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1日目





保養所の部屋の窓から見える景色
小さすぎてなにがなんだかわかりませんが


朝起きて布団を抜け出すと、いつものように寝ぼけまなこでまず冷蔵庫へ。
野菜ジュースを取り出し、ストローをつっこもうとしたところでいきなり目が覚めて気がつきました。
…これって飲んじゃいけないんだよな。

断食は、まだ家にいる今日の朝から既に始まっているのです。
ご案内頂いたハガキには、「入所日は朝から何も食べないでください。水(ミネラルウォーター)はお飲み下さい」と書いてあったんでした。忘れてた。

仕方なく冷蔵庫からミネラルウォーターを出して飲んだのですが、なんか、気分が一気にずーんと盛り下がります。私、朝ごはんはいつも殆ど食べないのですが、そのかわりに、

野菜ジュース(もちろん市販のパック入り)
青汁の豆乳割り(馴れれば美味しい)
黒酢の炭酸水割り
各種サプリメント
+たまにバナナ・気が向けばコーヒー

というようなものを、毎日ほとんど何も考えることなく自動的にとっています。その流れがしょっぱなから切断された私は、あやうくパニックに陥りそうになりました。いやまじで。だってね、気がついてみれば、家中、敵(=食べ物)だらけなんですよ。
突然、台所に転がっていた生のままのタマネギに、かぶりつきたい心境に駆られました。食べてはいけないって、すごいストレスなんだ…。

仕方なく水を飲みながらTVをつければ…。いままで考えたこともありませんでしたが、食べ物のCMって意外と多いのですね、というか、わたしがそういう状態なので異常なまでに反応しているだけなんですが、か、かんべんして〜!!!って感じです。

あまりにいらいらと落ち着かないので、予定を一時間繰り上げて家を出ることにしました。

東京駅へ出ると、丁度よく伊豆へ向かう踊り子号があったので、乗り込んだのはいいのですが…。どうして乗り込んでくる客、客、みんな弁当買ってくるかな〜(←すでにやつあたり)
電車が走り始めると、どこからともなく車内に食べ物の匂いが広がりますよ。途中駅で止まるたび、手に手に弁当の袋をぶら下げた方々が乗ってくるんです。つらいんですけど…。

そこのおっさん、朝っぱらから車内販売でビールなんか買わないように、きーっ!!!

降車駅で降りてみれば、名物の海鮮弁当とか、ソフトクリームとかが目の前で売られていて、もう見ない見ない、というわけで荷物重いのにコンコース内をだだだっと走り抜け、タクシーに飛び乗りました。ふぅ、これで一安心。

保養所にたどり着き、名前を告げると、すぐにお部屋に通してくれました。
8畳ほどのお部屋に、ベットが二つ。小さな机とスタンド、洋服ダンス、ビデオ付きTV。すごく簡素な作りですが、一人で使うにはこれで充分。

渡された問診票にいろいろと記入して、楽なスウェット上下に着替え、治療室へと向かいます。おそるおそるドアを開けてみると、さすがにGW、芋の子を洗うような状態で人がたくさんいらっしゃいます。療法を受けていらっしゃる方を含め、20名弱くらいかな?この人達、みんな断食の人なんだ〜、と思うと、なんだか嬉しくなってしまいました。ひとりじゃないんですよ、つらいの。

体重と体脂肪、内臓脂肪量を計った後は、東洋療法。手と足をお湯に浸して温めたり、赤外線を照射してもらったり、「吸い玉」(真空浄血法)にも、挑戦してみましたよ。真空のガラスのコップを背中にぱこぱこくっつけると、真空が流れの滞っている古い血液を表面に吸い上げてくれるそうなのです。弱点は、あとが残る、って事。早い人で1週間、遅いと1ヶ月くらい跡が消えないこともありますが大丈夫?と聞かれ、なんの躊躇もしなかった、っていうのは、やっぱまずかったでしょうか?

いくつかの療法を受けた後、診察室へ。問診の後、自律神経の働きを調べる“良導絡”というもので、全身の機能のバランスを調べます。私の場合は、内蔵などの数値は適正範囲内だけれども、肩のあたりと、目の数値が高いとのこと。はい、自覚してます…。こんな日記、つけてちゃいけないんです…。

その後、少し部屋で休憩した後、3:30からオリエンテーション。断食中の注意事項等や施設の説明などを受けます。断食中は、血糖値が下がってぼーっとしやすくなるので、くれぐれも気をつけて、などの説明を受け、ビネガー酵母液(玄米から作られた自然酢と酵母液をブレンドしたもの)を渡されます。

また、断食反応(頭痛・おう吐感など)が現れたときに、症状を軽くするもとして梅干しが渡されたのですが、私、この梅干しを見た瞬間、パブロフの犬のように、よだれがだだ漏れになるかと思いました。私の意思じゃありません。脳が唾液を大量に分泌させているんです。食べたくて食べたくて、死にそうになっちゃいました。

この後、食堂に薬草茶を取りに行ったのですが、回復食を食べていらっしゃる方の料理の匂いにダイレクトに直撃され、つらかったです。脳と胃が、即座に反応しますよ。

断食中に飲んでいいのは酵母ドリンクと水、薬草茶のみ…。特に水は1.5〜2リットルほどは摂取しないと、断食で濃くなった血液を薄めることが出来ないのだそうです。

この日は、夕方を過ぎ辺りから、断食反応なのか頭痛が出始めました。水を大量にとるしか対処方法はないのですが、すでに、水で、おなか、たぷたぷだよ〜。というわけで、意外なことに空腹感を感じる余裕がなかったのが救いでしょうか。

日記なども書き始めたのですが、低血糖のせいか、とにかく集中力が続かず思考がまとまらず、効率悪いことこの上なしです。この施設は無線LANが使えるので、PCさえ持ち込めば、断食しながら仕事が出来ないこともありませんが、やっぱり、無理なような気がしますよ…。

持参した小説も、内容が頭に入ってこないので、読むのは取りやめ。ということで、この日は図書コーナーにあった「ファンシーダンス」岡野玲子著を読み始めたのですが、頭痛くても、まんがって読めるものですね。昔、大好きだったんですよこの作品。というわけで、だるいの、頭痛いのいいながら、結局夜中の1:00までかかって9巻全部読み切っちゃいました。

寝ないと…。明日は朝の8時から体操です。

2004年04月30日(金)

GW前日のことなど


夜、旅行の為の荷物を小さいスーツケースにパッキングしていたら、自分で決めたこととはいえ、ちょっと暗澹とした気持ちになってしまいました。これに水着とサンオイルをプラスしてパスポートを持てば、このままリゾート旅にも行けるのに…。今更ながらに後悔が募ります。

今回のゴールデンウィーク、向かうのは成田空港ではなくて伊豆の高原。目的は断食です。

4月30日を休めれば7連休も夢じゃないという、たいへんに暦のよい今年のゴールデンウィーク。ピーク時の旅のご予約はお早めにということで、冬もまだ寒い頃に色々と行き先を考えてみたのですが、いまひとつピンと来ないというか、混雑の成田空港と飛行機での移動を想像するだけで、その時はなんか疲れてしまったんです。

「機上の人になる」のが何よりも好きな私が、一体どうしちゃったのかしら?

で、GWに何をしたいのか考えてみたところ、単純にだらだらしながら本を読んで過ごしたかっただけなのに気がつきました。それなら家でもできるじゃない、と言われてしまいそうですが、ちょっと違うんですよね。あくまで非日常空間に身を置いてだらけたい、というのが希望だったのです。なので、南国リゾートはいつもなら最良の選択なのですが。

それじゃあ国内でも、とも思ったのですが、温泉旅館で出てくるあの多量な料理を想像するだけで、なんか疲れる。食事なしという選択もありですが、GWの観光地で、一人外に出かけてわびしい食事を取るのもなんだかな、どうしようかと思い悩んでいたときに目にしたのが、とある女性誌の、断食特集でした。

保養施設に宿泊して、東洋療法を受けながら3日間断食をして、同じ日数をかけて徐々に普通食に戻していく、というプランが紹介されてたんです。。初夏の伊豆、緑の高原、しかも温泉付き。これってリゾートですよね?断食をするだけなので、日中も夜もものすごく暇そうです。食べることすら考えず、だらだら本だけ読んでいればいい生活、それってすごくいいかも〜、と思った瞬間に深く考えることなく予約を入れてました。

でもね、ここにきて…。
もし、海外旅を選択していたら、明日は機内で昼間からお酒が飲めたのにな〜(←結局それですか…)と思うとね、なんだかなぁっていう気分になってしまうんです。酒はおろか、明日からなんにも食べられないんですよ?

そんなことを思うのも、想像力が欠けていたと言ってしまえばそれまでなのですが、出発が近づくにつれ、3日もご飯を食べないという事が、急に恐くなり始めたのです。

1週間くらい前から、食べることに対してすごく卑しくなっている自分を発見。体が防御態勢に入っていたのかもしれないのですが、食べる量が、急に増えたんです。私は元々、ある一定の量を食べてしまうとそれ以上箸が進まず、ごちそうさま、となるパターンが多いのですが、この時期の私の胃袋、まるで底に穴の空いたバケツのよう。食べ物、いくらでも入る。満腹感が来ない。これってどういう事〜?過食という言葉が頭をかすめ、少し恐くなりました。

それほど空腹感も感じていないのに、突然、“肉が食べたい〜!!!”と、取り憑かれたようになり、一人でステーキハウスに行ってしまったりもしましたよ。パンかライスかと言われて選んだのは、油ぎとぎとのガーリックライスです。どうしちゃったんだ、自分…。

私は3日間物を食べない、ということを、たまには内蔵の休憩にもなるし、いいんじゃない?と、ごくごく軽く考えていたのですが、1日ご飯を食べないのと、3日間ご飯を食べられないのとでは、全然違うと思うよ?という知人の言葉を聞いたり、「どうしてまた断食なんか?」という質問を多々受けているるうち、だんだん怖じけずいてしまったのかもしれません。それでもまあ、キャンセル料を払うのももったいないし、何事も経験だし、と自分に言い聞かせ、前日の夜は就寝。

ちなみにこの日の夕食は、冷たいおうどんに、納豆、やまいものとろろ、オクラ、温泉卵をのっけた物。
暴飲暴食で最後の晩餐、というのも考えないことはなかったのですが、どうせ断食するなら、効果を最大限に出したい、という姑息な気持ちが勝ったようでした…。

2004年04月29日(木)
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