【読書記録】加藤実秋「チョコレートビースト」

ストーリー:渋谷のなぎさママの店で偶然鉢合わせした窃盗団となぎさママ、そしてclub indigoのオーナー晶。なぎさママの活躍により窃盗団を追い返したものの、晶が投げたバッグを持ち去られたことにより、晶はバッグを取り返すべく、窃盗団について調べることになったのだが…。(表題作より)

『インディゴの夜』の姉妹作。四つの短編が収められていますが、後半は展開のパターン化により、少しだれた印象。最初の短編には、あぁこういう結末もありだなぁと楽しませていただいたのですが、最後の短編などは、きちんとほかの作品と同じページ数でえがかれているのに、あまりにも狭い世界・展開の薄さに、途中で先が読めてしまって残念でした。ミステリ色といえばいいのでしょうか…探偵的要素が減ってしまって、むしろラストまで読むと、著者は違う方向への模索をしているのかなぁとも感じます。インディゴの夜がシリーズで進むのか、方向転換を図るのかはわかりませんが、軽いノリの短編はうまく描かれる方だと思うので、もう少し追いかけてみようと思います。p280//06/04
2007年08月28日(火)

【読書記録】「I LOVE YOU」

伊坂幸太郎「透明ポーラーベア」石田衣良「魔法のボタン」
市川拓司「卒業写真」中田永一「百瀬、こっちを向いて」
中村航「突き抜けろ」本多孝好「Sidewalk Talk」
p324/祥伝社/05/07

執筆人が豪華だなぁと思いつつ、久しぶりにアンソロジーに手をのばしました。今まで利用していた図書室にあったのは大体の読んでしまっていたので、今回アンソロジーの魅力に気がつき、再びアンソロ読みたい!と思いました。
全編を通して、作者の雰囲気がすごく出ていて、同じテーマなのに、すごく色を感じる作品ばかりでした。伊坂さんは初見でしたが、作品の評判は存じていたので、あーこういう作風なんだなぁという思いで、石田さんは相変わらずの甘い作風。最近はご無沙汰しておりますが、市川さんは私が知っていた初期の作風とはちょっと違って、からくりに楽しませていただきました。中田さんは初めてお名前をお聞きしたのですが、すごくキャラクターがたっていて、このキャラクターありきでストーリー展開されたのが非常に印象的でした。中村さんは、展開の方向性に面白さがあり、このテンポは中村さんの魅力なのだろうなと思う節が。本多さんは、いきなりテーマはどこへ…?と思いつつ読み進めたのですが、この恋愛の感覚は素敵だなぁと心から思わされる読後感でした。振り返ってみて、私が面白かったと感じたのは市川さん、好きだなと思ったのが本多さん。今回は、市川さんの『卒業写真』のストーリーを紹介。
ストーリー:偶然立ち寄った喫茶店で、小太りの男性に声をかけられた。しかし、むこうはこちらのことを知っていても、私は彼のことを思い出せない。必死に話をあわせ、話を進める中にちりばめられた情報から相手を特定させながら、同級生だったという高校時代に思いをはせる主人公たちだったが…。
2007年08月16日(木)

【読書記録】恩田陸「劫尽童女」

ストーリー:その昔、博士は施設からいなくなった。消息の途絶えた彼を探し求めるハンドラーとシェパードのアレキサンダー、そして施設の仲間たち。天才である博士のしていた研究とは、そして博士の唯一無二の子供の存在とは…。(VOLUME1.化現より)

あら!案外新しい著書なのですね!もっと前な気がしておりました。かわいらしい少年少女がこちらに走ってくる表紙に、ほんわかめのお話を思い浮かべたのですが、まったく…ではないのですが、想像していたお話とは違っていて、どちらかといえば常に緊張を強いられるストーリー展開でした。VOLUME4もかなりのインパクトがありましたが、1の世界観・設定が見事で、読み終わったときのほの暗さがあるのに、ただただ魅せられており、一冊があっという間でした。どちらかといえば、『ロミオとロミオは永遠に』の雰囲気に近いものが合ったように感じます。
NO.10p322/光文社/02/04
2007年08月04日(土)

ワタシイロ / 清崎
エンピツユニオン