ことばのかけら
桜子



 敵意

大人の身のこなしで
「キツイ冗談よ」とスマートに笑う
余裕かまして逃れられたと思わないで
本音を交えて釘を刺した事くらい
ちゃあんと わかってる


「何も知らない 何もワカラナイ」
ねぇそんな振る舞いをすれば
可愛い自分に同情を買ってもらえるとでも?
いつまで騙していられるかしら
他人を そして 自分を


戦うことの無い敵
争うことない相手
笑顔かわして ツメを隠して
互いの腹を探りあってる

目には見えない 敵意

2003年01月18日(土)



 地図を描いて

ぐんぐん順調に歩いてきた道
いつしか それは迷路への入り口へと続いてた
「簡単さ 2秒で抜けきってみせる」
いきがってた頃も もはや懐かしい

くねくね 複雑に曲がってゆく道
いつしか壁までも高くなってきた気がして
「もうダメだ ギブアップ!」
何度音を上げようとしたことだろう

その度 頭の上を 微かなんだけど
薄日が射しては慰められる
「もう少しだけ歩こう」と

立ち止まって 泣きはらした夜
そんな日でさえ 月は輝いてた
私は それを知らないだけ
見えていないだけ…

地図を描く人がいた
角度を測り 地形を想定し 風向きを調べ
懸命にゴールを探してる
その人を見ながら きっと
私は花を摘んでることだろう

どうせ迷い込んでしまった道
その場なりに 楽しむしかないね きっと

2003年01月17日(金)



 美しいままでいたかった

残り火は今にも消えそうだけれど
儚い美しさが残っていました
風が吹いて 時にそれが火花を散らし
胸を痛めることがあろうとも
その度 美しく燃えた頃の鮮やかな炎が
懐かしく より美しく心に残るようでした

けれど
残り火の片割れを持ち合わせた貴方が
消えかけの燃え残りに火を点けたがりました
私は気付かない振りをして
ふっと息を吹きかけました
…僅かでも燃えていた火は 灰となっていきました

それでもいっそ
灰のままでいられたなら
風に飛ばせば 空へと舞い上がれた 自由がありました
それはそれで美しかったかも知れません

燃える筈のない灰に
またも火を点そうとする無茶な貴方がいました
仕方なく 私は
灰に水を掛けるしかなくなりました

すべてを醜く変えてしまった
二人の間には
もはや何も 燃やせるものはないでしょう

…少なくとも 私のほうには


2003年01月14日(火)



 信条

なにが まちがってるか

しんけんに説明しようと語るけど



頭でモノを言う人の言葉は

信じていないの

2003年01月07日(火)



 北風の吹く夜だからでしょうか

楽しく話す 言葉の裏側に

何か隠しものがありやしないかと

笑いながら疑っては 悲しくなることがあります


北風が

随分冷たくなりましたね・・・

2003年01月02日(木)



 余炎

ストーブの 赤々と光るのを眺めてる
ストーブの 赤々と燃えるのを見つめてる

伝えられず 留まった思い

叶うことの無かった情熱

置き忘れてきた 夢

肌を離れない ぬくもり


胸の奥でくすぶって
時々チリチリ チリチリ痛い

ゆくあてを失った
その残り火を
夜空へと投げて 星にする

そうして 
その輝き目指して 走ることにしよう
今を生きるしか 出来ないなら


2003年01月01日(水)
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