとネタバレになってしまうと思うので、ここは本を読んで一転二転するストーリーにあっと思っていただくのがいいなぁと心底感じる本です。そして、前作でも感じた歴史的事情がとても色濃く出ていて、今回は特にんカンボジアの歴史が、とても痛々しかったです…。作中で、"すみれ"と鳩が大食い番組を見ていて感じることを、私たちは心から理解することは出来ない。けれど、申し訳ないと思える程度の心は持っている。こればっかりは本当に読んでいただかないとわからないのが残念で仕方がない。ストーリーだけを楽しむのではなく、歴史も感じられるいい作品だと思います。
NO.19■p310/双葉社/02/05
2007年11月03日(土)

ワタシイロ / 清崎
エンピツユニオン