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我が家ではガスで湯を沸かしているのだが、今朝は湯の蛇口を捻っても何も出なかった。 ガスが切れたのか、ひとまず水は出る。 目覚まし代わりのシャワーを断念して出勤。
雪は降らないものの、外はとにかく寒い。
それもそのはず、18年振りに最低気温-5.5℃を記録したここ南国。 寒さの影響で我が家の裏の水道管は破裂してしまったのだ。 家族が見つけた時には既に噴水状態で、裏の家の庭を水浸しにしていたそうだ。 同じ状況に陥った家々から水道局に600件超の問い合わせが殺到。 朝一番に連絡したというのに、今日中には行けないと言われた。
余りに寒いので買ってきた入浴剤は、残念ながら明日に持ち越し。
職場で唐突に飲みに誘われた。 普段なら平日の飲み会は何かと理由を付けてお断りするのだが、行き先を聞いて二つ返事で付いていく。 駅の近くに古くからある居酒屋なのだが、以前から安くて旨いとか、スチュワーデスがよく来るとか、 何やら料理の量が半端ではないとか、そんな話を聞いていたので興味津々。
行ってみたらなるほど、注文したものはどれもこれも皿鉢ほどの大皿に盛られている。 餃子だの厚焼玉子だの野菜炒めだの、普通の料理なのに。 おにぎりは、丼一杯のご飯を使って握ったものが二つ並んで一人前。 デジカメを持ってこなかったことを悔やみつつ、満腹中枢が刺激される前にと黙々食べる。 焼酎を頼めばいいちこが一升瓶で出てくる。 アイスペールと2リットルのペットボトルと一緒に、飲みたいだけ飲めという形だ。
自分たちが座った二階の部屋は六畳ほどの和室で、片隅には日本酒のサーバーがあり、 二つのテーブルは仕切りもなくおっちゃん連中と背中合わせ。 他人の家に上がり込んで晩御飯を食べている風だった。
最後に10分程度真面目な話をして終了。 会計の前にお姉さんがいいちこの減り具合を見て 「焼酎全然飲んでないって言って下さい」と言う。 それでいいのか、丼勘定。
一階ではレジの下からおばちゃんがダンボール箱が引き出してガサガサ音を立てている。 先に会計を終わらせたグループがバナナを一房、カツラみたいに頭に乗せて帰って行った。 それを呆然と見ていたら、おばちゃんに声をかけられミカンとバナナを一つずつ手渡された。
カバンが一杯だったので仕方なく手に持ち、歩いて帰る。 傍から見れば妙な図だ。
目が覚めると9時過ぎ。イガワさんは既に起きていた。 確か自分が寝入ったのは朝の5時頃。その後風呂に入っていたはず。 寝てないのか、この人は。
「ああ、やっと起きた。KGくん歯軋りするんだねぇ」
もしやそれで眠れなかったのだろうか。 いやいや、寝屁の可能性も捨てきれないが、指摘されなかったことが若干不安。
ホテルで和洋折衷バイキングな朝食を済ませるとアベさんからイガワさんにメールが入った。 昨日落としたはずの携帯が、この大阪で昨日の今日というのにまさか見つかったのだろうか。 しかもそのメールは通信の不具合か何かで読めなかったようだ。 部屋に迎えに来てくれたアベさん、手に携帯を持っている。 勿論ロケット団のストラップ付き。
「どこにあったと思う? 昼に行ったお好み焼き屋さんやて〜」
昨日何度か知らない番号からの着信があったが取らなかった。 留守電も入らなかったので用事がないものと思っていたのだが、 どうやら拾った店員さんが、取り敢えずリダイヤルに入っていた番号にかけていたようだ。
アベさんの案内でのんびりと南港付近を散策。 イガワさんは念願の串カツも食べ、自分はそこそこに買い物もして満足。 帰りの時間が迫ってきたので小走りに駅へ移動。 イガワさんも同じ時間帯だったので、荷物を入れていたコインロッカー前で慌しくお別れ。 自分も走ってバスターミナルに向かった。
走っても走っても知らない景色、というか何となく見覚えがある景色。 以前も迷った所のような気がする。 自慢にもならないが、梅田と新宿は何度来ても迷わなかったことがない。 特に今回は地元民のアベさんがいるからと思って地図すら持っていない。 途中で二人に道を尋ね、聞いた通りに走っているのにやはり違う場所。 その二人は嘘を言っていた訳じゃない。確かに柱には「阪急三番街」と書いてあるのだから。 「阪急三番街は」なんて訊かずに、ちゃんと「バスターミナルは」と訊けば良かった、それだけのこと。
出発時間になっても辿り着けないので諦め、項垂れながら歩く。 アベさんに「乗り遅れた」とメールを送ってからまた別の人に道を尋ね、 目的地に着いたのは発車10分後だった。
窓口でおっちゃんと「もうバス出ましたよね」「出たねー」なんて会話。 こんなはずじゃなかった。手にしている乗車券は最早ただの紙切れなのだ。 次の便が取れなければ今から急いで空港に行くか、神戸からバスに乗るかどちらかを選ばなければ。 考えたくないが、最悪このまま一泊ということも。 明日の仕事はどうする、何て言い訳をすればいい。
「んー、今回だけ特別に次の便に変更してあげましょ。夜行だけど」
「発券手数料だけ貰うね。100円」
思いがけないおっちゃんの計らいに一瞬耳を疑った。 ありがとうおっちゃん、これで明日も仕事に行ける。
さて、次の便まで6時間もある。 取り敢えず身軽になりたくてコインロッカーに荷物を放り込み、財布を見ると100円玉がない。 混み合っている窓口で両替を頼もうかと思ったが、荷物を入れたままその場を離れると盗られるかも知れない。 だからといって荷物を出すと、相当人がいるのですぐ塞がる。 どうしようかとまごまごしていると見ず知らずのおっちゃんが声をかけてきた。 「何や、500円か? それとも1,000円か?」 有り難いことに両替してくれた。ありがとう、おっちゃん。
待合室を出てメール着信に気付き、返信しようとしていたらアベさんに肩を叩かれた。 ついさっきターミナルでバスの後姿を見送ったところで、電車に乗る前にメールに気付き、引き返してくれたそうだ。 そのバスに自分は乗っていなかった訳だが。 「まさか迷うとは思わなかった」とアベさん。 自分も迷うつもりはなかったと苦笑い。 イガワさんからもメールが入る。 「一緒に乗り遅れたら良かったかも〜」と。
「大阪を出るまでは自分の責任」と言うアベさんに最後まで付き合ってもらい、見送りまでしてもらった。 ありがとう、アベさん。
この二日が本当に楽しく、そして短く感じた。 思い返すと悪いことは一つとしてなかった気がする。 アベさんの携帯が見つかったのも、バスの乗車券を変更してもらえたのも、 おっちゃんに両替してもらえたのも、アベさんが引き返して来てくれたのも、 全てあのビリケンさんのお陰だったのだろうか。 幸運の神様と書いていたし、これはご利益かも知れない。
そういえば乗車券変更の際に「隣は多分女性」と言われた。 自分の席は一番後ろの独立していない座席。 満席状態だったので、窓口のおっちゃんなりに気を遣ってくれたのだろう。 最後までご利益が続くなんて素晴らしい。
バスに乗り込んだら、隣には体格の良い男性が。 そこまでは面倒見きれないか、ビリケンさんも。
神奈川のイガワさんに誘われて大阪へ。 そのイガワさんは朝まで飲んでいたらしく、新幹線を乗り過ごしたようだ。 現地のアベさんと先に合流して待っていると、予定より少し遅れて「大阪上陸」とメールが入る。 いや、「上陸」って。
イガワさんが食べたがっていた串カツを「おやつであって食事にはなりえない」とアベさんが却下。 お好み焼きを食した後、雨の降る中、通天閣へ。
展望台! ビリケンさん! 日立ITソリューション! パンフレットにペーパークラフト! 自分は今まで観光らしき観光をしたことがなかったし、イガワさんは初の大阪。 二人ともこれだけで大喜び。
ビリケンさんの足の裏を撫でながら願い事をしていると、アベさんが唐突に「携帯落とした」なんて言い始めた。 どこで落としたのかも分からないのでとりあえず目の前のビリケンさんに「見つかりますように」と祈る。 地下鉄構内の拾得物係に連絡を入れ、ついでに近くの警察署に寄って遺失物届も出しておく。 「ポケットモンスターのストラップで、ロケット団って書いてて、小さい人形が二つ付いてます」 図は書かされなかったようだ。残念。
日本橋では外国語キーボード探し。 通販で見つけていたものの、どうせなら買って帰ろうという魂胆だった。 何軒か回ったがPS/2接続しか見つからないのでUSB接続の物はないかと訊いてみた。 「PS/2からUSBに変換するパーツも扱ってないですし、今時のPCでは多分使えないんじゃないかと」 それじゃ、誰が使うんだこれ。
前々から行きたかったちょいめしあさチャンには、猛反対に合い入れず。 二人とも食の細い人なので「絶対無理」だと言う。 次こそは。
ダラダラしていたらちょうど良い時間帯になったので、道頓堀の居酒屋で飲み始める。 奥の席では合コンらしき若者たちが出身地を言い合っていた。 「東京〜!」「千葉〜!」「さいたま〜!」 思わず振り返るイガワさん。 店を出た後も、づぼらやだカニ道楽だ太郎さんだグリコだと喜んでいるイガワさんの後ろからまた「さいたま〜!」。 再び脊髄反射で振り返るイガワさんを見ているこっちが面白い。
アベさんを見送ってから、イガワさんとホテルの部屋で朝まで飲み続け、喋り倒す。 普段は全然飲めないのに今日は倍以上の量でも平気。 お互い全く気を遣わないし、何より笑いっぱなしだからだろうか。
そういえばこのホテル、壁が薄いという苦情が多いらしい。 隣の宿泊客は眠れなかっただろうな。
時間は深夜2時。 皆が寝静まった真夜中の家に、悲鳴が響いた。
台所の床が濡れていた。 しかしそれに気付かず踏み込んだ自分の声だ。
『台所で』『滑る』 何が起きたのか一瞬理解できず、そのまま大開脚。 スリッパを履く習慣がないので裸足、そして就寝前につき裸眼。 油か水か、それすらも分からない。
その先の洗面所から、新年会帰りの酔っ払い母が呑気に声を掛けてきた。 何か零したかと訊くとサラリとこう言い放った。
「あ、ゴメン、お母さんさっきそこで吐いたから」
まさか台所で母の吐瀉物に足を滑らせるなんて。
女の子二人とデート。 三人はバランスが悪いと思い友達に電話をするが、14時の段階で睡眠中の模様。 仕方ない。
展示会に行きたいとせがんだのは二人なのに、展示物の半分も見ちゃいない。 元々あまり興味の無かった自分の方がよっぽど見ている。 会場内を半分も回ると既に疲れ顔、そして欠伸のコンボ。 全体を流し見た後、ケーキだの紅茶だの言う二人を連れてどこかに移動することに。
成人式帰りの華やかな若者を横目に見つつカフェを何軒か覗くが、どこも満席。 入る度に店員に待つかと訊かれるが、横を見ると無言で首を横に振っている。 挙句の果てには「マックでいい」なんて言われる始末。 いや、マックにケーキは無いだろう。 さっきの展示会でしくじった気になっているので、少々意地になる。
何とか座れた店で、自分にはコーヒー、二人にはリクエスト通りのアップルティーとケーキを。
「紅茶、苦い」 「横のシャーベット、苦い」
展示会もカフェも不評。 こう段取りが下手なのは、最近とんとデートなんかしていないからだろうか。
「今日さ、楽しかった?」
帰り道に訊いてみると、二人ともが笑顔で頷いた。 気を遣ってくれているのかも知れないが、実はこの子たちなりに楽しかったようだ。
「寒いから早く帰ろう」
二人と手を繋いで歩く日曜の夕暮れ。 温もりを感じつつ、たまにはこんな休日も悪くないと思った。
この二人は親戚の小学生(8歳)と幼児(6歳)だけど。
ビリヤードをしていて、隣の台には男二人、女一人の組がいた。
自分は女の子の方ばかりに目がいっていたのだが、 友達が不意に男の方を指して 「あの人、頭頂が薄いよ」 なんて隣に聞こえそうなボリュームで言うものだから、 思わずキューで刺したくなった。 今言うな、今。
「自分だって……例えば「あの人乳が薄い」って言われたらイヤでしょ」 とこっそり窘めても、 「こないだ計ってもらったらAからCになってたし!」と 反論してきた上に「KGの頭に白髪発見」。 抜かれてしまった。
少しは話を聞け、頼むから。
2004年01月07日(水) |
情けは人のためならず |
去年末、金融機関で、あるおばあさんの手伝いをしたことがあった。
その人は送金先等々の書かれているハガキを一枚持参していた。 一瞬「エセ債権回収業者」だの「新手のオレオレ詐欺」だの頭を過ったが、真っ当な団体宛。 振込用紙の種類と書く欄を教え、手続き完了。 で、見送ったと思いきや引き返してきて「送金先に電話が繋がらない」と言う。 更に電話連絡を入れなければいけないようだ。
繋がらないのも仕方ない、貴方FAX番号に掛けてるんだから。
送金控をコピーして、代理で電話連絡を入れた後にFAX送信。 FAXのこともよく分かっていなかったようで、「随分便利になったものだ」と驚いている。 とにかくこれで事は済んだのであとは届くのを待つだけだと伝えると、大層喜ばれた。 何でも、毎年京都で購入していたのだが、今年は行けなかったので通信販売を利用したらしい。 大量に購入するので後日お礼として一つくれるとまで言う。 丁重にお断りしたが、おばあさんは名札をチェックして帰って行った。
今日職場に着くなり「預かり物」と渡されたのは、「(社名) 北川様」と付箋を貼ってある品物。 あのおばあさんからだ。 少々申し訳ない気分と、無事に届いて良かったという安心感でいっぱいになる。 わざわざ職場まで届けてくれたのに、直接受け取れなかったことが残念だ。 自分は不在がちでなかなか会えないだろうから、お礼状でも書いて預けておこうかと思っている。
さて、この受け取った皇室御一家カレンダーはどうしよう。
自分を含めて6人しかいない事務室内に、朝から良い香りが漂っていた。 これは多分資生堂のウィア。何となく好きな匂いなので覚えていた。
今日は思いの外客足が少なく、女性客の姿はまばらだった。 事務室内の人間かも知れないと思うが、自分の隣のタカダさんは化粧っ気がない。 そしてフレグランスというよりも風呂嫌いのイメージ。 なのに不思議なことにタカダさん方面からその匂いがする。 新年仕事始めということで何か心境の変化があったのかも知れない。 そもそも興味はないが、彼氏ができたなんてことも考えられる。
タカダさんとはお互い苦手オーラが滲み出ていて、普段は必要最小限しか喋らない。
「すごく良い香りがするけど、香水付けてる?」
「いや、いやいや、何も付けてないよ〜。ハハハ、自分じゃない〜? ハハ、アハハハハ、北川さん、多分自分の匂いだよ〜アハハ。 それかイノウエさんじゃないの〜?アハ、アハハハハハハ」
訊くんじゃなかった。
イノウエさんにもさり気なく訊いてみる。 美人でいつもニコニコしているこの人なら納得できるのだが、 最近は香水の類を付けていないという。 「他の男性陣かもね」なんて笑うから、一緒になって笑った。
結局香りの元は分からず終い。 しかし何だろう、自分の鼻がおかしいのか、悪臭じゃないからいいんだけど。 単純な自分はこのお陰で一日機嫌が良かった。
帰りにタカダさんがポツリと言った。
「香水どころか私、お正月から風邪で寝込んでてお風呂入ってなくて。すっごく変な臭いがすると思う。 あ、昨日我慢できなくて入ったんだけどね。臭いから周りの人に迷惑かけてると思う。 でもこれで香水つけるのもどうかと思うし」
何だか知らないけど命拾いをしたようだ。
二つの神社を梯子し、今年は良い一年になるようにと拝み倒す。 都合の良い時だけの神頼み。
お御籤も二度引いたのだが、 「やや遅いが、気持を抜かず勉強すれば出世する」 「勉学に励むと吉」 と書かれてあった。
早速書店に足を向ける。 資格関係の参考書を買うつもりで。
帰宅して手に持っていたのはこの本。
出世はまだまだ無理そうな予感。
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