気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
今週の一言:もとい、ToLOVEる。銀魂って、この要素があまりにもなかったことを認識しました。(長谷川バスターはあったけど)って、蜘蛛苦手なんかよっ!
部屋の片付けをしました。
ベッド下にエロ本は基本ですよね?
地元の公園の観覧車が29日から動き出します。 2006年11月 初出のものをそのまんま提供(手抜き) 「あなたの願いを叶えて差し上げましょう」 街頭でそんな言葉をかけられた。 「はあ?」 スーツをびしっと着た、それなりにいい年齢の男性だった。ルックスもそれなりに良い。 「ああ、なんか昔あったわね。『あなたの幸せを三分祈らせてください』とか」 怪しい新興宗教団体なのかなんなのか? それで自分の利益になるのだろうか? ともかく私は笑って断った。 「いいわよ、いらないわ」 しかし、男性は真剣そうな顔で私を見る。それでも、顔は笑顔だ。 「本当に叶うのですよ」 「いや、いらないから」 「何も代償はいりません」 「いや、いらないから」 「試しに何か言ってください」 「余計怪しい」 「頼みますから」 「じゃあ、あなたが離れてください」 「僕が離れては意味がないんです」 しまいには男性は泣きそうな顔をした。こんな街頭で男の人に泣かれたら私はどんな女だろうと思われるに違いない。 「じゃあ、たい焼き。たい焼きが食べたい」 「たい焼きですか。わかりました。ちょっと待ってください」 男性は近くのビルに入って行った。そして、一分ほどで出てくる。 「はい、たい焼き」 その手には熱々としたたい焼きが紙に包まれていた。 「ほ、ほんとに来た。しかも、早っ!」 試しにビルに入った。いくつかテナントや事務所の入ったビルだが、当然こんなところにたい焼き屋はない。 「ね、願いが叶ったでしょ」 「そうね......」 これは本当かもしれない。が、何かトリックがあるのかもしれない。 「さ、では、あなたの願いを言ってください」 「じゃあさ、剣と魔法の世界へ連れて行って」 うん、これならさすがに出来ないでしょ。 「お安い御用です!」 男性は何故かうれしそうに、そう言った。 私は「しまった!」と思った。そして、普段の空想癖を悔やんだ。この男は、正真正銘、剣と魔法の住人なのだ。そして、なんらかの理由で現実世界に迷い込み、誰かの願いじゃないと帰れないというベタな理由で帰れなかったのだ。 「ここが、剣と魔法の世界でーす。それでは、ありがとう、さよーならー」 「待てや」 私は彼の襟首を掴んだ。スーツ姿だった彼は今やピエロのようなかっこをしている。 「まさか、本当に連れてこられるとは思わなかったわ。アンタ、責任取んなさいよ」 「いや、これ、あなたが望んだことであって、僕の責任では......」 「なんでも願いを叶えるって言ったわね」 「ああ、はあ」 「でも、いくつまでとは言ってなかったわ」 「......と、申しますとあなたにはまだ願いがあると?」 「ええ、たくさんあるわ。ともかく、この世界での生き方を教えて。私が一人で暮らせるようになるまでね」
ちょっと機械が故障したので業者に電話したら7時くらいになるって言ったので「じゃあ、朝でも」と言ったのにごちゃごちゃ言うので「7時で」といったら7時半に来られて、八時頃になんか携帯で長いこと(十分以上は全部長電話)喋っていたので「まだかかりますか!」と声を掛けたら「もう少しかかる」と言われたので「じゃあ、もう時間も時間なので、また明日きてください」と突っぱねた。ここであんまり詳しく書くと腹立つのでこのくらいで。
ほとんど復活しました。 その世界にて、律惠は呆然と佇んだ。恍惚として世界を堪能しているのかもしれない。 「では、私はこれにて」 「まって」 「なんでしょう? 願いは叶えましたが?」 「願いは一個とは言ってなかったでしょ? この世界に慣れるまで私をサポートして。ここでの必要なものとか全部用意して欲しいのよ」 何も無い、延々と続く草原。その世界は自分が描いたというよりは、ゲームや小説などに出てくる戦士は剣を振りまわし、魔法使いが魔法をぶっぱなすファンタジー世界。そんな世界にごく普通のOLである自分がきたところで何が出来るわけでない。 ピエロは困った顔(とは言ってもよくわからない)をしていたが、彼女の目を見て首を傾げた。 「わかりました。あんな世界から来たアナタにはここは辛いでしょうから、手伝いましょう」 「よかった」 「というか、戻らなくてもいいんですか?」 「現実逃避がしたかった」 「はあ、現実逃避ですか。ま、分かりました。あなた様のサポートさせていただきます」
昨夜冷えピタ貼って寝ましたが、それまでの酷使(痛いと頬に力が入るのとそれらのために使用する筋肉もろもろ)で結果、首肩に痛みが来た。
皆様、歯は健康ですか?
何をどうしようとしたのか? 拓馬が起きたのは昼過ぎだった。 探偵家業は(以下略)。そんなこんなで居間に起きてみると、女神がいた。 「め、女神!?」 シーツを身体に巻き付け、それらしい衣装をした道子が居間のソファーに座っていた。 「あら、あなた。おはよう」 「お、お前、なにやってんだ?」 「さ、冒険者よ、指輪をおさめなさい」 「はい? 指輪なら洋が......」 「その冒険者なら指輪をおさめましたよ。新たなる指輪をここに」 道子は自分の指を指す。 「お、お前、冗談だろ?」 「あら、私は知っているのですよ。昨日、競馬でいくら儲けたのか」 「何故、それを!」 「だって、私は探偵の妻ですもの。指輪がないのなら、出直して来なさい」 そんなわけで拓馬は指輪を買いに家を追い出されたのだった。 「何、ニヤニヤしてんだ?」 山川京一郎に言われて洋はふと我に返った。 「ああ、今頃、父さん、とっちめられているだろうなって」 「なんだ? そりゃ?」 「ああ先輩、俺、新しいダンジョン見つける為に帰ります」
髪切りました。 洋が目覚める。目覚ましはなっていない。普段から目覚ましはセットするがそれで起きる洋ではなかった。母が起こすのである。 よって、彼が起こされる前に起きるのは珍しいことだった。 「なんだ? これ?」 彼が握りしめていたのは指輪だった。丸く赤い宝石が銀の台に収まっているゲームに出てくるものにそっくりだった。辺りを見回す。自分の部屋だった。 「夢かな? そうだ、夢だ!」 「洋、そろそろ起きなさい!」 母が部屋に入って来た。 夢ではない。ただし指輪は手にある。 「......父さんの悪戯だ」 洋はそう解釈した。父は徹ゲーのためまだ寝ている。探偵家業、仕事がない時はただのニート同然。 「そうねえ、でも懐かしいわ」 と、朝食をテーブルに置いた母が言う。 「だって、コレ、私が作ったんですもの。昔、こういうのを作るの凝っていたのよ。シルバーアクセサリーキットがあって」 「ふうん」 偶然ながらゲームに出てくるものとそっくりだった。というのも、ただ赤い丸い石がはめ込まれた極々シンプルなものだからだ。 「どこにあったのかしら? お父さんったら、ちゃんと残しておいてくれたのね」 「母さんがあげたのものなの?」 「そうなの」 洋は朝食を食べ、学校へ向かう。その間何か考えていた。
忘れた。
次で終わらせる予定です。
ので、はじめます。 (2005年1月末ごろが初出だった) 柘植洋、今夜もまた冒険者となり世界を回っている。 高等部一年の柘植洋。二年の山川京一郎に無理矢理ミステリー研究部に入部させられ、あまり楽しくない高校生活を送っていた。 勉強もあまり好きでなく、通信簿を父親に見てもらえなかったくらいである。(ちゃんと見ましたよ、父親として)部活も山川の暴走により引きずり回されているという感しかない。 よって、逃げる場所はゲームである。ここでは自由気ままな冒険者であり、いつでも生死を左右される選択が待っているスリリングな場所である。あくまでゲームの中で、だが。 現実逃避というなかれ、洋にとってそれがストレス解消の場であるのだから。 「ほどほどにしときなさいよ、洋」 「はーい」 明日も学校だと母、道子が注意する。いつものことだった。洋は素直にデータセーブ、電源を切った。さしあたり宿題もテストもない時は両親は諦めているのか「勉強しろ」とは言わない。 「終わったか? 洋」 「また持ってくつもり?」 「ああ、やっと今、例の研究所から指輪を持ち出して女神から御信託を受けるところなんだ」 「何、もうそこまで行ったのかよ。それ以上喋んなよ。ネタバレ厳禁」 「はいはい、ヒヒヒ」 ゲーム機を持ってそそくさと自分の部屋に入る父、拓馬を見送りため息をつく。 洋は寝る準備をし、母に「おやすみ」と伝え、ベッドに入り借りた漫画本を数ページ読んで電気を消した。あまり面白くない漫画だったらしい。
栄養指導します。
つい最近(でもないか?)話題になったミステリー小説です。
午睡とも言う。
肩あたりまで伸びたのはいいんですが、伸びると厚さ倍増。毛先がまるまるため頬に当たって邪魔くさい。ああ、切りてー。 三月十四日、ホワイトデー。 そんなこと綾名は忘れていた。 「可奈ちゃん、待った?」 秀介が呼びかける。有名な犬の像の前での待ち合わせはこの町では当たり前になっている。犬の名前はゴンザレス=マーティンス=グロウアップ=グレイト=ポチ。その昔、山に生息していた凶悪な熊、マウンティン=エリベスト=クロウズン=ベア=ハチゴローを倒した伝説的名犬として奉ったものだった。そんなことはどうでもいい。 「はい、今来たところです」 「先月はありがとう。すんごく美味しかったよ。だから、今日はお礼したくて」 「お気を使わなくても......」 「今日はホワイトデーだから奢らせてよ。でも、俺何がいいのか分からないから、どこがオススメかな」 「じゃあ、私の行きつけの店へ」 「可奈ちゃんの行きつけの店か......うん、じゃあそこへ行こうか?」 それを岡崎秀介ファンクラブが黙っていなかった。岡崎秀介はその魔性により変態、変人、奇人にしか愛されない。可奈は例外的に奇人でも秀介と気が合うらしい。そもそも、彼を陰鬱とさせていた魔を退けたのは、可奈と春季だった。 「くそう、魔女め!」 覆面の一人が言った。 「しかし、秀介様、なぜあんな魔女と......」 「やっかいなのが付き合いましたね。まだ中野春季の方が楽だったわ」 「春季のことを言うな! あれもやっかいといやぁ、やっかいだ」 ファンクラブの三人組は二人の尾行をしながらそんな話をする。とにかく、その二人が邪魔だった。秀介を影で愛でて、ある時は襲い、ある時は助ける。そんな腐ったファンクラブである。 「ここです」 可奈が指差したのは綺麗な洋館だった。『喫茶 鷸』と書かれている。 「へえ、何?」 秀介は字が読めなかった。鳥が付いているので鳥の名前だろうととは思う。 「シギです。さ、入りましょう。ここのデザートはもちろん、軽食もおいしいです」 「そう......」 「しかも、お値段もリーズナブルです」 「へえ」 洋館へ二人は入っていく。後を追って三人も入っていった。 BGMも何もない喫茶店だった。結構繁華街にあるに関わらず、音と言えばアンティークな古時計が時を刻んでいるだけ。 「いらっしゃいませ。可奈様、お久しぶりですね』 燕尾服にモノクルの青年が現れた。古風な感もするが今流行りの執事喫茶なのかと秀介は思う。 「こんにちは。今日はプライベートなの。でもこの人は大切な人、だから今日のお薦めをお願いね」 「かしこまりました。では、ご席へご案内します」 青年は二人を席へ案内した。他の客たちも静かでとある女性は紅茶と菓子を楽しみ、とある男女は静かに談笑し合っている。 「こちらへどうぞ」 「ありがとう」 「えと、じゃあ......」 「お薦めでいいです。大丈夫、秀介さんも気に入ってくれます」 「そう......」 店は静か過ぎた。時計の音しか聞こえない。 「秀介さん、今日はありがとうございます。誘ってくれてとっても嬉しかった」 「この間のお礼もあるけど、可奈ちゃんは俺の恩人だから。だからこれはありがとうの意味で」 「じゃあ、遠慮なく......」 一方、三人組。 洋館の外で中の様子を伺おうとしていた。 「これはこれは、可奈様のお知り合いですか?」 と、モノクルの青年。 「魔女の知り合いなど知らん」 「やれやれ、懲りない方々だ。では私からも鉄随を食らわせましょう」 青年、姿を変える。その姿は鷸。それも凶悪な方向へいった巨大だった。その嘴で三人とも飲み込んでしまった。 しばらくして、巨大鷸はモノクルの青年に戻る。 「そろそろ、出来る頃ですねぇ」 「本日のお薦め、ハーブティーとスコーンのセットでございます」 「いつものと同じ」 「それは言わない約束です。可奈様」 「よく分かったわね」 「ええ、人間は分かりやすいですから」 小声で話し合い、それから青年は言った。 「ああ、甘いのが苦手でしたらこちらのシロップをお使いください。甘みを抑えて、スコーンをしっとりさせますので。では、ごゆっくり」 モノクルの青年はテーブルを離れる。 「じゃ、いただきましょう。秀介さん」 「ああ、そうだね」 秀介はスコーンを一つ手に取ってシロップを少し掛けた。それを口に入れる。 「ほんとだ。いい甘さだね」 「ね、気に入っていただけると思いました」 可奈は笑顔で答えた。 一方、良介は学校に出向いてた。 「お疲れ」 「アレ? 良介、どうしたの?」 綾名は尋ねる。 「今日、ほら、ホワイトデーだろ」 「ああ、そういえば」 「だから、お礼」 「ええ、でも、結局半分以上私が食べちゃった」 「それはいいんだ。綾名からもらったのが嬉しい」 良介がそう言って、綾名が少しだけ顔を赤らめた。 「じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな」 「甘えていいよ」 そのとき、空から何かが落ちて来た。 「何!?」 それはファンクラブ三人組だった。 何も見なかった振りをして、二人はケーキバイキングへと向かった。
と、思われますが。 フレクアは剣を腰に納めた。 「片付いたわね」 「こっちも片付いたぜ」 「こっちも終わり」 ゼデューとオーフが手を振る。 夜盗集団三十六人を倒した。 「皆さん、すごいですね」 茂みからミランが出てくる。 「これで、賞金が入るわ。やっと、野宿から解放ですわね」 「この中から頭を捜さなきゃな」 と、オーフ。賞金首は頭のみに掛かっている。フレクアは縛り上げた三十六人に声をかけた。 「この中でお頭さまは誰かしら?」 縛り上げられた三十六人は一斉に笑った。 「嬢ちゃん、今のシャレかい? だとしたらヒデエな!」 「シャレではありません! 教えてくれるつもりがないなら仕方がありません。皆役所に連れて行きましょう」 「フレクアさん、ここどこだと思っているんですか? 山の中でしょ? この大人数をどうやって町の役所まで連れて行くんですか?」 「そうですわね......」 三十六人は更に笑った。 「それなら、いいぜ。たまに魔法でも使わねーと鈍るんだ」 オーフが手を空に突き出した。 瞬間移動。悪魔オーフの得意技である。 「魔族か! それとも悪魔か!」 夜盗が騒ぎだした。オーフはつまらなそうに言う。 「ああ、俺は天使と悪魔のハーフだぜ」 「なんじゃそりゃ!?」 夜盗たちは思った。 まだ乳臭い少女、なよなよとした聖職者、華奢な青年、うら若い花かざりの女。楽勝と思い襲った。男は殺し、女は売る。持ち物にお宝があれば奪い、食料であれば食う。それが、夜盗の仕事だった。上手くいく筈だった。 しかし、乳臭い少女は素早く剣を抜き夜盗をなぎ倒した。全て剣を振るうことで起こる風圧で怯ませ、鞘から抜かない剣を急所に当て気絶させる。 なよなよとした聖職者は夜盗が喧嘩を売るとたちまち表情を変え、嬉々として殴り掛かった。 華奢な青年に近づこうと手を伸ばせば、たちまち消えては現れ、夜盗が同士討ちした。 花を頭に飾った女から、甘い香りが流れて来たかと思えば意識を失った。 夜盗たちは思う。もしかしたら、またヤバい相手に手を出したのではないか? 役所の前に夜盗三十六人は縛り上げられたまま投げ出されていた。 「いやあ、困るんですよね。お頭さんさえわかればなあ」 と、役人はぼやく。 「あ、この方達、二度目ですね」 役人は三十六人を眺めて言った。 「釈放された後で、本当に大変ですねえ、残念ながらここにはお頭さんはいらっしゃらない」 「いらっしゃらない?」 「ええ、だからこの前、釈放されたばかりなんですよ。今頃はお頭さん、捕まってたりして」 「どういうこと?」 「この前、この三十六人を捕まえた方々がお頭さんを探しに行っているんですよ」 「まあ、あなた方、前も捕まったの?」 夜盗の一人がフレクアに向かって吠える。 「ああ、そうだ。ちっくしょう、楽そうな相手だったのによ」 中年の男に、少女、そして子供の三人組。しかし、中年の男はすでに夜盗に気づいて剣を構え、少女は羽を広げて宙を舞い応戦、子供は怪しげな術を使った。 「ああ、ついてねーぜ、全く」 「あーあ、ほんと、付いてねー」 その時、何かが落ちて来た。ゆっくりと。徐々に人形を表し、少女の姿に見えて来た。 「あー! フレクアちゃん! 久しぶり! げっ! オーフもいるし!」 「ルイさん!」 「リュレイミアちゃん! お久しぶり!」 「ちょっと、オーフは黙っててね。お役人さん。お頭が分かりました。この人たち、なんか毎日お頭替えてるようです。アニムが言うには、当番制じゃないかって」 「では、皆お頭ってことですね。分かりました。皆様、ご協力感謝です」 役所は三十六人のお頭を引き取って、報酬を渡した。 「いいのかしら?」 報酬はまるまるフレクアたちのものとなった。ルイ曰く『フレクアちゃんに渡せばアニムもバルクも納得する』らしい。 「我々がお金に困っているからでしょう。今度、お礼をすればいいのです」 「やっぱりエセ聖職者ね」 「いい方ですね、リュレイミアさんて。フレクアさんがよくお話しされる方でしょ? 伯父さまとエルフの方と一緒」 「リュレイミアちゃん、まだあの中年親父のとこにいるのか......」 オーフがため息をついた。
寒さです。
ってくらい寒いです。
なんでだか、疲れてます。 「今日はどこ行くの?」 兄の買い物に付き合わされてブロードは尋ねた。この兄は別に一人で買い物ができないわけでなく、引きこもりがちな弟を町へ連れて行こうとしているだけだった。買い物はあくまでついでだった。 「ああ、今日はちょっと......。ハングリルの特売日なんだよ」 ハングリルとは『世界一のケーキ職人』を名乗るほら吹き親父が経営する有名菓子店の一つだった。ちなみに『元祖世界一の菓子職人』とか『真・世界一のパチシエ』などと銘打っている店もあるが、どれも皆似たり寄ったりで『それなりに美味しい』という評判である。 更に言えば、男は自分好みのケーキが作れる女性を嫁にすると言われるほど甘味は身近なもので、よく食べられている。 「兄ちゃんも好きだね」 「まあね」 特売日は本当についでだった。母親に頼めばいつでも作ってくれる。菓子屋はいろんなものを少しずつ楽しめる店なのだが、兄はそれに固執していない。ただ、弟を連れて行くのが目的だった。 ハングリルの店の前にたどり着く。ハングリルの店は繁盛していた。とても小さな二人では入れそうにない。兄は本当にハングリルの店などどうでもよかったので、そこを離れようとした。 「ブロード、駄菓子屋に行こうか」 ブロードの手を引こうとした。しかしブロードは動かない。 「兄ちゃん、あれ」 ブロードが指差した。そこには半透明の人型がウィンドウのケーキをむさぼっていた。 「妖精だ!」 妖精は兄の声に驚いて飛び回る。意地汚くケーキを放さなかったのでケーキは宙を飛んでるように見えた。 妖精は子供に見える時がある。ウィンドウの内側で飛び回る妖精を兄弟は目で追った。混雑した店は混乱し、飛び回るケーキに驚き、騒ぎ立てた。 ややして、妖精は逃げて消えめちゃくちゃになった店がしーんとなった。ハングリルの店長が店から出てくる。 「やれやれ、なんて日だ」 兄弟を見つけて店長は尋ねた。 「おい、坊主ども」 「何?」 兄が答えた。 「もしかして、お前たち何か見なかったか?」 「妖精」 ブロードが小さく言った。 「ほう、妖精か。なるほど。坊主、ちょっと待ってろよ」 店長は一旦店に戻るとややして紙袋を二つ持って来た。 「妖精が出ると上手いケーキが焼けるっていうからな。こいつは祝いだ、持っていけ」 二人に渡すと店長は「後片付けだ」と言って店に戻っていった。 紙袋には、クッキーとキャンディ、チョコレートなどの小さな菓子がたくさん入っていた。兄弟の母親はそれを没収、おやつの時間に少しずつ出して与えた。 ハングリルの店の看板には『世界一のケーキ職人』と書かれた隣りに『妖精も食べる絶品ケーキ』と書かれた。
アレじゃなくて本当に良かった。
どうも、不穏な利用者さんがいらっしゃいます。(クレーム付けるとか悪いことをするとかでないが)月曜日、行くのが怖い。くわばら、くわばら。どうか、違っていて欲しい......。
友人におバカなお誘いをしたら、「行く」と言ってくれました。
なつかしのアイツ等ですが、学院でないです。 岡崎乙女。彼女は、三兄弟の母である。 「母さん、朝飯は?」 「はいはい、もう出来てますよ」 朝一で出るのは岡崎家次男秀介。最近、元気が良いことを乙女は喜んでいる。 「なあ、母さん。明日友達と出かけるんだけどさ......」 乙女が驚愕した。茶碗を割った。 「なんですってえええ! 秀介、あなた、お友達が出来たの!?」 「何言ってんだよ、母さん」 「だって、アナタ、中野春季は春季って呼ぶくせに、まあまあ、相手は春君じゃないのね、もしかして女の子? 彼女? デートなのね! わかりました。母さん、頑張って夜なべしてジャケット作るわね」 乙女は春季のことを春君と呼ぶ。春季は秀介に対してどう思っているかも分かっていてのことだった。 「そこまでしなくても。てか、デートじゃないし。それより、朝飯、ご飯」 「はいはい、わかりました。わかりました」 新しい茶碗に盛りつける。 「お母さん、飯〜」 次に居間に入って来たのは良介だった。朝だと言うのにもう疲れ果てている。岡崎家は古武術道場で、その跡取り予定である良介は毎朝祖父、甲吉郎の訓練を受けていた。 「はいはい、良ちゃん。だらしないと綾ちゃんに嫌われちゃうわよ。それとも、最近出来た年上の彼女にかしら?」 「玲子先輩のことなら違うと思うよ。俺なんか相手にしないし」 「そうよねぇ、オカルト好き良ちゃんにはあんなべっぴんさん、相手にしないわよねー」 良介に飯を渡す。次に入って来たのは優介だった。 「おはようございます」 「おはよう、優介」 スーツ姿できちんと正座する。 「今日は?」 「普通盛りで御願いします」 「梅子さん、お元気?」 「ええ、とっても」 「そう。今度、うちで桜餅作るから持っていってあげてね」 「ええ、きっと梅子も喜びます」 「お好きですものね、梅子さん」 梅子とは優介の婚約者だった。岡崎家とのつながりもあり、昔で言えば政略結婚のようなものだった。乙女はそれがあまり好ましく思ってないが、梅子もまた優介と同じような立場であることを思うと、彼女まで嫌ってはならないと思っている。もちろん、こんな感情は息子たちにも旦那にも見せたことはなかった。 息子たちが食べ終わり、それぞれ学校や職場に向かっていく。 朝の慌ただしい時間が過ぎると一休みすることにしている。 「あら、お父さん。おはよう」 「飯を頼む」 「今日は?」 「大盛りで頼む」 「はい」 乙女の父、甲吉郎。厳格な父親で祖父である。それでも、娘と一緒に朝食を摂るのが日課だった。 「ところで、可一郎さんの姿が見えないが?」 「ああ! 忘れてた!」 可一郎は乙女の夫、三兄弟の父親、岡崎家の婿養子だった。 乙女はあわてて可一郎を起こしに行った。
本日は懐かしい「掃除人」です。調べたら、2007年の11月でした。 高橋=リチャード=スズキ。彼は掃除人である。 どんなに汚い便所も、こびりついて錆びた台所もきれいに清掃するのが仕事である。 そんな彼に依頼が入った。 「お前向きだ」 社長、宮島=グレイス=アキはそう伝えただけだった。後は住所と依頼人の名だけが書かれている。 依頼人の名は、アパートの管理人だった。 「204号室を掃除してくだせえ」 鍵を手渡しさっさと引っ込んでしまった。 高橋は204号室へ向かった。受け取った鍵で部屋をあける。 酷い臭いがした。 そこは、白い絨毯真っ赤に染まった部屋だった。 「こ、これはっ!」 イチゴシロップ。 かき氷に掛けるシロップの毒々しい赤は見事に絨毯やカーテンを染めていた。そして部屋に甘い匂いが充満している。 「こ、こいつは酷い......けど、かき氷が食べたくなる」 高橋はかばんからいくつか薬品を取り出し、絨毯やカーテンに薬品をしみ込ませる。 十分ほどできれいに片付いた。 甘い匂いも換気、薬品で中和されなくなった。 依頼人である管理人がやって来て、「わたしはどうも甘い匂いが駄目でして。ありがとうございます」と言った。 仕事も無事終わり、会社に戻る。 「つらい仕事だった」 高橋はぽつりと呟いた。 「そうか」 「冬はかき氷売ってない」 「当たり前だ」 宮島は呆れながら言った。 「冷蔵庫の氷、もらっていいか?」 「どうぞ」 高橋は、冷たいものが好きだった。
何か、行動に移ろうとすれば、何かある。
ある意味強制的に終わらせてしまった前のヤツはすっきりさっぱり忘れて、三月中は何かダラダラとやっていきます。 三人は路頭に迷っていた。 いわゆる迷子だった。 もうどっちへ行っていいのか分からない状態だった。 「ダメ、どこを見ても森、森、森! とんでもなく大森林よ」 背の大きな蝙蝠羽をしまい、彼女は地面に付いた。 「どうすんだよ、アニム。一応エルフだろ? 森の住人とも言われるんだからなんとかなるだろ?」 中年の男は少年に語りかける。 「うるさい、小生は高山エルフだ。バルクこそ、こういう時に野生の勘などないのか?」 アニムと呼ばれた少年は中年の男に言い返す。 「二人とも喧嘩するならこの森から出てからにして。でなきゃ、今すぐ宿か食堂出して!」 「無茶言うな、ルイ」 「当たり前じゃない。冗談よ」 三人は同時にため息をついた。 ウォンテッダー、求める者。三人はそれぞれ求めた結果、成果を得た。現在は目的を求める者となった。目的を求め、このような大森林に入り迷った。 「それにしても、おかしいのう......。この森は誰もが通り抜ける道なき道のはず。木に印が付けられている通り行けば抜けられる。小生は昔一度通ったが、このように迷うことはなかった」 「それがなんで迷うんだ?」 「分からぬ」 「分からぬ、じゃねえよ」 「木の印途中でなくなっているし、どうなってるの?」 「分からぬ」 「分からぬ、じゃないわ」 「大体、アニムがここを通るなんぞ言わなかったらな、こんなことにならなかったんだよ!」 「大体、ルイがスイーツで金を使ってしまっただろうに。船を使えればこんなことにならんかった!」 「大体、バルクがお金落とさなかったらこんなことになってなかったのよ!」 三人はまたため息をついた。 「よそう。無駄に体力を使うだけだ」 バルクは座り込んだ。二人もそこに座る。草は柔らかく座っても苦にはならなかった。 「少し休んだら引き返すか。印がついた木が近くにあるはずだ。前の町に戻って路銀かせいで船を使おう」 アニムもぼんやりと言った。 「そうね、あの町のチョコレートケーキ、すんごいおいしかったし、また食べたいな」 アニムは荷物から菓子を少し出して二人に渡す。 「腹が減ってはイライラするばかりだからのう」 「ハニーキャンディは好きだけど、チョコレートがあったらそれも欲しいな」 「最後の一粒だ」 アニムが差し出した。 「ありがとう」 ややして落ち着いた三人は木の目印を探した。すぐに見つかり、次々と見つけてはそれを辿っていった。やがて、森を抜け出す。 「あれ?」 「ここ......」 見られない所だった。看板が立ってある。そこは、目指していた町が近いことが書かれてあった。 「どうなってるの、これ?」 「さあ......」 「遊ばれたのかもな」 バルクは言った。 「誰に?」 「オバケに」 ルイとアニムが大いに笑った。 「んなに笑うことはねーだろ? お前等だってエルフに悪魔、オバケがいたっておかしくないさ」 バルクは言うが、二人は笑い続けた。
「鬱だ、死のう」 byデス・ザ・キッド
反省したって、ここでの話はいつも尻切れとんぼだし、同じ経路を辿っていくんだから反省しても意味ない。反省しない!
草うららか
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