||〜*…clover…*〜||
There are all in one.
◆cloverに出てくる人々◇|*|◇エンピツ書きに48の質問◆
「…歌おうか」
「歌?」
「そ。」
「何を」
「んー」
「……」
「あれ」
「どれ」
「空が青いやつ」
「……あー」
「だってさ」
「ん?」
「空が青いから」
「……。」
すってんころりん、ほーほけきょ、と。
「……なあ。」 「……。」 「……ごめん。」 「……。」 「……。」
音が消え果てたら。 その時僕らはどこへ行くのだろう。
ただただ。
胸が痛いんだ。 痛いんだ。
「大丈夫だよ」と彼女は言った。
彼女。
それはいったい。 どんな形をして居たんだっけ。
僕らは。 何を見ていたというのか。
パシャリ。 海に溶けた月が鳴る。
もう。
君の形も何処へ行ってしまった。
そうして僕らは。 ただただ途方に暮れていた。
守りたいものなんて。
もう何も残っていないよ。
「おはよー」
どこからどう見ても真夜中の時間にそんなことを言いながら彼女は今日もベランダを乗り越える。 部屋の中、誰もいないことを確かめれば、くるりと座る回転椅子。
「……。」
「……。」
顔をあげたアライグマに片手をあげて挨拶すれば、行儀悪く後ろ向きに座った背もたれがギシリと鳴った。
何事もなかったかのように洗い始めるそいつを眺め、ため息ひとつ。部屋の主が戻ってくる気配は今日はなく。 唐突に、リンゴが食べたいなあ、と。
あたしの部屋にもこいつの部屋にもそんなものはないのだけれど。 柄にもなく、そんなことを思った。
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