紅い猫の落とす影 生きた記録|夕方|明け方
一分後も一時間後も 一年後も十年後も どうせ決まっているんだ。 僕が何時死ぬのかだって 何時まで生きてるのかだって どうせ決まっているんだから 今此処で消えようと思ったって 消えられないんだ。 どうせ先は決まっている。 辛いことも楽しいことも。 そう思えば少しは楽。
何かと交換で欲しい物が手にはいるなら 僕は何を望む? きっと 君が欲しいと望むだろう。 何と引き替えに? 声は駄目。 君と話が出来なくなる。 耳は駄目。 君の声が聞こえなくなる。 瞳は駄目。 君が見えないのは耐えられない。 腕は駄目。 君に触れることが出来なくなる。 足は駄目。 君の元へ行けない。 命は駄目。 君と生きたいから。 何も失えない。 何も失わずに・・・ っていうのは贅沢なんだろうな。
こんなに重いものとは思わないかった。
強制ではない。 でもやらなきゃいけない。 こんなことしたくない。 でも君のため。 君が笑ってくれるから。 ぼくはその笑顔が欲しいから。 いつも笑っていて。 お願いだから。
目の前には僕の腰にも満たないくらい 小さな小さな男の子が 僕に向かって笑いかける。 僕はこんな小さな子にさえ笑いかけることが出来なかった。 こんな僕 いつまで経っても君に笑いかけることなんて 出来ないんだろうな。
そのままホームに飛び込んで 電車にひかれて死んじゃった。 僕は助けようとしたけど追いつかなくて・・・。 電車は何事もなかったかのように通りすぎていった。 幻覚?
死んでますか?
傀儡
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