気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
全くのそっち系じゃない一般人から『初音ミク』という言葉が出てびっくりした。 「どこなの、ここ?」 「それより、セルヴェスの奴なんで急に......」 深い森の中、木々がひしめき合っていて太陽光もあまり届かない。 「妖精主の森ではないのう。速くてよく見えんかったが大陸に入っておる。バンデン国に近い、いうなればセルヴェスの故郷だのう」 「そうか、帰巣本能か」 と、バルクは納得した。 「ドラゴンにそれがあるかどうかはわからぬが、セルヴェスは元の姿に戻されたのではないか? バルク、お主を間違って死なせるようなことがあったら、セルヴェスの目的が達成せぬのだからな」 「そうだよな」 幾度となく剣はバルクを助けた。訓練の邪魔すらしないのがこの剣だった。 「ここはセルヴェスの故郷ゆえにドラゴンの巣窟に近い。何があっても不思議ではないかもな」
寒いし、冷たいし、滑るしで雪の降り始めが一番いやだ。 温泉施設を出て、次の目的地へ向かう。 「あまり時間はないが、送って行こう」 と、セルヴェスは提案した。 「大丈夫かのう?」 「これでも世界を半日で一周したことがある」 ウィングドラゴンと称するくらいなのだから、飛行速度も速いはずだ。 「せっかくだから頼みましょう」 ルイはもう乗る気満々でいる。 「じゃあ、戻りそうになったら早めに言ってくれよ」 「ああ、無理はしない」 ウィングドラゴンの姿のセルヴェスは圧巻だった。そもそもドラゴンなど、人前であまり姿を現さない。 「北へ向かうんだな」 「ああ、頼むぜ」 セルヴェスは飛び上がった、そして大きく羽ばたく。 「うっひょー!」 「きゃああああー!」 「すっげー!」 三人各々悲鳴を上げた。一気に北へ向かい、そして一時間ほどで落ちた。 「なんでだー! セルヴェス、早めに言えって......」 剣はしゃべらない。 「ふ、二人とも私に掴まって!」 と言いながらルイは二人を掴み、魔法で地面まで移動、どうしようもなく深い森に降り立った。
最後の一杯のみビールで済ませました。
化学的にくっつく接着剤。 でも、できあがりはこんなにかわいい。キャンデーのよう。(水彩絵の具で着色) でも、やっぱり臭い。 今日は祝賀会なので、先週に引き続き行ってきます。 今日は、飲まないでいます。絶対。 そもそも、先週のアレのせいか、胃が重いような気がする。 最後の乾杯のみにしよう。うん、そうしよう。
はい、海草類の海苔ではないです。 それがわかれば今後同じようなことがあっても対応する事が出来る、とバルクは踏んだ。 「そろそろ、時間だ。また人間の食事が出来て良かった」 セルヴェスが光に包まれ、剣へと戻った。その瞬間、パゼットがその剣を奪い取った。 「おい、パゼット!」 「なんと、あやつ、もう理性を失うほど魅せられてる」 「理性を失う? なら」 ドアから逃げようとするパゼットをバルクは捕まえ、ルイはベランダから出てバケツで温泉を汲み上げて彼に浴びさせた。 「どお? あなたが作った温泉の効き目は?」 パゼットは剣を落として放心していたが、ややして我に返った。 「私は、なんという情けないことを」 それからしばらく彼は謝り通しだった。再び元に戻ったセルヴェスは苦笑いをしている。その表情も人間臭い。 「どうも、元の姿の私には魅力を感じないようだな」 「はい、そのようです。でも、剣を見るといてもたってもいられないのです。最初のうちは人様のものをじろじろ見るのも失礼だからしなかったのですが、目に入ったとたん......やはり、僕はダメな......」 「こんな効果抜群な温泉作っておいてダメなんかじゃないけれど、極端よね」 「用も済んだことだし、そろそろ出ようか? セルヴェスもこの姿のうちに」 「そうだな」 「そうして頂くと助かります」
日記を書く際、このエンピツの題名に「ひらがな」を打ち出すとパソコンの記憶に残っているぶんだけのタイトルが出ます。ときどき、○で始まる題名がないからと変な題名になるのはそのためです。 「も、申し訳ありません!」 ずぶぬれでロッジに入って来たのはパゼットだった。 「悪魔の身でありながら、私はどうやらあなたに魅了されたようです」 パゼットは深々と四人に頭を下げた。 「魅了されたって、セルヴェスに?」 ルイが尋ねるとパゼットは素直に頷いた。 「はい。剣に。でも、あまりに重くて温泉に落ちてしまいました」 「魅了って、でも......」 「ドラゴンは妖精の一種ともいうから、そういうこともあるかもしれん」 と、アニム。そういうアニムもまた妖精に近い人とも言われるエルフなのだが。 「変な人間に付きまとわれたことはあるが、魅了とまではないな......私は逆に人間に魅了されてばかりだったが」 しみじみとセルヴェスは言った。 「盗みに入ってしまったのも、本当に申し訳ありません」 パゼットはやはり深々と頭を下げる。 「それよりも魔族にすら気づくバルクに気取られないとはのう、お主、只の悪魔ではなかろうに」 「いやあ、昔から盗みだけはどういうわけか......あ、いやいやもうそこからは足を洗いましたから。魅了されている間はどうにもコントロールができなくなってしまって」 「ああ、もういいから。セルヴェスにはそういう性質もあるっていうのがわかったし」
A.味つけ。 セルヴェスは人間の姿でありながらそれ以上に目の前の料理を平らげていた。パンとシチュー、それだけではなく、チーズにソーセージ類、デザートも一通り食べた。 「ごちそうさま」 ドラゴンは食事を必要としない妖精に近い存在だが、今それを三人に述べても信じないだろう。そんなことよりも、バルクの剣もといセルヴェスをパゼットが狙っていたことの方が問題だった。 「パゼットは何故お主を持って行こうとしたのだ?」 「さあ。ただ、俺は一応バルクのものとしている剣だから悪魔とはいえ持ち出せるはずがないのだ。しかし、高級悪魔族ならまた別だ。魔族、悪魔族、神族、天使族は高級になれば別格だからな、少しの間だけでも持ち出す事が出来たんだ。あの悪魔はただの悪魔ではないってことだ」 「でも、そんな危険そうな感じはしなかったんだけどなあ......」 「んで、その悪魔はどこ言ったんだ?」 「あっ、忘れてた」 セルヴェスは気の抜けた声で言った。 「温泉の底に沈めたままだった」
かけたかどうかわかりませんが、近しい方々には、ほんとうもうしわけありません。
今日も寝てました。
飲んでおけば良かった…。
戦争(第一次とかじゃないよ)をテーマにした劇の最後の挨拶にて撮った写真に、無数のオーブが写り込んでた。(私が移したんじゃないよ)
無駄遣い。 ロッジの外に出て見れば、暗い。このあたり全体が日陰になっている。 「ウィングドラゴン!?」 「セルヴェス!?」 「なんで!? まさか、温泉!?」 ドラゴンは、魂すら物質であり死後は何かの形となる。死の直前にバルクと会ったウィングドラゴン、セルヴェスは彼とともに旅をしたいと思ってか、死後剣の姿となった。それが、生前の姿となって空を覆ってる。 「セルヴェスなのか!」 バルクが叫んだ。 「バルク? ヒーガル=バルク=ビアソーイダか! そこにいたのか」 気づいたセルヴェスはするすると人の姿となった。板についたその変身は話すと長くなるので、省略する。 「なんなんだ? この温泉は? 悪魔が私をこの中に落としたのだが、急に力がみなぎって生き返ってしまったぞ。まあ、徐々に力が衰えて行くからたぶん、一時的なものだろうが」 「万能温泉らしい」 「まあ、いい。せっかく生き返ったのだから、そうだな......パンとシチューが食べたい」 セルヴェスは実に人間らしい笑みを浮かべて言った。
リハビリ受けるのも風呂入るのも「嫌だ」と言い、病院の食事をせず好きなものを食べて血糖値を上げ無駄に入院し無駄に寿命を縮ませている、つまり自分の病気を治そうとせず、そのため余命も少ないだろうとされている患者がいる。子どもを父親(子どもにとって祖父)に預けているのだけど、将来面倒みることが出来ないからと、親権を今は遠くにいる離婚相手に移すことになったとたん「会いたい」と泣く。それまでは「(自分の)紙おむつ買って来い」などと言っていた子どもに対して。 「色の白いアニム、黒髪のバルク。なんだか新鮮だわ」 ルイは言ったが本人たちは不服だった。特にアニムにとっては種別がつかなくなるとまた呟いている。 「今日はもうごはん食べて寝よ」 パゼットが用意した食材で簡単な食事を作り、それを食べて三人はそれぞれ就寝した。翌朝、目覚めたバルク大声を出した。その声は隣の部屋とそのまた隣の部屋で眠っていたアニムとルイを起こした。 「剣がねえ!」 「剣が?」 「ない?」 駆けつけたアニムとルイ、バルクは呆然としていた。 「剣ったって、あれはバルクにしか持てんはずだろ?」 「そのはずなんだが......ねえもんはねえ」 バルクにも信じられなかった。誰かが入ってくれば気づくはずだった。 その時、外が急に騒がしくなった。
本物が食いたい。 ルイは二人の姿を見てあぜんとした。 「何、その恰好......!」 「温泉効果だ」 二人は言った。 浅黒い肌を持つアニムは、白い肌に。白髪まじりだったバルクの髪は黒々と。パゼットに問いただしたところ「温泉効果です。2、3日で戻ります」と言われた。 「これでは、洞窟エルフと間違えられる」 と、アニム。 「ねえ、エルフを住処で呼ぶのはどうにかならないの?」 「そう言われてもしらん」 きっぱりと言われた。アニムは高山エルフという種でその名の通り、高い山に住む。 「バルクはもともと黒かったの、髪?」 「ああ、まあな。ばあさんが黒髪だったんだ」 「若白髪?」 「病弱だったときの名残だよ」
食べられません。 素材:紙粘土、メイプルシロップはガラス絵の具(乾くとビニールっぽくなるステンドグラス用のもの) ペットボトルのキャップはケーキの型抜きに使用し、絵の具を溶いてパレット代わり、ニスを塗る時にも使用した優れもの。 でも、シロップが濃過ぎてバターの色が活かされなかった。 やっぱり裏にマグネット貼って冷蔵庫に。 匂いはなんか化学薬品の匂いがする。 なんだかんだ言って、本物にはかなわないんだけどね。これはだいぶ昔の写真ですが。
裏にシール状のマグネット貼って冷蔵庫に付けました。マグネット弱いのでレシート一枚くらいしかはさめられませんが。 今度作るときは裏面をなるべく平らにすることですね。 深さはとにかく、いい湯だった。 アニムもバルクもまったりと湯につかった。 「ああ、なんか身体の悪いもんが抜けてくようだ」 「おお、それはいい表現だ。確かに悪いものが......あああっ!」 「どしたよ?」 アニムは驚いてバルクを指差す。 「か、かかか髪、髪が......!」 「おい、アニム、お前なんか雰囲気違わね? なんか変わったような......」 二人は湯から上がった。 「バルク、鏡見てみろ」 脱衣所の鏡を指差す。 「お前もな、アニム」 二人で鏡を見た。なんの変哲も無い二人だったが、変わっているところがある。 「なっ!」 「なんじゃ、こりゃ!」
ケーキです。イチゴとクリームのってます。 バニラ&ストロベリーアイスです。 バニラ&チョコアイスです。 ケーキは折り紙で、アイスは紙粘土ですよ。100均の。アイスクリームはちょっと作りたかったものがあったついでに作ったのですが、意外に上手くいったのでついついアップしてしまいました。 マグネットを付けて作りたいな。 ちなみに、デコスイーツで検索すればいろんな作り方がのってますよ。
7日の写真にて、チェリークォーツのリングアップしましたが、
と、聞いてサンサーンスを思い出す人は少ないが、ドリフのコントを思い出す人は多いだろう。 入浴者はアニムとバルクの二人しかいなかった。ロッジにある露天風呂よりはかなり広い。 「これはこれは」 「いいじゃねーか」 二人ということもあり飛び込むように入った。少しぬるめの湯で心地よい、しかしアニムはすっぽり沈んでいった。 「ぶはっ!」 アニムが浮かび上がって顔を出す。かろうじてバルクは首だけは出ている。 「深っ!」 「なんじゃ、こりゃ!」 そこへパゼットが飛んで来た。 「ごめんなさい、言うの忘れていたけど、遅かったね」 「こりゃ、どういうことだ?」 バルクが抗議というより、呆れていた。 「ああ、ウチの親切心というか、ほら、全身よく温まるでしょ? このクォリティをロッジの方にも活かしたかったな」 「いや、しなくていい」 アニムはというと、立ち泳ぎも疲れるので天然岩の段差を利用していた。
ためしてガッテンっていう番組(またしてもNHK)で、こんにゃくの効果っていうのがあったのです。よく「悪いものを出す」と言われるこんにゃく、実はそんな効果はまったくなく、そのまま出てくる(消化されない)食品なのです。したがって、コレステロールを下げる、血糖値下げる、血圧下げる効果はないという。
NHKと前にも書きましたが、その内容の中に便利なものを紹介する時間がある。(朝のうちに二回はやる・同じ内容) パゼットは一つ仮説を立てた。 アニムに呼び出されて彼は驚いてロッジに駆けつけて来たのだった。 「僕が思うには、ルイさんの魔力のせいかと思います。実際僕が触ったところ適温なので。きっと温泉の効能と反応してしまったんだと思います」 「私の魔力のせいなの?」 「まあ、今はなんとも言えませんが......何しろ、今来ているお客さんからは苦情はないので」 「戻す方法はないのかのう」 「ルイさんの溶け出した魔力はたぶん自然に消えるかと思いますが......それにはどのくらい時間がかかるかわかりませんから」 「それじゃ、俺たちはどこの風呂いけばいいんだ?」 「ああ、それなら共同温泉があります。そこへ案内しますね。料金はもちろんいりませんよ。あと、ルイさんも気にしないでくださいね。魔力過多にも効くということは、こういうことなので」 「じゃあ、ルイ、小生らは風呂に入ってくる」 「うん、いってらっしゃい」
うまいなにがし。
いつも低いですけどね。 アニムとバルクが温泉に入った瞬間、彼らはすぐに出た。 「つ、冷たいっ!」 「あ、熱い! 熱過ぎる!」 二人はそれぞれ叫んだ。 「なんだよ、アニム! こんな熱いんだぜ!」 「お主には、熱く感じるのか?」 ロッジに備え付けてあった着替えを身につけ、彼らはベランダからロッジへ戻った。 「あれ? 早かったわね」 「ルイ、お主が入ったときはどうだったんだ?」 「え? 何が?」 「湯だ」 「温度? ちょっとぬるいくらいで良かったわよ」 ルイは温泉の側まで近づいて手を入れる。彼女には冷たさも熱さも感じないらしく「いい加減」よと言う。 「そんな」 アニムがもう一度手を入れるが、すぐに引っ込めた。バルクもちょっと指先を入れたがやはりすぐに引っ込める。 「どうなってるのだ?」 ロッジを出るが、他に異変があるところはないようだった、 湯が出ているところを触れると、そこからはルイの言う少しぬるめの湯が流れている。
素材も不明、何の模様かも不明のピアス。着る服に合わせるととてもいい感じ。 お礼にチェリークォーツを使ったリング。ちょっと大きめ。
そして、買うことが出来るっていいますね。 カーテンがしっかり閉められているのを確認してからルイは露天風呂へ向かった。バスタオルと着替えを側に置き、服を脱ぐ。塀は高く、露天風呂には屋根があるため、上からそう簡単には見えないようになっていた。それでも彼女は用心深くあたりを注意していた。それでも湯につかってしまうと、安心して羽を伸ばした。文字通り。 「羽と背中のあいだって、ホント、凝るんだよね〜」 などとのたまいながらも彼女はゆっくり浸かった。鼻歌を歌いつつ、ぬるめの湯に長く浸かり、それで身体が熱くなったら、手足を湯からあげてひんやりした外の空気を肌にさらした。 何事もなく、彼女は思う存分湯につかり、すっきりした表情でベランダからロッジへ入って来た。 「おお、どうだった?」 「すっごい良かったよ。魔力も落ち着いたみたい」 「それはよかった」 「アニムたちも入っておいでよ」 「ああ、早速」 バルクは既に一杯飲んでいた。
売っているのを見て、いいなーとか思う。作品とか別に。
炭になった。 ロッジの中は宿の部屋のようにベッドが並んでいるわけじゃなく、広いリビングに暖炉、テーブル、ソファが並んでいた。食事も作れるらしくキッチンもある。二階は寝室になっていた。ベランダからは露天風呂が見える。そして、塀に囲まれているので外側から中の様子は見えないようになっている。 「ちょっと、コレ、中からは見えるじゃない!」 「そうだのう」 「ま、温泉だからな」 「カーテン! 覗かないでね! 絶対」 「わかっておる」 「信じてないわけじゃないけど......こればっかりは、やっぱダメ」 「覗きゃしないって」 ルイは長く旅を共した仲間だが、それでも悪魔である故に人間、エルフとは計り知れない力の差がある。ましてや、今は魔力過多、何をするかわかったものじゃない。 「ゆっくり湯に浸かるとよい。心配するな、のぞきが出たら呼んでくれ」
ゆにくらーでいきます。 そんなこんなで、一行は町外れの温泉施設へ向かった。途中、兵士一人、通行人三人(うち女一人)、旅行者二人を魅了した。 温泉施設は逗留することが出来るようになっていて、様々な病を抱えた者たちがいた。施設の案内人が三人を部屋まで案内した。 「お客さんらはウォンテッダーで?」 「ああ、そうだけど。ちょっと訳ありで」 と、バルクが答える。 「へえ、もしかしてそこのお嬢さんの魔力が原因で?」 案内人が言った。 「どうしてわかるの?」 「いやあ、僕も悪魔なもんで。大丈夫、ここでその魔力も落ち着きますよ。この温泉作ったのなんたって僕ですから」 「作った?」 「ええ、万能温泉が出来れば金儲けできるって思って。これがバカ当たりでさ......コホン、今のご内密に。そういや、ウォンテッダーだっけ? 僕を退治しないよね?」 「いや、別に。金儲けが好きな悪魔もいるんだな、ルイ」 案内人、ほっとしたようだった。 「私たちは魔族と違って魔力を欲するのは死に関わる時だけよ。お礼であればお金でも羊でもいいのよ」 「ふーん」 「で、あなたの名前は?」 「パゼットです。あ、ここがあなた方のお部屋ですよ。温泉はお部屋の隣りにありますからお好きな時にどうぞ」 小さな小屋があり、その隣りは塀に囲まれたスペースがある。その塀の上から湯気が立っていた。『露天風呂付きロッジ』と称されていて、仲間や家族で来る者たちもいるのだそうだ。 「なるほどのう、高い筈だ」 「まあまあ、ルイを治す方が先決さ。俺もこれ買っといて良かったぜ」 エモク酒『冬の陣』と書かれてた瓶を掲げてみせていた。エモクは小さな白い粒状の穀類で、一部の地域ではそれを主食とし、焚いて手で握ったものをお弁当とするという。 それにしても、とアニムはパゼットを感心した。金儲けの為にこの施設を作ったのだから。
窓辺さーんっっ! ルイは疲れた表情をしていた。人間よりも遥かに魔力の扱いに長けた悪魔とはいえずっと魔力を抑えたままでいるのだから当たり前だった。しかし、これで彼女がその力を解放したとなったらそれはそれで大惨事となる。 「のう、ルイ。温泉にでも行こうか?」 アニムが提案した。 「温泉、いいなあ。でも、気が抜けたとたん魔力がどんってならないかな?」 「この近くにある温泉の効能は万能だ。もしかしたらソレが治るかもしれん」 「そうかなあ」 「そう思い込むのも手かもしれん、のう、バルク」 「...... ん? ああ、そうかもな」 「どうした? バルク」 「温泉に合う酒って、やっぱエモク酒だよなーって思って」
今日、平日だったのに......。 何故、ルイの魔力が暴走しているのかは本人にも原因がわからない。これまでも似たような事はあったが2、3日でおさまるものだった。しかし、今回は一週間目に突入している。 仕方が無いので、惚れてメロメロになってしまった人々は記憶を操作して忘れさせた。魔力過多である今の彼女にはやや危険な方法である。記憶操作は魔力の加減が難しい。 「もう、やだ。どうしてなの?」 彼女は弱音を二人に吐いた。 「魔力をたっぷり消費する方法ってないのか?」 バルクはふと口にした。 「おお、それだ。ルイ、何か大量消費する方法は?」 「そうね、あの山吹き飛ばせそう」 「......悪かった。うかつなこと言って」 「私、恥ずかしい。悪魔なのに魔力にもてあそばれるなんて」 「悪魔も、大変なんだな」
草うららか
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