紅い猫の落とす影 生きた記録|夕方|明け方
ころしてしまえ ぼくのまえで くるってくるって しんでしまえ ぼくまえで 微笑む顔に狂気を感じ 少し後ずさった。 片手にナイフを持ち 「死んでみて」 君の言葉に初めて恐怖を感じ 僕は逃げた。 僕は死ねなかった。 「君のためなら何でもするよ。」 そう誓ったのに。 所詮僕は何も出来ない。 無力の僕を君は愛してはくれない。 誰も愛をくれたりしない。 淋しいよ。
そうすれば 「自分は狂ってる」と 自己催眠をかけ 狂ってる役を演じる人間も 「お前は狂ってる」と 罵声を浴びせる人間も いなくなり 皆が望む本当の「平和」が 僕たちに幸せをくれるだろう。
あの大きな青空で僕はひとり泳いでいたのです。 どんな海なんかより真っ青で どんな場所よりも暖かかった。 でも僕は地上の世界へ帰れなくなってしまった。 地面を泳いでいる人間に どんなに助けを求めても 誰ひとり僕に気付かない。 そして空は夜を迎え どんな場所よりも真っ暗で どんな場所よりも寂しくかった。 凍てつくような寒さに囲まれて 僕は耐えきれず涙を流した。 涙だけは暖かかった。 僕はそこでも生きていたから。 とても悲しい夢を見ました。
君は猫を指さして 燃やして と笑いながら だけど真顔で言った。 僕は猫に火をつけた。 君はもがく猫を見つめ 可哀想・・・ と嬉しそうに呟いた。 だから僕もとても嬉しかった。 君の役に立てましたか? 君が人間を指さし 燃やして と言ったら 僕は人間にも火をつけるのでしょうか?
あなたがその手で 僕をけしてくれればいいのに。 そしたら僕は よろこんで この世界から 君の前から 居なくなるよ。
僕は仕方なく 下部に成り下がってやる。 あなたはご機嫌なときだけ 僕の頭を撫でてくれる。 いつも僕を 焦らして焦らして・・・。 決して服を脱がない。 ただあなたの左手だけが 僕の手淫のお手伝い。 僕のいく顔が好きなんだって。 僕は嫌がらないよ。 君が好きでいてくれるなら・・・。 だけどやっぱり恥ずかしくて あなたの微笑みから顔を背けると 優しい手が 僕の顔をあなたの顔へ導いて そっと優しくキスをする。 そして僕は ひとり喘ぐ。
僕だけのモノにして 僕を地下室に閉じこめて あなただけのモノにしてくれたら 僕は幸せ過ぎて あなたを殺すでしょう。 あなたが他人を地下室に閉じこめて あなただけのモノにしたら 僕は悲しすぎて あなたの手足に鎖をつけて 一生僕だけのモノにするでしょう。 大好きです。
そして同意を求める。 僕は口を濁す。 「嫌いじゃないけど・・・。」 すると君は言う。 「好きか嫌いかだったら?」 好きか嫌い 二つに分けなければいけない理由が分からない。 これは単に 悪口を言った人が仲間が欲しかっただけ。 人はすぐに群れたがる。 僕は君が嫌いです。
自分自身のことも 家族のことも 友達のことも いままで過ぎていった日々は これから僕が生きていく日々に比べたら 半分にも達していないのだろう。 それなのに 何度辛いことがあった? 何度寂しいときがあった? 何度苦しいことがあった? だけど 何度楽しいことがあった? 何度嬉しいことがあった? 何度笑って過ごせた? 生きる幸せ こんな日があるから 僕はまだ生きていられる。
「絆」というモノは ガラスなんかよりも ずっとずっと壊れやすい。 長い時間をかけて築いた絆 たった一度裏切った僕の言葉で 全て無くなってしまった。 欠片も拾い集められないほど 粉々に砕けてしまった君との絆 もう元の姿には戻らないの?
僕は謝ろうと振り返った でも相手はそのまま行ってしまった。 僕を無視した 無視・・・ だったのでしょうか 僕はそこに居たのでしょうか 僕は此処に居るのでしょうか
この中の何人の人が今日死んだのだろう。 この中の何人が明日死ぬんだろう。 すれ違った人 すれ違ったことだって小さな奇跡であり出会いのひとつ。 でも僕は彼らのことを何も知らない。 彼らも僕を知らない。 不思議な世界。
手をつないでいられるから。 あなたの髪が欲しい。 君の髪に僕の指を絡めて・・・ あなたの目が欲しい。 僕をずっとみつめていて。 あなたの口が欲しい。 声が聴きたいから。 全部手に入れた。 手も髪も目も口も全部・・・。 でもいちばん欲しかったものだけ手に入らなかった。 心下さい。
あなた達がいつも利用しているあのトイレが 僕の最高の遊び場だということを・・・ あそこに付着した赤黒い絵の具は 僕の身体から流れてきたものです。 綺麗でしょ? 僕は良い子です。
今はコンクリートで出来た 大きな怪物に変わった あの頃には戻れないんだね 今は君の好きなシーソーも 僕の好きなお花の香りもしない だけど君が来てくれるというのなら 僕はずっと待っているよ この場所でもう一度 君に逢いたいよ
この世界も一緒に墜ちてしまえばいいのに そうすれば全てが終わる
傀儡
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